更新日:2020/08/02
親の認知症に備える!経済的負担を軽減する認知症保険を解説
皆さんは認知症保険をご存知でしょうか。この高齢化社会で親が認知症になるというリスクには誰もが備えるべきでしょう。なぜなら親が認知症になった場合の経済的負担はとても大きいからです。ここでは、認知症保険について、認知症保険が必要な理由を中心に解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
親が認知症になったときに役立つ認知症保険とは?
最近、認知症に関わるニュースを目にすることが増えてきました。
あなたは、認知症の方が起こした事故や認知症介護を苦にした殺人事件などを目にして「もし、うちの親が認知症になったら…」と不安になることはありませんか?
「公的介護保険を使えば、どうにかやっていけるのでは」と考える方もいるかもしれませんね。
しかし特に認知症の介護に関しては、民間の保険でも備えておかないと経済的に大きな打撃を受ける可能性があります。
そこで、この記事では親の認知症に備える認知症保険について、
- 認知症保険の種類
- 親の認知症介護にかかる費用
- 親の認知症保険の選び方
以上のことを中心にお伝えしていきます。
この記事を読めば認知症介護ならではの経済的負担を理解し、親のためにどのような認知症保険を選ぶべきかということが分かります。
ぜひ、最後までご覧ください。
経済的不安を軽減できる認知症保険
日本は、世界一認知症患者の割合が高い国です。なんと65歳以上の15%、85歳以上の55%が認知症とされています。
そして認知症の方の介護は、そうでない方の介護に比べて介護費用が倍以上かかるというデータがあります。
認知症の親は独りにしておくリスクが高いことから、見守りのためのサービスを多く利用する必要があるのはやむを得ないことです。
また、認知症の親が起こした事故で賠償責任を負う可能性もあるでしょう。
ここからは、そういった認知症介護の経済的な不安を軽減させるための、
- 治療型認知症保険
- 損害補償型認知症保険
これら二つの認知症保険について解説していきます。
治療型認知症保険
認知症保険には、大きく分けて二つの種類があります。
一つめが、認知症になったときにその治療費用・介護費用にあてるための給付金がもらえる「治療型認知症保険」です。
一般的には、認知症保険といえばこちらをイメージされる方が多いかと思います。
治療型認知症保険は、商品によって認知症と診断されること以外の給付条件が異なることにご注意ください。
条件の例としては、
- 器質性の認知症かどうか(アルツハイマー型など。統合失調症やうつ病などによる認知機能障害は不可)
- 認知症の状態が一定期間続いているかどうか
- 公的要介護認定で要介護1以上に認定されているかどうか
というようなことが挙げられます。
給付金額は「一時金300万円」「年金(年額)60万円」など、プランにより異なります。
損害保障型認知症保険
もう一つが、認知症の方が起こした事故による損害を賠償する「損害補償型認知症保険」です。
- 火の不始末で近所に延焼させた
- 水の止め忘れで下階に水漏れさせた
これらの損害は火災保険などに付帯できる個人賠償責任特約でもカバーできますが、
- 線路に立ち入り電車を止めてしまった
この場合は「物や人身への損害は発生していない」ことから、ごく一部の個人賠償責任特約でしか補償されません。
商品数は少ないですが、単体で加入できる損害補償型の認知症保険なら、こういった事故もカバーすることができます。
公的介護保険ではカバーできない部分とは?
公的介護保険サービスは要介護度によって利用上限金額があるため、たとえ認知症の方であっても日中ずっと見守るという状況を作るのはかなり困難です。
たとえば要介護1なら、時間の長さやサービス内容にもよりますが「ヘルパー週3、デイサービス週2」が上限といったところです。
また、介護保険はサービスの内容自体にも制限があります。
原則として「要介護認定を受けていない同居の家族がいる」場合は家事サービスを受けることができません。
ニーズの高い「通院の付き添い」にもさまざまな厳しい条件が設けられています。
自費サービスを使うとなれば、1割負担の10倍もの費用がかかってしまいます。
認知症が大きな経済的負担になる理由
ここまでは、認知症保険の種類と公的介護保険でカバーできない部分についてお伝えしてきました。
認知症の介護には通常の介護よりも多くの負担が発生するわけですが、どんな費用がどの程度発生するのでしょうか。
ここからは、具体的な認知症が大きな経済的負担になる理由として、
- 認知症本人または介護をする家族の離職
- 介護サービスの費用
これらについて解説していきます。
認知症本人または介護をする家族の離職
介護する家族が仕事をセーブしたり、場合によっては介護離職せざるを得ない状況になっても、もちろん公的介護保険で収入減少分は補償されません。
何か外出する用事があってヘルパーを頼めば、その分費用もかかります。
また現代は高齢になっても仕事を続ける方が少なくありませんから、認知症になった親自身の離職による減収という問題もあるでしょう。
有料老人ホームに入居すれば、数百万円~数千万円の高額費用がかかります。
比較的安いといわれる認知症対応型グループホームでも、月20万円程度はかかるのです。
介護サービスの費用
公的介護保険を使えば、親の介護サービス利用料は1割負担(所得により2割・3割も)で済むと思っていませんか?
1割で済むのは、あくまで保険内のサービスについてだけです。
たとえばデイサービスなら食事代・おやつ代・レクリエーション代は実費負担です。
宿泊デイサービスを使えば一泊数千円がプラスされますし、1枚70円~100円以上もする大人用紙オムツ代もばかになりません。
国が定めた「高額介護サービス費支給制度」も、こういった費用については助成の対象外です。
要介護1で1割負担の方なら保険内サービスの自己負担上限はおよそ1万7,000円ですが、これらを考えると最低でも月5万円程度は覚悟しておきたいところです。
もちろん親の症状が悪化すれば、さらに出費はかさみます。
認知症が原因の事故・トラブル
前述した火の不始末や水漏れの事故も、親が認知症で責任能力がなければ賠償は免除されるのではないか?と思うかもしれません。
しかし、代わりに普段介護している家族の責任が問われ、莫大な賠償責任を負う可能性もあります。
一部の個人賠償責任特約では、被保険者が重度の認知症など責任能力がない場合、監督義務がある別居の家族も補償の対象になるよう見直されています。
しかし改定前に加入した保険については、今まで通り同居の家族にしか保証は適用されませんので、必要に応じて親の保険を見直すことをお勧めします。
親の認知症保険の選び方
認知症保険はまだ歴史が浅いこともあり、給付される条件や保障内容は商品によってさまざまです。
親の認知症保険を選ぶということは、すなわち「将来どのように親の認知症介護をしていくのか」という選択に他なりません。
- 誰が介護するのか
- 親の資産や収入はいくらあり、子はいくらまで出せるのか
- 在宅で暮らすのか、施設に入るのか
- 在宅なら、自宅やその周辺環境は認知症による事故のリスクはどの程度か
こういったシミュレーションを行い、認知症保険の保険金額や給付方式(年金方式・一時払方式)を選択していく必要があるでしょう。
まとめ:親の認知症に備えるための認知症保険について
親の認知症に備える認知症保険についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 認知症保険には治療型と損害補償型がある
- 公的介護保険では離職による減収や実費負担分をカバーできない
- 認知症介護にかかる費用を試算し、必要となる保障を選択する
以上のことでした。
自分の親の認知症というのは、意外にも気づきにくいものです。
年のせいだろうと放置していたら、取り返しがつかないほど進行してしまったという例は後を絶ちません。
日ごろから些細な違和感にも気を配り、認知症の早期発見と治療に努めていただきたいと思います。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。
ぜひご覧になってください。