更新日:2022/09/05
住宅ローンに団信なしでは入れない?死亡リスク以外に備える団信とは
住宅ローン契約時に加入が必須といわれる団信保険。病歴や持病を持つ人は加入を断られると言われるけど本当なのか?団信なしでは住宅ローンを組むことはできないのか?団信に入れない、入りたくない人にはどのような選択肢があるのか、ご紹介していきます。
- 住宅ローンに団信なしで入れるか知りたい方
- 住宅ローンに団信なしで入るデメリットを知りたい方
- 自分の病歴や健康状態で団信に入れるか知りたい方
内容をまとめると
- 団信とは自分の万が一の場合に家族に負債を残さない保険
- 一般団信に加入できない人はワイド団信を受けてみる
- フラット35は団信なしでも契約できる住宅ローン
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目次を使って気になるところから読みましょう!
- 金融機関の住宅ローンは団信なしでは加入できないのが一般的
- 死亡したらローンが0になるのが団信の仕組み
- 死亡リスク以外に備える団信もある
- 団信の審査条件によっては住宅ローンに入れない
- 団信には入れないかどうかの審査基準は金融機関によって異なる
- 一般団信に入れない場合はワイド団信を検討しよう
- ワイド団信の特徴
- ワイド団信に加入するメリットとデメリット
- 配偶者契約で住宅ローンが借りる方法もある
- 配偶者の収入が審査条件を満たしている必要あり
- 収入合算するときの注意点を知っておこう
- 団信なしでも住宅ローンに入れるフラット35という選択肢も
- フラット35の特徴
- 団信なしで死亡したらどうなるかシュミレーションしておこう
- 団信にあえて「入らない」という選択も
- 団信に入らないメリットとデメリット
- 金利・保険料・死亡時マネーバランスの検討を
- 団信に入れない住宅ローンの相談はマネーキャリアへ!
目次
金融機関の住宅ローンは団信なしでは加入できないのが一般的
住宅ローンを組む際に加入する「団体信用生命保険」、略して「団信」と呼ばれる保険です。
すでに住宅ローンを組みたいと考え、いろんな金融機関を比較している方は、団信の名前を何度か耳にしたり、保証内容を見ているでしょう。
団信保険は万が一、契約者が住宅ローンを支払えないケガや病気になったり、死亡したりする事態に備えられる保険です。
基本的には住宅ローンを組むすべての契約者に対し、団信保険の加入を必須とします。
では、具体的に団信保険に加入しているとどのような際に補償してくれるのか、保険に入れない場合はどうなるのかについてみていきましょう。
- 死亡時は住宅ローンの残高が0になる
- ケガや病気で住宅ローンを返済できない状態を保証する保険もある
- 住宅ローンとは別に団信にも審査がある
- 団信の審査基準は金融機関によって異なる
死亡したらローンが0になるのが団信の仕組み
何十年と長期間に渡り返済が続く住宅ローン期間中、もしかすると病気になったり、大きなケガをして動けなくなることもあり得ます。
団信は、住宅ローンの契約者が死亡、あるいは高度障害の状態となった際に、残りの住宅ローンが弁済される仕組みです。
万が一のときには、保険会社から金融機関へ保険金が支払われ、ローンが完済されるため、配偶者や連帯保証人となっている人に支払いが残ることはありません。
このように住宅ローンの契約者が返済ができない事態となっても、融資した金融機関は、保険金によって全額を回収できます。
団信は、住宅ローンの契約者を被保険者として、金融機関と保険会社との間で結ばれる生命保険の役割を果たすのです。
死亡リスク以外に備える団信もある
死亡時や高度障害の時は保険金が降りることがわかりましたが、死亡以外のリスクにも備えられる団信があります。
「特約付き団信」は特定の病気や介護状態となった場合でも保険金が降りる保険です。
通常の団信では3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や、病気・ケガの際に、保険が適用されることはありません。
厚生労働省の平成27年度人口動態統計によると、日本人の死亡原因の50%以上が3大疾病によるものと言われています。
3大疾病にかかると、通常通りに仕事ができなくなったり、日常の動作に支障が出たり、これまでどおりに生活できなくなる可能性があります。
死亡に至らなくても特定の病気やケガをカバーしてくれるのが特約付き団信の特徴です。
一般の団信では住宅ローンの金利に変化はありませんが、特約付き団信の場合、上乗せ金利が発生します。
上乗せされる金利は金融機関により異なりますが、年0.2%〜年0.3%が相場です。
団信の審査条件によっては住宅ローンに入れない
団信は住宅ローンを組む際に加入が必須条件ですが、自身の健康状態や病歴によっては団信そのものに加入できない場合もあります。
団信に加入するには一般の生命保険のように告知義務や審査を受ける必要があります。
多くの金融機関では団信への加入を契約の条件とするところが多いため、病歴や健康状態の問題によって団信に入れない場合、住宅ローンへ申し込みができません。
特に、すでに持病を持っていたり、長期間にわたり通院した経歴を持っていたりすると、団信への加入を見送られる可能性が高くなります。
