個人年金保険に加入する時の税制適格特約ってなに?特約を徹底解説!

最近よく耳にすることがある個人年金保険ですが、詳細を知っている人は少なく、保険料や年金額のみで加入を決めている人が多くいます。しかし個人年金保険には、税制適格特約があり、この特約により加入後の対応が大きく変わります。ここでは税制適格特約について徹底解説します。

個人年金保険の税制適格特約とは?

高齢化社会となった現代の公的年金制度だけでは老後が不安という考えから、自助努力による老後の資金を準備しようとする人は増加傾向にあります。

その中でも、生命保険会社が販売する個人年金保険に加入する人は多くなっており、年末調整や確定申告により、保険料控除を利用して所得税や住民税の軽減に繋げています。


このように、個人年金保険により所得税や住民税の控除を受けるにあたり、必要となるのが税制適格特約です。


この特約が付加されることにより、生命保険料とは別枠で控除を受けることができるということになります。


税制適格特約をつけていると、保険料が個人年金保険料控除の対象になる

税制適格特約を付加している場合、1年間に支払った保険料を基準に、年末調整や確定申告で個人年金保険料控除を受けることができます。



所得税や住民税の軽減に繋がる控除となるので、個人年金保険に加入しているのであれば、税制適格特約を付加している方がメリットがあるということになります。


しかしながら、個人年金保険の種類や契約内容によっては、税制適格特約を付加できない場合もあるので、個人年金保険に加入する際には、注意が必要です。


税制適格特約をつけていなくても、生命保険料控除の対象にはなる

個人年金保険に税制適格特約が付加されている場合は、個人年金保険料控除の対象となることはわかりました。

では、付加されていない場合には、何も控除が受けれないのかという疑問が出てきますが、控除を受けることは可能です。


ただし、個人年金保険としての控除は受けることはできません。しかし、一般生命保険料控除としてであれば、控除を受けることが可能となります。


この場合は、一般の生命保険の保険料と合算して控除額が決まるので、別枠での控除にはならないということを理解しておく必要があります。


税制適格特約の付加に必要な3つの条件

どの個人年金保険にも、税制的適格特約を付加できるわけではありません。

この特約を付加する為には条件があり、


  1. 契約者、被保険者、受取人の関係について
  2. 保険料の支払い期間について
  3. 定期年金の場合の受け取り開始年齢と受け取り期間について
大きく分けて、この3つの条件が存在しています。



なお、終身年金の場合は、1および2の条件を満たしていれば、3の受け取り開始年齢に関係なく、この特約を付加することが可能となります。


条件1:年金受取人=被保険者かつ、年金受取人=契約者or契約者の配偶者であること

年金を受け取る人は、保険料を負担する契約者本人もしくはその配偶者であることが必要となります。

さらに、年金を受け取る人は、保険の対象である被保険者と同一であることも条件となります。



  • 契約者(夫)、被保険者および受取人(夫)・・・付加できる
  • 契約者(妻)、被保険者および受取人(夫)・・・付加できる
  • 契約者(夫)、被保険者(夫)、受取人(子)・・・付加できない

わかりやすくすると、上記のようになります。

しかし、保険料を負担する契約者と年金を受け取る受取人が同一でない場合は、いざ年金を受け取ろうとした時に、贈与税の対象となってしまうので注意が必要と言えます。


条件2:保険料の払込期間は10年以上であること

年金開始までの保険料払込期間が10年未満の場合は、税制適格特約を付加することはできません。

年金の開始が65歳の個人年金保険に56歳で加入した場合は、保険料の払込期間が9年間しかない為、特約が付加できないということになります。


また、個人年金保険に加入する際、一括で保険料を支払う一時払いで加入した場合は、保険料の払込期間が10年という条件を満たすことができないので、特約を付加することはできません。


条件3:定期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で受取期間が10年以上であること

定期年金には、有期年金や確定年金があります。

このような年金タイプには、受け取り期間が決まっており、確定年金の場合は『5年確定年金』と『10年確定年金』があります。


5年確定年金に加入した場合は、年金受け取り期間が5年しかなく、条件である10年に満たない為、税制適格特約を付加することはできません。


また、若いうちに個人年金保険に加入した場合は、55歳から年金開始とする契約が可能ですが、この場合も年金受け取り開始が60歳未満である為、特約を付加することはできなくなります。


個人年金保険の税制適格特約における注意点

税制面でメリットがある税制適格特約ですが、付加することによって制限されることもでてきますので、注意が必要です。

  1. 税制適格特約が付加できる要件を満たさなくなる契約変更はできない
  2. 税制適格特約のみの解約はできない
  3. 配当金は積み立てされ、強制的に増額年金の原資に充てられてしまう
  4. 年金額の減額など一部解約をした場合、解約返戻金は積み立てされて増額年金の原資に充てられる

