個人賠償責任保険ってどんなの?車に傷をつけた場合はどうなる?

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個人賠償責任保険で補償できる日常生活で起こる事故はたくさんありますが車に傷をつけてしまったかもだったり、子供が石を投げた時の保険など不安な部分も多いかと思います。また車に傷をつけられた方もいるかもしれません。この記事では個人賠償責任保険とは何か、支払われない場合はどんな時かを紹介します。

車に傷がついてしまった!個人賠償責任保険は使えるの?

子供が投げたボールが当たってしまい、知らない人の車に傷が…。


車の所有者に対して申し訳ない気持ちとともに湧き上がってくる「弁償したらいくらになるんだろう…」という思い。


何から対応したらいいのかも不安ですし、想像するだけでドキドキしますよね。


そんなときのために、個人賠償責任保険に入っていると安心です。


ご加入の自動車保険や火災保険、コープ共済などに特約で付帯していないか、自転車保険などに加入していないか、すぐに確認してみてください。


今回の記事では、車に傷をつけてしまったときの損害賠償について

  • 個人賠償責任保険で補償できる範囲
  • 車に傷をつけてしまった後に考えるべきこと
  • 個人賠償責任保険の保険料はいくら?補償される金額は?おすすめの加入方法
  • 個人賠償責任保険を選ぶときの注意点
  • 保険金の請求の仕方

を解説していきます。


この記事を読んでいただければ、突発的な事故で他人の車を傷つけた場合などに、落ち着いて対応できる知識が身につくかと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

車に傷をつけた時などは個人賠償責任保険を使える場合がある

個人賠償責任保険は、契約者またはその家族が、日常生活のうえで他人にケガをさせたり物を壊したりして賠償責任が発生したときに、その損害額などを補償してくれる保険です。


車に傷をつけてしまって弁償する場合、たとえ小さな傷でも思ってもみない修理費の見積書が上がってくる場合があります。


ドアを1枚はり替えることになったら、国産車で10万円前後、外車なら30万円以上かかることも。


さらに修理中の代車の費用なども加算されると、なん十万と請求される可能性もあるのです。


個人賠償責任保険に入っていれば、その代金を保険金でまかなえる場合があります。

車に傷をつけた時は個人賠償責任保険は使えるが自賠責保険は使えない

車の保険と言えば自賠責保険があるけれど、それでは補償されないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。


自賠責保険はすべての車の所有者が強制加入している保険で、これも事故の被害者への損害賠償のためのものです。


しかし、自賠責保険で補償されるのは人に対する損害のみで、物損事故は対象外なのです。


このため、不注意で車に傷をつけたような場合は、自賠責保険から保険金がおりることはありません。


では、車の傷なら個人賠償責任保険ですべてカバーできるのかというと、個人賠償責任保険でも保険金が支払われない場合もありますので、以下の項目で補償の範囲について説明していきます。

個人賠償責任保険で補償される事例は?

個人賠償責任保険で補償されるのは

  • 日常生活に起因する偶然な事故
  • 住宅の使用・管理などに起因する偶然な事故

の場合、そして補償されないのは

  • 故意に起こした事故
  • 職務遂行中の事故
  • 車両・船舶などの使用・管理などに起因する事故
  • 他人から借りたものを壊した場合
  • 同居の親族がこうむった損害
  • 自然災害に起因する事故

などの場合です。


車に傷をつけたと言ってもいろいろなシチュエーションがありますので、個人賠償責任保険から保険金が支払われる場合と支払われない場合について、具体的にみていきましょう。

個人賠償責任保険で補償される事例

車に傷をつけた場合の具体的な例を挙げると

  • 子供が石を投げて遊んでいて、他人の車に当たってしまった
  • 自転車で走行中に、停車中の車にぶつかって傷つけた
  • ベランダからうっかり物を落としてしまい、下に停めてあった車に当たって傷をつけた

などの場合は個人賠償責任保険で補償され、保険金が支払われます。


大人が故意につけた傷はもちろん補償されませんが、子供がいたずらでやってしまった傷であれば保険金がおりることも多いようです。


車以外の事故では、「お店で食器を見ていたら、商品を落として割ってしまった」「自宅が水漏れを起こし、マンションの下の階の人の家財に損害を与えた」「飼い犬が他人を噛んでけがを負わせた」などの場合も、個人賠償責任保険の対象です。

個人賠償責任保険で補償できない事例

以下は、個人賠償責任保険から保険金が支払われない場合です。

  • 大人がわざと車を傷つけた場合
  • 自転車で外回り営業中に、停車中の車にぶつかった
  • 駐車場で車のドアを開けたら、隣に停めてあった車にゴツンとぶつけてしまった
  • 友人から借りている車を不注意で傷つけた
  • 台風で屋根が剥がれて飛び、隣の家の車に当たって傷がついた

