医療保険と介護保険の訪問看護の違い。併用は可能?優先すべきは?

訪問看護を必要としている方はここ数年で激増しています。そんな中で訪問看護の支援を受けるためには2つの方法があります。一つが介護保険、もう一つが医療保険によるものです。今回はこの介護保険と医療保険のサービスがいかに違うのかについてまとめてみました。

医療保険や介護保険の訪問看護とは?

あなたは、医療保険と介護保険の訪問看護の違いについて気になって調べていると思います。

訪問看護とは、病院への通院が困難な利用者に対して、看護師が自宅に訪問をして治療のケアを行うサービスです。

近年では、サービスの支援が広がっていますが、もしかするとあまり聞きなれない言葉かもしれませんね。

訪問看護のサービスを受ける場合、適用される保険はどのように決まるのでしょうか。

実は、対象者や利用条件によって医療保険・介護保険のどちらかで訪問するかが決まるのです。

この記事では、「医療保険と介護保険の訪問看護の違い」について
  • 対象者・利用条件
  • 保険料・料金
  • 利用
の3点をご紹介させていただきます。

記事を読んでいただければ、実際に訪問看護を利用する際に役立つと思うので、ぜひご覧ください。

医療保険の訪問看護と介護保険の訪問看護の違いは?

近年においては医療技術の発展・入院日数の短縮化に伴い、訪問看護や在宅看護の件数が急激に伸びています。

過疎地などで遠出のできない高齢者の方や病院に行くことを拒む方のニーズに合わせた変化とも言えるでしょう。


そうした訪問看護にはある悩みがあります。


それは医療保険を使うか、それとも介護保険を使うのかという点です。


どちらも公的保険ですので訪問看護のサポートをすることは同じですが、医療保険と介護保険ではどのようなサポートの違いが出てくるのでしょうか。


実は、医療保険と介護保険の訪問看護へのアプローチというのは多面的に異なるものです。


今回は医療保険と介護保険がそれぞれどのように訪問看護へとアプローチをかけているのかについて見ていきましょう。



訪問看護の対象者・利用条件における違い

ここでは訪問看護の対象者・利用条件における違いについて
  • 介護保険の利用条件が優先される
  • 厚生労働省の定める疾患の場合は医療保険の訪問看護を利用できる
  • 医療保険と介護保険の訪問看護の併用は不可
の3点をご紹介させていただきます。

介護保険の利用条件が優先される

訪問看護を受けられる人の条件は年齢によって異なるので、以下では
  • 40歳未満
  • 40歳以上65歳未満
  • 65歳以上
に分けてご紹介させていただきます。

40歳未満


40歳未満の利用者は、医療保険で訪問看護を受けることになります。

なぜなら、介護保険の対象年齢に達していないからです。

介護保険は40歳以上を対象としていることから、40歳未満の人は疾患に限らず自動的に医療保険を使うことになるのですね。

40歳以上65歳未満


40代以上の利用者で医療保険と介護保険の両方の保険料を支払っている場合では、介護保険の利用条件というものを優先して考え、そのあとで医療保険の条件を検討する形をとります。

具体的には、

  • 16特定疾患(主に加齢が原因の病気)の対象者
  • 要支援・要介護の認定者(介護保険第2号被保険者)

の要件を満たす場合、介護保険で訪問看護を利用できます。


末期がんやパーキンソン病、認知症などの心身の状態から自分の意思による行動に障害を持たせる疾患を16特定疾患といい、介護保険では主にこの点を訪問看護サポートの重要な点としています。


65歳以上


65歳以上の人の内、介護保険第1号被保険者と呼ばれる要介護および要支援と判断されている人が介護保険の対象となります。


また、これに該当しない人や末期の悪性腫瘍、パーキンソン病、ALSなどの疾患を診断されている人は、65歳以上でも医療保険で訪問看護を受けることになります。

厚生労働省の定める疾患の場合は医療保険の訪問看護を利用できる

介護保険による訪問看護の支援が受けられない場合でも、厚生労働省によって定められている厚生労働大臣の定める疾病等や特別訪問看護指示書があれば医療保険の訪問看護支援を受けることができます。

