保険料を決める予定利率とは?標準利率との違いや注意点を解説
更新日:2019/03/31
予定利率とは?生命保険料を計算する上で重要!
予定利率と標準利率の違いと関連性とは?
予定利率とは人件費などのコストを除いた保険料の一部に対してかかる金利です。
標準利率とは「予定利率」の目安となる利率のことをいい、金融庁が保険会社向けに設定しています。
保険会社はこの標準利率を指標にして各商品の予定利率を決めています。
予定利率が高いほど保険会社の収益が出やすくなるため、保険契約者が払う保険料は少なく済みます。
1980年代の標準利率は約6%ありましたが、バブル崩壊以降下落し、現在は0.25%にまで引き下げられています。
バブル崩壊によって政府が低金利政策を施行し、近年では日銀がマイナス金利政策を打ち出した影響から、標準利率は下がる一方です。
今後標準利率が下がった場合、契約している商品の予定利率は変更されませんが、新しく契約する商品の予定利率には適応されます。
予定利率、標準利率の推移は?
標準利率は、毎年10月1日を基準日として、10年間の国債のうち過去3年間と10年間の平均利回りで低い方を元に算出し、金融庁が決定します。
予定利率は標準利率を基に算定されるため、金融庁の決定が保険料にも影響します。
バブル崩壊以降、2018まで標準利率の推移は下落傾向となっています。
実際に推移を見てみましょう。
改訂年度 | 標準利率 |
---|---|
1993年 | 4.75% |
1994年 | 3.75% |
1996年 | 2.75% |
1999年 | 2.0% |
2001年 | 1.5% |
2012年 | 1.0% |
2017年 | 0.25% |
2017年の標準利率の引下げは、各生命保険会社の予定利率に大きく影響を与え、個人年金保険等の保険料の改定や一時払終身保険等の商品自体の販売中止などの強い影響がありました。
標準利率の引下げは予定利率の引下げも招き、商品によってはその販売自体が難しくなっています。
予定利率は複利計算ではなく単利計算されていることに注意
予定利率とは、銀行など金融機関が提示している金利とは大きく異なります。
銀行の金利は預けた金額そのものに対してかかるものですが、保険会社の予定利率の場合は保険料の一部分に対してだけかかります。
保険会社の予定利率では積立利率には複利計算ではなく単利計算式が採用されています。
- 単利…元本にのみ金利が付く
- 複利…元本とその金利に対して金利が付く (雪だるま式)
予定利率は保険料から経費を引いた残りの金額に単利が乗りますが、銀行の金利は預けた金そのものに対して複利計算でかかります。
保険料のように多額のお金に10~20年の金利が付く場合、複利は単利よりも大きく利息が発生します。
単利で1000万円分の保険料を振り込んで年利1%で10年預けた場合、複利1%の銀行に預けた場合より20万円も損をするだけでなく、手数料がかかるため差額はもっと大きくなります。
保険契約でお金を積み立てる場合、銀行に同じ額を預金するよりも元本は少なく、利息がでにくい条件で計算されるのです。
そのため、貯蓄として保険を検討している場合は、解約返戻金の推移表を考慮して利回りを銀行に預けた場合と比較する必要があります。
利回りの計算式は以下の通りです。
利回り(%)=収益額 ÷ 元本金額 ÷ 年数 × 100
予定利率とは、契約者から集めた保険料から人件費などのコスト(事業費)を除いたお金に対して、保険会社が想定している運用利回りのことです。
予定事業費率、予定死亡率と予定利率でに三利源に関係し、生命保険料の金額を決定する保険料基礎率の要素を成します。
保険会社は預かった保険料を有価証券などの金融商品や、中小企業への貸し出し、不動産への投資で長期的に増やしています。
そのため、お金の増え方は銀行の定める標準利率に大きく左右され、その数値によって予定利率も変動します。
保険の満期保険金や解約返戻金は積立利率から算出されているため、予定利率には左右されません。