子供がいない夫婦の遺産は誰が相続する?配偶者が多くもらうには

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子供なしの夫婦の遺産相続は誰が相続権を得ることができるのでしょうか。記事では、法定相続人の優先順位を解説してから、子供がなしの家庭の様々な遺産相続について場合分けして説明しています。また、亡くなった後、配偶者に多くの資産を残す方法を紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

子供がいない配偶者の資産は誰が相続するの?


子供なしの夫婦は、どちらかが亡くなられた際に誰が相続権を得るのかと考えたことがあるでしょう。赤の他人が相続権を得るとなると、あまり気が進みませんよね。一般的に、子供がいれば夫婦の財産を相続することとなります。


しかし近年は、子供を持たない選択をする夫婦も増えていることから、自分たちのお金の行く先を知っておく必要があるでしょう。


それでは子供なしの夫婦の財産は、どのような順番で相続をされていくのでしょうか。

順番は、法律で決められています。


そこでこの記事では「子供がいない夫婦の遺産は誰が相続するのか」について


  • 法定相続人の優先順位と法定相続分について
  • 子供なしの場合の相続パターン
  • 独身者の遺産
  • 配偶者の遺産の割り当て

について解説していきます。

記事を読んでいただければ、子供なしの夫婦の財産の相続方法をご理解いただけると思うので、ぜひ最後までご覧ください。

法定相続人の優先順位と法定相続分の解説

子供がいない夫婦のうち、片方が亡くなった場合、その財産は誰が相続できるのでしょうか。


優先順位は、


  • 配偶者
  • 父母、祖父母
  • 兄弟姉妹、甥、姪

の順番となっています。

なお法定相続人のなかでも、どなたが優先的に遺産相続ができるのでしょうか。

また法定相続分は、どの立場であればどの程度受け取れるのか気になりますよね。

そこで下記では、

  • 法定相続人の優先順位
  • 法定相続分の割合

について解説をしていきます。

子供がいない夫婦は、自分たちに関わってくる大切な部分なので、しっかり読んでおきましょう。

法定相続人の優先順位はどうなってる?

法定相続人は、下記のとおり区分されます。


  • 配偶者相続人(配偶者)
  • 血族相続人(被相続人の子・孫、父母・祖父母、兄弟姉妹・甥・姪)

このなかで一番優先順位が高い人は、配偶者です。


まず配偶者は必ず相続人になれるので、財産を引き継げることを覚えておきましょう。


子供なしの夫婦の場合、配偶者が生存していればその方が相続権を持ちます。


なお長年別居していても離婚していない限りは、配偶者になるので権利が与えられます。


次に、被相続人に近い関係である父母や祖父母です。
 


しかし被相続人の年齢によっては、父母や祖父母が既に亡くなっている方もいるでしょう。 


その次に相続人になれるのは、被相続人の兄弟姉妹、そして甥や姪です。 


このように、配偶者を始め血縁関係のある人が相続人になれます。

法定相続分はどのくらいの割合?

法定相続分とは、相続人が複数いる場合の各相続人の取り分のことです。


相続人が多いと、相続をめぐって紛争が起きやすいと予想できますよね。


法定相続分は、相続人のパターンによって下記のとおり定められています。


相続人法定相続分
配偶者のみ全部
配偶者と子供配偶者が2分の1、子が2分の1(子が複数なら2分の1を均分) 
配偶者と父母(直系尊属)
配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(兄弟姉妹が複数なら4分の1を均分) 
子供のみ全部(複数なら均分)
父母(直系尊属)のみ全部(複数なら均分)
兄弟姉妹のみ全部(複数なら均分)


