火災保険での損害額の査定方法は?保険金受取までの流れを徹底解説!

火災保険加入者の方は、被害が起こった時に査定によってもらえる補償額がいくらなのかを前もって把握しておくことは、自己負担額を準備しておくために必要なことです。ここでは火災保険の査定方法や、適切な保険金額をもらうための設定の見直しポイントを紹介します。

火災保険の損害額の査定方法って?査定基準と査定額を解説

ご自分の建物に被害が生じた時、査定で下りる火災保険金額がどの位なのか気になることでしょう。


この被害へ備えるために火災保険をかけたわけですから、十分な保険金を受け取りたいですよね。


しかし、火災保険の査定で判断される損害基準や算出方法を、皆さんはご存知でしょうか。


この査定方法や損害基準等がわからないと、下りる金額が予想外に少なく愕然とするかもしれません。


そこで今回は、「火災保険での損害額の査定方法と、その注意点」について

  • 火災保険の損害基準
  • 実際にもらえる受取金額
  • 保険金査定に関する注意点とは?
以上のことを中心に解説していきます。   
 

この記事を読めば、火災保険の査定方法・損害基準の基本的知識が良くおわかりになるはずです。        

ぜひ、最後までご覧ください。

火災保険の損害額の査定方法

火災保険請求時に必要な「損害額」について、

  • 査定のやり方
  • 査定にかかる期間

など、損害額算出の仕組みを詳しく解説します。


火災などの災害による被害を受けた場合に、実際の被害状況を判断して算出されるのが、損害額です。査定内容によっては、火災保険が下りなかったり、損害額が低く見積もられてしまい、保険加入した時に決めた保険金額が満額もらえないケースもあります。


査定結果が思わしくなく、建物や家財の修復や再建するための費用が捻出できなくなってしまうことのないよう、まずは基本知識を身につけましょう。

査定員への調査申請から保険金をもらうまでの流れ

契約した建物・家財に被害が発生し、保険金請求~支払いまでの流れは次の通りです。

  1. 契約した建物・家財に被害が発生
  2. 保険会社に相談し保険金を請求
  3. 保険金請求書等を提出
  4. 査定員(鑑定人)がご自宅を訪問
  5. 査定員(鑑定人)が調査開始
  6. 調査後、査定員(鑑定人)が調査報告を保険会社に行う
  7. 1週間ほどで保険会社から保険金支払いの有無が通知される
  8. しばらくしたら保険金が保険加入者の指定口座へ振り込まれる
この査定人(鑑定人)とは、正確には「損害保険登録鑑定人」と呼ばれている鑑定のプロです。

一般社団法人「日本損害保険鑑定人協会」に所属し、保険会社からも距離をおき公正に査定します。

査定人(鑑定人)が訪問した時、保険加入者・ご家族はその調査にしっかりと協力しましょう。

火災保険の損害額の査定期間は半日もかからない

査定人(鑑定人)は、まず被害を受けた自宅を訪問し、焼損や損壊の程度、亀裂等を調査します。


マンションの居室内の調査の場合、専用部分(壁や床等)・家財被害の査定は半日もかかりません。  


一方、戸建住宅は面積や大きさにもよります。


丸1日程度かかる場合もあれば、被害箇所を回り切れずに翌日以降ということもあり得ます。


調査では被害の図面作成や寸法、数量等が記録されます。


それらの記録を参考に損害額が査定されます。


当該被害の復旧のためどのような材料を必要とし、どの位の金額がかかるかを算出します。


査定額を保険会社に提出するのは、損害の程度にもよりますが、1日~数日程度が目安と言えます。

火災保険の査定員(鑑定人)による査定で保険金はいくらおりる?

保険金はあくまで査定人(鑑定人)に査定された実際の損害額となります。


しかし、全壊・全焼のように誰が見ても、保険金全額が下りて当然のようなケースもありますよね。


支払われる火災保険金は、保険契約時に設定した保険金額が限度となります。


この保険金額は保険価額をもとに設定します。


保険価額とは、保険契約をした建物・家財を金銭で評価した額です。


保険価額を正確に把握しないと、火災保険へ不正確な保険金額を設定することになります。


こちらでは

  • 保険価額の種類
  • 保険価額の算出方法
  • 保険金受け取りは新価で全部保険が理想!
について解説します。

火災保険の保険価額の種類

保険価額は、「新価」・「時価」の2種類が存在します。

  • 新価:全損・焼損した建物・家財と、同等の建物を新たに再築、家財なら新たに購入するとき必要な金額
  • 時価:再築または購入に必要な金額から、経過年数で価値の減少・使用の消耗分を控除した金額
特に時価の基準となるのは、対象の建物・家財の現在価値となります。

そのため、経過年数によっては大幅に保険金額が下がるおそれもあります。

火災保険の保険金額の算出方法

保険価額の新価と時価では保険金額の算出方法が異なり、次のような金額の差も生まれます。


事例をあげて解説します。


(事例)10年前に2,000万円で我が家を新築した。その後物価が上昇した。

  • 新価:10年前の価値2,000万円→物価上昇→現在の保険金額2,250万円
  • 時価:10年前の価値2,000万円→物価上昇・経過年数→現在の保険金額1,750万円

