住宅ローンを繰り上げ返済するタイミングは?金利と控除で見極めよう

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住宅ローンの繰り上げ返済には支払利息を減らす効果があります。こちらの記事では借入金利と住宅ローン控除の兼ね合いから、繰り上げ返済でより大きな支払利息軽減効果を得られるタイミングについて解説します。繰り上げ返済時の注意点も解説しているので参考にしてください。

▼この記事を読んでほしい人
  • 住宅ローンの繰り上げ返済について知りたい人
  • 繰り上げ返済をどのタイミングですればいいか分からない人
  • 繰り上げ返済をすべきか迷っている人
  • 効果的に繰り上げ返済をしたいと思っている人

内容をまとめると

  • 住宅ローンの繰り上げ返済には「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類ある
  • 繰り上げ返済は早く行った方が、支払利息を減らす効果が大きい
  • 住宅ローン控除を受けている間は繰り上げ返済を行わない方がお得かもしれない
  • 借入金利が0.7%より低い場合は、控除期間中に繰り上げ返済をしない方がお得
  • 借入金利が0.7%より高い場合は、控除期間中でも繰り上げ返済をした方がお得
  • 繰り上げ返済は余裕資金で行う
  • 住宅ローンの悩みはマネーキャリアの無料FP相談で解決しよう!

住宅ローンの繰り上げ返済 │ 基本事項3つ


住宅ローンを借り入れている方の中には、繰り上げ返済を検討している方もいると思います。


しかし、繰り上げ返済はいつ行えばいいのか分からなかったり、返済方法がよくわからなかったりと悩んで躊躇している人も多くいます。


繰り上げ返済を行うと、まとまった額で元金を返済することができ、支払うはずであった利息を減らす効果があります。


この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済について解説していきます。


住宅ローンの繰り上げ返済の基本事項はこちらの3つです。

  1. 「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類がある
  2. 資産の余裕があるときに行う
  3. 若いうちは控除を受けている場合がほとんど!貯蓄を優先する

こちらでは、この3つの基本事項について解説していきます。 

基本①:「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類がある

住宅ローンの繰り上げ返済には「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2種類があります。


それぞれの特徴はこちらです。

  • 返済期間短縮型:月々の返済額は変わらず、返済期間が短くなる
  • 返済額軽減型:返済期間は変わらず、月々の返済額が軽減される

月々の返済である約定返済では、返済額は元金と金利の返済に充てられます。それに対し、繰り上げ返済では返済額すべてが元金の返済に充てられるため、効果的に元金を減らしていくことができます。


多くの方が選んでいる返済方法である「元利均等返済」では、返済初期であればあるほど返済額に占める金利の割合が高くなります。そのため、返済期間短縮型の方が金利を支払う期間が短縮され、支払う総金利額を減らす効果が大きくなります。


しかし、返済期間短縮型での繰り上げ返済は月々の返済額が減るわけではないので、返済期間短縮型は月々の返済負担を軽くするよりも、支払う利息金額を減らしたいという方にに向いています。


逆に、返済額軽減型は返済期間をそのままにする代わりに、月々の返済負担を軽くすることができます。支払総額の軽減効果は返済期間短縮型よりも少ないですが、支払総額を今よりも減らしつつ、月々の返済負担を減らしたいという方は返済額軽減型を選ぶことをおすすめします。


借り入れをしている金融機関に問い合わせれば、それぞれの返済タイプの試算をしてもらうことができます。ご自分の状況に合わせた返済タイプで繰り上げ返済を行うようにしましょう。

基本②:資産の余裕があるときに行う

繰り上げ返済の最も大きなデメリットは、繰り上げ返済を行うことで手元の資金が一時的に減少してしまうことです。


長い目で見れば支払総額を減らすことができますが、短期的には手元の資金は減ってしまいます。


特に返済期間短縮型の場合、月々の返済額は変わらないため注意が必要です。


返済期間短縮型での繰り上げ返済直後に不測の事態が起きてしまうと、手元の資金が少ないのに支出額は変わず、資金繰りが難しくなる可能性があります。


そのため、繰り上げ返済は資産に余裕がある時に行うことが大切です。


一般的に生活防衛資金として、3ヶ月~半年分の生活費を賄える資金を備えておくと安心だと言われています。


住宅ローンを借りている人は団体信用生命保険に入っているケースがほとんどです。保障内容によりますが、被保険者が働けなくなったり、亡くなってしまった場合は住宅ローンの残高が保険金によって相殺されて残高が0円となります。


