生前贈与をしたら申告は必要?申告方法から注意点まで解説!

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生前贈与をしたら申告をしなければいけません。しかし、申告の方法を知らない、どのような場合でも申告をしなければいけないのかわからない方が多いはずです。記事では生前贈与の際、申告をする必要がある人の条件、申告の方法、申告をしなかった場合について紹介します。

生前贈与をしたら申告は絶対必要なの?



生前贈与をしたら申告は絶対必要なのでしょうか?


生前贈与を行った場合には「贈与税」の申告および納付が必要になりますが、必要な場合と必要ではない場合がありますがその違いについては知っていますか?


税金については、難しそうと思うかもしれませんが、きちんと知っておかないと余計に税金を納めなくてはいけなくなる場合もあります。


この記事では、生前贈与にかかる贈与税について

  • 申告が必要な場合と不必要な場合
  • 申告方法
  • 申告しなかった場合や間違えた場合のペナルティ

を中心に詳しく解説していきます。


生前贈与について詳しく知りたい人や、相続対策として生前贈与を検討中の人は是非知っておいていただきたい内容になっていますので最後まで是非ご覧下さい。

生前贈与は贈与された資産が110万以下なら申告は必要ない!

生前贈与を受け、金額が110万円以下の場合には申告の必要はありません


ただし、この「110万円」は合計金額です。贈与を受けた総額がこの枠をはみ出した場合には申告する義務が生じます。


ちなみにご存じの人も多いと思いますが、この贈与税はもらった金額にかかるため必ず受け取った人が申告します。


ただし、両親や祖父母(扶養義務のある人)から子や孫(扶養される人)への

  • 生活費
  • 教育費
  • 結婚費用
  • 出産費用

などは110万円以上であっても申告は不要です。


子供が大学等へ進学し学費や仕送りをする場合には必要金額で送金頻度も必要に応じた分であれば問題なく申告も不要です。

生前贈与が110万円以下の非課税枠でもかかる場合がある

生前贈与として受け取った金額が110万円以下でも申告が必要な場合があります。それは次に説明する制度を使った場合です。


  • 相続時精算課税制度
  • 配偶者控除
  • 住宅取得等資金非課税制度

相続時精算課税制度

この制度は、60歳以上の両親または祖父母から成人以上の子または孫への2,500万円までの贈与が非課税になる制度です。

ただし、この制度で前項で説明済みの非課税枠と一緒に使うことは出来ず、贈与をした人が亡くなり相続する場合には、贈与を受けた金額を足して相続税が計算されます。

配偶者控除

結婚生活が20年超の夫婦が利用することが出来る制度です。この制度では最大2,000万円までの特別控除を受けることが出来るので不動産などの贈与や相続対策にも有効です。

住宅取得等資金非課税制度

親から子や祖父母から孫に住宅の取得資金のための資金贈与を受けた場合に一定額が非課税になる制度です。

先ほど紹介した相続時精算課税制度と組み合わせて使うこともできます。

このように、生前贈与の税制には様々な制度がありますので、自分達にとってどの方法は一番有益か検討してみましょう。

生前贈与の際、贈与税を申告する方法

中には、税金の申告の経験がないのでどうやってやったらいいのか分からないという人もいるかと思います。


ここでは、生前贈与を行った際の税金の申告について

  • 誰が行うのか
  • いつまでに申告しなくてはならないのか
  • 申告の方法
  • 必要書類
について詳しく説明していきますので覚えておきましょう。

誰が贈与税の申告をするの?

まずは、贈与税の申告者についてですが、結論から言うと申告するのは財産を貰った人です。


贈与税では

  • 財産を渡す人→贈与者
  • 財産を貰う人→受贈者
といいます。


そして受贈者は、申告および納税を行います。

贈与税の申告期限はいつまで?

贈与税の申告は、その年の1月1日から12月31日までに受贈した分を翌年の2月1日から3月15日に申告して納税もします。


ちなみに、確定申告とは違うの?と思う方もいると思いますが、確定申告は所得税を申告するためのものなので贈与税の申告とは別になります。


もし、期限を過ぎてしまった場合でも申告することは出来ます。これを「期限後申告」といいます。


もちろん、何もペナルティがないわけではなく追加でお金がかかることもあります。このことについてはこの後詳しく解説していきます。

どうやって税務署に申告をすればいい?

贈与税の申告は、申告書を作成しお金を納付します。申告書の提出方法は

  • 税務署に直接提出
  • 郵送
  • 電子申請(e-tax)
の3つの方法があります。申告に必要な書類については次項で詳しく説明していきます。



そして支払い方法は4つあります。


  1. 銀行で現金納付
  2. インターネットバンキング(電子納税)
  3. クレジットカード納付
  4. コンビニ納付


支払い方法はいくつかありますが、銀行へ行く時間がない人などは電子納税やクレジット払い、コンビニ納付も出来ます。ただし、電子納付の場合は事前に登録など手続きが必要なので、今まで電子申請したことがある人または今後も申請する人は利用してもよいでしょう。


コンビニ納付は、納税額が30万円以下の場合可能です。支払い用のQRコードを国税庁HPから印刷することが出来ます。


このように納付方法、支払い方法も様々な選択肢がありますので自分の一番やりやすい方法を選択しましょう。

生前贈与の申告で必要な書類はなに?

