退職時、会社で加入していた確定拠出年金はどうなる?iDeCoへ移行は?

企業型確定拠出年金に加入している人が退職する場合、退職後の状況により、必要な手続きは異なります。自営業者や専業主婦になる方などは、個人型確定拠出年金(iDeCo)への資産移管が必要ですので、移管のルールを知って、計画的に手続きをしましょう。

会社を退職して、企業型から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移行はできるの?

勤め先の企業が掛金を拠出する、企業型確定拠出年金に加入されている方も多いかと思います。


特に退職を考えている人は、今まで運用してきた自分の資産が今後どうなるのか、気になりますよね。


実は適切な手続きをせず長期間放置してしまうと、拠出や運用ができないだけでなく、多くの手数料を支払うことになってしまいます。


そこで、この記事では「退職後の個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行手続き」について、

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)の手続き方法と手続きが必要な対象者
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行をしなかった場合
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)の一時金受取注意点

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、企業型確定拠出年金に加入されている方が退職される際の手続きに、きっと役立つと思います。


ぜひ最後までご覧ください。

退職後の企業型から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移行は手続きが必要

通常、企業型確定拠出年金に加入していた人が退職をすると、次のうちいずれかの手続きをしなければなりません。


  • 企業型確定拠出年金への移行手続き
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行手続き
  • 確定拠出年金からの脱退(脱退一時金請求)手続き

転職先に確定拠出年金制度がない場合や、退職前の個人別管理資産が1万5千円以下など脱退一時金を請求できない場合は、個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行が必要です。


手続きは加入者自ら行わなければなりませんので、以下、詳しく見ていきましょう。

加入者資格の喪失、資産の移換の手続きが必要

企業型確定拠出年金に加入していた人が

  • 60歳到達前に企業を退職した場合
  • 役員就任等で企業型確定拠出年金の対象者でなくなった場合

など、確定拠出年金規約に定める内容に該当すると、加入者資格を喪失することになります。


しかし、確定拠出年金制度は、老後の資産形成を目的とした年金制度のため、一度積み立てた年金資産は、加入資格を喪失した場合も、別の管理をしていかなければなりません。


事業主側で資格喪失手続きが終わると、退職者のもとへ「資格喪失時のお手続きのご案内」が届きますので、そのお知らせにそって、加入者自らが手続きをします。

自営業者や専業主婦になる場合は、この手続きが必要

退職して自営業者や専業主婦になる場合も、次のとおり個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行手続きが必要です。

  1. まず商品やサービスを確認し、加入したい金融機関を選択します。
  2. 次に毎月の掛け金を設定します。
  3. 最後に、運用する商品を選択します。

WEBサイトで内容を入力し、必要書類を送付するなど、加入手続きを簡単に行えるものもあります。


また、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金は月5,000円以上1,000円単位で任意に設定できますが(上限があります)、新たに掛け金を拠出せずに運用を指図するだけの「運用指図者」になることもできます。


60歳未満の退職時の企業型から個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移換について注意

個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換は、加入者自身が行う必要があるということが分かりましたね。


しかし、移管の手続きに期限はないのでしょうか。

60歳未満の退職時の企業型から個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移換するとき、注意点がありますので見ていきましょう。

6カ月以内に自ら手続きをしない場合、”自動移換”される

個人型確定拠出年金(iDeCo)への移管手続きは、「加入者資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して6カ月以内」と決まっています。


もし期限内に移管されなかった場合は、年金資産が現金化されて、国民年金基金連合会の預かりとなり、”自動移換”されます。


自動移換されたときのデメリットは

  • 資産を運用できず、利息もつかない
  • 自動移管されない時にはかからない手数料が発生する
  • 自動移換中は、老齢給付金を受けとるための通算加入者等期間に算入されないため、受給開始の時期が遅くなる可能性がある
  • 給付金受給資格に該当しても受給ができず、結局個人型確定拠出年金(iDeCo)等への移管手続きが必要となる

の4点があります。


自動移換にはデメリットがあるので、早めに手続きしましょう。


自動移換されると保有資産の運用状況によっては”損失を出してしまう”

国民年金基金連合会(特定運営機関)に自動移換されると資産が増えないばかりか、手数料がかかってしまうため資金はどんどん目減りします。


かかる手数料は以下になります。

内訳手数料(税込)詳細
特定運営管理機関への移換手数料3,240円  特定運営管理機関に自動移換される際に
特定運営管理機関手数料として徴収される手数料
自動移換に関する事務手数料1,029円特定運営管理機関に自動移換される際に
国民年金基金連合会事務手数料として徴収される手数料
特定運営管理機関手数料(月次)51円

特定運営管理機関に移換されてから4カ月後の月末までに移換等が手続きがされない際に、当該月分から徴収される手数料

特定運営管理機関からの移換手数料

1,080円

or

3,857円

特定運営管理機関から企業型または個人型確定拠出年金へ移換する際に
特定運営管理機関手数料として徴収される手数料

まずは退職してから6カ月経過後に国民年金基金連合会に自動移換されるときに3,240円+1,029円=4,269円の手数料がとられ、管理手数料として4カ月経過後から毎月51円が徴収されます。


