生命保険の利差益の意味とは?マイナス金利との関係を解説!
更新日:2019/04/15
生命保険の三利源の一つ、利差益の意味とは何か?
利差益の計算式・計算方法はどうなっている?
予定利率は保険金の運用によって見込まれる収益をもとに算出された率です。
実際の運用にあたり見込まれていた収益よりも実際の収益のほうが多い場合に発生する差益を利差益と呼びます。
また、逆に見込まれていた収益よりも少なかった場合利差損といいます。
利差損益は下記のように計算されます。
運用収益-予定運用収益=利差損益
予定利率は保険金の運用による収益の見込みですので、景気の変動などで利差損に陥りやすく、実際2000年代は大手の保険会社が軒並み利差損状態に陥っていました。
利差益に加えて、死差益、費差益から保険会社の利益が計上される
保険料基礎率は予定死亡率、予定利率、予定事業費率3つのことを指しますが、どれも見込みから算出された率になっています。
利差益とは予定利率を上回った収益のことを指しますが、これと同様に死差益、費差益と呼ばれる差益があります。
死差益は、厚生労働省のデータから算出された生命保険契約者の予定死亡者数分の保険金よりも、実際の死亡者数とその保険金支払額が下回った際の差益です。
費差益は予定事業費率で見込まれ、準備されていた分の事業費よりも、実際にかかった会社の事業費が下回った場合の差分を利益として考えます。
これら利差益、死差益、費差益3つが保険会社の大きな収益源となっており、3つ合わせて保険会社の三利源と呼ばれます。
利差益は景気変動に大きく影響を受ける
各保険会社の公開された収益データを見たとき、会社ごとに利差損益の差が開いているのも、利差益は景気という不確定要素を含んでいるからです。
逆に平均寿命の安定している日本では死亡率はほぼ一定のため予定死亡率は変動しづらく死差益は保険会社にとって安定した収益源になっています。
2000年以前の生命保険が逆ザヤの原因
予定利率における逆ザヤとは、利差損を出している状態のことを指します。
日本では、景気の影響で2000年頃の逆ザヤの原因は利差益にありました。
1973年から約20年続いたバブルは1990年代前半に崩壊し、景気の変動に伴って実施された超低金利政策は各保険会社の運用収益を激減させました。
この政策を受けて各保険会社は予定利率を引き下げて決算を行いましたが、引き下げられるのはあくまで保険の新規契約だけでした。
保険会社がバブル時代に締結した予定利率の高い契約を抱えているのに対し、不況によって低い利率での資産運用しかできず利差益が逆ザヤにつながったわけです。
利差益とは、生命保険の利益の源泉の一つであり、保険会社が想定している資金の運用率(予定利率)から計算されます。
終身保険や学資保険など、貯蓄性のある保険に関係する場合で特に重要視され、円建てや外貨建ての運用方法によって大きく予定利率が変わってきます。
予定の利回りよりもマイナスになった場合は、利差損が発生し、保険会社における逆ザヤの原因となります。
日本のマイナス金利の影響を受け、円建てでの運用率は下がっています。