働けなくなる確率は?就業不能状態に備える保険や公的保障を解説

がんやうつ病、大きな怪我など働けなくなる確率はどのくらいなのか気になる方も多いでしょう。今回、働けなくなる確率はどれくらいかはもちろん、民間の保険や公的保障など就業不能状態に備える方法を解説します。

働けなくなる確率はどのくらい?就業不能保険に備える保険

病気や事故などで、働けなくなる事を考えたことはありますか?
 


普段健康な人は、考える機会があまりないでしょう。


しかし、そのような不測の事態が起きた時、収入が途絶えてしまうことがあります。
 


治療費に加え、家族がいたり、ローンがあったりすると、とても厳しい状況になるかもしれません。


貯蓄でどれだけ賄えるか、不安に感じる人も多いでしょう。 


 そこで今回この記事では、

  • 病気・ケガによって働けなくなる確率
  • 公的保障は誰がどれだけ受けられる?
  • 民間の生命保険や医療保険に入っていれば安心?
  • 就業不能となったときのための保険
以上を中心に解説していきたいと思います。

今回の記事で、働けなくなったときにどのように収入をカバーしていくか理解できると思います。

あまり考えたくはない就業不能状態についてですが、自分の身に置き換えたとき、どうするかを考えながらぜひ最後までご覧ください。

病気・ケガで働けなくなる確率は?

では、病気や怪我で働けなる確率はどのくらいなのでしょうか?


【平成25年度生命保険文化センター調査 過去5年間の入院歴】


調査人数入院歴あり
全体4043人15.2%
男性1769人16.8%
女性2279人13.9%
18〜19歳63人7.9%
20代383人7.0%
30代
710人11.4%
40代
883人12.6%
50代
782人16.2%
60代1222人21.4%

参考:生命保険文化センター


30代~50代の働き盛りの平均値を算出すると、13.4%の人が入院歴があることが分かります。

13%は約8人に1人の割合ということになります。


また30代で働けなくなり社会保険の傷病手当金を受給している人は、死亡する人の6倍となっています。

(平成30年度現金給付受給者状況調査報告/厚生労働省人口動態調査より)


死亡した時のリスクに備えて保険に加入する人は多いですが、実際は死亡する確率よりもはるかに働けなくなるリスクのほうが高いということが分かります。


また、傷病別の構成割合では、精神・行動障害が 29.09%と非常に高く、20代~40代の若い年齢層が高くなっています。


次いで新生物(=がん)が18.99%で、55歳以上から特に増える病気となっています。


この2つの病気だけでも全体の48%を超えています。


また怪我など損傷を主とする原因は、7.43%で低めの割合となっています。


このことから、多くは治療期間が長くなる、精神疾患やがんなどの大きな病気で受給していることが分かります。

働けなくなる確率が高くても、公的保障でカバーできる?

働けなくなり仕事を休む場合、有給休暇がある人は有休を取得します。


そして、入院や療養が長引き有休を消化した場合や、そもそも有休がない場合は、上記で触れた傷病手当金という公的保障制度の利用が可能です


ただし傷病手当金を受給するにはいくつかの条件を満たす必要があります。


また病気や怪我の程度が重く、生活や労働に支障がでる場合は、障害基礎年金・障害厚生年金が受けられることがあります。


各受給条件などを次の項目にて確認していきましょう。

傷病手当金とは?

傷病手当金とは公的保険制度のひとつであり、被保険者が病気やケガのために働けなくなる事態となり、雇用主側から十分な報酬を受けられない場合に支給されるものです。


この傷病手当金は、働けなくなり会社を休めば支払われるというものではなく、支払いに関しては条件や期間が設定されています。


以下に、傷病手当金が支払われるための条件・期間についてご紹介します。


【傷病手当金が支払われる条件】

傷病手当金については、次の4つの条件をすべて満たした場合に支払われます。
  1. 業務外の疾病やケガによる休業であること                     
  2. 仕事につくことができないこと(この判定については、療養担当者の意見等をもとに、仕事の内容を考慮して判定されます。)  
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと
1つ目の条件に関しては、公的医療保険の対象であるなしに関わらず、仕事につくことができないことについての証明がある場合に支給対象となります(自宅療養の期間も含まれる)。

また、労災保険の対象や、病気とみなされないもの(美容整形等)は支給の対象外です。

3つ目の条件に関しては、業務外の事由による病気やケガの療養で、3日間連続して仕事を休んだ後(待期といいます)、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。

*待期については、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。

4つ目の条件を詳しく説明すると、この制度は休業している間の生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は傷病手当金は支給されないということです。

