更新日:2022/07/11
住宅ローン一括返済の手数料は?計算例や借り換え・売却の場合も解説
住宅ローンを一括返済するとお得になるのか気になっていませんか。一括返済はメリットが大きいですが、タイミングも手数料など注意が必要です。手数料や住宅ローン控除の方が一括返済よりお得になる場合もあります。一括返済のメリットや手数料、注意点など詳しく解説します。
- 住宅ローンを早く返したい人
- 住宅ローンは一括返済するとお得なのか知りたい人
- 住宅ローン一括返済の手数料を知りたい人
内容をまとめると
- 一括返済の前に利息や住宅ローン控除額を計算してどちらがお得か比較する
- 一括返済の手数料やほかの返済負担を軽減する方法も合わせて検討が必要
- 一括返済は、ライフイベントや老後の生活に備えて資金を充分確保してから行う
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目次を使って気になるところから読みましょう!
- 住宅ローンを一括返済をするときはまず利息や控除を計算しよう
- 一括返済をすると利息分の支払いが軽減される
- 保証料が戻ってくる場合もあるので要チェック
- ただし、住宅ローン控除の方がお得な場合もある
- 手数料は3万3,000円(税込)で設定されているケースが多め
- 金融機関①:みずほ銀行
- 金融機関②:三井住友銀行
- 金融機関③:三菱UFJ銀行
- 金融機関④:りそな銀行
- 一括返済を検討すべきタイミング
- パターン①:十分な資金があるとき
- パターン②:定年退職時
- 一括返済をするときの注意点
- ポイント①:教育費や老後資金を計算する
- ポイント②:生命保険への加入と抵当権抹消登記を行う
- 住宅ローンの一括返済をする方法
- 一括返済以外の負担を軽くする方法
- 方法①:一部繰り上げ返済
- 方法②:金利の低い住宅ローンへの借り換え
- 方法③:全期間固定金利への借り換え
- 参考:残債ローンがある場合は一括返済と抵当権抹消をすれば売却可能
- まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ
目次
住宅ローンを一括返済をするときはまず利息や控除を計算しよう
「一括返済して住宅ローンの支払いを終わらせたい」と思ったことはありませんか。マイホームを購入するとき、ほとんどの方は多額の住宅ローンで借り入れをしたはずです。返済を続けるうちに、早く返したい気持ちが大きくなるのは当然でしょう。しかし、一括返済は一気にお金がなくなるため、間違ったタイミングで行うと後悔する可能性が大きいです。本記事では、住宅ローンを一括返済するか迷っている方のために
- 住宅ローン控除と利息軽減のどっちがお得なのか
- 各金融機関の一括返済に必要な手数料
- 一括返済のベストタイミングと必ず確認すべき注意点
- 一括返済の方法と、知ってほしい返済負担軽減の工夫
一括返済をすると利息分の支払いが軽減される
一括返済する代表的なメリットといえば、利息がなくなることでしょう。住宅ローンの返済を続ける限り、利息もずっと支払う必要があります。一括返済すれば、これから先に支払うはずだった利息の全額分が手元に残ることになります。
では、具体的にどのくらいお得になるのでしょうか。
今回は、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
- 借入額は3500万円
- 金利1.1%(変動なしと仮定)
- 返済期間35年(毎月の返済金額が一定の元利均等返済)
支払う利息の合計額 | |
---|---|
35年(一括返済なし) | 718万4389円 |
15年12カ月目に一括返済 | 470万8257円 (住宅ローン残高は2162万9237円) |
支払い利息の差額 | 247万6132円 |
計算してみると、一括返済した場合は約247万円もお得になりました。いかに利息をたくさん支払っているかよくわかる結果ではないでしょうか。このように支払い額が大きく軽減されるのは、一括返済最大のメリットといえるでしょう。
保証料が戻ってくる場合もあるので要チェック
また、意外と知られていないメリットとして、保証料が戻ってくる可能性があります。
住宅ローンを借りるときに保証料を一括で支払っていると、戻し保証料として返済期間が短縮された分だけ戻ってくるかもしれません。知らずに一括返済をして、利息軽減に加えお金が戻ってくれば嬉しいですよね。