では、健康面に問題のある人は住宅ローンを諦めなければいけないのか?というと、そのようなことはなく、条件の緩和された住宅ローンを検討しましょう。
一般の団信や特約付き団信の加入を断られてしまった場合の対処法については、のちほど解説します。
団信には入れないかどうかの審査基準は金融機関によって異なる
団信の加入条件は金融機関によって異なります。「この病歴がある人は審査に落ちる」といった明確な判断基準は公表されていません。
しかし、告知すべき内容については公表されているため、ここから注意すべき病気や過去何年前までの病気を申告する必要があるのかがわかります。
参考として、以下が団信加入時によく聞かれる内容です。
- 最近3か月以内に医師の治療(指示・指導を含む)や投薬を受けましたか
- 手・足の欠損または機能に障害がありますか。または、背骨・視力・聴力・言語・咀嚼(そしゃく)機能に障害がありますか
- 過去3年以内に、下記(注1)の病気で手術を受けたこと、または2週間以上に渡り医師の治療(指示・指導を含む)や投薬を受けましたか
過去3年以内に治療を受けた病気一覧(注1)
- 心臓…狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症、不整脈、その他心臓病
- 脳…脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)、脳動脈硬化症、その他脳の病気
- 精神疾患・認知症…精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症
- 胃腸…胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎、クローン病
- 肝臓…肝炎、肝硬変、肝機能障害
- 腎臓…腎炎、ネフローゼ、腎不全
- 眼疾患…緑内障、網膜の病気、角膜の病気
- がん…がん、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ
- 代謝異常・免疫疾患…高血圧症、糖尿病、貧血症、紫斑病
- 呼吸器疾患…喘息、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症
- 婦人科系…子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症、卵巣のう腫
一般団信に入れない場合はワイド団信を検討しよう
20代で住宅ローンを組む場合、自身の健康面や病歴を不安に感じる人の割合は少ないと思いますが、30代、40代と年齢が高くなるにつれ、病気やケガを経験している人の割合は高くなります。
実際に、住宅ローンを組みたいが持病を持っているために団信に加入できず、住宅ローンの申し込みができず悩んでいる人もいるでしょう。
このような場合は一般の団信以外にワイド団信へ申し込みを検討するのがおすすめです。
では、ここからはワイド団信とは一般の団信と何が違うのか、ワイド団信の特徴について解説します。
- ワイド団信とは
- ワイド団信のメリット・デメリット
ワイド団信の特徴
ワイド団信は一般の団信や特約付き団信よりも加入条件が緩和された保険です。
健康上の理由で一般団信の審査に落ちた方でも、ワイド団信なら加入できることがあります。
たとえば、りそな銀行の「りそな住宅ローンワイド団信プラン」では、下記の病状を申告した方でも加入できたケースを公表しています。
- 糖尿病
- 高血圧症
- 潰瘍性大腸炎脂質異常症(高脂血症)
- 高尿酸血症
- 痛風
ワイド団信に加入するメリットとデメリット
ワイド団信のメリットとデメリットは以下です。
メリット
- 健康面に不安がある人でも団信に入れる可能性が高まる
- 一般団信と保障内容は変わらない
- 年齢の上限も75歳〜80歳と高いところが多い
デメリット
- 一般の団信よりも金利が0.2%〜0.3%上がる
- 条件は緩和されているが、必ず加入できるわけではない
- 取り扱いのある金融機関に限定される
配偶者契約で住宅ローンが借りる方法もある
一般の団信とワイド団信の審査に落ちてしまった場合は、その方の名義で住宅ローンを組むのは難しくなります。
このような場合は、契約者を別の方に変更することを考えてみましょう。
夫婦で住宅を購入する際に一方が契約者として認められない場合、もう一方の配偶者を契約者として住宅ローンを借りる方法もあります。
配偶者を契約者として住宅ローンを組む場合には、審査条件の前提や注意点などを把握しておくことが必要です。
配偶者契約を検討する際に知っておきたい2点について解説します。
- 配偶者の収入条件を確認
- 収入合算で申し込む際の注意点
配偶者の収入が審査条件を満たしている必要あり
自身の名義で住宅ローンを組めない場合、配偶者を名義人としてローンの審査を受ける選択もあります。
配偶者が正社員として働いている場合、この方法が手間がかからず簡単なため有効です。
配偶者が住宅ローンを申し込む場合も、団信の加入条件に当てはまるかどうかの確認が必要です。
加入条件とは
- 安定した収入があるか
- 健康面や病歴に問題がないか
収入合算するときの注意点を知っておこう
収入合算のパターンは主に3パターンです。
- 連帯債務…1人が主債務者となり、パートナーが連帯債務者となる契約方法