まず、生前贈与の申告に使う書類は3つあります。そして、これらは利用する制度によって使う書類に違いがあります


<生前贈与を受けた場合の必要書類>

  1. 第一表…「贈与税の額の計算明細書」
  2. 第一表の二 …「住宅取得等資金の非課税の計算明細書」
  3. 第二表 …「相続時精算課税の計算明細書」


暦年贈与で現金を受贈した場合には第一表を使います。この他に添付書類が必要になりますが暦年贈与の場合は本人確認書類のみで大丈夫です。


それに対して、他制度を使う場合は、戸籍謄本や抄本、住民票、不動産登記事項証明書など様々必要になります。


添付書類について更に詳しくしりたい方は国税庁HPを参考にして下さい。


参考:国税庁 贈与税の申告

贈与税の申告漏れがあったときのペナルティ

贈与税の申告漏れではペナルティがあることは説明しましたが贈与税無申告はもちろん、申告が間違っていた時も申告し直さなくてはいけません。


申告の間違えには

  • 過少申告
  • 過大申告

の2つがあります。


税金では過大に申告してしまった場合にも申告し直すことでお金が戻ってくる場合があるので必ず申告し直しましょう。


ここでは、贈与税のペナルティとして

  • 無申告課税
  • 過剰申告課税
  • 重加算税
  • 延滞税
の4つを詳しく解説します。



無申告課税とは?

無申告課税は、申告を行わなかった場合に納付するペナルティです。


元々支払わなくてはいけない税金分に加えてプラスアルファで加算税として無申告課税を一緒に納めます。


無申告課税の加算分は、税金額によって違います。


  • 50万円以下…15%
  • 50万円超…20%

ただし、税務署からの指摘前に自ら申告した場合には、期限後申告として税率は5%に軽減されます。


例えば、300万円の申告を漏れていた場合の無申告税は

50万円×15%+(300万円-50万円)×20%=57万5千円

という計算になります。


これが期限後申告になると

300万円×5%=15万円

という計算になります。


このように、納税額が大きく変わりますので、無申告に気づいたら早く申告するに越したことはありませんので急ぎましょう。

過小申告課税とは?

過少申告課税は、申告額が少なかった場合に加算されるペナルティです。


過少申告課税の税率は


  • 50万円まで…10%
  • 50万円超…15%
になります。


この税率を追加で納めるべき税額をかけて算出します。


ただし、自分で間違いに気づき修正した場合は過少申告課税は免除されますので、誤りに気づいたら直ちに申告直しましょう。

重加算税とは?

重加算税は、贈与を受けた事実を隠していた場合や贈与を受けた金額を故意的に誤魔化した場合に課せられる税金でペナルティの中では一番重いものになります。


税率は

  • 無申告…40%
  • 過少申告…35%
が、金額に関係なくかかります。


重課税を一度課せられると、信用を失いそのあとも税務調査が行われるなど監視されます。支払い金額も大きくなるため負担も大きくなります。


重加算税は、いわゆる脱税等の場合に課されるペナルティになります。その内容が悪質である場合には、刑事罰があることもありますので軽く考えてはいけません。

延滞税とは?

延滞税は納付期限までに納税しなかったことに課せられるペナルティで納付期限の次の日からすぐにかかります。


延滞税の税率は納付期限の次の日から2カ月までとそれ以降で変わります。


そして金利に伴い変動しています。


<納付期間…平成31年1月1日~令和元年12月31日・令和2年1月1日~12月31日>

  • 延滞期間2カ月…2.6%
  • 延滞期間2カ月超…8.9%


近年金利が低い状態続いていますので延滞税の税率も低くなっています。


ただし、延滞税の金額が1,000円未満の場合は免除となります。

生前贈与にかかる贈与税は所得税と二重課税にならない?

生前贈与を受けた場合、それも「所得」とみなされるため所得税も課せられるの?と疑問に思う人もいるかもしれません。


しかし、生前贈与で受けた財産については「所得税」は課せられないことが所得税法の第9条で決まっています。


<所得税法第9条(非課税所得)より引用>

1.次にかかげる所得については、所得税を課さない

        

十六 相続、遺族又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む)


このように相続や贈与で得たものは、所得税も同時にかけると負担が大きくなることから所得税はかからないことになっていますので正しく申告するようにしましょう。


まとめ:申告をしないと余計に多く税金が課される

このように生前贈与の贈与税の申告について詳しく説明してきましたがいかだだったでしょうか。


この記事のポイントをまとめると

  • 贈与税は年間110万円以下では基本的にかからないが、他の非課税制度と併用する場合などは申告が必要な場合がある
  • 贈与税の申告は、贈与を受けた者が、受贈した翌年2月1日から3月15日までに行う
  • 申告方法は、直接税務署に書類を持ち込むか郵送の他、電子申請も可能
  • 納税方法は、銀行納付、クレジット払い、ネットバンキング、コンビ二納付も可能
  • 贈与税の申告漏れや間違いには追徴課税や延滞金などのペナルティがあるが、故意的脱税など悪質なものになると刑事罰が課せれる場合もある
  • きちんと申告することで贈与税と所得税は二重では課せられない

贈与税は、申告をしなかったり、故意的に虚偽の申告をすると余計に多く税金が課せられことになります。生前贈与だけではなく、正しく税金の申告をしない場合はもちろん、その金額が大きい場合などは特にも罪が重く信用を失う事態も避けられませんので、正しい知識を持ってきちんと申告を行いましょう。


保険ROOMでは、この他にも様々な税金に関する記事を多数掲載していますので是非ご覧下さい。



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