更新日:2022/06/29
倉庫・倉庫の商品は火災保険で補償される?火災保険の補償内容とは
倉庫・倉庫の商品の被害は火災保険で補償されます。また、火災による工場や事務所(会社)、賃貸契約を結ぶ店舗の被害も火災保険の補償対象ですが、店舗保険(店舗総合保険)や地震保険など他の保険でも補償されることがあります。今回は、火災保険の補償内容と火災保険料の見積もり相場を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 倉庫の商品は火災保険で補償される?火災保険の補償内容とは
- 倉庫・倉庫内の商品も火災保険の補償対象|補償内容も確認
- 火災保険の補償内容
- 参考:事務所・店舗・工場も火災保険で補償される
- 倉庫の被害で火災保険を活用した事例
- 倉庫被害における火災保険の必要性とは
- 賃貸で倉庫・店舗を「貸す人」の火災保険は「建物への備え」が必要
- 賃貸で倉庫・店舗を「借りる人」の火災保険は「家財への備え」が必要
- 火災保険以外で倉庫被害を補償してくれる保険・特約はある?
- 店舗保険・店舗総合保険とは
- 賃貸借契約している人向けの特約
- 倉庫被害で火災保険の保険金はいくらもらえる?
- 火災保険料の相場はいくら?保険料を見積もりしよう
- A社にて見積もり
- B社にて見積もり
- まずは気軽に見積もりをしてみよう
- まとめ:倉庫・倉庫の商品の被害を火災保険で補償しよう
目次
倉庫の商品は火災保険で補償される?火災保険の補償内容とは
火災保険と聞くと、個人の住宅に対して加入するイメージがあると思いますが、法人向けの火災保険もあります。 賃貸の倉庫物件・店舗にはこのような法人向けの火災保険を利用します。
この法人向けの火災保険の場合、倉庫内の在庫や商品は補償の対象になるのか、知っていますか?
火事の際には、本体のビルや店舗だけでなく、倉庫やその中の商品にも損害が及ぶリスクがあります。
倉庫内の在庫や商品の損害により自社だけでなく、場合によってはオーナーや顧客等に対して膨大な補償の責任が発生することが考えられます。
この記事では、
- 火災保険は、火災だけでなくその他の自然災害や事故などの損害も補償
- 火災保険の対象は、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3タイプ
- オーナーは「建物」を、テナントは「家財」を対象とした火災保険に加入する必要がある
- 火災保険以外にも、「盗難保険」「地震保険」「店舗保険」などで倉庫の補償をカバーできる
倉庫・倉庫内の商品も火災保険の補償対象|補償内容も確認
結論からいうと、倉庫そのもの、倉庫内の商品、ともに火災保険の補償の対象となりえます。
火災保険の対象には、
- 建物のみ
- 家財のみ
- 建物+家財の両方
の3種類があり、必要に応じて対象を選びます。
建物は、建物本体やそれに付随する門扉や車庫、倉庫も補償の対象となります。 建物のみの場合は、中にある家財(商品や設備など)は対象となりません。
倉庫およびその中の商品まで補償の対象とするには、建物+家財を補償の対象としておかなければなりません。
注意が必要なのは、自動車は家財ではないため補償の対象外となることです。 自動車の補償には、自動車保険の補償の確認が必要です。
火災保険の補償内容
火災保険は火災のリスクだけでなく、その他の自然災害のリスク、事故等のリスクが対象となります。
補償の内容は以下のとおりです。
火災のリスク
火災:火災による損害を補償
自然災害のリスク
落雷:落雷によるの損害を補償
風災・雹災・雪災:台風や竜巻、雪、雹などによる損害を補償
水災:台風や集中豪雨、河川の氾濫などによる損害を補償
事故等のリスク
水漏れ:給排水設備の故障などによる水濡れの損害を補償
破裂・爆発:破裂やガス漏れなどの爆発による損害を補償
盗難:盗取・損傷・汚損による損害を補償
騒擾などによる暴力行為:集団行動の破壊・暴力行為による損害を補償
物体の落下・飛来・衝突:外部から物体が落下・飛来・衝突による損害を補償
参考:事務所・店舗・工場も火災保険で補償される
上の「倉庫・倉庫の商品も火災保険の補償対象」のところで、倉庫は建物本体やそれに付随する設備であるため、補償の対象であると述べました。
同様に、事務所、店舗、工場も建物本体、またはそれに付随するものであるため、補償の対象となります。