- 連帯保証…1人が主債務者となり、パートナーが連帯保証人となる契約方法
- ペアローン…夫婦や親子の収入を合わせてローンを組み、両者が契約者となる契約方法
団信なしでも住宅ローンに入れるフラット35という選択肢も
住宅ローンを組む場合、団信への加入は必須条件であるとお伝えしましたが、団信なしでも住宅ローンを組むことができるフラット35という商品があります。
フラット35は住宅金融支援機構が出している住宅ローンで、団信の加入は任意となっています。
フラット35の特徴と、団信に加入せずに住宅ローンを組んだ場合に注意すべきことについて確認しておきましょう。
- 住宅金融支援機構のフラット35とは
- 団信なしの場合の注意点
フラット35の特徴
団信なしでも住宅ローンを申し込めるのが「フラット35」という商品です。
フラット35は住宅金融支援機構が出している商品で、前身の住宅金融公庫の時代から団信の加入は必須ではありませんでした。
従来のフラット35では団信の保険料(特約料)は、住宅ローンの返済とは別で支払う形でしたが、2017年10月から、団信保険料も住宅ローンの金利に含まれるようになりました。
もとから保険料が含まれていることにより「団信に加入する」のが一般的になりましたが、従来どおり、「団信に加入しない」選択も可能です。
団信に加入する場合、金利の変更はありませんが、団信に加入しない場合、適用金利が0.2%低くなります。
そのため、保険ありとなしの同じ条件下で住宅ローンを組んだ場合、保険に未加入のほうが毎月の返済額は低いことになるのです。
ただし、保険がないということは万一のことが起きた後も住宅ローンの返済が残り、連帯保証人や残された家族が返済を継続しなければなりません。
大黒柱として収入を得ている人の収入がなくなったときに住宅ローンの返済をカバーできないのであれば、基本的には団信には入っておくべきでしょう。
団信以外の保険(逓減定期保険や収入保障保険など)で備えるという考え方もありますが、その場合は、受けられる保障と支払う保険料とのバランスを検討することが重要です。
一般的な傾向として、団信の保険料はほかの保険料よりも低く設定してあることが多いようです。
団信なしで死亡したらどうなるかシュミレーションしておこう
団信なしでもローンを組めるフラット35ですが、万が一契約者が病気やケガ、死亡に至る場合は、残った家族に返済の義務が生じます。
先のお話でもお伝えしましたが、この場合問題となるのは、残った返済額を返していけるだけの資金を用意できるかです。
残った返済の対策には、以下のような方法があります。
- 加入済の生命保険で補える
- 返済にあてられる貯蓄がある
- いざとなったら世帯で収入を増やせる
団信にあえて「入らない」という選択も
ここまで、
- 住宅ローンを組むには団信に加入が必要
- 健康上の理由で団信に加入できない人もいる
- 一般団信に加入できない場合は「ワイド団信」を検討する
- ワイド団信にも加入できない場合、団信なしでローンを組めるフラット35を検討する
- 団信にあえて加入しない場合のメリット・デメリット
- 保険と住宅ローンの残債でマネーバランスを考える
団信に入らないメリットとデメリット
では早速団信に加入するメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
- 契約者が万が一の場合、残ったローンの返済義務がなくなる
- 所得税の納税義務がない
デメリット
- 所得税での所得控除が受けられない
- ローンの金利が未加入に比べて高くなる
- 保障内容が薄い
金利・保険料・死亡時マネーバランスの検討を
団信なしで住宅ローンを組む場合、民間の生命保険と比較してみるのも得策です。
民間の保険を利用するメリット
- 税制優遇制度を受けられる
- 年齢が若い人は保険料が安い
- 非喫煙者は保険料を割引してくれることがある
- 保障の選択肢が豊富
年齢や健康状態によっては団信なしを選択し、生命保険を利用するというほうがお得になることもあります。
お得になる人の目安としては
- 20代〜30代の若年層
- たばこを吸わない
- 健康面に問題がない
などです。
民間の生命保険は若くて健康な人ほど保険料が安くなる仕組みになっています。そのため、人によっては団信に加入するより生命保険を利用するほうがお得になります。
生命保険を利用する利点のひとつに税制優遇制度を受けられることも挙げられます。
節税の恩恵を受けながら手厚い保障を受けられるのなら生命保険でリスクを補う選択肢もありです。
ただし、一般的な視点から考えると団信なしを選択するリスクはかなり高いといえます。
金利や生命保険の保険料、死亡時に残った住宅ローンを家族が払い切れるのかなど、幾度もシュミレーションを行うことが重要です。
団信に入れない住宅ローンの相談はマネーキャリアへ!
いかがでしたでしょうか。今回は団信なしの場合のリスクや、加入しなくても住宅ローンを組めるのかについて解説しました。
- 多くの住宅ローン商品は団信への加入が必須
- 団信は契約者死亡時に住宅ローンの残債がなくなる
- 団信は病歴や健康に問題があると加入できないことがある
- 健康上の問題で一般団信に入れない人はワイド団信を検討してみる
- フラット35は団信なしでも契約できる
- 団信なしを選択する場合は、民間の生命保険に加入しておく