子供なしの夫婦の場合、相続人が配偶者のみであれば、全てが法定相続分となります。

子供がいない人の相続パターンを解説

上記で、さまざまな相続パターンを解説させていただきましたが、子供なしの夫婦でも配偶者がすべて相続できるとは限らないことに驚かれたと思います。


子供なしの夫婦は、


  1. 配偶者のみ
  2. 配偶者とその父母
  3. 配偶者と兄弟姉妹


の上記パターンのいずれかで、相続をしていくこととなります。

しかしどのような場合に、どの相続パターンが適用されるのかなど、わからない部分が多いですよね。

そこで下記では、子供なしの夫婦の相続パターンを詳しく解説していきます。

配偶者の両親がいる場合

配偶者が亡くなったときに、その父母がご健在の場合は、両親にも相続権があります。


両親は、配偶者にとって直系尊属に当たるからです。


また両親が揃っている場合も、片親の場合も関係なく相続権が発生します。


この場合、配偶者の取り分は3分の2、父母の取り分は3分の1(どちらも健在の場合は、3分の1を2で割る)です。


子供なしの夫婦は、子供がいない分すべての財産を配偶者が受け取れると思いがちではないでしょうか。

しかし両親がご健在の場合は、3分の1が父母の取り分となります。

遺産相続をするときの大切な知識となるので、しっかりと覚えておきましょう。

配偶者の両親が亡くなっていて兄弟がいる場合

子供なしの夫婦のうち配偶者が亡くなり、かつ配偶者の両親も他界している場合は、すべての財産を相続できるのでしょうか。


結論から述べると、この場合は配偶者の兄弟姉妹も相続人に加わります。


この場合の相続分は、


  • 配偶者 4分の3
  • 兄弟姉妹 4分の1(兄弟姉妹の人数で分割する)

です。

高齢の夫婦の場合、両親が他界しているケースは珍しくないものの、兄弟姉妹がご健在であることがほとんどです。

この場合も、配偶者がすべて財産を相続できるわけではなく、配偶者の兄弟姉妹と分割しなければならないことを覚えておきましょう。

なお配偶者の父母が相続人になる場合よりも、相続分の割合が異なります。

配偶者に家族が全くいない場合

子供なしの夫婦が、配偶者の財産をすべて相続できるのはどのような場合でしょうか。


それは、配偶者の両親が既に他界していて、かつ兄弟姉妹や甥、姪がいない場合です。


この条件が揃うと、配偶者がすべての財産を引き継げるのです。


なお法定相続分についても、全財産を相続することになるので割合は定められていません。


どんなに高齢の夫婦でも、配偶者との血縁関係者がすべていない場合は稀ですので、条件に当てはまる方は少ないと考えます。


しかし相続人が誰もいなければ、配偶者の財産を相続できると定められているので、子供なしの夫婦はよく覚えておきましょう。

配偶者に前の配偶者との子供がいる場合

配偶者とあなたとの間に子供がなしでも、離婚を経験していて前の配偶者との間に子供がいる場合があります。


このとき、前の配偶者の子供にも相続権があるのでしょうか。


結論から述べると、子供には親の財産を相続する権利があるので、前の配偶者との子供にも相続権が与えられます。


この場合の法定相続分は、


  • 現在の配偶者 2分の1
  • 前の配偶者との子供 2分の1(子供の人数で分割する)

です。

ただし前の配偶者には、相続権はありません。

あくまでも血縁関係のある子供については、配偶者であるあなたと同じく相続権があることを覚えておきましょう。

よくある質問:叔父や叔母が亡くなったら誰が相続する?

あなたの叔父や叔母が亡くなったときに、遺産の相続権がくる場合があることをご存じですか。


叔父や叔母となると、遠方に住んでいればあまり会う機会がないかもしれませんが、相続の際には手続きが必要ですので詳しく知っておく必要があります。


まず大前提として、甥と姪は法定相続人には当てはまらないので、基本的には叔父や叔母の相続人になることはありません。


しかし例外として、あなたの父母が叔父や叔母よりも先に亡くなっている場合、父母の代集相続として財産を引き継ぐ可能性があります。


要するに、相続の順位が3番目に当たる兄弟姉妹(あなたの父母)の役割を、あなたが代わって果たすことです。


叔父や叔母の相続人になる可能性がある人は、あらかじめご自身の役割と相続順位を把握しておきましょう。

未婚で家族もなし!独り身の人の遺産はどうなる?