それらの中に保管してある物も補償の対象とする場合は、建物+家財を対象にしておかなければならないことも前述したとおりです。
事務所や店舗の補償の一例として、「近年のゲリラ豪雨などの大雨で床下浸水などの被害にあったが、火災保険で損害を最小限に食い止められた」などの例があります。
また、工場の例としては、「引火性の高い原材料が保管されており、それらがなんらかの衝撃で引火して火災が発生したが、火災保険で補償された」という例もあります。
この工場の例のように、建物+家財の火災保険に加入していれば、工場そのものに加えて原材料の損害の補償もカバーすることができます。
倉庫の被害で火災保険を活用した事例
上でご紹介した事務所や店舗、工場などの他に、倉庫の被害で火災保険を活用して被害を最小限にした例も見ていきましょう。
【冷凍設備故障の例】
倉庫内の冷凍設備の老朽化により、冷凍庫の機能が休止。
それにより倉庫内の冷蔵保存が必要な原材料のほとんどが使用不能になってしまった。
しかし、火災保険により、冷凍庫および原材料の損害の両方を補償してもらえた。
【在庫管理システム破損の例】
倉庫の中の在庫管理システムの一部が破損。
在庫や発注、発送の管理ができなくなり、損害が発生した。
しかし、在庫管理システムの復旧費用が火災保険で賄われたため、最短で復旧し、顧客への商品の発送の遅れを最小限に食い止めることができた。
このように、一見火災保険では補償の対象とならないような設備の被害でも、家財を補償の対象とすることで、火災保険で補償されるのです。
倉庫被害における火災保険の必要性とは
上で、事務所や店舗、工場、倉庫などの火災保険の補償の例をご紹介しましたが、土地・建物は別のオーナーが所有して、実際に営業しているのはその建物を賃貸しているテナントの場合があります。
事務所や店舗、工場、倉庫などの火災保険の場合、オーナーは建物を補償の対象とした火災保険に入り、テナントは建物の中の家財を補償の対象とした火災保険に加入します。
しかし、実際には、建物の火災保険に加入していないオーナーも多いようなのです。
火災などの自然災害、その他の事故などで損害があった場合でも、もし火災保険に加入していなければ甚大な被害を被ってしまうことになりかねません。
また、テナントに関しても、家財に関する火災保険に加入していいなければ、大きなリスクを負うことにつながります。
以下で、それぞれの具体的な必要性について見ていきましょう。
賃貸で倉庫・店舗を「貸す人」の火災保険は「建物への備え」が必要
倉庫物件・店舗を貸すオーナーの中には火災保険に加入していない方も多くみられると前述しましたが、これは非常にリスクが高いです。
自然災害などで建物に損害が発生し、テナントとの契約の目的、例えば店舗の営業などに支障が出る場合は、オーナーはその修繕費を負担しなければなりません。
しかしながら、自然災害などによる建物の損傷は往々にして重大なものが多く、その修繕費用はかなりの高額に及ぶことがほとんどです。
また、仮にその建物の損傷により、テナントに危険や損害がおよぶ場合も考えられるため、修繕も急ぐ必要があります。
このような場合、高額な費用を個人で負担することは非常に難しいことは明らかです。
いつなんどきにあるかわからないリスクにこそ、オーナーの方は火災保険で備えておく必要があるのです。
賃貸で倉庫・店舗を「借りる人」の火災保険は「家財への備え」が必要
借りる側のテナントの火災保険への加入も重要です。
テナントの加入すべき火災保険の対象は、家財、つまり、商品や設備などになります。
商品や設備は建物の中にあるものなので、火事や自然災害などの被害は直接受けにくいだろうと思かもしれません。しかし、前述した例のように「大雨で倉庫の材料や店舗の商品が濡れて使えなくなる」「引火性の高い原材料が出火してしまう」などの損害が発生する場合もあります。
また、自然災害以外にも、特に店舗などの場合、商品の盗難のリスクにも備える必要があります。
これらが起こってしまった場合、被害の金額は甚大なものになり、場合によっては営業していくことが不可能になるリスクも考えられます。
このように、賃貸で倉庫や店舗を借りるテナントにとっても、火災保険への加入は非常に重要といえるでしょう。
火災保険以外で倉庫被害を補償してくれる保険・特約はある?
