長期平準定期保険とは?加入条件などについてわかりやすく解説!

長期平準定期保険とは?加入条件などについてわかりやすく解説!-サムネイル画像

法人向けの定期保険として人気のある長期平準定期保険ですが、どのような特徴があるのでしょうか。長期平準定期保険に加入するメリットなどを詳しくご紹介します。併せて他の法人向け保険とどんな違いがあるのも解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

長期平準定期保険とは?

長期平準定期保険のイメージ図

長期平準定期保険のイメージ図

長期平準定期保険とは、保険加入の期間が長期間であって、かつ保険期間中に支払う保険料がずっと変わらないというものです。


保険期間は長い期間が設定され、95歳満期や100歳満期などとなっています。


また、返戻率は少しずつ上がっていって、保険期間の満了のすこし前に最高点に達して、その後は急激に下がるという設定となっています。


そのため、保険期間満了時と役員などへの退職金支払い時のタイミングを合わせるといった活用の仕方がよくなされています。


長期平準定期保険の特徴としては、

  • 退職慰労金の原資とすることができる
  • 役員、社員などの福利厚生を充実させることができる
  • 契約者貸付制度を利用することができる
  • 払済保険に変更することができる

など基本的に資金準備のための生命保険であることが特徴です。


保険会社によって、

  • 返戻率の低い期間を設定することで、その分保険料が割り引かれる
  • 被保険者が喫煙者でなければ、保険料が割引を受けることができる
  • 終身保険などに変換することができる
  • 外貨建ての保険

などさまざまなタイプの商品を扱っています。


そのため自社にとって適切な保険会社で長期平準定期保険に加入することをおすすめします。どこが自社に合っているのか知りたい方は「マネーキャリア」をおすすめします。


「マネーキャリア」では、自社に合った保険会社の紹介だけでなく、長期平準定期保険の具体的な活用方法まで、専門的知識を持ったFPが提案をしてくれるサービスです。気になる方は以下からお申し込みください。

長期平準定期保険の経理処理について

定期保険の経理処理のやり方は、返戻率がどれくらいであるかによって4つに分類されます。

2019年の法改正によって、損金として計上できる割合が見直されました。

従来は保険期間を基準としていましたが、改正後は解約返戻金がピークになるときの返戻率を基準とすることとなりました。

資産計上の割合は次のように改定されています。

最高解約返戻率資産計上割合
50%以下なし
51%〜70%保険期間の前期4割期間:保険料の40%
71%〜85%保険期間の前期4割期間:保険料の60%
86%〜契約から10年間:保険料×最高解約返戻率×90%
11年以降:保険料×最高解約返戻率×70%

損金算入割合が見直されたことによって、高額な解約返戻金となることを謳った定期保険は販売停止になってしまったものもたくさんあります。


今後、新ルールに応じた保険商品が販売されることが期待されます。

長期平準定期保険に加入を検討するべき4つのメリット




長期平準定期保険は名前に「長期」とつくことからも分かるように、一度契約すると長期間契約が有効であり多額の保険料を支払うことになるため加入する際に躊躇してしまうこともあるかもしれません。


しかし他にも保険商品がある中でもこちらの保険を選ぶことで得られるメリットは大きいため、加入を検討してみるべきでしょう。


  1. 退職慰労金の準備金として活用できる
  2. 保険料が損金として扱える
  3. 事業保障対策
  4. 事業継承に役立つ

定期保険の中でも、長い目で見たらお得といえる保険内容について見ていきましょう。

メリット①退職慰労金の準備金として活用できる

長期平準定期保険に加入することによって、保険会社からの保険金は経営者や役員の退職慰労金に当てることができます。


これまで会社の経営に尽力してきた経営者や役員だからこそ、退職の際にはこれまでの働きの労いの意味もこめて、一般社員よりも多目の退職金を支払うことになりますが、その金額は数千万円にものぼる場合があります。


この退職にかかる数千万円のお金をすぐすぐ用意することは難しいでしょう。


今すぐの用意は難しいにしても、数年後退職予定の人の退職金の準備として数年がかりで準備するとなると計画的に準備できるでしょう。


退職のタイミングで長期平準定期保険を解約することで解約返戻金を受け取れるためこれを退職金にあてることで、会社に大きなダメージを与えずにすみます。


保険会社からの保険金の中でも前払していた費用の分は相殺処理して、その残りの部分は雑収入として扱います。


ただし国税庁も事情を鑑みるということもあり、退職金として支払った金額がそこまで大きくない場合であれば費用として扱うことができ、雑収入分の課税を回避できます。


以上のことから、税金のことを過剰に心配することなく退職金の準備を進めることができるでしょう。

メリット②保険料が損金として計上できる

「損金」とみなせる金額が大きければ大きいほど課税の対象となる範囲は小さくなり、会社から国に収めるお金は少なくすみます。


会社にとっては「損金」の範囲が大きければ大きいほど節税となるため、少しでも損金を多くしたいのですが、やはり全てを損金として扱うことはできません。


最高解約返戻率によって保険料の中でも損金になる額や割合は上下しますが、支払った保険料が少しでも損金として扱えることから税金を抑える効果もあります。


最高解約返戻率損金割合
50%以下全額
51%〜70%
保険期間の前期4割期間:60%
(被保険者1人あたりの保険料の額が30万円以下の場合は全額)
71%〜85%保険期間のは前期4割期間:40%
86%〜契約から10年間:支払保険料ー保険料×最高解約返戻率×90%
11年以降:支払保険料ー保険料×最高解約返戻率×70%



