法人契約の収入保障保険の3つのメリットと2つのデメリットを解説!

法人契約で収入保障保険加入を検討されている方もいると思います。法人契約の収入保障保険には、事業の安定が図れるメリットがある一方、保障が低くなるデメリットもあります。他にも経理処理の方法や所得補償保険との違いに関してご説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

法人契約の収入保障保険とは?メリット・デメリットは?

この記事をご覧になっている方の中には、法人契約の収入保障保険への加入を検討しているかと思います。


法人契約の収入保障保険は、保険金を年金方式で受け取れるので事業を安定させられるというメリットばかりに注目が行きがちですが、デメリットに関してもしっかりと確認していますか?


法人契約の収入保障保険はのデメリットは、徐々に補償額が減っていく仕組みなので、保険金額の設定が小さいと借入金などの返済がうまくいかないことがあるという点です。


そこで、収入保障保険のメリットとデメリットを確認したうえで、自社に適した保険なのか吟味することが大切になります


今回は、「法人契約の収入保障保険」について

  • 法人契約の収入保障保険の保険金の受け取り方
  • 法人契約の収入保障保険のメリット及びデメリット
  • 保険金受取時の税金について
  • 所得補償保険との違いとは


を通して説明していきます。


この記事を読んでいただければ、法人契約の収入保障保険についての基本的知識を得ることに役立つと思います。


また、法人保険についてどんな些細なことでもまずは直接専門家に聞いてみたいという方はマネーキャリアのオンライン無料法人保険相談を利用してみてください!

収入保障保険は年金受取方式で保険金が支払われる保険

収入保障保険は年金受取方式で保険金が支払われる保険で、掛け捨て型保険なので満期返戻金はないです。


また、被保険者が死亡してしまった場合や高度障害になった場合に保険金を受け取ることができます。


しかし、収入保障保険は契約期間が満了に近づくほど、徐々に保険金が少なくなってしまうという特徴を持っているので、法人で加入を検討している場合は、自社の借入金の返済状況などをしっかりと確認して加入を検討する必要があります。

法人契約の収入保障保険には2つの保険金受け取り方法がある

法人契約の収入保障保険には以下のような2つの保険金受け取り方法があります。


  1. 「確定年金タイプ」の保険金受け取り方
  2. 「歳満了年金タイプ」の保険金受け取り方

以下その具体的内容について説明していきます。

「確定年金タイプ」の保険金受け取る方法

確定年金タイプとは、保険期間中に被保険者がいつ亡くなったりしても、一定期間の年金が確保されているものです。


例えば、保険加入後すぐに亡くなったりしても定められた期間定められた金額を受領できますし、保険期間終了の直前に亡くなったりしても、同じように同内容の保険金を受領することができます。


また、掛け捨て型保険に類型されるため収入保障保険には基本的には解約返戻金はない点に注意してください。(長期契約の場合には支払われるものもあります。)

「歳満了年金タイプ」の保険金受け取る方法

歳満了年金タイプとは、保険期間の終了時点まで年金が支払われ続けるタイプのものです。


例えば、法人向け保険加入後すぐに亡くなった場合は、上記と同じく定められた期間定められた金額を受領できます。


しかし、契約期間終了1年前に亡くなったりした場合には、1年間のみ保険金が支払われます。


また、確定年金タイプと同じく基本的には解約返戻金はありません。

法人契約の収入保障保険の3つのメリット

法人契約の収入保障保険には3つのメリットがあります。


  1. 保険金が年金方式なので、事業の安定が図れる
  2. 事業承継に役に立つ
  3. 保険料が安い

これらの具体的内容は以下において説明していきます。

【メリット1】保険金が年金方式なので、事業の安定が図れる

保険金の受け取りが年金方式なので、支払う税金を抑えることができ、事業の安定を図ることができます。


具体的には、法人保険の死亡保険金は、益金に算入されるので課税対象になります。


そのため、年金方式ではなく一度に保険金を受けとった場合は、多額の税金を支払う必要があり、その年に事業がうまくいっていない場合は経営上とても苦しくなってしまいます。


このメリットを分かりやすく理解するためには、以下のように定期保険で死亡保険金を受け取った場合と比較して解説します。


定期保険で死亡保険金4000万円を一度に受け取った場合

定期保険で死亡保険金4000万円を一度に受け取った場合には、この死亡保険金が益金に一気に算入され、その4000万円に税金がかかってしまい、経営を圧迫する可能性があります。


収入保障保険で死亡保険金を4年に分けて受け取った場合

収入保障保険で死亡保険金4年間で4000万円(年1000万円)を受け取った場合には、死亡保険金は1000万円ずつが益金算入され、それが課税対象になるので、支払う税金を抑えることができます。


このように、収入保障保険で死亡保険金を受け取った場合の方が、急な法人税増加がないので、支払税額を小さくすることができ有利です。


そのため、キーマンである経営者、役員が死亡して経営状態が不安定な時でも、収入保障保険で死亡保険金を受け取った場合の方が、その資金をより経営の安定化に利用することができます。

【メリット2】事業承継に役に立つ

上記のようにキーマンである経営者、役員が死亡して経営状態が不安定になった時の事業承継にも役立たせることができます。


例えば、前経営者、役員時代の時からの借入金がある場合は、返済段階に合わせて保険期間を参考にして保険料を設定できるので、債務にあわせた効率的な保障を準備することができます。