火災保険で倉庫やその中の商品や設備が補償されることを説明してきましたが、火災保険以外にも倉庫の被害を補償してくれる保険があります。
例えば、盗難保険、地震保険、店舗保険などがそれに該当します。
盗難保険は文字通り、商品などの家財が盗難にあった場合の補償ですが、建物の窓ガラスや鍵を壊されて侵入された場合、建物の契約もしていれば、それらも補償の対象となります。
また、地震保険は火災保険では補償されない、地震による火災・噴火・津波などによる損害を補償する保険です。
地震保険単独では加入できず、必ず火災保険とセットで加入する必要があります。
店舗保険については、以下で詳しく見ていきましょう。
店舗保険・店舗総合保険とは
店舗保険・店舗総合保険とは、火災や、落雷・台風・水害などの自然災害や事故によって建物やその中の家財などの損害を補償する保険で、基本的な補償内容は火災保険と重複している部分が多いです。
ただ、店舗保険・店舗総合保険は、火災保険よりもその補償範囲が若干広く、特約をつけることで以下のようなケースも補償の対象となります。
- 施設賠償責任補償特約:設備や施設の安全性・管理の不備などにより、他人に損害を与えた場合の補償
- 生産物賠償責任補償特約:自社の製品や業務を遂行した結果、他人に損害を与えた場合の補償
- 休業損失補償特約:事故や災害により営業できない場合の損失の補償
この店舗保険・店舗総合保険は、倉庫もその対象となるため、加入して上記のような特約をつけておけば、火災保険よりもさらにリスクを低減することが可能になります。
賃貸借契約している人向けの特約
倉庫被害で火災保険の保険金はいくらもらえる?
実際に火災などで損害が出た場合、火災保険の保険金はいくらもらえるかを知るために、まずは「保険価額」という用語のご説明をします。
保険価額とは、「建物や家財を再調達するときにどれくらいの金額になるのか」を計算したものです。
火災保険では、この保険価額が支払われる保険金の上限となります。
例えば、保険価額が1,000万円、損害額が500万円の場合は、被害額が保険価額よりも低いので、被害額の500万円が支払われます。
しかし、同様に保険価額1,000万円の場合でも、被害額が1,200万円の場合は、支払われる保険金の上限(=保険価額)の1,000万円までしか支払われません。
また、保険金額(契約金額)が保険価額と同額以上の場合には、保険金額を限度として損害額が支払われますが、保険金額(契約金額)が保険価額より低い場合の保険金は以下のように計算されます。
支払われる保険金 = 損害額 × ( 保険金額(契約金額) / 保険価額)
例えば、損害額が500万円、保険金(契約金額)が800万円、保険価額が1,000万円の場合は、
500万円 ×( 800万円 / 1,000万円 )= 400万円
となります。このように、保険価額が保険金額を上回る場合は、支払われる保険金の額が損害額を下回る場合があるので注意が必要です。
火災保険料の相場はいくら?保険料を見積もりしよう
倉庫業の火災保険の補償について解説してきましたが、保険料の相場についても気になるところです。
倉庫業の火災保険では、会社ごとに規模が全く異なり、また同じ規模の工場であったとしても、工場の所在地や特約の内容によっても保険料が大きく変わります。
そこで、倉庫を伴うと思われる工場、およびレストランを対象とした火災保険の保険料の例をご紹介します。 保険料は全て、1年間の一時払いの金額です。
A社にて見積もり
B社にて見積もり
レストランの例
保険料 91,760円
算出条件 所在地:東京都杉並区、保険の対象:建物/5,000万円、設備/2,000万円、商品/100万円、休業損失/日額10万円
それぞれの業種、所在地や延床面積、保険の対象金額などが異なるため、同じ条件での比較はむずかしいですが、ある一定の目安としていただければと思います。
まずは気軽に見積もりをしてみよう
実際に火災保険への加入を検討する際には、複数の保険会社から同じ条件で見積をとると、各保険会社の相場が分かります。
しかし、火災保険は多数の保険会社から出されており、保険会社を探すのも手間がかかります。
そんなときは、火災保険一括見積もり・比較サービスの利用がおすすめです。見積もりが出せるだけでなく、保険アドバイザーが何度でも無料で相談にのってくれるので、初めて火災保険を検討する際にも安心です。
具体的に火災保険の加入を検討する際は、各保険会社で細かい見積もりを出してもらいましょう。
まとめ:倉庫・倉庫の商品の被害を火災保険で補償しよう
倉庫の火災保険に関して解説してきました。 倉庫とその中の商品は、火災保険で補償できるということがおわかりいただけたと思います。
倉庫の火災保険の重要なポイント以下の通りです。
- 火災保険は、火災だけでなくその他の自然災害や事故などの損害も補償される
- 対象の種類は、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3種
- オーナーは「建物」を、テナントは「家財」を対象の火災保険に加入する必要がある
- 火災保険以外にも、「盗難保険」「地震保険」「店舗保険」などで倉庫の補償がカバーできる
倉庫業をはじめ、ご自身で事業を営んでおられる方にとって火事などの自然災害の他、事故等のリスクはいつ発生するかわからず、その被害額が甚大なものになる場合が多いです。
また、自然災害の多発で2022年10月から保険料が値上がりするため、今の内に火災保険の見直しをしておくことをおすすめします。
未だ加入されていない方は是非加入の検討を、既に加入されている方も補償内容の見直しをされてみてはいかがでしょうか。