住宅ローン減税0.7%はいつから?対象者は?変動金利の相場も解説

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本年度は住宅ローン控除の大改正が行われた年です。控除率が0.7%に変わっただけではなく、控除期間、適用物件も変更になっております。改正の背景となっている「逆ザヤ問題」から、現在の変動金利相場まで、詳細にご説明いたします。住宅ローンをこれから利用される方は必見です!

▼この記事を読んでほしい人
  • 2022年度の住宅ローン控除の税制改正を知りたい方
  • 住宅ローン控除の「逆ザヤ」問題について知りたい方
  • これから不動産を購入し、住宅ローンを利用しようと思っている方
  • 現在の最新の金利動向を知りたい方
  • 住宅ローン控除の優遇をより多く受けたい方

内容をまとめると

  • 今年は住宅ローン控除の大幅な税制改正あり
  • 既に控除を受けている人には影響なし
  • 今年は住宅ローン控除が1%から0.7%に縮小
  • 控除率と実際の金利との差が逆ザヤ問題
  • 最近の変動金利は史上最安金利
  • 改正ポイントは「控除制度の延長」「控除率の引き下げ」「控除期間の延長」
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【いつから】住宅ローン減税の変化とは?既に借りている人への影響は?


2021年の年末前から議論が続いてきた住宅ローン減税ですが、今年度改正が決まりました。今年度は大幅な見直しとなっており、消費者及び不動産会社に大きな影響が出ることが予想されます。


控除額の計算方法や控除期間の決まり方、借入限度額などが変更されたことで、昨年度までとは所得税や住民税の軽減効果に違いがあります。


本記事では、2022年に改正された住宅ローン控除の変更点や知っておきたいポイントについて解説します。

①2022年から住宅ローン控除率が1%→0.7%に縮小される


2022年からの住宅ローン控除率は、昨年度の1%から0.7%に縮小されました。この住宅ローン控除率とは、年末時点の借入残高に対して乗じて計算されます。そのため、改正前1.0%と比べると0.7%に変更になったということは控除率は引き下げられたといえます。


また、住宅ローンの控除額は、所得税と住民税より控除されるのですが、本年度の改正により、住民税から控除される金額の上限も変更されました。これまでは「所得税の課税所得の7%」または「136,500円」が上限でしたが、改正後は「所得税の課税所得の5%」または「97,500円」へと減額されています。


なお、改正後の控除期間も「10年または13年」である点に変更はありませんが、購入する住宅の種類に応じて決まります。

②既に借りている人への影響はない

本年度の税制改正自体は2022年4月施行されましたが、住宅ローン控除については2022年1月から遡って適用されます。そのため、改正後の住宅ローン控除が適用されるのは、2022年1月以降に不動産を購入し、新たに制度の申請をした人になります。 


すでに不動産を購入し、住宅ローン控除を受けている人は、遡って0.7%の控除率が摘要されることはありません。購入した年の住宅ローン控除制度が摘要されますので、ご安心ください。

【分かりやすく解説】そもそも住宅ローン控除って?


住宅ローン控除とは、住宅ローンによる金利負担を軽減するために作られた制度です。税制優遇の中でもとても大きく、給与所得者であるサラリーマンでも受けることができる最大の税制優遇です。


控除額については、年末時点のローン残高収入額に応じて認められており、申請には確定申告が必要になります。給与所得者の場合は、2年目以降は確定申告ではなく年末調整でも控除を受けることができます。


ここでは住宅ローンについて、本年度の税制改正を踏まえて、分かりやすく解説いたします。

年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除する制度

住宅ローン減税とは、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税及び住民税から、最大13年間(売主が個人の中古住宅(既存住宅)を購入した場合は10年)にわたって控除する制度です。


たとえば新築住宅を購入して年末の住宅ローン残高が3,000万円ある場合、3,000万円の0.7%にあたる21万円が税額控除されます。新築住宅の場合は、控除期間は13年ですから、合計控除額は273万円(21万円×13年間)となります。


この控除の借入額上限は購入する物件及び入所時期により異なります。新築住宅・買取再販の住宅の借入限度額は次のようになります。

2022~2023年に入居2024~2025年に入居
認定住宅5,000万円4,500万円
ZEH住宅
4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅3,000万円0円(※)
※2023年までに新築の建築確認がされていた場合は2,000万円


個人が売主の不動産を購入した場合は、次のように環境性能に応じて控除限度額が変わります。

2022〜2025年に入居
認定住宅3,000万円
ZEH住宅3,000万円
省エネ基準適合住宅3,000万円
その他の住宅2,000万円

金利よりも控除率が高い「逆ザヤ」とは?