最高解約返戻率が高ければ高いほど、損金にカウントできる保険料割合は小さくなりますが保険料の全額、もしくは一部分でも損金とみなし支払う税金を抑えることができるというのは大きなメリットでしょう。

メリット③事業保障対策となる

長期平準定期保険に加入することによって事業における万が一に備えることができるため、事業の将来に備えるという意味でも長期平準定期保険に加入するべきでしょう。


事業を営む上で順調であるときはいいですが、今の時代全てが順調で順風満帆というわけではありません。


いつ何時傾くのか、存続が難しい事態に直面してしまうのかは神のみぞ知るです。


会社の経営が万が一悪化してしまった場合、状況が好転するまでに必要なものは回復するまでの当面の会社運営費用です。


長期平準定期保険に加入していることによって長期間の保障が約束されているため、事業保障対策としてはもってこいの保険と言えるでしょう。


この事業保障対策は「長期間保障されているため、もしなにかあったとしても大丈夫、多少のことで傾くことはない」という企業の信頼の重要な裏付けとなるため、金銭面・信頼面ともにメリットは大きいと言えます。

メリット④事業の継承に活用できる

事業を次の代に承継する場合、自社の株を後継者に贈与するということが考えられます。


この場合、後継者が受け取った株の価値が高い場合、高ければ高いほど税金は多く課税されてしまうため、後継者の納税の大変さを考えた場合、工夫が必要と言えます。


後継者が受け取った株の価値が高い場合納税額も大きくなるため、「株の価値を下げる」ことによって後継者が納税に苦労しないようにする方法があります。


利益を圧縮し、株の価値を意図的に下げることによって利益も小さくなり評価額が抑えられるという仕組みなのです。


評価額を抑えるためにできることの1つが長期平準定期保険に加入し、保険料の中でもなるべく多くの金額を損金として扱うことです。


このことによって課税対象となる部分が小さくなり、事業の承継の際に現経営者も後継者も費用・納税額のあまりの多さに困惑するということがなくなるでしょう。


以上のことから、長期平準定期保険は事業承継にも有効と言えます。

長期平準定期保険をおすすめできる人

会社を経営する人であれば、さまざまなリスクに備えて法人保険に加入することをおすすめします。


特に、長期平準定期保険への加入をおすすめしたいのは、

  • 長期間、一定の保障を確保したい人
  • 役員や従業員の福利厚生に厚みを持たせたい人
  • 退職金の準備金や、急な資金調達のときに備えたい人
  • 事業継承・相続・事業保障などへの対策を取りたい人
  • 少しでも節税に繋がることを実践したい人

などが挙げられます。


法人保険にはいろいろな種類があり、どの保険が自分の会社に合っているのかを見極めるのは難しいものです。


マネーキャリアなら法人保険に詳しいプロが無料で相談に応じてくれます。法人保険の詳細だけでなく、資金調達の方法など、経営者が抱える様々な悩みが解決できます。気軽にご相談ください。

長期平準定期保険の加入条件

長期平準定期保険に加入するためには、いくつかの条件があります。


例えば、

  1. 被保険者の年齢
  2. 加入年齢+(保険期間×2)>105
  3. 長期間保険料を支払う能力があるか

などの条件を上げることができます。


それぞれ詳しく見ていきましょう。

①被保険者の年齢が保険満了の際に70歳より上

保険期間が満了するときに、被保険者が70歳を越えていることがまず第一の条件として挙げられます。


これは、長期平準定期保険の税法上、満たさなければいけない条件として挙げられているものです。


各生命保険会社から出ている商品は、「99歳満了タイプ」や「100歳満了タイプ」など満期年齢が高く設定されています。


満期年齢が高く設定され、その分保険期間も当然長くなってくるのが特徴です。

②「加入年齢 +(保険期間×2) 」が105より大きい

保険期間の2倍に相当する数に、被保険者の保険加入時の年齢を加えた数が、105よりも大きくなることが、第2の条件として挙げられます。


これも、長期平準定期保険の税法上の条件として挙げられているものです。


第一の条件と併せて、詳しくは国税庁のホームページでご確認いただけます。


その他、税制上の条件として、

  • 法人が契約者かつ受取人であること。
  • 役員・従業員が被保険者であること。

などが挙げられます。

③長期にわたって保険料を支払うことができるか

保険料の長期的な支払いをする能力があるかどうかも大切な条件となってきます。


長期平準定期保険は、保険期間が長期間に及ぶということが大きな特徴です。保険料は加入当初から上がることはなく一定であるものの、長い間保険料を払い続けなければなりません。