未婚の兄弟姉妹があなたよりも先に亡くなった場合、父母が既に他界しているとあなたたち兄弟姉妹が相続権を持ちます。


しかし兄弟姉妹が全員相続放棄をした場合は、相続人が誰もいなくなってしまうため、遺産はどのように処理されていくのか気になりますよね。


その場合は、


  1. 債権者
  2. 受遺者
  3. 特別縁故者
  4. 遺産の共有者


の順に優先順位が定められ、遺産を取得していきます。

なお相続放棄をしても、すぐに役割が終わるわけではなく、次の相続人が決まるまでは財産の管理を継続しなければなりませんので、未婚の兄弟姉妹の遺産については、ある程度まで管理をすることを覚えておきましょう。

昨今は、生涯未婚率が高くなっています。誰しも兄弟姉妹の相続人になる可能性があるので、正しい知識を得ておく必要があります。

配偶者が亡くなった!遺産を全部もらうことはできる?

子供なしの夫婦が配偶者を亡くした場合、長年連れ添った相手がいない悲しみに打ちひしがれている暇もなく、遺産相続の手続きをしなければなりません。


上記でも述べたとおり、法定相続人が生存している場合は、配偶者と相続人との間で遺産を分割することが定められています。


なお亡くなった人名義の土地や不動産を共有で使用している場合、遺留分で相手の親戚に渡さなければならない可能性があります。


遺留分とは、一定範囲の相続人に対して最低限の財産を保証することです。


このような取り決めもあるなか、配偶者の遺産をすべてもらうことはできるのでしょうか。

生前贈与で配偶者に財産を残す

一つは、生前贈与で配偶者に財産を残しておく方法です。


配偶者の父母がご健在の場合は、6分の1の遺留分があります。


そのため、子供なしの夫婦が配偶者に全財産を残しても、遺留分を請求された場合は配偶者が要求に応じる必要があります。


多くの財産を配偶者に残すためには、生前贈与をすることをおすすめします。


なお奥様が残った場合、1億6,000万円または相続財産の2分の1までは相続税が発生しないものの、相続税の申告が必要です。


相続税の計算方法については、国税庁のページを参照してみてください。


また奥様が残った場合は、相続税の非課税枠を利用する手段があります。


このように生前贈与をしておくと、より多くの財産を配偶者に残すことが可能です。

共有財産の名義わけをしておく

二つ目は、共有財産の名義わけをすることです。


夫婦ふたりの共有財産には、ご自宅や株券、貯蓄などがあると思いますが、大半のご家庭では、共有財産のほとんどが旦那さんの名義である場合が多いのではないでしょうか。


これを名義わけしないままでいると、たとえば旦那さんが亡くなったときには父母や兄弟姉妹にも財産がいく可能性が高いですよね。

そのため事前に共有財産を名義わけすることで、配偶者に残るお金が多くなります。

なお名義わけをすることは、相続税の対策にもなります。

とくに子供なしの夫婦は、お互いがお互いの財産を引き継ぐこととなるので、名義わけをしておきましょう。

遺言を書いて財産を配偶者に残す

三つ目は、財産を配偶者に残す旨を遺言に記すことです。


ご自身の財産をすべて配偶者に残したい場合は、遺言が最大の効果を果たします。


遺言には、


  • 公正証書遺言
  • 自筆証書遺言

の2種類ありますが、確実に遺言を残したいのであれば、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

公正証書遺言は、原本を公証役場で保管することとなるので、紛失するリスクを防げます。

自筆証書遺言にしてしまうとご自身で管理しなければならないため、いざ必要になったときにどこに管理していたか忘れてしまうと、遺言の意味を果たせなくなってしまうので注意しましょう。

まとめ:配偶者のために遺産を残すには

この記事では「子供なしの夫婦の遺産は誰が相続するのか」について解説いたしましたが、いかがでしたか。


記事の要点は、


  • 配偶者は必ず相続人になる。その他の相続順位としては、2番目に直系尊属、3番目に兄弟姉妹となる
  • 法定相続人がいない場合は、配偶者がすべての財産を相続することが可能である。ただし遺留分を請求された場合は、要求に従わなければならない
  • 配偶者に財産を残すためには、生前贈与や共有財産の名義わけ、遺言作成の方法がある

の3点です。

子供なしの夫婦は、財産を相続する際に父母や兄弟姉妹との関わりが大きくなるでしょう。

普段あまり会う機会が無い場合は、円滑に相続ができるような関係づくりを心がけておく必要があります。

また配偶者に多くお金を残すために、生前のうちから遺言等の対策を立てておくと、あなたのご意向が最大限反映された形で相続できます。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されているので、ぜひご覧ください。

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