福岡で自転車保険が努力義務化!入るべき保険の種類について解説

平成29年10月から福岡県で自転車保険への加入が努力義務化されたことはご存知のことと思います。自転車保険への努力義務化とはどういう意味なのかお分かりでしょうか?本記事では、福岡県にお住まいの皆様が加入すべき自転車保険について、詳細に解説いたします。

自転車保険の義務化について、福岡県の場合は?

自転車利用者が事故の被害者から高額な賠償金を請求されるニュースを見ると、自転車に乗る方は何かあったらどうしようと不安になりますよね。 


東京、神奈川、鹿児島などに次いで福岡県でも自転車保険の加入が努力義務化されていることはご存じでしょうか。


福岡県では自転車がからむ交通事故は2018年で年間4383件(前年比ー691件)で減少傾向にありますが、自転車同士または自転車と歩行者の事故は135件で横ばいになっており減っていないのです。


自転車保険の補償内容、未加入時のペナルティなど気になりますよね。


そこで今回は

  • 福岡県で自転車保険の加入は義務化?
  • 自転車保険未加入時の罰則は?
  • 加入すべき自転車保険の内容
  • 今ある保険に自転車保険がついているかも
について解説します。

この記事を読んでいただければ、特に福岡県の方に自転車事故と自転車保険について理解を深めていただけると思います。

ぜひ最後までお読みください。

福岡県では自転車保険は努力義務化

福岡県では自転車利用者に対しての損害賠償保険加入は努力義務となっています。


努力義務とは「自転車損害賠償保険等に加入するよう努めなければならない」ということで「加入しなければならない」ということではありません。


2018年12月現在で全国での自転車保険に対する条例は以下のような状況です。

国土交通省HPより)


自転車利用者の損害賠償保険等を義務化しているのは6府県5政令市、努力義務化は10都道県3政令市あります。

条例の種類都道府県政令市
加入義務化埼玉県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県
鹿児島県
さいたま市・相模原市
名古屋市・京都市・堺市
努力義務化
福岡県・北海道・群馬県・千葉県・東京都
鳥取県・徳島県・香川県・愛媛県・熊本県
福岡市・千葉市・静岡市

国土交通省では自転車保険の加入を促進しており、加入の義務化を検討する自治体は今後も増えていくでしょう。

「福岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」の改正

2017年3月、福岡県では「福岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が制定され、同年4月1日(一部10月)から施行されました。


これは自転車の対歩行者事故や、スマートフォンを見ながらの運転、傘をさしての運転など、マナーの悪さや交通ルール違反が問題になったためです。


また注意点として、この条例では「福岡県」での「自転車利用者」なので県外からの通勤者や旅行者なども当てはまります。


「福岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」の内容

大まかな内容は

  • 自転車の安全利用の促進
  • 交通安全教育の充実
  • 自転車損害賠償保険加入の努力義務化
  • 自転車小売業者などによる情報提供の義務化

などになります。


第十三条で、自転車利用者、保護者、事業者などに自転車損害賠償保険等に加入するよう努めなければならないと明記しています。


条例改正の動きと背景

2019年11月、福岡県が自転車保険加入を努力義務から義務化へ改正の検討に入ったとニュースで報じられました。


加入を義務化することで、事故の被害者がより確実な救済を受けることができるよう配慮したものになります。


自転車事故の高額賠償事案例

判決年月事案内容賠償請求金額
2014年1月自転車に乗った男性が赤信号を無視して交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中の女性(75歳)に衝突。死亡。4,746万円
2013年7月自転車に乗った小学生が歩行中の女性をはねて重傷を負わせた。意識不明。親の責任を示した賠償例。9521万円
2008年6月高校生が自転車横断帯の手前から斜めに横断
対向車線を自転車で走行中の会社員と衝突。後遺障害。
9,266万円

未加入による罰則規定はある?

