法人保険の見舞金を渡す際の2つの注意点とは?相場はどれくらい?

法人保険の見舞金を受け取る際の2つの注意点をご存知ですか?見舞金は社会通念上相当とされる範囲だと言われています。また、税務署に注意を受けないためにも慶弔見舞金規定が必要です。他にも法人保険の入院給付金受取時の経理処理や法人・個人契約どちらがいいのか解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

法人保険の見舞金を渡す際の注意点はなに?

万が一のリスクに備えて、法人保険に加入しておこうと考える法人は少なくありません。


経営者が入院や手術をした時に入院給付金や手術給付金を受け取ることができ、それを「見舞金」として経営者個人に渡すことができますが、多額の見舞金を渡すと給与として扱われてしまうことをご存知でしたか?


実際に、見舞金を渡す際に支給額の範囲慶弔見舞規定の作成などの制約があります。


では、法人保険で見舞金を渡す際にはどのようなことに注意すればいいのでしょうか?


そこで今回は、「法人保険の見舞金」について

  • 法人保険の見舞金を渡す際の2つの注意点
  • 法人保険の入院給付金受け取り時の経理処理
  • 法人契約と個人契約のどちらがおすすめか

以上のポイントについて解説します。


この記事を読んでいただければ、法人保険を見舞金として渡す場合の税務上の注意点や、法人保険の見舞金のメリットとデメリットについて知る上で役立つと思います。


ぜひ、最後までご覧ください。 

法人保険の見舞金を渡す際の2つの注意点

入院をした人に「お見舞い」をするのは自由なので、どのようにお金を使ってもいいのではないかと考えてしまいがちです。


しかし、法人保険を見舞金として使う場合には制約があることに注意してください。


ここからは法人保険の見舞金を渡す上で以下の2つの注意点について解説します。 

  • 慶弔見舞金規定の作成 
  • 見舞金の範囲

【注意点1】慶弔見舞金規定する必要がある

慶弔見舞金規定とは

慶弔見舞金は給与と異なり、会社に支払い義務はありません。


そのため、法人保険の見舞金などに関する慶弔見舞金規定を作成しなければ、特定の従業員や役員にしか支給されないということも起こってしまいます。


特定の従業員や役員にしか支給されなければ福利厚生費として認められないので、慶弔見舞金規定として支給をする際の客観的な条件を定めておかねばなりません。


慶弔見舞金規定の作成

慶弔見舞金規定作成の際には、以下のような支給条件を定めておかねばなりません。


  • 支給対象となる従業員の役職 
  • 勤続年数 
  • 雇用形態 


規定例 

(支給事由の範囲) 

第○条 慶弔金及び見舞金の支給対象となる事由については、次の各号のとおりとする。 

(1)本人の結婚 
(2)本人又は配偶者の出産 
(3)本人及び家族の脂肪 
(4)災害見舞金 
(5)その他必要と認められる場合 

【注意点2】社会通念上相当な見舞金は50,000円程度

慶弔見舞金の額は、法令・通達上は「社会通念上相当な額」とされているのみで、明確な範囲額は決められていません。


しかし、平成14年に国税不服審判所は、社会通念条相当とされる額とは入院1回あたり50,000円であるとの見解を述べました。


これにより、見舞金の範囲は50,000円以下に設定する必要があり、この額を超えると「社会通念上相当」ではないと判断されてしまいます。

法人保険の入院給付金受取時の経理処理

法人保険の入院給付金を受け取った際の経理処理は、以下の3つに分けて考える必要があります。

  • 入院給付金を「法人」が受け取った際の経理処理
  • 法人から入院給付金等(見舞金)を「役員・従業員」が受け取った際の経理処理
  • 保険会社から入院給付金等を「役員・従業員」が受け取った際の経理処理


入院給付金を「法人」が受け取ると、全額が損金算入されます。


法人から入院給付金等(見舞金)を「役員・従業員」が受け取ると、「社会通念上相当な額」である50,000円を超えなければ非課税となります。


しかし、50,000円を超えると給与扱いとなり、課税されてしまいます。


保険会社から入院給付金等を「役員・従業員」が受け取ると、所得税には課税されないので、会社では経理処理をする必要はないです。

医療保険は個人契約か法人契約どちらがいいのか?

医療保険には、以下の2つの契約方法があります。 


  •  個人契約 
  •  法人契約 


 個人契約にするか法人契約にするかで、保険料を損金に算入することができるかどうかも変わってくるので、節税効果も大きく変わってしまいます。


ここからは法人契約のメリットとデメリットについて、特に節税効果の観点から解説していきます。

法人契約医療保険のメリット

【メリット1】保険料を損金算入できる

医療保険を法人契約することのメリットとしてまず挙げられるのは、保険料を損金算入できるということです。


損金算入額が大きければ大きいほど、益金と相殺することで法人税の課税対象額は小さくなるため、節税効果が高くなります。


個人契約の場合も医療保険控除などで節税効果がないわけではありませんが、保険料の全額や半額を損金算入できる法人契約に比べると、節税効果が低いと言えます。


【メリット2】名義変更で現物支給できる

法人契約のもう1つのメリットとして、名義変更によって現物支給することができることが挙げられます。


法人契約では、保険料払込期間が終わった後、名義を個人に変更することができます。


そうすると、個人名義で保障を受け続けることができるほか、受け取った保険金を退職金として現物支給することができます。

法人契約医療保険のデメリット

【デメリット】法人契約では給付金が課税対象

法人契約のデメリットとしてあげられるのは、給付金を法人が受け取ると雑収入となってしまうことです。


雑収入は経理上、益金として計上されるので、法人税の課税対象となってしまいます。


他にも「社会通念上相当とされる額」を超えて、法人が受け取った給付金を見舞金として「従業員や役員」に渡す場合は給与扱いになり、見舞金に対しても所得税の課税対象となってしまいます。


法人保険の詳しい経理処理についてはこちら

個人契約の場合は非課税

これに対して、個人が給付金を保険会社から直接受け取った場合は非課税となります。

まとめ:見舞金を渡す際は慶弔見舞金規定が大事

法人保険の見舞金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは 

  • 法人保険の見舞金を渡す場合には慶弔見舞金の規定が必要
  •  1回の入院で法人保険の見舞金の範囲は50,000円以下
  •  法人保険の入院給付金を受け取った際の経理処理は、受取人によって異なる 
  • 医療保険は法人契約の方が節税効果が高い 

でした。


法人保険の見舞金は自由に設定できるわけではなく、あらかじめ慶弔見舞金の規定を作成しなければなりません。


法人保険の見舞金に関する慶弔見舞金規定の作成をしておかないと、税務署から修正を求められたり、否認されたりしてしまう可能性があります。


慶弔見舞金規定は、社会保険労務士などの専門家に相談しながら作成するのがおすすめです。


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