既往症(既往歴)とは?医療保険加入の前の告知と調査の意味とは?

保険の既往症(既往歴)とは何か?既往症はいつまで告知するべき?

既往症・既往歴とは、過去の病気やケガの事を言いますが、厳密には異なっています。
  • 既往症:過去にかかったことのある病気やケガで、通院歴や入院歴があるものを指し、現在は完治しているものをいいます。また、断続的・慢性的に長期にわたり患い完治していない病気を持病といいます。
  • 既往歴:これまでに患った既往症を列挙したもの(履歴)をさします。いわば病気版の履歴書が既病歴です。
既往症は、保険会社が被保険者と保険契約するときのリスクとされているので、告知をしなければなりません。

ここで、保険会社から求められた告知事項について、虚偽の申告をすると、告知義務違反となります。告知義務違反をすると、給付金や保険金が受け取れない+保険契約の解除になることがあるため、重要事項は真実を答えましょう。

また、告知事項に求められる既往症の期間は5年と言われています。保険会社が定める「告知を義務付けた病気」に5年以内に患っていた場合、告知しなければなりません。

なぜ既往症(既往歴)がある人は保険に加入しにくいのか?

保険の大原則に「契約者の公平性」という概念があります。


保険は全員が少しずつお金を負担することによって、全員で大きなリスクに備えるという仕組みですので、その公平性は重要になってきます。


病気にかかりやすい人と病気にかかりにくい人では、同じ保障を受けられる場合には同じ保険料では不公平です。


既往症(既病歴)のある方が加入した場合、同じ保険料を支払っているにもかかわらず、保険金を受け取る確率が比較的高くなります。


つまり既往症(既病歴)のある方は保険会社にとってリスク要因となるため、保険に加入しにくいのです。

風邪も既往症なの?既往症の範囲はどこから?

基本的には、医師の診断を受けて治療や処置などを行ったものは全て既往症となります。ただし、風邪や鼻炎などの症状の軽いものについては、既往症には含めないのが一般的とされています。


※記述をしなくてもよい場合の事例は記載されているため、よく確認してから記述をすることが大切です。


また、告知が求められる既往症の種類について、告知書に列挙してある事が多いので、患ったことのある病気なら問題なく告知ができるでしょう。



告知書の書き方はどの保険会社でも同じような方法となっています。

  1. 現在や過去の通院歴や入院歴などに関したいくつかの項目があり、「はい」or「いいえ」で回答します。
  2. 1.で「はい」と記入した場合→病気やケガの名称、治療期間などの詳細を記入します。

告知事項で告知を求められる既往症

既往症の告知義務を設定している保険商品で告知が必要とされる病気は、保険会社や保険の種類によって異なります。


ここでは、告知が義務付けられる病気とされる場合が多い症状をいくつか列挙していきます。


脳卒中・心筋梗塞・狭心症・不整脈・気管支喘息・リウマチ・膠原病・潰瘍性大腸炎・クローン病・高血糖・糖尿病・がん・肝硬変・肺気腫・肺線維症・塵肺・慢性気管支炎・免疫不全症・原発性筋障害・精神や脳・神経の病気や異常など・・・


※アレルギー性鼻炎・花粉症などは通常の場合、告知しなくてもよいのが一般的ですが、入院歴・入院中・入院予定の場合は、告知が必要となる場合があります。


先程も記述した通り、保険会社や保険の種類によって告知事項で告知を求められる既往症が異なるため、確認が必要です。


告知事項に告知を求められる既往症以外・過去5年と記述した場合、それ以前の病気やケガについては告知書への記入を行わなくても告知義務違反にはなりません。

健康診断や人間ドックで要検査となった場合はアウト?

健康診断や人間ドッグを受けて、異常(要再検査・要精密検査・要治療)と指摘された場合、告知書よる告知義務が発生します。


健康診断や人間ドッグを受けて要検査となった場合、告知をしないと、告知義務違反となります。


そのため、要再検査の指摘を受けたにもかかわらず、再検査を受けない+告知をしないと告知義務違反となるので注意が必要です。


しかし、保険加入時に自覚症状がなく、健康診断や人間ドックを受けていない場合、例え保険加入後に健康診断で受けて異常が見つかり、それに関する給付金を受け取ったとしても理論上は問題はありません。  

既往症(既往歴)の調査はどうやってるの?ばれるリスクは?

保険に加入する際、保険会社が保険の申し込みを依頼している人の健康状態を確認する方法として以下の4つが挙げられます。


  1. 告知書扱:保険の加入を希望する人が健康状態を自分で記入します。
  2. 健康診断書扱:健康診断や人間ドッグでの診断結果をコピーして提出します。
  3. 面接士扱:生命保険協会が行う資格試験に合格した人が、生命保険の契約の際に被保険者の告知記載事項の健康状態の確認などを行います。
  4. 医師扱:保険会社が契約している医師がいるため、その医師がいる病院に行き問診をしてもらう方法です。また、医師によっては、被保険者の自宅や、職場に往診してくれる医師もいます。


また、保険調査員と呼ばれる生命保険会社の担当者が保険加入者の既往症を調査していきます。


保険調査員は、医療機関の調査・国民保険組合や国民皆保険への利用履歴の照合、健康診断の記録確認等の方法で調査を行います。

既往症(既往歴)があっても入れる可能性のある保険の種類は?