これらの損害は、自動車保険など他の保険でカバーできるものもあるので、保険会社に確認しましょう。


自然災害で起こった事故については、例えば落ちそうな瓦を放置していたなどの重大な落ち度がなければ、損害賠償責任を負わないとされています。


また、最近では借りたものに対する損害も補償することにしている保険会社も出てきました。


「借りていた一眼レフを落としてしまった」「友人に借りたCDを踏んで割ってしまった」などは、契約内容によっては保険金が支払われることがあるので確認してみてください。

車に傷をつけてしまった!事故後の対処法を紹介

我が子が他人の車に傷をつけてしまったら、誰でも焦ってしまうと思います。


子供の保険に賠償責任の特約なんてついてない…。


子供の名前で加入していなくても、火災保険や自動車保険などに個人賠償特約を付加していれば大丈夫です。


また、子供のしたことだから損害賠償の責任なんてないだろうと思うのは間違いです。


責任能力のない子供の監督責任は親にあるため、子供が他人に損害を与えた場合は親が賠償責任を負わなければなりません。


大切なのは、誠意をもって対応すること。


決して放置して逃げてはいけません

家族のうち一人契約すれば家族全員補償される

個人賠償責任保険は、多くの場合一人が加入すれば家族も補償の対象になります。


対象となる家族は、一般的に以下の人です。

  • 被保険者
  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者またはその配偶者の同居の親族
  • 被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子

一人ひとり個別で加入できるものもありますが、家族全員補償されるタイプのものは家族が何人いても一律の保険料で対象となる人はすべて補償されるので、とてもお得です。


保険料については後ほど詳しく説明しますが、特約として付帯する場合は年間で1,000~2,000円、補償される金額は1~3億円のものが多いです。


負担にならない保険料で、家族分の損害賠償のリスクに備えられるので、何らかの形で加入しておくことをおすすめします。

15歳未満の子供の損害は責任を負う義務がない

民法712条は、未成年者が他人に損害を与えた場合、その行為の善悪などを理解する能力(責任能力)がない場合は、賠償責任を負わないこととしています。


さらに、民法714条では、責任能力がない未成年者が損害を賠償しない場合、未成年者を監督する義務のある人が監督責任を怠ったと考えられるときには、監督義務者がその損害を賠償する責任があるとしています。


これまでの裁判の判決をみると、一般的に「責任能力がない」とみなされるのは小学校卒業ころまで、つまり12歳くらいまでは親の監督責任が問われます。


中学生になると「責任能力」は認められ、子供本人に損害賠償の請求ができることになりますが、実際には損害を賠償できる能力はありません。


そのため、15歳未満の子供の場合はやはり親が賠償責任を負うことが多いようです。

保険料は月いくらでどのくらいの保険金が下りるの?

個人賠償責任保険は、単独で加入するのではなく、「個人賠償特約」「日常生活賠償特約」などの名称で、自動車保険や共済に付帯する場合が多いです。


また、自転車保険はここ数年で加入を義務付ける自治体が増えている注目の保険ですが、個人賠償責任保険とはどう違うのか、その内容をご存じでしょうか?


ここでは、

  • 自転車保険
  • 自動車保険・火災保険
  • コープ共済・都道府県民共済

のそれぞれに付帯する個人賠償責任保険について、家族全員が補償されるプランで保険料と補償金額を比較していきます。

自転車保険の個人賠償責任保険

自転車事故で加害者が負うことになる損害賠償が1億円に近い金額になる可能性があるというのは、ご存じの方も多いのではないでしょうか?