政府与党がこの度控除率を0.7%に引き下げる税制改正をおこなった背景には、住宅ローンを借りることによって実質的に利益が生じる「逆ザヤ」の状態が問題視されたことでした。


住宅ローン控除は年末のローン残債の額によって、受けれる控除の額が変わります。そのため、住宅取得を促す目的で作られた住宅ローン控除制度が、多額のローンを組める人ほど減税の効果が高くなり、高収入者ほど恩恵が受けやすい、という状態なのです。


ここでは「逆ザヤ」についてのご説明と、近年の住宅ローン金利の動向について合わせてご説明したいと思います。

住宅ローンの支払利息より還付される税金が多くなる現象

逆ザヤとは、実際に支払っている金利より住宅ローン控除の還付が多くなる現象のことをいいます。実際の適用金利が控除を下回っているので、一定額までは借入を起こした方が得になる仕組みなのです。


例えば、4,000万円の住宅ローンを金利年0.7%で借りた場合の、簡易的金利支払い分の計算をします。

4,000万円×0.7%=28万円(金利支払い分)

一方で、住宅ローン控除による所得税の還付額は次のようになります。

4,000万円×1%=40万円(税還付額)

そのため、

税還付額40万円-住宅ローン金利支払い分28万円=12万円

となり、実際支払った金利より年間12万円多く税金が返ってくることになります。

住宅ローン控除が設けられた主旨としては、金利の負担分を削減するためでしたが、一部の人にとっては利益になっているのです。


この問題を解消するために控除率を1.0%から0.7%に引き下げる税制改正を行ったのです。

近年の金利低下が影響している

この現象が逆ザヤが生まれた背景には、現在の住宅ローンの低金利があります。


住宅ローンの金利が下がると、住宅ローン控除との差が生まれやすくなります。近年の住宅ローンは過去最大の金利優遇幅となっており、適用金利は多くが1%を切っております。特に変動金利では、0.3%台という住宅ローンもあります。そのため、2021年の調査によると住宅ローン利用者の約7割が、変動金利を利用しております。

住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査


多くの方がより安い金利の住宅ローンを選ぶことにより、より逆ザヤの問題が広がっていったのです。そして、控除率を0.7%に変更したとしても、まだ逆ザヤの問題は解決していません。

【2022年】あなた借入金融機関の金利は高い?金利の相場


住宅ローンの金利タイプは代表は「変動金利」「期間固定金利」「全期間固定」です。一般的に借り入れる際の金利が一番低いのは変動金利です。


住宅金融支援機構がまとめた「民間金融機関の住宅ローン金利推移」によると、変動金利の基準はここ20年大きく変動しておりません


しかし実際の借入時に適用される金利は、基準金利から優遇金利が適用されます。優遇金利というのはいわば金利の値引きなのです。近年いわれている低金利とは、この優遇金利の幅が年々大きくなって来ており、実際の適用金利が下がっているためです。

現在は約0.375%からと超低金利

最近の変動金利は優遇幅が広がり、過去最も安い金利が適用されています。


金利が下がった理由の一つとして、ネット銀行の台頭があります。ネット銀行は実店舗を置かず、ネットだけで手続きが完了し、住宅ローンのサービス効率化を行いました。そのため、メガバンクを含むこれまでの金融機関を巻き込み、サービスの競争に拍車をかけ、より低金利な住宅ローンを提供されるようになったのです。


2022年5月現在の主な変動金利は次にようになります。  

金融機関名金利
みずほ銀行年0.375%
三井住友銀行年0.475%
三菱UFJ銀行年0.475%
りそな銀行年0.470%
イオン銀行年0.520%
新生銀行年0.450%
  SBIマネープラザ  年0.390%
横浜銀行年0.385%
上記の一覧は金融機関の一部です。住宅ローンの適用条件及び諸費用などは、各金融機関ホームページなどでご確認ください。

【いつからいつまで?】2022年住宅ローン控除改正で変化したこと


ここでは2022年度の住宅ローン控除の税改正について詳しくご説明いたします。


住宅ローン控除は税制優遇の中でももっとも効果が大きいものの一つです。そのため、不動産業界でも、住宅ローンの税制改正は販売に大きく影響する、といわれています。給与所得者にとっても数少ない税制優遇ですので、効果的に使いたいものです。