団信でのリスク対策や家族のライフイベントを踏まえ、無理はせず、生活防衛資金を備えた上で余裕資金を繰り上げ返済に充てるようにしましょう。

基本③:若いうちは控除を受けている場合がほとんど!貯蓄を優先する

住宅ローンを借り入れている方の多くは、住宅ローン控除を活用しているかと思います。


住宅ローン控除は借り入れから13年間、住宅ローン残高の0.7%の額を所得税の税額控除として受けることができる制度です。


住宅ローン控除額が所得税額よりも高く、所得税から控除しきれなかった場合は住民税から控除されます。しかし、住民税からの控除額には上限があるので注意が必要です。


住宅ローン控除は住宅ローン残高によって控除額が決まるため、控除を受けている期間中に繰り上げ返済を行うと、住宅ローン残高が減り、控除額が減ってしまいます。


そのため、住宅ローン控除を受けている間は繰り上げ返済は行わず貯蓄を優先し、控除期間が終わった後に繰り上げ返済を行うことをおすすめします。


しかし、借入金利によっては控除期間中でも繰り上げ返済を優先した方が良い場合があります。これについては後程解説します。

住宅ローン借り上げ返済はタイミングが重要!ポイント6つ


住宅ローンの繰り上げ返済は行うタイミングが大切です。


こちらでは繰り上げ返済を行うタイミングについて、6つのポイントを解説します。

  1. 金利が1%未満なら、減税が終わるまで待つべき
  2. 金利が1%以上なら、減税中でも繰り上げ返済を検討しよう
  3. 繰り上げ返済は基本的には早く始めたほうがお得
  4. 保証料が戻ってくる場合がケースもある
  5. 12月より1月から始めた方がお得な可能性がある
  6. 変動金利の場合は利息が高いときが効果的

せっかく繰り上げ返済を行うのであればしっかりタイミングを見極め、より効果的に繰り上げ返済を行いたいものです。


こちらの6つのポイントを参考にし、自分の状況に合わせてより良いタイミングで繰り上げ返済をしましょう。

ポイント①:金利が1%未満なら、減税が終わるまで待つべき

ここ20年以上、日本では住宅ローンの超低金利時代が続いています。


変動商品の借入金利は0.5%以下の商品も多くあり、ここ数年では0.3%を切る商品も販売されています。


このような超低金利の商品で借り入れをしている場合は特に、住宅ローン控除をしっかり満額で受けることをおすすめします。


住宅ローン控除は住宅ローン残高×0.7%の金額が所得税から控除されます。0.7%より低い金利で借り入れをしている場合、繰り上げ返済をして軽減される支払い利息よりも、控除額の方が大きくなるからです。


繰り上げ返済できる資金が手元にあったとしても少し待って、住宅ローン控除期間が終わってから繰り上げ返済をした方が、「繰り上げ返済の利息軽減効果」「住宅ローン控除」双方の恩恵をしっかり受けることができるのでおすすめです。

ポイント②:金利が1%以上なら、減税中でも繰り上げ返済を検討しよう

上記で、借入金利が0.7%未満の場合は住宅ローン控除期間が終わるまで繰り上げ返済を待つことをおすすめしました。


逆に、借入金利が0.7%以上の場合は、住宅ローン控除期間内でも繰り上げ返済できる資金が手元にあるのであれば、繰り上げ返済をおすすめします。


変動金利は0.5%を切る商品も多く販売されていますが、固定期間選択型や全期間固定金利型商品は0.7%を超える金利商品がほとんどです。


借入金利が0.7%を超える場合、住宅ローン控除で減税される額よりも支払利息の方が多いため、住宅ローン控除よりも繰り上げ返済の方が支払利息を減らす効果が大きくなります。


繰り上げ返済を行う時は、住宅ローン控除の期間中なのか、借入金利は何%なのかを確認してから行うようにしましょう。

ポイント③:繰り上げ返済は基本的には早く始めたほうがお得

繰り上げ返済は基本的に、早く行った方が支払利息を減らす効果が大きくなります。


住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」「元金均等返済」の2種類があり、借入時にどちらかを選択します。しかし、最近では元金均等返済を選択できない金融機関もあり、特に要望をしない限り、返済方法は元利均等返済になることが多いです。


元利均等返済では、返済初期は返済額のうちに占める利息の割合がとても高くなっています。そのため、早い時期に繰り上げ返済を行うと、利息の割合が高い時期の元金を減らすことができるので、支払利息を減らす効果が大きくなります。