このような事故で負う賠償責任に備える保険として、加入の義務化が進んでいるのが自転車保険です。


自転車保険の特徴は、個人賠償責任保険と傷害保険がセットになっていることです。

他にも自転車保険のおすすめを知りたい方は以下の記事をご覧ください。


【2021年保存版】自転車保険おすすめ比較総合ランキング

自動車保険や火災保険の個人賠償責任特約

個人賠償責任特約を自動車保険や火災保険につけているという方は多いのではないでしょうか。


保険料が安く、主契約の加入や更新の際につけるだけで済むので、とても手軽な方法です。


しかし、自転車保険のように傷害保険の役割は持たないので自身が事故でケガをした場合の保障はありません。

コープ共済や県民共済

個人賠償責任保険は、コープ共済や都道府県民共済のように、医療保険の特約として付帯することもできます。


主契約にプラスしても負担にならない掛金なので、子供の医療保険に加入する際におまもりとして特約をつけるという方が多いようです。

保険個人賠償責任
コープ共済3億円
都道府県民共済3億円

このように、他の保険の特約として加入する場合の個人賠償責任保険の保険料は、どこで加入しても年間で1,000~2,000円くらいと、とてもリーズナブルです。


保険金額は1,000万円程度から無制限まで、保険会社によって最大の補償額が違いますが、それによって保険料に大きな差が出ることもないようです。


自転車保険は保険料が他と比べて高いですが、そのぶん自身がケガをした時の入院・手術から死亡まで保障があります。


その他にも、自転車のロードサービスが無料でついてくるなど充実した内容になっていますので、毎日自転車に乗るという方は加入する価値のある保険です。

個人賠償責任保険の注意事項

保険料が安く、さまざまな保険に特約として付帯することができる個人賠償責任保険は、その手頃さゆえに重複して加入してしまいがちです。


個人賠償責任保険は、複数加入していても実際の損害額までしか保険金は支払われません


保険料を無駄に払うことのないよう、加入の際にはよく確認しましょう。


また、主契約を解約すると特約も解約になることにも注意が必要です。


個人賠償特約をつけた保険を解約するときは、別の保険に個人賠償責任保険をセットしておくことを忘れないようにしましょう。

示談交渉はあるのか

個人賠償責任保険に加入するときは、示談交渉サービスがついていることをしっかり確認しておきましょう。


事故後のやり取りを当事者同士でするのはよくありません。


こちらが加害者となると相手に強く言えませんし、請求された金額が妥当なものかの判断も簡単ではないですよね。


示談交渉サービスがついていれば、経験豊富な担当者が被保険者に代わって相手と話をして損害賠償の金額など決めてくれるので、とても安心です。


現在販売されている個人賠償責任保険は、示談交渉サービスがついているのが主流になっているようですが、ないものもあるので注意しましょう。

傷害保険も入っておきましょう

先ほども説明したように、個人賠償責任保険は自身が加害者となった場合の損害賠償に備える保険です。


傷害保険は、被保険者のケガを保障するものです。


事故の被害者になった時に、加害者に損害賠償を請求しても相手に支払い能力がない場合など、お金を払ってもらえないケースもないわけではありません。


自身で交通事故などのケガに手厚い保険に入っていれば、加害者となった場合だけでなく被害者となった時にも安心です。


スポーツを日常的にしている人や、毎日自転車に乗る人、小学生など、ケガのリスクの高い人は、それなりの備えが必要です。


加入している医療保険ではケガの備えが不安という場合は、傷害保険にも入っておくようにしましょう。

個人賠償責任保険の請求方法は?

他人の車に傷をつけてしまい、加入している個人賠償責任保険で対応できそうだと確認できたら、すぐに保険会社に連絡しましょう。

その後の対応は、保険会社の案内通りにするのが最も確実です。

ちなみに、もし車に傷をつけたとわかっているのに逃げたりすると、民事上の損害賠償だけでなく刑事責任も問われかねません

見つかる可能性が低かったとしても、被害者の気持ちを考え、誠意をもって対応しましょう。

コールセンターに連絡

コールセンターに連絡すると、保険の契約者の名前・証券番号・事故の日時・事故の状況など、必要なことを聞かれます。


その後、保険会社は契約内容を確認して今回の事故が補償の対象となるかを判断し、保険金の請求が可能となれば必要書類を送ってきてくれます。


被保険者は保険会社の案内通りに書類を揃えて提出し、その後保険金が口座に振り込まれるという流れが一般的です。


被害者との交渉は、示談交渉サービスがついていなければ、担当者のアドバイスを受けて自身でおこなうことになります。


示談交渉サービスつきの個人賠償責任保険であれば、交渉も保険会社に任せてあとは待つだけです。

加害者になってしまった場合は保険会社と警察に連絡

車に傷をつけてしまったら、それがどんなに小さな傷であっても警察と保険会社に連絡しましょう。


警察に立ち会ってもらい、事故証明書をもらっておくと、その後の手続きがスムーズになります。


警察と保険会社に連絡して、被害者に誠心誠意謝罪をしたら、あとは保険会社が案内してくれるとおりにしましょう。


自分で何とかしようとすると、被害者からあまりに高額な請求をされたり、つけた覚えのない傷の修理費まで請求されたりした場合にうまく対応できず、トラブルになってしまうことも考えられます。


保険会社は事故対応のプロです。


保険会社に頼って任せてしまうのが一番確実で安心な方法です。

まとめ:車に傷をつけた時などに備えて個人賠償責任保険に入っておこう

ここまで、他人の車に傷をつけてしまったときの損害賠償について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 子供が他人の車を傷つけたときは、個人賠償責任保険が使える
  • 車の傷は、個人賠償責任保険で保険金が支払われない場合でも、自動車保険などで補償されることがある
  • 個人賠償責任保険は、1人が加入すれば家族全員が補償対象になる
  • 自転車保険に加入するか、自動車保険やコープ共済などに特約を付帯する形で加入できる
  • 傷害保険も重要。自転車によく乗る人は自転車保険がおすすめ
  • 保険金の請求の仕方は、まずコールセンターに電話する
  • 車に傷をつけて逃げてしまうと、刑事責任を問われる恐れも
  • 車に傷をつけてしまったら、警察と保険会社に連絡し、交渉は保険会社に任せる

でした。


他人の車に傷をつけてしまったらパニックになりますが、個人賠償責任保険に加入していれば安心です。


あなたがするべきことは「逃げない」「保険会社と警察に連絡」これだけです。


あとは保険会社が対応してくれるので、冷静に、誠意をもって対応しましょう。いま個人賠償責任保険に加入していないという人は、早めの加入をおすすめします。


ほけんROOMでは、他にも参考になる保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひご覧になってください。

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