地震保険で基礎のヒビ割れは補償される?地震保険の補償範囲を解説!

地震により住宅の基礎にヒビが入ったとき「地震保険で基礎のヒビ割れは補償される?査定基準が知りたい!」と思う方は多いはず。実は、基礎のヒビ割れは木造の建物の場合のみ補償対象になります。今回は、地震保険の基礎のひび割れ補償を、査定基準や交渉術に触れて解説します。

地震保険で基礎のヒビ割れは地震補償されるの?

地震に襲われたものの自宅が倒壊せず、家族の無事が確認できたらホッとすることでしょう。


しかし、まだまだ安心はできません。自宅の基礎のヒビ割れを放置すれば、更なる余震で建物が倒壊する危険もあります。


基礎のヒビ割れの補修費用は、地震保険で補償されます。ただし、損害の割合によって下りる保険金額は異なります。


そこで今回は「地震保険の補償対象となる住宅基礎のヒビ割れ査定基準」について、

  • 基礎のヒビ割れの査定基準は4段階
  • 工法ごとの地震保険のヒビ割れ損害認定
  • 査定結果に納得がいかない場合の措置
以上のことを中心に説明します。

この記事を読んでいただけたら、住宅基礎のヒビ割れに関する査定基準や、効果的な査定の交渉法が良くわかるはずです。ぜひ最後までご覧ください。


基礎のヒビ割れは地震保険で補償される!

前述した通り、基礎のヒビ割れの補修費用は地震保険で補償されます。無理は禁物ですが、揺れが収まって落ち着いたら被害箇所の有無を慎重にチェックしてみましょう。


ただし、ご自分の勝手は判断で被害状況を断定するのは禁物です。被害状況の査定はプロの仕事となります。


基礎のヒビ割れ等を見つけたら、保険会社へ問い合わせ鑑定人から被害状況を正確に確認してもらいましょう。

基礎のヒビ割れの査定基準

基礎のひび割れで保険金が実際にいくらもらえるのか気になりますよね。


まず、地震の被害を受けたとき、保険金の額を決めるために、まずは鑑定人による査定が行われます。地震保険では、鑑定人によって査定結果に違いが出ないよう損害認定基準が定められています。


さらに、建物が倒壊しなくても、建物や基礎のひび割れの状況によっては損害として認定され、保険金を受け取れる可能性があります。


なぜなら、地震保険では建物の時価額に対する損害の割合によって、損害が認定されるためです。


また、全ての建物に適用されるわけではありませんが、基礎のヒビ割れも査定項目に含まれることがあります。それでは、どのような認定基準があるのでしょうか。


以下に具体的な内容を解説します。

全損

全損は住宅の「倒壊」という意味ではなく、次のような損害の状態をあらわします。


地震等により損害で、

  1. 主要構造部の損害の額がその建物の時価額の50%以上
  2. 焼失もしくは流失した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上
いずれかに該当することです。

主要構造部には基礎に加え柱や壁、屋根等が該当します。一方、時価額とは、建物をたてた際の金額ではなく、再築・再購入するのに必要な金額から、経過年数・使用による損耗を差し引いた金額を指します。

ここまで損害の状況が深刻であれば、倒壊を免れたとしても損傷が激しく、とても住み続けることは不可能と言えます。

大半損

大半損も倒壊は免れていても非常に深刻な損害と言えます。大半損は次のような損害の状態をあらわします。


地震等により損害で、

  1. 主要構造部の損害の額がその建物の時価額の40%~50%未満
  2. 焼失もしくは流失した部分の床面積が建物の延床面積の50%~70%未満
いずれかに該当することです。

大半損の状況では、その後の余震による倒壊や、更なる損害を誘発させる事態につながるため、この状態で住み続けることは極めて困難と言えます。

小半損

小半損ではしっかり補修をしないと後から生活に重大な支障をきたすおそれもあります。小半損は次のような損害の状態をあらわします。


地震等により損害で、

  1. 主要構造部の損害の額がその建物の時価額の20%~40%未満
  2. 焼失もしくは流失した部分の床面積が建物の延床面積の20%~50%未満
いずれかに該当することです。