福岡県の条例では自転車利用者の賠償責任保険加入についての罰則規定はありません。


また義務化を盛り込む改正案にも罰則規定は設けない予定になっています。


しかしながら条例には事業者や学校に、職員や生徒に対して、安全で適正な自転車利用の指導を務めなければならないとの記載があります。


そのため自転車保険の加入を事業所や学校が職員や生徒に対して推奨する動きも出てきました。


改正により義務化されれば、通勤、通学などで自転車を利用している場合は事業所や学校などから保険加入の確認が入る可能性もあるでしょう。


普段から安心して自転車を利用するために、これを機会に保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。

加入するならどの自転車保険がよい?

ではどのような自転車保険に加入するのがよいのでしょうか。


どのような補償があるのか見てみましょう。


自分のケガに対する補償
傷害保険が主になります。事業所、学校、保険代理店などで加入できます。入通院費用、手術費用、死亡保険金など金額の設定があります。

第三者に対する賠償
自治体などが加入を義務化にしているのはこの部分になります。これについては以下別項目で解説します。

弁護士費用
相手から被害を被った場合で十分な賠償が得られないときに、弁護士に相談したり賠償請求訴訟を起こしたりする際の費用です。

これらをセットにした自転車保険や、それぞれが別の保険の特約となって利用できるものなどさまざまなものがあります。

対人補償があるものを選ぼう

自動車と違い自転車には強制保険がないため、被害者に賠償金を支払いするためには、利用者が「賠償責任保険」に加入する必要があります。


ニュースなどで話題になっている高額な金額は相手を死傷させたり、後遺障害をおわせ、相手から請求された金額で、対人賠償保険金として支払いされます。


賠償責任保険にきちんと対人補償があることを確認しておきましょう。通常「対物のみ」というように補償が限定されていなければ対人補償は付帯されているでしょう。


以下どのようなものが賠償金として請求されるか見てみましょう。

これらを合計した金額が利用者にかかってくるのです。

賠償金の内容

損害の分類損害の内容
積極的損害治療関係費(診察料、入院料、通院費、看護料など)
葬儀関係費・その他かかった費用
消極的損害治療期間中の休業損害
後遺障害による将来の逸失利益
死亡による将来の逸失利益
精神的損害被害者の肉体的・精神的苦痛
死亡の場合、被害者の父母・配偶者・子による慰謝料請求

すでに自転車保険に加入している可能性も

自動車保険に加入されている方なら、特約で個人賠償責任特約日常生活賠償責任特約という名前の特約は聞いたことがあると思います。


これは自動車事故以外の日常生活上で第三者に損害をおわせ賠償請求された場合にお支払いするもので、実は自転車での事故もこの日常生活上の賠償に入るのです。


自身の保険にこういった特約が付帯されていないか一度確認してみましょう。


自動車保険だけでなく保険会社によっては火災保険や傷害保険にもこの特約をつけることができます。


特約の付帯があれば自転車の賠償部分については加入していることになりますので、よくわからなければ加入代理店や保険会社に確認してみましょう。


そして上限金額も確認が必要です。前例の高額賠償事案を考え最低でも1億円は加入しておくようにしましょう。


特約での保険料自体はそれほど高くは設定されていません。


また1つの特約で家族全員など一定の範囲まで対象が広がっていることがほとんどですのでその場合はそれぞれで加入する必要はありません。

まとめ:努力義務化を機に自転車保険への加入を考えよう

福岡県の自転車保険の加入義務化についてご紹介しましたが、いかがでしたか?


この記事のポイントは

  • 福岡県での自転車保険加入は努力義務
  • 罰則はないが今後義務化へ
  • 自転車保険は対人賠償を確認
  • 自転車事故の賠償ができる特約
についてご紹介しました。

福岡県では2019年3月に「福岡県自転車活用推進計画」を策定しました。

自転車を活用を推進し、二酸化炭素の削減、健康増進、観光振興をすすめていこうと県として考えています。

そうして今後も自転車利用者は増えていくと考えられます。

自転車は大変便利で身近なものですが、スピードが出て歩行者に衝突すれば、相手を死傷させてしまう危険な交通乗用具です。うっかり事故ではすまないのです。

その危険性を認識し、自転車保険加入の義務化にかかわらず、きちんと保険に加入しましょう。

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