ただし、戻ってくる保証料の算出方法は金融機関で異なります。戻し保証料があるのか知りたい場合は、まずは借り入れている金融機関に確認してみるのをおすすめします。
ただし、住宅ローン控除の方がお得な場合もある
一括返済は魅力的なメリットがあるので、「すぐにやりたい」と思うかもしれません。しかし、住宅ローン控除の方がお得になる場合もあります。一括返済する前に、まずは一度住宅ローン控除額がいくらなのか計算してみるのがおすすめです。
住宅ローン控除適用期間は、毎年住宅ローン残額の1%が所得税から減税されます。適用期間は、原則入居から10年間、2021年1月1日から2022年12月31日の間に入居した場合は増税の特例措置として13年間です。13年の場合は、10年目までは1%の減税ですが、11~13年目は以下2つのどちらか少ない金額になります。
- 住宅ローンの年末残高の1%
- 建物の購入価格×2%÷3
低い金利で借り入れしている場合は、住宅ローン控除の方がお得になる可能性が高いです。何も調べず一括返済すると、知らないうちに損しているかもしれません。一括返済する前に、住宅ローン控除の減税額とどちらがお得か必ず比較しましょう。
手数料は3万3,000円(税込)で設定されているケースが多め
一括返済には必ず手数料がかかります。通常の返済と同様に、返済口座に入金するだけではできません。住宅ローン契約そのものがなくなるので、思っているよりも多くの手続きが必要です。また、借り入れている金融機関で手数料も異なります。しかし、3万3000円(税込)で設定されている場合が多いようです。金融機関によっては窓口に行く必要があるかもしれないので、まずは問い合わせてみましょう。ここからは、主要な4つの金融機関の手数料について紹介します。
- みずほ銀行
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- りそな銀行
金融機関①:みずほ銀行
手数料 | |
---|---|
インターネット | ー |
窓口 | 3万3000円 |
電話→書類郵送 | ー |
日本3大メガバンクのひとつとして知られるみずほ銀行の一括返済手数料は3万3000円。メガバンクの中では比較的金利が低めに設定されているようですが、手数料は他の金融機関の中でも高めです。インターネットや電話での受付はしておらず、窓口での手続きのみなので注意しましょう。
金融機関②:三井住友銀行
手数料 | |
---|---|
インターネット | 5500円 |
窓口 | 2万2000円 専用パソコン手続きは1万1000円 |
電話→書類郵送 | ー |
金融機関③:三菱UFJ銀行
手数料 | |
---|---|
インターネット | 1万6500円 |
窓口 | 3万3000円 テレビ窓口は2万2000円 |
電話→書類郵送 | ー |
金融機関④:りそな銀行
手数料 | |
---|---|
インターネット | ー |
窓口 | 変動金利型・全期間固定金利型は1万1000円 固定金利選択型は3万3000円 |
電話→書類郵送 | ー |
一括返済を検討すべきタイミング
手数料を支払っても一括返済が最もお得になる場合、「すぐにやった方がお得」と思うかもしれません。しかし、一括返済はタイミングが最重要。もちろん早く返済するほど金利の支払いが少なくなりお得ですが、ここで焦りは禁物です。では、一体いつ一括返済を検討すればいいのでしょうか。ここからはベストタイミングを2つ解説します。
- 十分な資金があるとき
- 定年退職時
パターン①:十分な資金があるとき
気になる最初のベストタイミングは「十分な資金があるとき」です。
一括返済して大きく貯蓄が減っても、必要資金が確保できるならぜひおこなってください。手元に十分な資金が残るなら金利の支払いを続けるのはもったいないです。一括返済を検討しましょう。
大切なのは焦らないことです。住宅ローンは他の借り入れに比べて低金利な場合がほとんどで、住宅ローン控除や手数料もあります。子供の進学費用や、車の買い替え資金など、これから必要な資金は先に確保してから、本当に一括返済がベストかどうか考えましょう。後悔しないためにも、慎重に判断してください。
パターン②:定年退職時
2つ目のベストタイミングは、「定年退職時」です。
定年退職すると、退職金としてまとまったお金が手に入る場合がほとんどでしょう。必要な資金を除いて余裕があるなら、一括返済を検討するベストタイミングです。総務省の『家計調査報告〔会計収支編〕2019年(令和元年)平均結果の概要』によると、無職高齢者世帯の住居費は月平均で夫婦は13625円、単身者は12916円となっています。高齢者世帯の多くは住宅ローンを完済しているといえるでしょう。
定年退職後、住宅ローンを支払い続けるのは大きな負担になります。老後の生活費を抑えるためにも定年退職のタイミングで一括返済を検討するのはおすすめです。
一括返済をするときの注意点
住宅ローンの一括返済には、返済を検討するタイミングと手数料以外にも注意点があります。では具体的に何に気を付ければいいのでしょうか。ここからは、住宅ローンを一括返済する前に必ず読んで準備すべき注意点を2つ解説していきます。どちらも放置すると大きなトラブルにつながる可能性があるので、事前にきちんと確認しておきましょう。
- 教育費や老後資金を計算する
- 生命保険への加入と抵当権抹消登記を行う
ポイント①:教育費や老後資金を計算する
一括返済をするときの注意点1つ目は「教育費や老後資金を計算する」です。
一括返済をすると手元のお金が一気に減ります。何も考えずに返済に資金をつぎ込んでいると、急な出費に対応できず困るかもしれません。あらかじめ必要な資金を計算して必ず残しておきましょう。
住宅ローンはほとんどの場合、他の借り入れよりも低金利です。焦って返済する必要はなく、これからのライフイベントに備えるための資金確保を優先してください。
例えば、子供の教育費や老後の生活資金はまとまったお金が必要でしょう。具体的に確保すべき資金の目安は生活費の半年~1年分と言われていますが、各家庭で異なります。それぞれ収入も、家族構成も異なるからです。まずは今後必要になる資金をざっくり計算してみましょう。一括返済を検討するのはそのあとでも遅くありません。
ポイント②:生命保険への加入と抵当権抹消登記を行う
住宅ローンを一括返済するときの注意点2つ目は「抵当権抹消登記」と「生命保険への新規加入」です。
抵当権は、住宅ローンが融資されると、法務局で登記簿に記録されます。住宅ローンの返済が終われば効力を失うものの、抹消登記をしないとリフォームや売却が自由にできません。住宅ローンの一括返済をすると、後日抵当権抹消登記に必要な書類が住宅ローン契約者に送られてくるので、書類と作成した申請書を法務局へ提出しましょう。司法書士に依頼することもできますが、お金がかかるうえ簡単なので自分でやるのがおすすめです。
また、団体信用生命保険がなくなるので生命保険に新しく加入しましょう。団体信用生命保険は、住宅ローンを支払っている方のための生命保険です。住宅ローンを完済すると同時になくなるので、改めて生命保険に加入しておかなければ万が一に備えることができません。忘れずに次に加入する生命保険についても調べておくようにしましょう。
住宅ローンの一括返済をする方法
一括返済すると決めたら、具体的にどう行動すればいいのでしょうか。ここからは、住宅ローンを一括返済する流れを紹介します。インターネットで手続きできる場合もありますが、窓口で申し込むのがおすすめです。まずは、以下のものを準備しましょう。
- 返済に使用している口座の届出印
- 通帳もしくはキャッシュカード
- 返済予定表
- 口座番号
一括返済以外の負担を軽くする方法
住宅ローン一括返済には魅力的なメリットがあります。しかし注意点もあり、多額の資金が必要なためおすすめできない場合も多いです。
それでも、「やっぱり住宅ローンの返済負担が重くて家計管理がつらい」という方も多いことでしょう。しかし、返済を楽にする方法は一括返済だけではありません。今回は以下のように一括返済以外で負担を軽くする方法を3つ詳しく紹介します。
- 一部繰り上げ返済する
- 金利の低い住宅ローンへの借り換えをおこなう
- 全期間固定金利への借り換えをおこなう
「一括返済は資金が足りなくてできない」という方は、ぜひ参考にしてください。
方法①:一部繰り上げ返済
一部繰り上げ返済は「あまり資金に余裕はないが、少しでも残高を減らしたい」と思っている方におすすめです。最大のメリットは少ない資金でできること。繰り上げ返済の方法はそれぞれメリットが異なる以下の2種類から選んでください。
返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|
返済期間 | 短縮 | 変化なし |
毎月の返済額 | 変化なし | 短縮 |