何とか住める状態に収まっているかもしれませんが、速やかに補修を行わないと後になって損害が拡大する危険性もあります。

一部損

一部損は建物の損害に気付いてないケースも多いと思います。隠れた箇所のヒビ割れもチェックし、補修を心がけましょう。一部損は次のような損害の状態をあらわします。


地震等により損害で、

  1. 主要構造部の損害の額がその建物の時価額の3%~20%未満
  2. 建物が床上浸水、地盤面より45cmを超える浸水を受け、建物の損害が全損、大半損、小半損ではない

いずれかに該当することです。


倒壊はまず考えられません。しかし、損害が拡大する危険性は相変わらず存在します。放置せずに迅速な補修が望まれます。

注意:基礎のヒビ割れは大きさではなく数が重要

地震が起き建物の倒壊は免れたものの、外壁に目立つ大きなひび割れができる場合もあることでしょう。


「結構な地震保険金が下りて、修理費が賄われるかもしれない。」と、期待する人もいるかもしれませんね。しかし、その期待は裏切られることがあります。


そもそも地震保険の損害割合は、被害の大きさではなく「何ヶ所か」という個数で算定されます。


大きいひび割れが一か所より、小さいひび割れが数十ヶ所あれば、損害割合により多くカウントされます。

地震保険の補償対象

地震で建物・建物内に損害が発生した場合、地震保険の補償は「建物」「家財」が対象となります。もちろん、建物を補償対象にした火災保険、家財を補償対象にした火災保険へそれぞれ加入します。


しかし、ご自分が所有する建物や家財であれば、その全てが補償対象となるわけではありません


こちらでは、残念ながら地震保険で補償対象外となる建物・家財について解説します。

地震保険で補償対象外となるもの

地震保険の補償対象になるのは、あくまで住居部分がある建物(専用住宅・併用住宅)です。この住居部分に何ら損害が発生しておらず、門、塀、垣だけに損害があっても補償されません。


一方、家財の場合、居住用建物の他に物置や車庫、その他の付属建物へ収容されている家財一式が補償されます。ただし、次の建物内の物品は補償対象外です。

  1. 通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手等
  2. 自動車(総排気量が125cc以下の原動機付自転車を除く)
  3. 貴金属(1個または1組の価額が30万円を超える場合)、宝石や書画、彫刻物等
  4. 本などの原稿、設計書や図案、証書、帳簿等
この補償対象外の物品にも例外はあります。「3」「4」の物品は「明記物件」として扱うこともできます。

つまり、契約時にこれらの物品を申告し、保険証券へ明記されれば補償対象となるのです。

地震保険のヒビ割れの損害認定対象について

建物主要構造部のヒビ割れ損害認定は、木造建築かコンクリート造か、それぞれの工法によっても、異なった認定を行うことになります。


こちらでは、木造・ンクリート造の認定の違い、工法ごとの認定の違いについて解説します。

基礎の亀裂は木造の建物の場合のみ損害認定対象

基礎のヒビ割れが地震による損害としてカウントされるのは、木造建築のみです。


よって、住宅が鉄筋コンクリート造などであれば、基礎を除く主要構造部の損傷だけで損害が判定されることになります。


基礎は文字通り、ご自分の建物全体を支える大切な基盤ですよね。地震で起こったひび割れを放置すれば、風雨等で浸食され更に被害が広がる可能性もあります。


ただし、地盤の補強よりは処置が簡単といわれています。修理業者等へ被害状況を見せる等して、耐震面で不安を指摘されたら、直ちに補強することが大切です。


微細な基礎のひび割れならば、樹脂を注入するなどして耐震性能を取り戻します。


最初から鉄筋が無い耐震性の低い基礎の場合なら、鉄筋コンクリート基礎を増設し強度を増すことが賢明です。

【内装のひび割れ】枠組壁工法建物の場合は一部損でも対象内

枠組壁工法とは皆さんにとってナカナカ聞き慣れない工法ではないでしょうか?