これから住宅ローンを組んで不動産の購入を検討している方は、ぜひ本記事を読んで参考にしてみてください。

①住宅ローン控除制度の延長

今年度の税改正で住宅ローン控除の制度自体が4年間期間延長され、令和7年(2025年)までの適用となりました。

住宅ローン控除は、経済対策の一環として行われてきました。国民の住宅取得を促すことにより、建物の建設はもちろん、家具や家電、自動車など生活必需品の需要を喚起し、経済を活性化します。不動産・住宅産業は日本の経済を支えている大きな要素なのです。

そのため、住宅ローン控除は今まで何度か延長されてきましたが、令和7年以降もなにかしらの住宅ローンに絡めた税制優遇を実施することが予想されています。

②住宅ローン控除率の0.7%への引き下げ

本年度の税改正で、特に大きな印象を与えたのは、この控除率0.7%への引き下げではないでしょうか。


2021年度までが1%だったところが0.7%となったのです。この控除率は購入する不動産に関わらず共通となっています。控除額は年末の住宅ローン残高×控除率で決まります。(還付額は納めた所得税・住民税の額により決まります)


つまり、去年度まで住宅ローン残高の1%分(上限有り)まで控除額となっていたのが、0.7%までとなってしまったのです。そのため、今回の税改正は税優遇の改悪といわれています。

③控除期間の延長

新築住宅、買取再販(不動産会社などが買い取った中古住宅をリフォームなどをして販売している物件)の住宅は控除期間13年延長されることになりました。


ここで注意したいのが、一般の売主などから中古住宅を購入した場合は、控除期間は10年ということです。


そもそも昨年度の時点で、住宅ローン控除期間が10年から13年に延長されたのは、2019年の消費増税の影響を緩和するためでした。その流れを受けて、今年度も13年の控除期間が延長されたのですが、その対象は消費課税業者(不動産会社)から購入した場合に限定されています。一般の個人間での取引では消費税は課税されないため、消費増税の影響は出てい

]ないと判断され、控除期間は延長されず10年のままでした。

④対象上限額の変更

住宅ローン控除には控除が適用される上限額が決められています。この上限を超えた金額に控除は適用されません。

この借入上限額は購入する物件によって異なります。新築住宅・買取再販は次のようになります。
~2021年2022・2023年
認定住宅5,000万円5,000万円
ZEH4,000万円4,500万円
省エネ基準4,000万円4,000万円
その他住宅4,000万円3,000万円
個人間での売買で中古物件を購入した場合の借入上限額は、2021年以前より変わっておりません。
    ~2025年      
認定住宅(※)3,000万円
その他住宅2,000万円
(※)2022年以降はZEH、省エネ基準を含む
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【控除期間10年・13年共通】住宅ローン控除の対象になる人


住宅ローン控除を受けるにはいくつかの条件があります。この適用条件は大きく分けて、利用する人と、購入する物件により分かれます。


ここでは適用条件の主なものをご紹介いたします。なお、本年度の税制改正では控除率が0.7%に引き下げになったことがフォーカスされていますが、本年度より一部条件が変更になっておりますので、注意が必要です。住宅ローン控除が受けれるか否かは税制優遇に直結するので、将来大きな差が出ます。ご自身及び購入物件が住宅ローンの対象かを確認してから、購入を検討すると良いでしょう。

①年の合計所得が2,000万円以下

本年度より合計所得金額の上限の制限が、3,000万円以下から2,000万円以下に変更になりました。 合計所得金額とは、給与所得(給与所得控除後の金額)、不動産所得譲渡所得、雑所得などを指します。


合計所得が2,000万円を超えた場合は、その年は減税を受けられませんが、超えていない年は受けることができます。なお、株式などの配当や売買益を特定口座源泉徴収あり口座で申告不要にしている場合にはその所得は算入されません。

②住宅ローンが返済期間10年以上

住宅ローンの返済期間が、10年以上ない場合には住宅ローン控除は適用を受けることができません。また、適用を受けている間でも、繰上返済などで、当初の契約の最初に返済した月から最終の返済月までの期間が10年未満なった時点で適用が受けられなくなりますので、注意が必要です。


住宅ローン控除はローン残債に控除率を乗じた金額が、控除額になりますので、早い段階での繰り上げ返済は損になってしまう場合がありますので、ご注意ください。

③住宅の床面積が40㎡以上

去年までの住宅ローン控除の適用要件では、床面積が50㎡以上であることが条件となっていましたが、本年度より合計所得金金額が1,000万円以下の人に限り40㎡以上に緩和されています。