時価の場合、物価上昇の影響はありますが、経過年数の影響で結局価値が下がってしまいます。


現在、もし火災で事例の建物が全焼した場合は、新価では自己負担0同等の建物が再築できます。


しかし、時価では500万円分を自己負担しないと、同等の建物が再築できません。

適切な保険金受け取りには新価・全部保険に設定

前述の例を見ても時価より新価で設定した方がお得ですよね。


しかし、安心は禁物です。


新価を基準に設定しても、保険金額の設定方法がマズイとやはり損をしてしまいます。


こちらでは、その3種類の設定方法を解説します。

  • 一部保険設定した保険金額が新価より低いケース。保険金は損害額の一部しか下りない。
  • 超過保険設定した保険金額が新価より高いケース。保険料は高くなり負担増。
  • 全部保険新価と保険金額が同一に設定されているケース。正確な保険金額が下りる。
理想的な保険金受け取りは新価で、かつ全部保険の設定ということになります。

正確な保険価額の算定が、いかに大切かがわかりますよね。

火災保険の査定時のコツを紹介

火災保険の損害額査定に関する基本知識を身に着けたところで、どうすれば査定がうまくいくのか気になりますよね。この記事では、保険金を十分に受け取るためにはどのようにすればいいのか、査定時のコツを紹介します。
  • 被害状況を正確に伝えるための現場写真の撮り方
  • 査定人が査定時に確認するポイントとは?
について解説します。

火災保険を利用するような災害に合わないのが一番ですが、万が一の事態に備えて「効果的な査定のコツ」を、ぜひ覚えておきましょう。

査定後はすぐに保険金を請求する

火災保険金の請求期間は保険法で、保険事故(被害発生)日から3年が時効とされています。


3年もあるなら、まだまだ余裕があると安心してはいけません。


査定人の調査も必要になるので、どこが被害箇所か判定が困難になる場合もあるでしょう。


そのため、被害が発生したら速やかに、保険会社へ連絡し手続きを進めた方が賢明です。

必要書類は不備無く必ず提出する

必要書類に不備があると手続きが遅れて、適切な査定までに時間がかかってしまうため、書類を不備無くそろえることが非常に大事です。


・保険金請求書

保険金請求書は保険会社から送られてくるので、その必要箇所に記入します。


烙印がないと無効になる可能性があるので注意して下さい。


・罹災証明書

罹災証明書は管轄の消防署に発行を申請するのが良いです。被害を受けた建物の居住者、又は所有者自身が申請をしなければいけません。


そのため第三者が申請する場合には、委任状などが必要になるので注意して下さい。


・事故証明写真

実際に被害を受けた場所の証明写真になります。保険会社はこの写真を見て被害の

状況などを認知することが出来ます。


スマホで取ったような簡易的な写真でいいので、忘れずに提出するようにして下さい。


・修理見積書

修理見積書は実際に修理にかかる金額や使用する材料や数などの詳細を記入しなければいけません。修理会社に依頼して取り寄せましょう。

風災や水災の被害は免責によって補償されない場合に注意

古い火災保険では免責金額が20万円と、結構高めに設定されている場合があります。


台風や洪水等の被害で保険金を請求するケースが多く、このような工夫がされたと考えられます。


免責金額とは、設定金額を査定された損害額が上回っていなければ、1円も保険金が下りないことです。


しかし、最近の免責金額は、ご自分で基本補償へ自由に設定することが可能です。


当然、免責金額0円で設定しても構いません。


ただし、その分保険料は高くなります。

参考:経年劣化と判断されたときの対処法とコツ

経年劣化は、屋根や外壁が雨風にさらされ、次第にその品質や性能が低下することです。


屋根や壁等の破損の原因が、この経年劣化なら火災保険の補償対象外です。 


経年劣化は火災や自然災害等の直接的な影響と言えず、原則として保険金が下りません。


ただし、一度経年劣化と査定されたら、おしまいというわけではありません。


前述した通り、被害発生日から3年が保険の時効なので、簡単に諦めるのは早いです。


経年劣化は認められても、自然災害で破損した可能性が高いと判断されることがあります。


「全国建物診断サービス」という無料で調査を行う業者もあるので、調査してもらいましょう。


その調査結果をもとに、保険会社へ再調査をすること求めるのもよい対処法です。

まとめ:火災保険の保険金査定の流れを理解しよう

火災保険の損害額査定方法と、その注意点について解説しました。


この記事のポイントは、

  • 損害額の査定は専門の鑑定人によって行われるが、最終的な損害額算出は各保険会社が判断する
  • 鑑定人による査定にかかる時間は半日程度
  • 実際にいくら保険金をもらえるかは、保険価格の設定方法次第で決まる
  • スムーズな保険金請求のためには、証拠となる被害写真を複数枚撮影、被災後すぐに請求、必要書類は不備なく揃えるの3点がポイント

でした。


保険金請求を円滑に、かつ納得いく金額を受け取るためには、保険会社や鑑定人(査定人)の調査に協力的であることが大切です。万が一の事態に備えて、ぜひ覚えておきましょう。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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