法人の保険に関する配当金の経理処理方法について詳しく解説!

法人の場合さまざまな保険に加入していると思いますが、保険に加入していると保険料の支払いだけでなく受け取った時にも必ず経理処理が必要となります。そこでこの記事では法人の保険に関する配当金の経理処理方法について詳しく解説していきます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

保険で配当金の受取をしたときの経理処理についてわかりやすく解説


何の前ぶれもなしに配当金の支払通知が会社に送られてきたときはどうされているでしょうか。会社では保険でたとえ書面でも配当金の受取をしたときにも経理処理が必要になります。


そこで、法人保険の配当金等、各生命保険の受取の際の経理処理について詳しく解説していきます。

  • 配当金の通知をうけたとき
  • 保険金・解約返戻金を受け取ったとき
  • 退職時に名義変更したとき
  • 受取配当金や受取保険金は不課税
法人保険の経理処理で不安のある方はぜひ最後までご覧ください。

配当金の通知をうけたときの経理処理

加入途中の法人保険には配当金を受けられるものがあり、配当金の通知をうけたとき、どのような経理処理をすればよいか、例を見て参考にしてみましょう。


たとえば法人定期保険に加入していて、35,000円の配当金があったとの通知をうけたとき、会社は経理処理を行うこととなります。保険料を支払った場合の経理処理は毎年全額損金計上しているので、この定期保険の受取った分の配当金はすべて雑収入となります。


ただし、実際に入金されたわけではなく、保険会社から通知があっただけなので、経理処理としては勘定科目は配当金積立金となります。


借方貸方
科目及び金額配当金積立金 35,000円
雑収入 35,000円

この時点では資産勘定に計上されていますが、実際に保険金を受取ったときに振替えることとなります。

保険金・解約返戻金を受け取ったときの経理処理


ではその後もしも被保険者が死亡してしまい、保険金を受取ることとなった場合経理処理はどうなるのでしょうか。


たとえば、先ほど配当金処理を行った定期保険の場合10年間に渡って配当金の通知があった場合で、最後に10,000,000円の死亡保険金を受取ることとなりました。


定期保険の場合は受け取った保険金の経理処理は全額雑収入となります。ただし、毎年配当分を資産として積立ていましたので、これを振替えておきましょう。


  • 死亡保険金:10,000,000円
  • 配当金積立金:350,000円

借方貸方
科目及び金額預金 10,000,000円配当金積立金 350,000円
雑収入   9,650,000円


定期保険の場合は解約しても解約返戻金はありませんが、養老保険など半額を資産計上していた保険を解約して解約返戻金を受け取ったときは経理処理が違ってきます。


  • 解約返戻金:5,700,000円
  • これまでの保険料積立金:1,800,000円
  • これまでの配当金積立金:180,000円
  • 配当金:220,000円

借方貸方
科目及び金額預金 5,700,000円保険料積立金 1,800,000円
受取配当金   220,000円
配当金積立金  180,000円
雑収入    3,680,000円

退職時に名義変更をしたときの経理処理


法人保険で医療保険やがん保険に加入していた場合、被保険者が退職することとなり、このタイミング法人名義の医療保険を個人名義に変更することも、法人保険では少なくありません。その場合の経理処理はどうなるのでしょうか。


たとえばこの会社では経営者が被保険者で医療保険に加入していて、加入する際に10年分の保険料をすでに払い込んであり、毎年1年分の保険料を損金計上しています。


10年経たないうちに退職することとなったため、会社には前払保険料が資産計上として残っている状態ですから経理処理を行うこととなります。


そこで、保険を解約して退職金とともにこの医療保険の名義を経営者に変更して、経営者に渡すこととなりました。


  • 退職金:10,000,000円
  • 源泉所得税:1,801,044円
  • 解約返戻金:5,800,000円

借方貸方
科目及び金額退職金 15,920,000円前払保険料  3,250,000円
配当積立金 120,000円
預り金   1,801,044円
預金   8,198,956円
雑収入  2,550,000円

【参考】受取配当金や受取配当金は不課税

先に述べたところで、退職金には所得税がかかってきましたが、受取配当金や受取保険金に税金はかからないのでしょうか。


法人の経理処理をするうえで消費税は各科目にかかるかどうかで納める税金の額が変わってきてしまうため、とても重要となりますが、受取配当金や受取保険金については事業として取引されていないため不課税となります。


国税庁の公式ページにも記載されていますが、その他給料など労働の対価とされるものも消費税はかかりません。


不課税は最初からそもそも消費税の課税対象とならない取引となりますので、給料等のほか寄付金や会費なども不課税となります。

まとめ

法人の保険に関する保険金や解約金また配当金など受取時の経理処理について解説してきましたが、どれも統一ではなく保険商品や加入時の処理の仕方によって経理処理も違ってきます。


結果的に下記の経理処理を行うときには、それぞれに違った経理処理が必要です。

  • 配当金の通知をうけたとき
  • 保険金・解約返戻金を受け取ったとき 
  • 退職時に名義変更したとき 
ほけんROOMには法人保険に関するさまざまな記事が数多くありますのでぜひご覧になってください。

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