また、給与が支払われていても、傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます

【支給される期間】

傷病手当金が支給される期間は、支給開始後、最長1年6か月です。

その途中で仕事に復帰した期間があった場合、その後再び同じ事由で仕事につけなくなった場合でも、復帰期間はこの1年6か月に算入されます。

支給開始後1年6か月を超えた場合は、仕事につくことができない場合であっても、傷病手当金の支給延長はありません。

【注意】自営業者には、傷病手当金がない

自営業者の人たちの中には市町村が運営している健康保険に加入している人が大半ですが、この健康保険には働けなくなる状況になったときの補償してくれる傷病手当金のような制度はありません。


ですから、長期に仕事を休んだ場合には収入が全く入ってこない事態になる事も考えられます。


収入が入ってこないということは生活ができなくなる確率が高くなることですから、その確率を低くする対策を自分でとることが大切です。

障害基礎年金・障害厚生年金

国民年金や厚生年金は老後に年金をもらうためという認識が強いですが、これらの年金は、病気や怪我で障害を負った時、障害年金として給付を受けることができます。 


手足などの障害だけでなく、がんなどの大きな病気、精神疾患も含め、生活や労働にどの程度支障をきたすかにより障害等級が認定されます。 


障害年金は2種類あり、条件を満たしていれば受給できます。


いずれも初診日は障害の原因となった病気や怪我ではじめて病院を受診した日です。 


障害基礎年金 

  • 初診日に国民年金加入
  • 1年6ヶ月経過後又は障害が確定したときの障害認定で1・2級に該当した方

1級受給額(年):78万1,700円×1.25+子どもの人数によって加算 

2級受給額(年):78万1,700円+子どもの人数によって加算 

※子どもの加算額は、第1子・第2子各22万4,900円、第3子以降各75,000円


障害厚生年金 

  • 初診日に厚生年金に加入 
  • 1年6ヶ月経過後又は障害が確定したときの障害認定で1~3級に該当した方
  • 1級・2級に該当する場合は障害基礎年金も受給

3級受給額(年):報酬比例の年金額(3級最低保障 58万6,300円)

2級受給額(年):報酬比例の年金額+配偶者加給年金+障害基礎年金+子供分加算 

1級受給額(年):報酬比例の年金額✕1.25+配偶者加給年金+障害基礎年金額✕1.25+子供分加算


例えば、障害等級2級・配偶者有・子供1人で受給額を計算してみます。

報酬比例の年金額の計算は複雑なため、ここでは仮に58万6,300円とします。


①報酬比例の年金額 58万6,300円+配偶者加給年金22万4,900円=81万1200円

②障害基礎年金78万1,700円+子1人22万4,900円=100万6600円

①+②=181万7800円(年額)

なお、 保険料の納付条件を満たしていないと受給できません。


また初診日より5年以内に治癒した場合もしくは、3級に達しない障害が確定した時は障害手当金を請求することができます。

働けなくなる確率が高くても、民間の生命保険や医療保険でカバーできる?

治療の長期化や在宅療養など、回復の状態によって、働けない状態が長く続くとどうなるでしょうか?


ノーワーク・ノーペイの原則から、基本的に働かなければお金ははいってきません。


でも、公的な保障はあるし、民間の医療保険や生命保険に加入しているから、特に心配することはないのでは?と思う人もいますよね。


では、就労不能状態となった時、働いていたときから収入がどのように変化するのかを考えていきましょう。


また一般的な医療保険や生命保険がどの程度生活をカバーしてくれるのかを解説していきます。

治療の長期化に伴う収入減には対応していない

基本的に会社員であれば有休を消化しているまでは給与と同等の収入です。


しかし有休を消化し、傷病手当の1年6ヶ月の受給額は、給与の約3分の2となります。


ここまでは、大きな支出が重ならない限り生活を維持することはできるでしょう。


ただその後も働けない状態が長期化した場合は、無収入となる可能性があります。


もし障害が残るほど重度となった場合は障害年金の対象となりますが、平均的な世帯の支出額と、上記で計算した障害年金受給額を月額にして比較してみると、

  • 1ヶ月の生活費支出は、約34.6万円 
  • 障害年金受給月額は、約15.1万円

(平成26年国民生活基礎調査による世帯収入中央値より)