返済期間短縮型は、毎月の返済額負担は変わらないものの、支払う利息が少なくなるので高いコストカット効果が期待できます。「返済が終わるタイミングを早くしたい」「借り入れ金額が大きい」などの場合におすすめです。
一方で、返済額軽減型は毎月支払う金額が減るため、すぐに家計を楽にできるメリットがあります。コストカット効果は返済期間短縮型に軍配があがりますが、「今の家計がぎりぎり」「浮いたお金を貯蓄や教育費にしたい」などの場合は返済負担軽減型を選びましょう。どちらの方法がいいのか、しっかりと比較検討して適切な方を選択してください。
方法②:金利の低い住宅ローンへの借り換え
「高い金利で借りてしまい、利息の支払いが負担」と感じる場合は、「住宅ローンの借り換え」を検討しましょう。現在の住宅ローンより金利の低い住宅ローンに借り換えすれば、利息を減らせる可能性があるからです。
マイナス金利政策以降、住宅ローンの金利は大きく引き下げられています。金利が高いときに借り入れしていた場合、借り換えによって100万円以上利息を減らすことも夢ではありません。
まずは借り換えシミュレーションを行いましょう。借り換えにも手数料がかかりますが、もしかしたら手数料を支払ってもプラスになるほど利息が減らせるかもしれません。
シミュレーションは簡単なので、1分あればできます。どのくらいお得になるのか知ることが最初の第一歩です。ぜひやってみてください。
方法③:全期間固定金利への借り換え
「今は低金利でも、将来金利が上がりそうで不安」という方は、全期間固定金利への借り換えがおすすめです。全期間固定金利を選べば借入期間中に金利が変動しません。そのため、毎月の返済額は一定に保てます。
しかし、途中で金利が変動しないぶん、ほとんどの場合で全期間固定金利の利率はほかの金利プランより高めです。適用金利が上がると当然支払う利息も増えるので、もしかすると、変動金利で金利が上がった場合よりも返済額が大きくなるかもしれません。損しないためにも、借り換え前後でどのくらい返済負担に差がでるのかは事前に確認してくださいね。
参考:残債ローンがある場合は一括返済と抵当権抹消をすれば売却可能
住宅ローンの返済中でもマイホームを売却できるのか気になったことはありませんか?やむを得ない事情で売却を検討することもあるでしょう。その場合、「どう行動すればいいのか」「何を準備したらいいのか」など不安がたくさんあるはずです。
実は住宅ローンを返済中でも、一括返済と抵当権抹消をすればマイホームは売却できます。しかし、抵当権を抹消しない限り、売買契約締結までしか進められません。売買契約で決められた日までに抵当権を抹消する必要がありますが、住宅ローンの一括返済が見込める場合は返済中でも売却できます。まず、売却を検討するときは、最初に住宅ローンがいくら残っているか確認しましょう。そのあとで、不動産会社に査定を依頼してください。
住宅ローン残債よりマイホームの売却査定額が上回る場合は、売却資金で一括返済できます。抵当権抹消も問題なくできるはずです。この場合、売却には一括返済手数料以外に仲介手数料などのまとまった費用が別に必要なので注意しましょう。
問題なのは、住宅ローン残積がマイホームの売却査定額を下回る場合です。売却資金を全額使ってもマイナスになり、一括返済ができないので抵当権抹消もできません。こうなると売却も不可能です。それでも売却をしたいときに使える方法は以下が考えられます。
- 不足分を自己資金で用意する
- 不足分を住み替え(買い替え)ローンで用意する
- 不足分について金融機関と合意する
まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ
ここまで、住宅ローンの一括返済についてさまざまな解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
一括返済すると、毎月の返済もなくなり、利息分もお得になりますが、住宅ローン控除など一括返済しない方がいい場合もあります。安易に支払う利息で判断せず、総合的な視点でお得なのか見極めることが重要です。お金の専門家であるFPに相談すれば、住宅ローンの返済のみではなく、家族構成、家計状況、ライフプランなどさまざまな側面から各家庭に合ったアドバイスをしてもらえます。お金に関係する悩みなら、まずは専門家に相談しましょう。
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