その後、国民年金基金連合会から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換するときに3,857円、または企業型へ移行するときに1,080円(この他移管先で手数料がかかる場合あり)の手数料がかかります。


せっかく企業型で積み立てた保有資産も、手数料で損失を出してしまうことになりますので、やはり手続きは期限内に行うほうがよいことがわかりますね。

参考:個人型確定拠出年金(iDeCo)は60歳まで資産を引き出せない

退職して個人型確定拠出年金(iDeCo)に資金を移したあと、その資産を引き出したいと思うこともあるかもしれません。


しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)は老後資金のための制度なので、原則として60歳までは資産を引き出すことができません。


なお、万が一、60歳以前に高度の障害になってしまった場合や、死亡してしまった場合には、その時点でもらうことができます。  


参考:企業型がない会社に転職する場合も個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換しよう

退職前まで企業型に加入していたけれど、転職先の会社では企業型の確定拠出年金制度がないという場合もありますよね。


そのときも、上述しました方法で、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する手続きを行ってください。


特に、個人型確定拠出年金(iDeCo)には、積立時の掛け金が「全額所得控除」となるメリットがあります。

節税額は、年収や拠出額によって変わりますが、積み立てている間は、所得税と住民税が軽減されますので、忘れないように移管の手続きをしましょう。


退職所得控除を受けると損をする可能性がある

確定拠出年金は、年金と一時金のどちらかを選択して受給することができます。


  • 「住宅ローンの支払いに充てたい」
  • 「子供の教育資金や結婚資金に充てたい」


など、まとまった資金を必要とする人は、一時金での受け取りを希望する人も多いでしょう。


実は確定拠出年金は、一時金で受け取る場合、積み立てた拠出金は退職所得扱いとなり、「退職所得控除」を受けられるという、税制面で大きなメリットがあります。


ではそもそも、退職一時金にかかる税金の計算はどのようになっているのでしょう。

退職金にかかる税金は、次のように計算をします。


(退職金ー退職所得控除)×1/2×退職金額に応じた所得税率


この「退職所得控除」というのが、税金を左右する非課税枠です。


勤続年数が長くなればなるほど、この非課税枠が増えるのですが、確定拠出年金については、拠出期間が勤続年数とみなされます。


具体的には、勤続(拠出)期間が最初の20年間は1年あたり40万円で、21年目からは1年あたり70万円となります。


例えば、勤続(拠出)期間が30年の人の退職所得控除額は、


40万円×20年+70万円×10年=1,500万


となり、退職金(積立金)が1,500万円の場合、税金はかからないことになります。


このように、退職所得控除のメリットが大きいからと言って、全員がその優遇措置の恩恵を受けられるわけではありません。


退職所得控除を受けたほうがよい場合と、受けないほうがよい場合の両方があることを知っておきましょう。

退職所得控除を受けたほうがいい場合

退職所得控除を受けたほうがいい場合で考えられるのは、退職金制度がない会社に勤めている人や、専業主婦の人が受給する場合です。


個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金には上限があり、退職金制度がない会社員や専業主婦の人は年額276,000円です。


仮に20歳から60歳まで40年間上限額を掛け続けた場合でも、積立金総額は1,104万円で、退職所得控除額は2,200万円なので、税金で損をすることがありません。


確かに、年金受取にすると、受け取り中の運用益があり、受給額は増えるでしょう。


しかし受け取り中の口座管理手数料を支払う必要があり、また、受給金額が高額になるなど、場合によっては雑所得扱いになった年金額が、社会保険料の算定対象になり、余分な社会保険料を支払わなければならなくなります。


低コストで年金資産を受け取るためにも、専業主婦の方などは、退職所得控除を利用するほうがよさそうです。

退職所得控除を受けないほうがいい場合

退職所得控除を受けないほうがいい場合で考えられるのは、以下のようなケースです。


  1. 退職金制度がある会社員や公務員が個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入している場合
  2. 自営業をしている場合で掛け金が高額な場合


①のケースについて考えてみましょう。


60歳で同時に退職金と確定拠出年金一時金を受け取ろうとすると、それぞれの金額を合算した金額が退職所得として扱われます。


どちらかの金額が退職所得控除額を超えていなくても、合算して退職所得控除額を超えてしまうと、結局超えた分が「雑所得」として税負担を強いられます。


会社などから出る退職金がたくさんありそうな人は、注意が必要です。


次に、②のケースについて考えてみましょう。

20歳から60歳までずっと自営業をしている場合で、掛け金の上限である年額816,000円を40年間掛け続けると、積立金総額は3,264万円ですが、退職所得控除額は2,200万円になります。


こちらの場合も、退職所得控除額を超えてしまいますので、注意が必要です。

まとめ

退職後の個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行手続きについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 退職後の個人型確定拠出年金(iDeCo)への移行手続きは、6カ月以内に行う
  • 6カ月を過ぎると資産は自動移管され、保有資産が目減りしていく
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)の受け取りは、退職所得控除をうまく利用する

以上3点です。


個人型確定拠出年金(iDeCo)制度は、節税対策を兼ねつつ、将来の老後資金に向けて個人が個人の判断で準備できる公的制度です。


退職前の個人資産も、引き続き大切な個人資産であることを忘れず、必要な手続きを計画的に行いましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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