既往症(既往歴)がある方でも保険に入れる可能性があるため諦めないことが大切です。

既往歴のある方が保険を検討するにあたり、以下の順に検討することをおススメします。


  1. 通常の加入
  2. 特別条件付きでの加入
  3. 引受基準緩和型・限定告知型での加入
  4. 無告知型・無選択型での加入

こちらの順に保険の加入について検討していくとよいでしょう。


理由:下に進むにつれて、保険料が割高になったり保障が手薄くなる、もしくはこの両方が課せられてしまうため、持病をお持ちの人も、通常の条件での生命保険から検討することをおススメします。

1.特別条件付きの告知ありの保険(部位不担保など)

保険会社は告知書などから、保険会社が定めている標準体の危険度を超えている標準下体と判断した場合、特別な条件を付けることによって、保険の加入が認められる場合があります。


具体的にどのような条件を提示される可能性があるのかと申しますと、

  1. 保険料の割増:通常の保険料に対し、保険会社が定める特別保険料を上乗せして支払います。 特別保険料の額は危険度の程度や種類によって異なり、特別保険料は保険料の払込期間終了まで課せられます。
  2. 特定部位不担保:特定の部位については、保険会社が定める期間中は保障されなません。
    (例)特定部位不担保が肺の場合→肺に関する病気(肺がん、肺炎、肺結核など)すべてが保険金支払い原因の対象外になります。
  3. 特定疾患不担保:特定の疾患については、保証対象外にします。
    (例)特定疾患不担保が肺がんの場合→肺がんは対象外、肺炎や結核は保険金支払い原因の対象になります。
  4. 保険金の削減:保険金削減の期間中に保険事故があった場合、保険料の削減に比例して削減された保険金が支払われる制度です。 (例)死亡保障が100万円(保険金の削減期間3年)の契約→2年前に被保険者が死亡→支払われる保険料は50%削減された50万円


また、削減される割合や期間は保険会社や種類によって異なり、年数が経つにつれて削減される割合が減ります。


受け取り保険金が多くなる契約や削減期間中は一律の保険金が削減される契約もあります。

2.引受基準緩和型・限定告知型の医療保険・生命保険

引受基準緩和型・限定告知型保険とは、保険加入希望者を審査する際、健康状態の基準を緩和してくれる・通常の保険に加入を申し込む場合より、告知が義務付けられている項目が減らしてある保険をさします。


このことにより持病をお持ちの方や既病歴がある方でも比較的、保険に入りやすくなっています。しかしその反面、保険料が通常の保険に加入した場合より割高になっていることや、保障内容が手薄いことが特徴です。


引受基準緩和型・限定告知型保険の最大のメリットとして、持病の悪化や既往症の再発した際も、保障されることが挙げられます。


そのため、持病がある。または、既往症の再発を心配している方は、そのほかの病気よりも持病の悪化や既往症を原因として入院・手術が必要になった場合に備えることができます。


引受基準や保険料など保険会社によって異なるため、加入を検討する際は複数の保険会社を比較することや、通常の保険への加入について再検討することが大切です。

3.告知なしの無選択型の医療保険・生命保険(無告知型保険)

条件付きの通常の保険や引受基準緩和型・限定告知型の医療保険や生命保険に加入できない場合、最後の手段となるのが無選択型(無告知型)の保険となります。


このタイプの保険は、保険を契約する際に健康状態について告知することや、医師や面接士の診断が必要ないため、条件条件付きの通常の保険や引受基準緩和型・限定告知型の医療保険や生命保険に加入できない方でも比較的に加入しやすい保険です。


無選択型(無告知型)の保険のメリット・デメリット

メリット

  1. 現在の健康状態に関係なく加入することができる。
  2. 条件付きの通常の保険や引受基準緩和型・限定告知型の保険に乗り換えるまでのつなぎの保険として加入できる。

デメリット

  1. 一般の保険に比べると保険料が割高となる。
  2. 加入してから数年の間に死亡した場合、支払われる保険金は今まで被保険者が支払った保険料分までとなること。   など、、、


無選択型(無告知型)の保険への加入を検討している場合、保障内容が保険料に見合うのか、本当に無選択型(無告知型)の保険にしか加入できないのか慎重に検討してから判断することが大切です。

海外旅行保険やペット保険などの損害保険でも告知がある事例も

海外旅行保険・海外留学保険やペット保険にも告知義務があります。そのため、正しく告知を行わないと告知義務違反となり保険金が支払われない・契約を解除させられてしまいます。


一般的に告知が必要をされている項目は以下の通りです。

海外旅行保険・海外留学保険

現在の健康状態・過去の症病歴、持病の有無・身体の障害状態・他の傷害保険契約の加入の有無・過去における保険金の請求・受領の有無・旅行行程中の危険な運動等の有無 等(海外留学保険の場合、渡航先が含まれることが一般的です。)


ペット保険

.現在、治療中もしくは経過観察中の病気やケガの有無・過去にかかったことのある特定の傷病の有無・過去3ヶ月以内に動物病院で行った予防以外の目的での診察の有無


保険会社によって引受基準が異なるため、ある保険会社に断られたからといって、諦める必要は無く、他の保険会社にも申し込んでみることが大切です。

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