更新日:2019/03/13
親が認知症になったときに役立つ認知症保険!デメリットはあるの?
認知症患者の介護は通常の介護に比べて、費用が2倍かかると言われています。そんな認知症に備えるうえで役立つ認知症保険。実はデメリットもあるんです。この記事では、認知症保険のメリットとデメリット、認知症保険に加入しなくても大丈夫な人について解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
親が認知症になったときに役立つ認知症保険!デメリットは?
最近、認知症を原因とする事故や、認知症介護による離職の話題を耳にすることが多くなってきました。
「親を認知症保険へ入れるべきか」「自分も加入しておくべきか」と不安に思うこともあるのではないでしょうか。
とはいえ保険料もかかりますし、そもそも認知症保険が本当に必要なものなのかという疑問も生じますよね。
実は認知症保険にもデメリットは存在し、必ずしも全員が入るべきとはいえないのです。
そこで、この記事では認知症保険のデメリットについて、
- 具体的な認知症保険のデメリット
- 悪いことばかりではない、認知症保険のメリット
- 認知症保険に入らなくても良い人とは
以上のことを中心にお伝えしていきます。
この記事を読めば、ご両親やあなた自身が認知症保険に入るべきかどうかが理解でき、保険料を無駄にすることもなくなるはずです。
ぜひ、最後までご覧ください。
良いことだけではない?認知症保険のデメリット
認知症保険の広告には良いことばかり書いてありますが、もちろんデメリットも存在します。
加入者が認知症になったらすぐ大金が振り込まれ、その後の介護がすっかり楽になるというわけではありません。
いざというときに愕然としないため、認知症保険利用の際に生じうるデメリットとして
- 保険料が割高というデメリット
- 公的介護保険の要介護認定を受ける手間のデメリット
- 解約払戻金がないというデメリット
これら3点について詳しく解説していきます。
デメリット① 保険料が割高な場合がある
認知症保険は、加入条件の厳しさによってによって「標準体型(健康体型)」「引受基準緩和型」という二つのタイプに分けられます。
持病があっても入れるというのが売りの引受基準緩和型の場合、保険料は70歳男性で月額1万円、女性なら1万5,000円を超えるのが一般的です。
※一時金300万円・終身契約の場合
なお、女性の方が認知症の罹患率が高いため、女性の保険料は男性より割高に設定されています。
夫婦ともに加入すれば相当な高額になってしまうため、持病や既往歴のある方にとってはそうでない方に比べてデメリットが大きいと言わざるを得ません。
デメリット② 要介護認定を受けなくてはならない
認知症保険には、給付条件として「公的介護保険で要介護1以上と認定されている」という基準を設けている商品が多くあります。
しかし、実はこの「要介護認定」を受けるのに相当な手間がかかります。
公的介護保険の認定を受ける流れは、以下のようになっています。
- 自治体の窓口または「地域包括支援センター」で要介護認定申請書を提出し、認定調査の予約をする
- 主治医の診察を受け、意見書を書いてもらう
- 認定調査を受け、その結果が介護認定審査会にかけられる
- 最終的な認定結果が通知される
なお、特に認知症の方の認定調査には、仕事を休んででも家族は立ち会うべきです。
本人だけで受けると、できないことも「できる」と主張し認定結果が軽く出てしまう可能性があります。
認定の一連の流れで、1ヶ月~1ヶ月半を要することもあります。
結果が希望通りではなく調査のやり直しを求めるなら、さらに同じだけの時間がかかってしまうデメリットも覚悟してください。
デメリット③ 解約払戻金がないものが多い
ほとんどの認知症保険は掛け捨て方式であるため、解約返戻金や満期保険金がを受け取ることはできません。
途中で保険料が払えなくなって解約すれば、今までの保険料は完全に捨ててしまうという大きなデメリットを負ってしまいます。
また、もし認知症にかからず生涯を終えたとしたら、やはりそれまでに払った保険料はすべて無駄になってしまいます。
「保険というものはそういうデメリットがある」と言ってしまえばそれまでです。