この工法は、木材で組まれた枠組に構造用合板等を打ちつけた、床・壁により建物をたてるやり方です。


使用製材で最も多用される断面が2インチ×4インチなため、「ツーバイフォー工法」とも呼称されます。


在来の木材で組まれた構造と異なり柱がないので、施工が単純かつ工事期間は短期間で済みます。


この工法の場合、主要構造部分となるのは、基礎や屋根はもちろんですが外壁そして内壁も含まれます。


つまり、内壁のひびも主要構造部分の被害項目に該当し、損害割合としてカウントされます。そのため、枠組壁工法の内壁のひびならば、一部損として認定されるのです。

【内装のひび割れ】在来軸組工法建物の場合は一部損が対象外の可能性

在来軸組工法とは日本の伝統的な工法のことです。柱や梁、柱と柱の間へ斜めに入れる筋交い等、木の軸が組まれ建物を支える方法となります。


日本ではこの工法が主流なので、ほとんどの木造建築がこちらに該当することでしょう。

クロス・石膏ボードも内壁と同じ扱い

クロスは室内の壁面・天井へ貼る布・紙、石膏ボードなら石膏を主成分とした板状の建材です。こちらの被害も地震保険の対象になるか気になりますよね。


クロス・石膏ボードの被害は内壁の場合と同様に扱われます。枠組壁工法の損害査定の場合でも、クロス・石膏ボードの破損は基本的に考慮しないようです。

参考①:基礎の亀裂(クラック)の種類を紹介

基礎のヒビ割れ(クラック)には、

  • ヘアークラック
  • 乾燥クラック
  • 構造クラック

の3種類があります。


ヘアークラックは、髪の毛ほどの微細な線状のクラックで、0.2〜0.3mm程度の幅です。


乾燥クラックは、外壁材の水分が蒸発して収縮することによってできるクラックです。モルタルなどの材料の特性上、必ず発生しますが、建物にとって深刻な損傷ではありません。


構造クラックは、幅が0.3mm以上で深さが5mm以上の大きなクラックです。上記2つのクラックと違い、強度低下もあり得る深刻な状況なので、修繕が必要です。

参考②:ヒビ割れの査定結果は覆る?査定の交渉法と交渉例を紹介

基礎のヒビ割れの査定結果に納得がいかないという状況にならないために、

  • 査定結果に納得いかなければ、損保会社に再調査を依頼する
  • 「そんぽADRセンター」に相談する
  • 被害状況を撮影しておく

というコツをマスターするのがおすすめです。


大規模な地震の場合、損保会社は膨大な査定業務に追われることとなり、被害状況を見落としてしまうこともあり得ます。


基礎のヒビ割れの査定に不服があれば、その場で署名せず再調査を行うことで、査定結果が変わることがあります。


2回目の査定にも納得いかなければ、「そんぽADRセンター」へ相談してみましょう。こちらは日本損害保険協会に設置された窓口で、親身に契約者の相談に乗ってくれます。


さらに、被害状況の撮影も重要です。地震が起きても査定を受けられるまでに数日程度かかることがあります。


その間に片付けを行ってしまうと、被害状況が正しく評価されない可能性もあるためです。


重大な基礎のヒビ割れが発生していれば、もちろん補修が必要です。基礎のヒビ割れを発見した場合は、業者に診断を依頼してみましょう。


そこで注意すべきことは、複数の業者に依頼することです。中には不要な施工により高額な工事費を請求する悪徳業者もあります。


したがって、複数の業者の診断結果や施工内容を比較することが重要です。

まとめ:些細な基礎のヒビ割れでも地震保険を利用しよう

地震保険の補償対象となる住宅基礎のヒビ割れ査定基準について説明してきましたが、いかがでしたか。


この記事のポイントは、

  • 基礎のヒビ割れは地震保険で補償されるが、実際の損害の状況は保険会社側が判断する
  • 損害の認定基準は、全損・大半損・小半損・一部損の4段階で判定される
  • 地震保険の補償対象は建物なら住居部分、家財なら居住用建物・物置等に収容された物品となる
  • 建物が木造・ンクリート造、工法ごとでヒビ割れの損害認定対象が異なる
  • 査定結果に納得いかなければ、損保会社に再調査を依頼するか、そんぽADRセンターに相談する
でした。

誰でも大きな地震が起きれば気が動転してしまいます。揺れが収まったら、まずは家族の安否を確認しましょう。その後に被害状況を慎重にチェックしましょう。

被害が見つかったら速やかに保険会社へ連絡し、損害を判定してもらうことが大切です。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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