長期平準定期保険の保険料は年間200万円から300万円となっています。それだけの保険料を払い続けることができるだけの法人としての体力があるかどうかが、加入の条件となってきます。

おすすめの長期平準定期保険を比較



長期平準定期保険は様々な種類が用意されているためプランの違いや特徴はまちまちです。


沢山の保険商品を前にどの保険に加入すべきか迷ってしまいますよね。


長期平準定期保険は契約年数の長短や特徴が多種多様にあるため、一概にある保険商品のみをおすすめすることはできません。


自分の会社の状況や規模、予算や将来必要な資金額によって適した保険は変わってきます。

保険加入検討時は専門家にご相談ください。

終身保険や逓増定期保険との違い



社員の福利厚生の環境を向上させることができ、税金をカットすることも可能となる法人保険は、長期平準定期保険のほかにも養老保険団体長期障害所得補償保険などいろいろなものが販売されています。


ここからは、

  • 終身保険
  • 逓増定期保険

について、長期平準定期保険とどのような違いがあるのかをみていきましょう。


この2つの保険は、法人が加入する保険として人気があるものです。


各保険商品の特徴やメリット・デメリットが見えてくれば、法人にとって本当に必要な保険が見つかるかもしれません。

①終身保険との違い

終身保険と長期平準定期保険との大きな違いは、終身保険に節税効果はないという点です。


終身保険は、死亡したときにはまとまった額の死亡保険金が支払われるため、相続税対策退職慰労金対策として有効です。


会社の発展に貢献してきた経営者や役員などの死亡時にきちんと備えることができ、また経営者の死後の事業継承費などに充てることもでき安心です。


法人向けの終身保険の保険料は個人向けのものと同様に掛け捨てのため、割高となっています。けれど、死亡保険金は確実にもらうことができるので、貯蓄性が高いと言えます。


終身保険との違い①節税効果は期待できない

長期平準型定期保険は、保険料を損金として計上することができるため、法人税を削減することが可能となります。


しかし、終身保険は支払った保険料は全額資産計上しなければなりません。そのため節税に繋げることは難しくなっています。

終身保険の経理処理の解説はこちら


終身保険との違い②資産運用として活用できる

終身保険は途中で解約すると返戻率がとても低くなっています。半面、保険料を払い終えた後の返戻率は高くなっています。さらに解約せずに保険金を受け取るとさらに貯蓄性が高くなっています。


そのため、資産運用効果が高いと言えます。

②逓増定期保険との違い

逓増定期保険は、長期平準定期保険と同様定期保険ですが、返戻率の上昇の仕方に違いがあります。


長期平準定期保険は、返戻率が緩やかに上昇します。一方、逓増定期保険は、加入から5年から10年といった早いタイミングで最高解約返戻率の時期を迎えます。


また、死亡保険金の額にも違いがあります。


長期平準定期保険は、死亡保険金の額はずっと変わりません。一方、逓増定期保険は、加入当初の死亡保険金の額は低いものの、徐々に増加し、最大で5倍の金額となり、この額が死亡時まで続きます。


保険料は、長期平準定期保険と同様に損金算入することができます。ただし保険料は割高な設定となっています。


これらの特徴から、

  • 5年から10年後に、新規投資や事業継承、役員の退職金などまとまった額の支払いを控えている
  • 契約者貸付制度を利用したい(逓増定期保険に加入していれば審査不要)
  • 経営状態がよく、高額な保険料にも対応できる

といった法人には、加入が向いていると言えるでしょう。

長期平準定期保険についてのまとめ



長期平準定期保険に加入することによって


  • 退職慰労金の準備金として活用できる 
  • 保険料が損金として計上できる 
  • 事業保障対策となる 
  • 事業の継承に活用できる
というメリットが受けられることから、長期間の保障を確保したい人や働く従業員の福利厚生に厚みを持たせたい人におすすめすることができます。

その他にも、数年後必要となるだろうとされる役員の退職金や急に資金が必要になったケースに備えておきたい人や事業継承などへの対策を取りたい人にもおすすめすることができる保険です。

加入するためには

  • 被保険者の年齢 
  • 加入年齢+(保険期間×2)>105 
  • 長期間保険料を支払えるか
といった条件をクリアする必要があります。

保険会社ごとに特色豊かな保険商品を取り扱っているため目移りしてしまいますが、自分の会社にはどのプランが適しているか現状を考慮した上でよく検討するべきでしょう。

法人保険の契約について迷った場合は、法人保険の相談経験が豊富なマネーキャリアにご相談ください。数ある法人保険を比較検討し、会社に適した保険探しのお手伝いをします。

ほけんROOMでは法人保険に関する記事を多数掲載しています。興味のある方はぜひ参考にして下さい。

ランキング