大きく分けるとこのようになります。


例えば、貯蓄系の保険商品の場合は、保険料の支払いが困難になった場合は払済保険にしてしまい、以後の保険料をストップさせる方法があります。


しかし、税制適格特約が付加されている個人年金保険では10年以内の払済保険への変更は、税制適格特約を付加できる10年間の支払い期間という条件から外れるので、保険料の支払いが困難な場合は、個人年金保険そのものを解約してしまわなければならなくなってしまいます。


税制適格特約により、どのくらい税金が控除されるのか計算しよう

個人年金保険に加入し、税制適格特約を付加されている場合は、年末調整や確定申告で個人年金保険料控除を受けることができます。

この控除により、所得税や住民税の軽減が期待されることになりますが、支払った保険料全てが控除額になるわけではありません


保険料控除額は、1年間に支払った保険料の総額によって控除率が決められていますので、生命保険料控除と個人年金保険控除のそれぞれで計算する必要があります。


平成24年1月1日より制度が変更された新制度と、平成23年12月31日までに加入分の旧制度とは、計算方法が相違し控除額が変わってきますので、注意が必要です。


新制度による生命保険料控除額の場合

平成24年1月1日以降に契約した個人年金保険は、新制度として計算されます。
年間支払保険料
控除額(所得税)
20,000円以下
支払保険料全額
20,000円超40,000円以下
支払保険料÷2+10,000円
40,000円超80,000円以下
支払保険料÷4+20,000円
80,000万円超
一律40,000円が上限

例えば、税制適格特約が付加された個人年金保険で、月額2万円の保険料を支払っていた場合

年間の支払保険料は24万円になります。
保険料の支払総額が8万円を超えているので、上限額である4万円が控除できる金額となります。

所得税の申告が終わると、自動的に住民税が計算されることになりますが、計算式は下記のようになります。

所得税の控除額と違って、控除額が少なくなっていることがわかります。

年間支払保険料
控除額(住民税)
12,000円以下
支払保険料全額
12,000円超32,000円以下
支払保険料÷2+6,000円
32,000円超56,000円以下
支払保険料÷4+14,000円
56,000円超
一律28,000円が上限


旧制度による生命保険料控除額の場合

平成23年12月31日までに契約したものは、旧制度の計算式に当てはめて計算することになります。
年間支払保険料
控除額(所得税)
25,000円以下
支払保険料全額
25,000円超50,000円以下
支払保険料÷2+12,500円
50,000円超100,000円以下
支払保険料÷4+25,000円
100,000円超
一律50,000円が上限
先ほどの新制度に比べて、控除額は高く設定されています。

税制適格特約を付加した個人年金保険で、保険料を毎月1万円として加入していた場合、年間の保険料は12万円になります。

控除額は、支払保険料が10万円を超えているので、上限額の5万円が控除額となります。

新制度による住民税の控除額は変更となりましたが、旧制度の控除額は変更されていません。
年間支払保険料
控除額(住民税)
15,000円以下
支払保険料全額
15,000円超40,000円以下
支払保険料÷2+7,500円
40,000円超70,000円以下
支払保険料÷4+17,500円
70,000円超
一律35,000円が上限


複数加入している場合は新旧制度併用ができます

複数の個人年金保険に加入していた場合、全ての個人年金保険に税制適格特約が付加されていれば、個人年金保険料控除を、新制度と旧制度を合算して控除を受けることができます。

ただし、気をつけていただきたいのは、新制度、旧制度ともに上限額が定められています。

さらに、新制度と旧制度を併用する場合、個人年金保険料控除額の上限は4万円とされています。

したがって、新制度の契約で控除額の上限に達していた場合、さらに旧制度の控除を利用しようとしても、新制度の上限4万円に達してしまっているので、それ以上の控除を受けることはできません。

参考:生命保険料控除額の新制度・旧制度・新旧併用の場合の上限と計算方法

まとめ

老後の資金準備は、自助努力が必要である現代では、生命保険会社が販売する個人年金保険に加入する人が増えてきています。

しかし、個人年金保険に加入する際、税制適格特約の付加を保険会社から勧められることが多々あります。

確かに、税制面でも大きなメリットがあり、特約自体も保険料はかからないので、付加するに越したことはありません。


ただし、税制適格特約を付加した場合は、加入後の契約変更などで制限が設けられます。


一般の生命保険であれば、減額すればその分の解約返戻金があれば、受け取ることもできますが、税制適格特約を付加した個人年金を減額しても、解約返戻金は受け取ることができず、将来の年金増額資金に充てられてしまいます。


こういったリスクも踏まえ、個人年金保険に加入する際は、保険料の支払いに余裕を持ったプランに加入することをお勧めします。


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