元金均等返済は元金を均等に返済し、利息がそこに上乗せされる返済方法です。返済初期はローン残高が多く利息も大きくなるため、返済額が返済初期ほど高く、返済を続ければ続けるほど返済額が減っていくのが特徴です。


元金均等返済でも早い時期に繰り上げ返済を行うことで、利息が高い時期の元金をまとめて返済できるため、支払利息額を減らす効果が大きくなります。


繰り上げ返済を行うタイミングは、住宅ローン控除の兼ね合いもありますが、基本的には早い方がより効果が大きくなります。

ポイント④:保証料が戻ってくる場合がケースもある

住宅ローンを組む時、保証料を支払うケースが多くあります。


住宅ローンにおける保証料は、金融機関が貸し倒れのリスクに備えるため、提携している保証会社に対して支払うものです。近年、保証料不要の住宅ローン商品も増えていますが、大手銀行や地方銀行など多くの金融機関で採用されています。


ローン契約者が保証料を支払う方法

  • 外枠方式:ローン契約時に一括で支払う。(借入金額×2%が相場)
  • 内枠方式:毎月の返済に上乗せをして支払う。(借入金利+0.2%が相場)

の2種類です。上記の相場はあくまで目安なので、借り入れをする金融機関に確認しましょう。


この保証料ですが、

  • 外枠方式で契約時に保証料を一括で支払った
  • 返済期間短縮型で一部繰り上げ返済または全額繰り上げ返済を行った

この条件に当てはまる場合は、保証料が戻ってくる場合があります。


外枠方式では、契約時に返済期間の保証料を一括で支払っています。全額繰り上げ返済を行い、保証が必要な期間が短くなることで不要となった保証料が返金されると考えられるからです。


しかし、返済期間・元金の金額・繰り上げ返済の実行時期などによっては保証料が戻ってこないこともあります、また、保証料の返金には手数料が必要な場合もあるので、金融機関に確認しましょう。

ポイント⑤:12月より1月から始めた方がお得な可能性がある

住宅ローン控除期間中に繰り上げ返済を行う場合、12月よりも年が明けた1月に行った方がお得な可能性があります。


住宅ローン控除は年末時点の住宅ローン残高によって控除額が決まります。


12月に繰り上げ返済を行うと年末の住宅ローン残高が減ってしまうため、受けられる控除額が大きく減ってしまうことになります。


繰り上げ返済額や残高、借入金利などにもよりますが、 返済時期が1ヶ月遅れても、年明けの1月に返済する方が控除額などを含めて、有利になる可能性が高いと言えます。


しかし、大きな金額を繰り上げ返済し、当初の返済開始時からの返済期間が10年よりも短くなる場合、住宅ローン控除を受けられなくなるので注意しましょう。


また、住宅ローン控除に必要な住宅ローン残高証明書は毎年10月ごろに発送する金融機関が多くなっています。そのため、年末までに繰り上げ返済を行うと年末時の住宅ローン残高が変わってくるため、住宅ローン残高証明書の再発行が必要になるということを覚えておきましょう。

ポイント⑥:変動金利の場合は利息が高いときが効果的

繰り上げ返済を行うタイミングのポイントとして、変動金利で借り入れをしている場合は金利が高い時期に行うのが、より効果的です。


そもそも金利が低い時期は、借入している元金にかかる利息額も低く、繰り上げ返済を行っても「トータルの支払利息額を減らすことができる」と言う効果が薄くなります。


金利が低い時期は無理に繰り上げ返済をせず、手元にまとまったお金を置いてリスク回避をする方が良いと言えます。


逆に、金利が高くなってきた場合は繰り上げ返済を行うタイミングと言えます。


金利が上がってくると支払う利息額も増えるため、繰り上げ返済を行うことで利息を減らす効果が大きくなります。


上記でも説明したように、余裕資金で繰り上げ返済をすることが大前提ですが、金利が高くなり、手元にまとまった余裕資金がある場合は繰り上げ返済を行うのも良いと言えます。

繰り上げ返済するときの注意点3つ


タイミングや借入金利等を確認した上で、繰り上げ返済を行うことを決めた場合には、こちらの3点に注意しましょう。

  1. 金融機関や住宅ローンの商品によって条件が違う
  2. 手数料がかかる
  3. 住宅ローンの期間が10年を下回らないように注意!

