自動車保険は70歳以上になると高くなる?保険料を抑える方法は?

自動車保険は70歳以上になると保険料が上がってしまうことをご存知の方は多いかもしれませんが、保険料を抑える方法をご存知でしょうか?実は70歳以上の方でも保険料を抑えることは可能なのです。この記事では70歳以上の方に向けた自動車保険の活用方法を中心に解説します。

自動車保険の保険料は70歳以上になると高くなる?


昭和の時代はお年寄りの印象が強かった70代ですが、令和の今、若々しく元気な方々がたくさんいらっしゃいます。


旅行に、ドライブに、趣味にと、アクティブに過ごされる70歳以上の方が多いのではないでしょうか。


しかし自動車保険の保険料は、70歳以上になったとたんに値上げされてしまいます


定年後はなるべく出費を抑えたいですね。


そこでこの記事では

  • 70歳以上では自動車保険料が値上げされる理由
  • 70歳以上の方が自動車保険料を抑える方法
  • 70歳以上の方におすすめの自動車保険

について、ご紹介していきたいと思います。


どうぞ最後までお付き合いください。


70歳以上だと自動車保険の保険料は高くなってしまう

70歳以上になると、自動車保険料が高くなってしまう。


そんな話を聞いたことがある方は、多いと思います。


高齢者ドライバーによる交通事故が、たびたび報道されています。


70歳以上で運転免許を更新する際は高齢者講習が、75歳以上で運転免許を更新する際には、認知機能検査の受検と高齢者講習等を受講が義務付けられています。


一般社団法人高齢運転者支援サイトによりますと、免許返納の特典を受けられる年齢は、65歳からと70歳からが一般的なようです。


現在、70歳が免許返納の一つの目安がになっていることがわかります。


しかし現役で働いていて通勤に車が必要な方、車がなければ買い物に不自由してしまう方、家族の通院に車が欠かせない方など、車が手放せない方はたくさんいらっしゃると思います。


この項では

  • 70歳以上で自動車保険料が高くなる理由
  • 補償を削ることで保険料を安くできるか

について、説明していきます。

なぜ70歳以上の保険料が高くなるのか

警察庁の発表資料「平成30年における交通死亡事故の特徴等について」を見てみましょう。

その冒頭には
  • 交通事故死者数は減少傾向(3,532人)
  • 高齢者の人口10万人当たり死者数は全年齢層の約2倍
  • 高齢運転者による死亡事故件数は75歳以上80歳以上のいずれも増加

と書かれています。


高齢運転者の交通事故件数は増加傾向にあり、死者数は他の年代よりも多いことがわかります。


それでは、高齢者とそれ以外の方の死亡事故件数を比較してみましょう。


再び警視庁の発表資料、「平成30年における交通死亡事故の特徴について」から、数字を引用いたします。


平成30年度の、免許人口10万人当たりの事故件数を比較します。


75歳未満
の運転者
75歳以上
の高齢運転者
80歳以上
の高齢運転者
3.4人8.2人11.1人

75歳未満の運転者に対し、75歳以上では2.4倍以上、80歳以上では3.2倍以上の事故が起きていることが分かります。


統計的に見て、高齢者は他の年代に比べて交通事故を起こす確率が高いということがわかります。


続いて警視庁の発表資料、「平成29年における交通死亡事故の特徴について」から、死亡事故の人的要因比較を見てみましょう。


75歳以上
高齢運転者
75歳未満
の運転者
操作不適31%
16%
安全不確認24%27%
内在的
前方不注意
(漫然運転など)
15%24%
外在的
前方不注意
(脇見など)
11%18%
判断の誤り8%10%
さらに操作不適の詳細を確認します。

75歳以上
高齢運転者
75歳未満
の運転者
ハンドル操作の不適18%11%
ブレーキとアクセル
の踏み間違い

6.2%
0.8%
75歳以上高齢運転者のブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、75歳未満の運転者に対して約8倍であることがわかります。

ここまでの数字で

  • 75歳以上の運転者は75歳未満の運転者よりも、2.4倍以上死亡事故を起こしている
  • 75歳以上の運転者はブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故を、75歳未満の約8倍起こしている

