民間介護保険の必要性は?公的介護保険との違いと特徴を詳細解説!

公的介護保険は、介護を必要とする高齢者の増加により、更なる財源が必要になり、利用者の自己負担も増していくと考えられます。その増加する負担を賄う方法として、民間介護保険の活用が期待されています。民間介護保険は公的介護保険の対象外の負担もカバーすることが可能です。

民間介護保険の必要性と公的介護保険との違い

現在の日本では、高齢化が進展し、介護を必要している高齢者の増加や介護期間の長期化により、介護保険制度の充実が必要とされています。


一方、公的介護保険制度が創設される中、生命保険会社などが販売する民間介護保険も続々と登場しています。


民間介護保険は強制的な加入となる公的介護保険制度と違い、あくまで利用者の任意で加入することになります。


今回は、民間介護保険と公的介護保険の特徴を比較しつつ、民間介護保険の必要性を説明していきます。


どのくらいの人が介護サービスを必要とするのか?

厚生労働省の報告によれば、要介護(要支援)認定者数は約606万人(平成26年度)に上ると言われています。認定者を年齢別にすれば次の通りです。

  • 40歳から64歳→約14万人
  • 65歳から74歳→約75万人
  • 75歳以上→約517万人

75歳ごろから急激に認定者が増え始め、全体の認定者数の約85%を占めています。

介護が必要になる原因は

介護が必要になった主な原因は、次の疾病などが上位となっています(厚生労働省ホームページ「平成28年 国民生活基礎調査の概況」参照)。
  • 第1位:認知症・・・18.0%
  • 第2位:脳血管疾患(脳卒中)・・・16.6%
  • 第3位:高齢による衰弱・・・13.3%

認知症や、脳血管疾患(脳卒中)のように、食生活の改善や、適度な運動、規則正しい生活の継続によって、ある程度予防できる疾病もあれば、高齢による衰弱のように生活習慣の改善だけではどうしようもない原因もあります。


介護費用はどれくらいかかるのか

介護費用に関しては、介護を必要とする高齢者の要介護(要支援)度、自己負担額が1割負担か2割負担となるか、在宅介護かそれとも公的な介護施設か、または民間の介護施設かによって、大きな差があり、毎月の介護で「〇万円あれば十分!」ということは断言できません。


ただし、各介護サービスにかかる毎月の費用の目安としては次の通りです。

  • 在宅介護・・・5万円程度
  • 公的介護施設・・・5万円~15万円程度
  • 民間介護施設・・・15万円~30万円程度

地域の介護施設の利用料金や、利用者の介護度、自己負担額の割合によって、利用者それぞれの毎月の介護費用に大きな差が生まれます。

民間の介護保険と公的介護保険の違い

こちらでは民間介護保険および公的介護保険の違いを説明していきます。

双方の介護保険は、加入方法、加入条件、保険料の徴収方法、保障対象が全く異なります。

加入方法の違い

民間介護保険の加入は任意であり、公的介護保険は自動的に加入することになります。

民間介護保険の加入

あくまで利用者が必要と感じた場合に、介護保険を販売する生命保険会社などと契約するという形で加入します。


公的介護保険の加入

40歳以上から自動的に加入する形になります。保険者は各市町村となり、被保険者は65歳以上の方(第1号被保険者)、40歳から64歳の方(第2号被保険者)が対象になります。

加入条件の違い

民間介護保険は各保険会社の所定の条件に従い、公的介護保険は一定の年齢になることが条件です。


民間介護保険の加入条件

各保険会社が定めた規約・約款の条件に従い、加入することになります。保険会社によって、未成年又は20歳から加入できる場合もあれば、60歳~80歳くらいでも加入できる介護保険があります。


公的介護保険の加入条件

前述したように40歳以上から自動的に加入することになります。なお、介護保障は65歳以上で体が不自由になったら自動的に受けられるわけではありません。

利用者本人またはご家族が、保険者であるお住いの市町村へ申請し要介護認定を受けることが必要です。

保険料の違い

民間介護保険は、保障を受ける内容を選んだ上で自分が納得し保険料を支払うことになります。一方、公的介護保険は、所得・職業の有無・職業の種類によって保険料の支払額、徴収方法が異なります。


民間介護保険の保険料

各保険会社の保障内容を確認し保険料を納付することになります。

保険会社によって、様々なプランや費用が設定されています。


公的介護保険の保険料

介護保険制度は、各市町村が実施主体(保険者)となります。第1号被保険者と第2号被保険者に分けて保険料を納付することになります。毎月支払う保険料は所得などにより異なります。

65歳以上の方(第1号被保険者)の場合は、徴収方法として、年金から天引きされる「特別徴収」、各市町村が発行する納入通知書(口座振替)により保険料を納める「普通徴収」があります。


一方、40歳から64歳の方(第2号被保険者)は、従業員などが加入中の健康保険の場合は、給料に応じて天引きされます。また、自営業者のように国民健康保険に加入している方は、納付する保険料に上乗せされます。

保障対象の違い

民間介護保険は現金給付が保障内容となり、公的介護保険は現物給付が主に保障内容となります。


民間介護保険の保障内容

介護に必要な金銭的サポートがその内容となります。例えば、介護が必要になった時に、年金という形で受け取ったり、一時金でまとまったお金を受け取ったりすることができます。