住宅ローンの繰り上げ返済は条件手数料等、金融機関によって大きく変わります。


せっかく繰り上げ返済をするのに、手数料等に大きな金額を取られてしまってはもったいないですね。これから説明するポイントを金融機関に確認し、無駄なく、より効果的に繰り上げ返済をしましょう。

注意点①:金融機関や住宅ローンの商品によって条件が違う

繰り上げ返済の条件は、金融機関住宅ローン商品によって異なります。


条件とは

  • 最低返済額
  • 返済可能額(上限や単位)
  • 返済方法(振込・口座引落など)
  • 手続き方法(窓口・電話・インターネットなど)
  • 保証料の扱い

などです。


金融機関によっては1万円から繰り上げ返済できるところもあれば、最低でも10万円は必要と言うところもあります。返済額の上限を設けている金融機関もあるので、繰り上げ返済額を決めるためにもしっかり確認しましょう。


返済方法は振込や、住宅ローンの返済と同時に上乗せで引き落としされる方法があります。


手続き方法は、最近ではインターネットでの申し込みが主流となっています。もちろん窓口や電話での申し込みも可能ですが、全額繰上返済は電話での申し込みは不可など、条件を設けている金融機関もあるので注意が必要です。


保証料については上記で解説した通りです。


期間短縮型での繰り上げ返済や全額繰上返済の場合、返金の可能性もあります。返金に手数料がかかり、差し引いた額で返金されるという金融機関もありますので、事前にどのような手続きが必要で、いくら返金されるのかなどをしっかり確認しましょう。

注意点②:手数料がかかる

最近では「繰り上げ返済手数料無料」と言う金融機関も増えていますが、手数料が必要な金融機関もあります。


例えば、三菱UFJ銀行の住宅ローンの一部繰り上げ返済手数料と期間前完済(全額繰り上げ返済)手数料はこちらです。

一部繰り上げ返済期間前完済
インターネット無料16,500円
テレビ窓口5,500円22,000円
窓口16,500円33,000円

三菱UFJ銀行では申し込み方法によって必要な手数料が変わります。テレビ窓口は銀行の支店のATMコーナーやロビーに設けられたブースで、画面越しにオペレーターと話しながら手続きをすることができます。


その場で申込書がプリントアウト出来たり、身分証明書をスキャンできるなど、スムーズな取引ができるようになっています。


他の金融機関でも申し込み方法で手数料が変わるところも多いです。


条件によってはこれらの手数料のほかに、印紙代などが必要な場合もあります。手数料や印紙代は決して小さくない額なので、事前にしっかり確認しましょう。


また、窓口やテレビ窓口、電話での申し込みは受付時間に制限があります。受付をしてから繰り上げ返済が行われるまで時間がかかる場合もあるので、自分に合った手続き方法で手数料を抑えつつスムーズに手続きができるといいですね。

注意点③:住宅ローンの期間が10年を下回らないように注意!

住宅ローン控除を利用している人は、繰り上げ返済後の返済期間にも注意しましょう。


返済期間短縮型で繰り上げ返済を行った場合、返済期間が短くなります。返済期間が短くなり、トータルの返済期間が10年未満になってしまうと住宅ローン控除を適用できなくなってしまいます。


繰り上げ返済を行って返済期間が短くなった時点から住宅ローン控除を受けられなくなってしまうため、返済期間短縮型での繰り上げ返済を考えている方は注意しましょう。


また、土地と建物を別々に2つのローンを組んでいる場合も注意が必要です。


建物分のローンを繰り上げ返済して借入期間10年未満となってしまうと、建物分のローンは住宅ローン控除を受けられなくなります。


さらに、住宅ローン控除は借入期間10年以上の「建物」に対する住宅ローンがあることが大前提となっているため、このような場合、土地分のローンも住宅ローン控除を受けられなくなってしまうのです。


もし土地と建物で別々にローンを組んでいる場合、繰り上げ返済の試算はより慎重に行うようにしましょう。

まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ


こちらの記事では、住宅ローンの繰り上げ返済について解説をしました。


繰り上げ返済では効率的に元金残高を減らすことができるため、トータルで支払う利息を軽減する効果があります。


しかし、住宅ローン控除との兼ね合いで借入金利や借入期間の状況によっては、支払利息を減らす効果が薄まってしまうケースがあるので注意が必要です。


住宅ローンの繰り上げ返済は、住宅ローン控除額と利息軽減額の兼ね合いを見て行うタイミングを決めましょう。


住宅ローンや節税について、自分で調べて試算するのはとても大変ですよね。


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