ということがわかりました。


なぜ高齢運転者は、事故を起こしやすいのでしょうか。


それは、

  • 体の衰えや生活環境により、車を使用する頻度が高い
  • 年齢による衰えにより、若者よりも事故を起こす確率が高くなる

ことが理由として挙げられます。


車を運転する頻度が高くなる要因としては

  • 家族や本人の足腰が弱くなり、少しの移動にも車が必要になる
  • 家族や本人の通院に、車を使用する
  • 住んでいる地域自体が高齢化し、車がないと移動や買い物ができない

などの理由があると言われています。


また若者と比較して事故を起こす確率が高くなる理由としては

  • 年齢による衰え
  • 長い運転経験による、自らの運転に対する過信

の二つが大きく理由とされています。


NHKクローズアップ現代」によると、「事故を起こさない自信があるか」という問いに「ある」と答えた人の割合を年代別に比較すると、年齢が高くなるほど「自信がある」と答える割合が高くなるそうです。


しかし反射神経や、認知機能は年齢とともに衰えていく傾向があります。


70歳以上の高齢運転者は、車の必要性は高まる一方で、事故を起こしやすくなるのです。


これが70歳以上で自動車保険料が値上げされる理由です。


「NHKクローズアップ現代」内で使われていた、高齢運転者に対して「家族がチェックすべき運転行動」を、紹介します。

  • 行き先・目的地を運転中忘れる
  • 中央線・センターラインの不注意
  • 車庫入れ・枠入れの失敗
  • 道路標識・信号機の理解
  • 速度制限・速度の維持
  • 交通環境への注意力維持
  • 運転操作(ブレーキ・ギアチェンジなど)
  • 自動車のメンテナンス(ガソリン・オイルなど)
  • 他の交通者への注意維持(歩行者・自転車など)
  • 車間距離の維持

この10の項目では、運転に大切な「記憶力」「理解力」「注意力」「集中力」「空間認知能力」「感情の抑制」がチェックできます。


またこの番組内で、教育評論家の尾木直樹さんが家族による運転チェックを受けました。


この時の経験がきっかけとなり、2019年6月11日に72歳で運転免許を返納されたそうです。


70歳以上のドライバーにとって、運転免許返納も一つの選択です。

保険料が高くなっても必要な補償を減らすべきではない

それでは保険料が値上げされる分を、補償を減らすことでカバーできるでしょうか。


結論から申し上げますと、補償は減らすべきではありません。


警察庁の発表資料「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」から「75歳以上高齢運転者による死亡事故の累計別件数比較」を見てみましょう。

75歳以上
高齢運転者
75歳未満運転者
車両単独40%23%
人対車両19%38%
車両相互41%39%

75歳以上の高齢運転者による死亡事故は、車両単独による事故が多くなっていることがわかります。


詳細を確認すると、工作物衝突路外逸脱が多く発生しています。


対人だけではなく、対物賠償責任保険も削ることはできないことがわかります。

70歳以上の方が自動車保険の保険料を抑える方法は?