よって、事業承継を安定的に行うことを検討に入れておられるかたにとっては魅力的な保険であると思います。

【メリット3】保険料が安い

この保険を活用すると定期保険よりも保険料が安く済ませることができます。


なぜなら、収入保障保険は毎年補償が逓減していくタイプの保険であるので、定期保険と比べると保険料が安くなるようになっているからです。


補償と保険料のバランスをとりつつリスクヘッジをすることができる点が魅力であると思われます。

法人契約の収入保障保険の2つのデメリット

上記では法人契約の収入保障保険のメリットについて説明してきましたが、以下のような2つのデメリットもあります。


  • 受け取りのタイミングで総額が異なる
  • 保障が低くなる可能性がある

その具体的内容については以下で説明していきます。

【デメリット1】受け取りのタイミングで総額が異なる

上記「歳満了年金タイプ」の保険金受け取り方で説明したような場合を考えてみると分かりやすいと思います。


例えば、月額20万円が25年間支払われるタイプの場合、保険加入後すぐに亡くなったりした場合でも月額20万円が25年間支払われます。


しかし、契約期間終了1年前に亡くなったりした場合には、その後の1年間のみしか月額20万円が支払われません。


そのため、受け取りのタイミングで総額が異なるので、収入保障保険を検討している方はこの点に注意してください。

【デメリット2】保障が低くなる可能性がある

2つ目のデメリットとして、契約が満期になればなるほど保障が低くなるので、事業の安定を図ることが難しい点が挙げられます。


なぜなら、収入保障保険は毎年補償が逓減していくタイプの保険であるので、上記のように受け取りのタイミングで総額が異なってしまい、受け取る保険金が少なくなってしまうと、想定していた補償を受けられない可能性があるからです。


また、毎年補償が逓減していくことから、受け取れる保険金総額が少なくなっていくので、借入金の返済が滞っている場合には、保険金のみでは借入金を全額返済できない可能性もあります。

保険金受取時の税金に注意が必要!

当然ですが、収入保障保険による保険金には税金が課税されます。


保険金に課される税金の種類としては、「所得税」「贈与税」「相続税」が挙げられますが、これらは契約者、被保険者、受取人の関係によって変化します。


具体的には以下のようなケースです。


  1. 被保険者・夫、契約者・夫、受取人・妻(相続税)
  2. 被保険者・夫、契約者・妻、受取人・妻(所得税)
  3. 被保険者・夫、契約者・妻、受取人・子(贈与税)


この中から最も課税額を安くしたい場合は、保険金を一時金として一括で受け取り、控除額の大きい相続税として処理することができる①を選択するのがおすすめです。


なぜなら、生命保険を相続税で処理する場合、最大で「3000万円+600万円×法定相続人の数」の控除額を利用することができるからです。


一方、所得税の場合には、「払込保険料+特別控除の50万円」、贈与税は「年間110万円」までの控除しか認められていません。


個人名義のみならず法人で加入する場合にも、契約者名義を役員、社員、受取人を会社として損金と相殺することによって、節税効果を高めることができます。

収入保障保険の経理処理は全額損金算入できる

収入保障保険は解約返戻金のない全額損金算入で補償に特化した生命保険の一種です。


基本的に保険のタイプによりますが、損金の算入割合は以下のようになっています。


  • 1/2損金算入
  • 1/3損金算入
  • 全額損金算入


損金を全額算入できるタイプのものは限られており、確かに費用計上が大きくなり節税効果は大きいですが、貯蓄性は全くといっていいほどないタイプの保険です。


そのため、うまく使えばこの保険は低コストで必要な補償を受けながら、全額損金算入することができるので優れた保険の1つであると言えます。


法人保険の経理処理方法について詳しくはこちら

最も最適な節税方法や法人保険の加入を検討したいならまずは専門家に相談!

法人向けの収入保障保険以外にも、法人保険は節税のために加入を検討する方が多いでしょうが、正しい知識とそれぞれの保険商品の特徴を全て知っていないと本当にベストな節税プランや最適な法人保険は選べません。


また、それでけでなく個々の会社によって財務状況や事業内容は異なるため全てを考慮して出口戦略を考えた上で法人保険を検討する必要があります。


そのため、ただ専門家に意見を聞くだけでなくセカンドオピニオンのように複数の法人保険の専門家の知見やプランを取り入れることが重要です。


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ぜひ、気軽な気持ちでまずは利用してみてください!

所得補償保険との違いはなに?

所得補償保険とは、被保険者が傷害や病気などで働けなくなった時に、それまでの税込み収入から計算した一定金額が毎月受け取れる保険のことです。


この保険の趣旨は、一時的に働けなくなった状態となった時に、働けるようになるまでの期間の所得を保障するというものです。


逆に、収入保障保険の趣旨は、被保険者にもしもの時があった時に、残された家族の生活を支援するの言うものです。


そのため、所得補償保険と収入保障保険の違いは、被保険者が一時的に働けなくなった場合か、一時的ではなく永久的に働けなくなった場合に対する補償なのかという点です。

まとめ:法人契約の収入保障保険のデメリットも確認しよう

法人向け収入保障保険について説明してきましたが、いかがでしたか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 収入保障保険は保険金受取が年金方式である
  • 収入保障保険のメリットを生かすためにも自社の借入金などの財務状況に合わせて補償内容を検討する
  • 所得補償保険との違いについては、収入保障保険は被保険者にもしもの時があった時に、残された家族の生活を支援するものである

です。


法人向け収入保障保険はうまく使えばメリットがかなり大きい保険の1つであると言えますが、使い方を誤ってしまうとメリットを享受することはできず、デメリットしか残らない保険という特徴が強い保険です。


そのため、メリットとデメリットを正確な理解し、事前に計画をしっかりと練りあらゆる事態を想定しておくことが大事であると思われます。

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