しかし、これが死亡保険の終身契約なら、死は誰にでも訪れるものですから完全な無駄にはなりません。
※一部の認知症保険では、災害死亡給付金が支払われることもあります。
やっぱり役立つ!認知症保険のメリットを解説
ここまでは、認知症保険のデメリットについて解説してきました。
「保険料が高い」「給付金をもらうのが大変」「解約しても一銭ももらえない」となると、もう加入はやめておこうかという気になるのではないでしょうか。
しかし認知症保険には、かけがえのない大きなメリットも存在します。
ここからは認知症保険のメリットとして、
- 保険金が現金で受け取れる
- 保障内容が幅広い
これら2点についてお伝えしていきます。
メリット① 保険金が現金で受け取れる
民間の認知症保険の強みは、なんといっても保険金が現金で受け取れるということです。
そんなこと当たり前と思うかもしれませんが、公的介護保険は「現物給付」です。
どんなに重度であっても、介護保険のサービスを使わなければ一切得をすることはありません。
公的介護保険の給付とは「保険内サービスを1~3割の負担で受けることができる権利」にすぎないのです。
一方で民間の認知症保険なら、給付された保険金をどう使うかはこちらの自由です。
介護保険外のサービスに使うことはもちろん、介護による家族の減収の穴埋めや、家族のストレス解消の資金としても何ら問題はありません。
給付金の受け取り方法には、一時金型・年金型・その両方の複合型があり、ライフプランや介護計画に合わせて選ぶ必要があります。
メリット② 保障内容が幅広い
認知症保険の中には、認知症だけではなく「がん」や「糖尿病」など高齢者が発症しやすい7大生活習慣病や、女性特有の疾病に対応する商品もあります。
年を取ると骨がもろくなることから、骨折治療給付金が設けられているものもあります。
また、認知症以外の原因で要介護状態になったときでも給付金が受け取れるプランもあり、まさに「この保険だけで介護への備えは万全」とすることも可能です。
ただし保障内容を手厚くするほど、保険料が高額になることにはご注意ください。
認知症保険が入らなくても大丈夫な人は?
では認知症保険に入らなくても良いのは、どのような人なのでしょうか?
一般的に、認知症の介護には通常の介護よりもはるかにお金がかかります。
これはひとえに、認知症患者を一人にしておけないということが理由です。
本人にまったく悪気はなくても、徘徊・火の不始末・転倒・不潔行為などがあれば、家族はいっときも目が離せない日々が続きます。
まして暴力や破壊行為があれば近隣住民にも被害を与えかねないため、事態は切実です。
介護保険内のサービスには利用上限があるため、施設でなければ一日中見ていてもらうことは不可能です。
家族は「自分が働けないことによる減収」を選ぶか「高額の自費サービス」を使うかという二択を迫られることになります。
厚生労働省の調査によれば、認知症患者の平均介護費用は次のようになっています。
- 在宅介護…年間約219万円
- 施設介護…年間約353万円
介護付有料老人ホームなどなら、これとは別に入居金もかかります。
夫婦はこれらの2倍を目安とし、年金や貯金で十分に賄えるなら認知症保険は不要といえるでしょう。
まとめ:認知症になったときのライフプランと経済状況から考えるべき
認知症保険のデメリットについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- 認知症保険には、保険料負担や保険金請求時の手間などいくつかのデメリットがある。
- しかし認知症保険は、幅広い保障・現金給付などのメリットもある
- 認知症介護に耐えられるだけの経済力がある場合は、必ずしも認知症保険は必要ではない
以上のことでした。
多くの人が「自分は認知症にならない」と考え、すでに認知症になっている方ですら多くはそう思っています。
しかし、自分や自分の親が認知症になったときの姿が想像できないからこそ、いざというときに大打撃になりかねないのです。
まず万が一のときのライフプランを立て、その実現に経済的な不安がある場合には、ぜひ認知症保険で備えておきましょう。
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