それでも自動車保険料は抑えたいですね。


この項では

  • 車両保険の補償金の減額
  • 型式別料率クラスの低い車への乗り換え
  • 軽自動車への乗り換え
  • 家族との自動車保険の共有

について、ご紹介していきます。

方法①車両保険の保証金を下げる

自動車保険の内容は、大きく3つに分けられます。

  • 賠償責任保険(対人・対物賠償)
  • 傷害保険(人身傷害・搭乗者傷害など)
  • 車両保険

賠償責任保険と傷害保険を低く設定すべきではないことは、ここまでの説明でおわかりいただけると思います。


しかし自分の車の損害に対して支払われる保険でしたら、設定を低めにすることが可能です。


車両保険を考えるときに一つの目安になるのが、愛車の評価価格になります。


高齢運転者の場合、愛車も長年乗っている場合が多いでしょう。一度評価価格を確認し、見直してみることをおすすめします。


また車両保険は安めに設定し、修理に多大な金額がかかるような事故を起こした場合、思い切って廃車にし、運転免許も返納するというのも一つの考え方です。

方法②形式別料率クラスの低い車に乗る

「型式別料率クラス」とは、自動車のリスクを数値化したものです。


損害保険料率算出機構により、車の型式ごとに毎年設定されます。


4つの補償項目が、1~9の料率クラスに分けられており、クラスの数字が大きいほど保険料高くなります。


4つの補償項目とは

  • 対人賠償責任保険
  • 対物賠償責任保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 車両保険

になります。


スピードが出やすい、価格が高い、盗難されやすい、などの特徴がある車は高くなる傾向にあります。 


一度ご自身の愛車の型式別料率クラスを、確認してみてはいかがでしょうか。

方法③軽自動車に乗り換える

軽自動車の登録台数は、近年増え続けています。


軽自動車は車両価格も安く、車両保険を抑えることができます。


燃費や税金も安く、毎月のコストが下げられるのも嬉しいですね。


またコンパクトな車体は車両感覚を掴みやすく、運転しやすいというメリットもあります。


2019年までは、軽自動車の保険料率クラスはすべて対人5、対物5、搭乗者5、車両5に設定されていて、どの車種でも型式別料率クラスを気にする必要はありませんでした。


しかしながら2020年より、3つのクラスに分けられるので、乗り換えの際にはその点も意識されることをおすすめします。

方法④自動車保険を家族と共有する

自動車保険を家族と共有できることは、ご存知の方も多いと思います。


自動車保険における家族とは、「同居の親族、または別居している未婚の子」と定義されることがほとんどです。


別居している未婚の子供や、同居している子供夫婦とは、別の自動車保険に入っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。


また「同居の親族」は家族として認められます。孫、通学のためなどに同居している甥や姪などでも、自動車保険を共有できる場合があります。


家族間では等級分け合えるケースが多いので、うまく活用すれば保険料をぐっと抑えることができます。


同居の家族が自分の車を所有している場合にはセカンドカー割引が適用されますし、特約も共有できるので、良いことづくしです。


ぜひ一度、ご確認ください。

70歳以上だとどの会社が安い?3社を比較

それでは70歳以上の場合、どこの保険会社を選べば値上げを抑えることができるのでしょうか。


今回は人気の三社

  • 損保ジャパン
  • 三井住友海上
  • SBI損保

で、比較してみたいと思います。


70歳男性が新車で人気の軽自動車を購入し、「日常・レジャー」目的で、本人限定で乗るケースを想定しています。


あくまで試算ですので、参考としてご覧ください。


今回は各社のおすすめプランをご紹介しています。


補填内容や特約などは各社のおすすめを優先しています。ご自身の自動車保険料と比較する目安として、ご覧ください。

損保ジャパンの場合

損保ジャパン日本興亜さんの自動車保険、「THE クルマの保険」で見積もりしました。


損保ジャパン「THE 車の保険」のおすすめプランの結果は

エコノミープラン補償充実プラン
月払い(口座振替)10,140円14,190円
年払い116,030円162,190円

となりました。

三井住友海上の場合

三井住友海上さんの「GK クルマの保険」で見積もりをしました。


三井住友海上「GK クルマの保険」のおすすめプランの結果は3つ用意されていますので、最も安いものと最も高いものをお知らせします。


試算では

プラン1プラン3
月払い11,210円13,750円
年払い128,220円157,200円

となりました。

SBI損保の場合

SBI損保さんの「個人総合自動車保険」で見積もりをしました。


SBI損保さんの「個人総合自動車保険」のおすすめプランの結果は3つ用意されていますので、最も安いものと最も高いものをお知らせします。

シンプルプラン充実プラン
月払い6,34013,200
年払い70,470146,580

となりました。


SBI損保さんで最も選ばれている「おすすめプラン」では、月払い10,910円、 年払い121,170円になります。

まとめ:70歳以上でも保険料を抑えられる!

ここまで、70歳以上の方の自動車保険について、ご説明して参りました。


この記事のポイントは

  • 70歳以上で自動車保険料が値上げされてしまう理由
  • 70歳以上の方が、自動車保険を抑えるコツ
  • 70歳以上の方の自動車保険料の見積もり比較

です。


自動車保険は自分にぴったりのものを、少しでも安く選びたいですね。


70歳以上で自動車を運転される方は、無料でできる自動車保険の一括見積もりを試してみてはいかがでしょうか。


 ほけんROOMでは自動車に関する記事を他にも多数公開していますので、ぜひ参考にしてください。

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