条件は、訪問看護によって治療しなければならないと主治医から判断されることです。


特別訪問看護指示書は「交付された日から14日間」と期間は短いですが、医療保険による訪問看護の支援を受けられることには変わりがありません。


また、これらの特例は特に重病だと判断された訪問看護を必要とする方のために整備された案件です。


そのため、最初からこの特例ありきで訪問看護の支援を期待することは難しいでしょう。

医療保険と介護保険の訪問看護の併用は不可

訪問看護では、医療保険と介護保険の併用はできません。

なぜなら、医療保険と介護保険による訪問看護の併用が認められてしまうと医療保険の本来の目的を達することが難しくなるからです。


ただし、民間の訪問介護サービスと介護保険を併用し、より家族の負担を減らすことは可能です。

訪問看護の保険料や料金における違い

次に訪問看護の金銭面での違いについて、
  • 保険料
  • 支給限度額
  • 自己負担額
の3点を説明させていただきます。

保険料の違い

保険料自体の金額は介護保険が標準報酬月額の1/100であるのに対して、医療保険は毎月定額の保険料が課せられるため収入の変化による負担が多いと言えます。

医療保険の保険料に関しては各世帯主が支払うことになっています。

その世帯主の所得に応じて給与から天引きされる形をとっており、国民健康保険の場合では口座振替などで納入する手続きをします。


対して、介護保険の場合は40歳以上の各自に対してその所得に応じた保険料を給与から天引きする仕組みを採っています。


65歳以上の方に関しては、年金からの天引きか口座振替による納入という手続きをしなければなりません。

医療保険と介護保険からの支給限度額

医療保険には訪問看護に関する支給額の上限はなく、すべて契約内容に沿った支給額が配賦される仕組みを採っています。


一方、介護保険の場合は要介護者の要介護度に応じて支給限度額というものが決まっています。


この要介護度というのは程度が軽い方から要支援1~2、要介護1~5という7つの段階を設けており、程度が重い方が支給限度額は高くなります。


一番程度の軽い要支援1の場合は月額50,030円(5003単位)であり、最も程度が重い要介護5の場合は月額360,650円(36,065単位)が上限となっています。

自己負担額

自己負担額は、医療保険と介護保険で負担割合が異なります。

まず、介護保険による訪問看護支援を受けている場合では、原則として1割、収入が多い場合は2割、もしくは3割になります。


一方、医療保険の場合では要介護度ではなく被保険者の年齢によって自己負担額が変化します。


70歳未満は原則3割、70歳~75歳は原則2割(現役並み所得者は3割)、75歳以上は原則1割(現役並み所得者は3割)と、定められており、70歳以上は所得に応じて自己負担額が決まるのです。


訪問看護の利用における違い

訪問看護を利用するうえで気をつけておきたいことに、利用時間や利用回数があります。

今まで見てきたように介護保険の利用には医療保険を利用するよりもハードルが高い分、医療保険では見られないようなサービスが受けれらるようになります。


そのような2つの保険がどのような制限を加えているのかについて見ていきましょう。



利用時間や利用回数

介護保険によって保険対象となるのは先ほどご紹介した要介護度に応じた支給上限額までです。


そのため何回という決まった数字は出せず、利用するサービスによってその利用限度数は変化するので、自分がどのような支援を必要としているのかを確認したうえでの現状把握が必要です。


医療保険の場合は、保険給付対象が週に1~3回に限られており、この回数の中で訪問看護を行っていくことになります。


一度に行える訪問時間は、医療・介護共に最大で90分です。


しかし、医療依存度が高いつまり訪問看護の必要性が他と比べて突出して高い方に関しては90分を超える「長時間訪問看護」を週に1回のみ受けることができます。


訪問看護事業所の営業曜日は、一般的に月~金の平日の8:30~17:30が多く、事業所によっては土曜日も営業しています。


しかし、利用者の契約に応じて24時間繋がる緊急コールを受け付けている事業所も多く、いつどんなときでも利用者の相談に乗れる体制をとっています。

利用手続きの流れ

訪問看護の利用手続きの流れを適用保険ごとにご紹介させていただきます。

まず、介護保険の場合は
  • 市区町村に介護保険サービスの利用を申請する
  • 認定調査や審査・判定を経て要介護認定を受ける
  • 医師の判断の上、訪問看護指示書を交付してもらう
  • サービス事業者と個別契約を結ぶ
の4つの手順を踏む必要があります。

また、介護保険の認定までには1か月程度かかることを押さえておきましょう。


次に、医療保険の場合は

  • 医師の判断の上、訪問看護指示書が公布される
  • サービス事業者と個別契約を結ぶ
の2つの手順を踏むことになります。


いずれも手続きには時間を要するので、余裕をもって行動をしましょう。

まとめ:医療保険と介護保険の訪問看護の違い

この記事では、「医療保険と介護保険の訪問看護の違い」をご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

記事の要点は、
  • 年齢や疾患によって、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが決定するが、40歳以上は原則として介護保険が優先される。
  • 医療保険と介護保険の併用はできない。
  • 保険料は適用保険によって異なり、自己負担割合は介護保険では収入、医療保険では年齢(70歳以上は収入も考慮される)によって決定する。
  • 介護保険は利用回数制限はないが、医療保険は週に1~3回と制限がある。また、利用時間は介護・医療共に90分である。
  • 訪問看護を介護保険で利用するには、介護保険を申請する必要があり、手続きには1か月ほど要する。
の5点です。

訪問看護を利用する際には、利用者の年齢や疾患を考慮しながら適用保険を決めていくことはご理解いただけたと思います。

しかし、利用者の年齢や収入によっては自己負担割合が大きくなることから、「訪問看護を注視したい」との申し出が多いことは否めません。

利用者の負担は念頭に置きながらも、適切な看護ケアを行う必要があり、在宅での「その人らしい暮らし」を支援していくのが訪問看護の役割だと考えます。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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