今まで対象外だった50㎡未満のコンパクトなマンションも住宅ローン控除の対象となったことにより、シングルDINKSの人たちにとって購入の後押しになるでしょう。なお、住宅ローン控除には、自己の居住用という要件がありますので、投資用マンションなどには使えません。

④床面積の2分の1以上が自身の居住用

住宅ローン控除を受けるためには、建物の床面積の2分の1以上が自己の居住用となることが必要です。そのため、例えば店舗兼住宅で、床面積の2分の1以上が店舗である場合は、住宅ローン控除の対象外となります。


なお控除対象額ですが、ローン残高を事業用部分と居住用部分で分けます。例えばローン残債が3,000万円で、2分の1が居住用で、2分の1が店舗(事業用)だった場合、住宅ローン控除は1,500万円分のみ控除適用になります。

⑤自分が住むための住宅取得借り入れ

住宅ローン控除は自分が住むために借りた住宅ローンでしか、対象になりません。そのため、親や兄弟のためにローンを組んだとしても、住宅ローン控除は受けることができません。


なお、セカンドハウスのように自宅を2つ以上所有する場合は、主に居住している1つの住宅分の借入金のみ住宅ローン控除の対象となります。


さらに、贈与で取得した住宅や生計を一とする親族などからの取得の場合は、住宅ローン控除となりませんので、注意が必要です。

【さらにお得】住宅ローン控除期間13年の対象になる人


住宅ローン控除を受けれる期間は10年と13年があります。ここでは13年間控除が対象になる人をご紹介したいと思います。


対象になるポイントは「誰から購入するか」と「入居時期」の2つです。控除の期間が3年延長されることにより、最大で100万円近く差が出てることがあります。


購入物件を選ぶ際には、この住宅ローン控除の適用期間も念頭に入れておくと良いでしょう。なお、土地のみの購入の場合は、住宅ローン控除自体が対象となりません。

①新築住宅・買取再販を購入した人

住宅ローン控除は昨年の時点で一部13年に延長されていました。延長された理由は、2019年の消費税が増税された際に、消費の落ち込みを避けるための措置でした。不動産減税は、家具や家電などの商品販売や、引っ越しや測量など付随するサービスなど多くに波及し、経済効果は大きなものです。


今回はその効果を引き続かせるために、控除期間の13年が再延長されました。そのため、13年に延長されるのは消費課税業者(不動産会社)から購入した不動産のみとなります。消費税が課税さえない個人間での取引では控除期間は10年となります。


購入相手(売主)によって適用される控除期間が変わりますので、注意が必要です。もしすでに購入してしまっていて、売主が消費税課税業者か分からない場合は、売買契約書の中に消費税額の記載がされているかどうかを確認すると良いでしょう。記載されていれば消費税課税業者です。

②2022年~2025年末までに入居した人

次に売買契約後の入居日も適用される控除期間に影響が出ます。2025年末までに入居するのが控除期間13年にする要件となります。


また、認定住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅)およびZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、省エネ住宅以外の住宅で、2024年1月1日以降の住宅を購入した場合、たとえ売主が不動産業者だとしても、住宅ローン控除が適用されません。(2023年末までに建築確認を取得した建物は控除期間は10年)


上記売主と入居時期の2点の条件が合う方が、13年控除の対象となります。しかし、そもそもの住宅ローン控除の適用を受けるには、その他にも多くの条件がありますので、そちらも購入前に必ず確認をしてください。

まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ!


今年は住宅ローン控除率が1%から0.7%に見直されるなど大きな改正があった年になります。また、少しうがった見方をしますと、より住宅ローン控除が複雑になったともいえます。単純に控除率が0.7%に下がっただけではなく、適用期間や合計所得の制限も変更されています。不動産営業マンの中には古い情報を基に住宅ローン控除についてご説明をされる方がいらっしゃるかもしれません。


お伝えしたように住宅ローン控除は買主が自身で確定申告をすることにより、適用される制度です。そのため、誤った情報を基に判断をしてしますと、購入後、ローン控除が適用されない、などのトラブルに巻き込まる可能性があります。


そんなトラブルを避けるためにも専門知識を有したファイナンシャルプランナーがいるマネーキャリアの無料相談をご利用することをおすめいたします。ご連絡は下記ボタンから承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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