公的介護保険の保障内容

利用者各自が認定された要介護認定基準ごとに、受けられる保障が異なります。

保障内容には、施設に入院または入所、通院、在宅により、運動機能向上・栄養改善・口腔機能の向上などを行う「介護予防サービス」と、健康チェックや入浴、レクリエーションなど、身の回りの世話をする「介護サービス」があります。

また、高齢者の介護度によって在宅介護の場合は、介護用のベッドやトイレのレンタル、自宅に転倒防止の手すりを付けるなどの改修費用を補助する保障もあります。

民間の介護保険の保障内容

民間介護保険には定期タイプと終身タイプの2種類ある

民間介護保険の保障内容は、前述したように現金給付となります。民間介護保険には「定期タイプ」、「終身タイプ」の2つがあり、次のような特徴があります。


定期タイプの民間介護保険

5年、10年、15年と期間を定めて契約する民間介護保険です。期間を区切って保障はされますが、契約が終了すると保障されないことになります。

その分、保険料が安く、保険の乗り換えがしやすいという特徴があります。


終身タイプの民間介護保険

加入すれば一生涯保障される民間介護保険です。保険料は加入時より一定となり、途中から料金が上がることはありません。

ただし、保険料が定期タイプより高く、保険の乗り換えが難しい面があります。

介護一時金

加入者が要介護認定を受け、保険会社の所定の条件に合致した時に、まとまったお金を一度に受け取ることができるのが「介護一時金」です。

一時金として約60万円~数百万円を受け取ることができます。


ただし、加入者が認知症や寝たきりの状態になることが条件とされたり、終身常に介護を要する状態・言語またはそしゃく機能を永久に失ったというような、「高度障害状態」になることを条件にしたりと、保険会社により条件が異なります。

介護年金

加入者が要介護認定を受け、保険会社の所定の条件に合致した時に、年金と言う形で毎月受け取ることができるのが「介護年金」です。

こちらも所定の条件が保険会社によって異なり、要介護度によつて年額20万円~60万円程度と受け取る金額も違ってくることがあります。

介護保険金

加入者が介護を受けているにもかかわらず、残念ながら亡くなってしまった場合には、数十万~数百万円の「介護保険金(死亡保険金)」が遺族に下ります。

この保障は、各保険会社の介護保険によって設けられているものと、そうでないものがあります。

公的介護保険制度があるから民間介護保険は必要ないのか

公的介護保険は、これからも給付内容が充実していくものと思われますが、問題は介護を必要とする高齢者の増加により、更なる財源が必要になる可能性が高いという点です。


現時点でも、公的介護サービスの自己負担額が高額所得者では2割負担となり、介護施設への入所のハードルが高く(特別養護老人ホームの入居条件が要介護3以上)なっています。


公的介護保険の自己負担額の増加や、各給付の条件が厳しくなる傾向は今後も続くと考えられます。


その増加する介護負担を賄う方法として、民間介護保険の活用が期待されています。

公的介護保険でカバーできる部分

施設介護および訪問介護で、介護を必要とする高齢者に対し、次のようなサービスが公的介護保険でカバーされます。

身の回りの世話やリハビリなど

介護を必要とする高齢者各自の要介護(要支援)に沿った、身の回りの世話である健康チェックや入浴介助、レクリエーションや、これ以上要介護状態を悪化させないための運動機能向上・栄養改善・口腔機能の向上などを行うリハビリのサービスがあげられます。


福祉用具の購入補助および貸与

介護を必要とする高齢者各自の要介護(要支援)に沿った福祉用具の購入の補助・貸与があります。

例えば、車いす、介護ベッド、歩行器、自動排泄処理装置などが対象になります。


住宅改修費用

介護を必要とする高齢者各自の要介護(要支援)に沿って、介護を目的とする住宅の改修を行うと、支払った金額の9割程度が払い戻されます。

例えば、手すりの取り付け、転倒防止のための段差の解消、和式から洋式へトイレの取り換えなどが対象です。

公的介護保険でカバーできない部分

公的介護保険でカバーできない費用は、主に日常生活費や、交通費、利用者の要介護(要支援)度に見合わない福祉用具の購入費や、住宅改修費です。

特に福祉用具の購入費や、住宅改修費は、利用者が要介護(要支援)のどの段階であるか、保険者の指定した業者を選んだかによって、費用が払い戻しされるかどうかが決まります。


つまり、「要支援認定」を受けた方が、より重い「要介護認定」で保険対象になる福祉用具などの購入をしても保険は適用されません。


ただし、福祉用具は非常に便利で安全性の高い物ばかりですので、要介護(要支援)度にかかわらず、介護のために充実させたいものです。


民間の介護保険に加入していれば、これら公的介護保険でカバーできない部分を賄うことが期待できます。

民間の介護保険が必要な人

民間介護保険に加入する必要性が高い方は、主に次のケースをあげることができます。
  1. 介護が必要になった時、収入・預貯金などで介護費用を負担することが難しい方
  2. 介護が必要になった時、家族に負担を賭けたくない方や、既に単身世帯となっている方
  3. 公的介護保険が原則として適用されない64歳以下の方で、要介護状態になるおそれがあり、介護のための備えができていない方

逆に、年金収入や貯蓄も充実し介護費用を賄うことができる方、介護の世話をしてくれる家族がいる方は、無理に民間介護保険に加入する必要はありません。

まとめ

民間介護保険は、公的介護保険を補完するための備えの一つと考え、ご自分のご年齢、健康状態、経済状態、家庭環境を総合的に考慮して、加入を検討しましょう。

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