5割以上収入が減少し、障害年金を受給したとしても給与を取得していたときと同じ生活レベルを維持するのは難しいことが分かります。


このことから、治療が長期化することで、医療費が嵩み、子供の教育費は成長するほど上がっていくなど、支出と収入のバランスが大きく崩れる可能性があります。

在宅療養などは医療保険で保障されないことも

昨今は、医療技術が進化することで日帰り手術ができたり、政府の医療費適正化の推進により入院日数が昔と比べどんどん短くなっていますね。


厚生労働省の「病院報告」データでは、1984年に約57日だった平均入院日数は、2016年には約29日まで減少しています。


入院日数の減少や、回復の早い術式で、心身ともに負担は少なくなっています。


しかし手術をした場合や病状によっては、退院したからといってすぐに仕事ができる状態であるとは限らず、自宅での療養が必要になるケースがあります。


しかし一般的な医療保険は、入院保障・手術保障として医療費をカバーするもので、生命保険は高度障害・死亡となったときに保険金がおりるものです。


商品によって付いている診断給付や在宅療養給付なども一時金です。


そう考えると、生活営むために必要なお金は、通常の医療保険・生命保険ではカバーしきれないことが分かります。

【結論】働けなくなるリスクに備える保険は自営業にかかわらず必要

前述した中で、まず働き方によって公的保障でカバーされる範囲が違うことがわかったかと思います。


働けなくなった時、生活費の補填が早めに必要なのは、有給休暇も傷病手当金もない自営業の人でしょう。


しかし、厚生年金に加入している会社勤めの方でも、不安が無いわけではありません。


不測の事態で病気や怪我、障害を負ってしまったときに、状況によっては働けなくなる期間がどれだけ長くなるかわかりません。


傷病手当・障害年金だけの公的保障だけでは心許なく、また民間の医療保険や生命保険に加入していても、長期的な生活費を補填してくれるものはありません

就業不能状態に備えられる保険

働けなくなるということは収入がなくなる確率が高いことになりますのでそのことに対して自分で対策をとっておくことはとても重要です。


そのような働けなくなる状況になったときに備えて就業不能保険や所得保障保険というもの発売されています。


これらの保険は読んで字のごとく、働けなくなる状況に陥ったときに収入を補償してくれる保険です。


まさしく生活が破たんする確率を低くする保険と言えます。

働けなくなったときの保険:就業不能保険と所得補償保険

働けなくなる状況になったときに収入を補償する保険には主なものとして、就業不能保険所得補償保険などがあります。


よく勘違いされる保険として、収入保障保険がありますが、こちらは死亡保険となっており、死亡した際に保険金が分割して(収入のように)支払われる形となります。


つまり、就業不能保険や所得補償保険は、働けなくなった時の収入を保障するものであり、収入保障保険は亡くなった時に遺された家族の収入を補償するものということです。

就業不能保険と所得補償保険の違い

病気やケガで働けなくなる事態となったとき、一番の問題は収入が滞ることであり、そのような状況に備える保険として発売されている保険が、就業不能保険と所得保障保険です。


この2つの保険は、同じような商品として認識されていますが、いくつかの違いがあります。


2つの保険の大きな違いの一つが、販売会社の違いで、就労不能保険は生命保険会社が、所得保障保険は損害保険会社が販売しているという点です。


販売会社が違うことで、大きな違いが出てきます。


それは、補償形式で、損害保険は基本的には「実際の損害に関わった金額」を補償するように設計されています(自動車保険をご想像ください)。


これに対し、生命保険は、「契約時にあらかじめ決められた額」が、保険会社から支払われるようになっています。


つまり、所得保障保険は、基本的に実際の所得に対して補償されるのに対し、就労不能保険はあらかじめ決めていた金額が支払われるという違いがあるのです。


たとえば、契約時には働いていて収入があった人が、専業主婦(夫)になったあと、就業ができない状態になったみなされても、所得保障保険からの補償はかなり低くなる事が考えられます。


しかし、就業不能保険の場合、そのような状態になったとみなされれば、契約時の金額がそのまま支払われることになります。


次の違いは保障期間と保険料です。


所得保障保険は、保障期間は基本的に短期のものが多くなり、その分保険料も割安になっている傾向にあります。


それに対し、就業不能保険の保障期間は長期のものが多く、その分保険料も割高な場合があります。

まとめ:働けなくなる確率や万が一の保障について

いかがでしたでしょうか。


この記事では

  • 働けなくなる確率は約13%、死亡するリスクよりもはるかに高い
  • 公的保障の傷病手当支給は1年6ヶ月間。障害年金だけで生活は維持できない
  • 自営業の人はすぐに収入が途絶えてしまう
  • 民間の生命保険や医療保険では生活費をカバーできない
  • 就業不能となったときのためのおすすめの保険

をポイントにご説明しました。


公的保障や一般的な保険に加入していても、長期的に働けない期間が続くとそれまでと同じ生活を送ることは難しいことが分かりました。


しかし脳卒中で後遺症が残る、交通事故で介護が必要になるなど、健康なときは考えられない事態ですが、誰にでもおこりうる事です。


生きているけれど働けない、そのようなリスクを想定して、自分の今の生活がどうなるのか、どの程度の保障が適切なのか、今一度見直してみることをおすすめします。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング