誘発分娩や陣痛促進剤、出産バルーンにかかる費用は保険適用?妊娠高血圧症候群のリスクも解説

妊娠中・出産時には医療保険を使えますが、誘発分娩(異常分娩)の陣痛促進剤などの費用は、公的保険の保険適用、医療保険の給付金対象となるのでしょうか?誘発分娩の費用の保険について、かんぽ生命やコープ共済、第一生命などの保険会社の医療保険を参考に解説します。

内容をまとめると

  • 誘発分娩に健康保険は適用されない
  • 異常分娩と医師に判断された出産は民間保険が適用になることが多い
  • 民間の医療保険に加入しているなら保険金の請求をまずしてみる!
  • 民間の保険が適用されるかどうかは契約する保険次第
  • 出産に関する保険は条件等が複雑なためプロに相談しながら検討しないと適用条件や保険金のトラブルにつながってしまう
  • 出産の保険加入でお悩みなら出産保険専門のマネーキャリアの保険相談を有効活用することがおすすめ!
監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

誘発分娩や陣痛促進剤、出産バルーンにかかる費用は保険適用?誘発分娩のリスクは?



出産時、もしも誘発分娩となった場合、加算される費用はいくら位となるのか気になりますよね。さらにその誘発分娩は、今加入している医療保険の適用となるのか知っておきたいところです。


妊娠・出産は病気ではありませんが、出産の予定超過や何らかの理由により、医師の手により誘発分娩となったとき、医療の介入となり、医療保険適用となるのでは?と考えられます。


そこでこの記事では、「誘発分娩の方法と、誘発分娩医療保険適用となるか」について

  • 誘発分娩という出産方法
  • 誘発分娩の際にかかる費用
  • 誘発分娩の際、医療保険適用または不適用となるケース
  • 計画分娩での注意点
  • 医療保険の適用範囲は保険会社によって異なる
  • 出産費用を助成・補助する制度
以上を中心に解説していきます。


この記事を読んでいただいたら、現在妊娠中で保険の見直しを考えておられる方や、誘発分娩での費用についてお調べ中の方の参考となるはずです。


ぜひ最後までご覧ください。

そもそも誘発分娩ってどんな出産の仕方?バルーンや陣痛促進剤など



誘発分娩は主に以下の3種類の処置があります。

  • バルーン(ラミナリア・メトロイリンテル)
  • 陣痛促進剤・陣痛誘発剤
  • 人口破膜
妊婦の方やお腹の赤ちゃんのために出産を早めたほうが良い、と医師が判断したとき行われます。

①バルーン(ラミナリア・メトロイリンテル)

器具が膨らむことにより子宮を刺激し、その収縮を促し、子宮口を柔らかく開きやすい状態にする処置です。


出産間近でも子宮頸管や子宮口が未熟な状態の場合、バルーンによる処置が必要となります。


用いられる器具には、ラミナリアという子宮の中の水分で拡張する棒状の器具と、メトロイリンテルという生理食塩水をいれてふくらませるバルーン形状の器具の2種類があります。

②陣痛促進剤・陣痛誘発剤

陣痛が全然始まらないという時には陣痛促進剤(陣痛誘発剤)を使用して、陣痛をわざと起こします。


陣痛の感覚があまり強くない場合、お産が長引く場合に陣痛促進剤を点滴で服用することもあります。いずれも陣痛を強めるために行うということです。

③人口破膜

陣痛を早めるため卵膜を破って人工的に破水させ、陣痛を起こさせるという方法で、陣痛促進剤を投与しても陣痛が始まらない場合に行われます。


場合によっては激痛を伴うケースもあります。不安ならば医師にどのようなプロセスで行うか良く聞いておいた方が良いでしょう。

具体的にどのような場合に誘発分娩が行われるの?

誘発分娩が行われるケースをいくつかあげると、

  • 胎盤機能低下の可能性があると考えられ、出産予定日から1週間以上経ているケース
  • 4000gを越える赤ちゃんで、難産になる可能性が想定できるケース
  • 妊婦・胎児共に弱くなり、微弱陣痛で長時間出産に至らないケース
  • 分娩開始前に破水してしまい、細菌感染のリスクがあると医師が判断したケース
  • 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などで母体の状態が悪いケース
このようにさまざまな場面で誘発分娩をする可能性があり、事前に備えておくことが重要です。

出産の方法は人によってさまざまな個人差があるので、その時に医師の話を聞きながら適切な処置を行ったり、経済的な面でも事前に女性へ特化した保険で備える必要があります。

誘発分娩にかかる費用はいくら?保険適用されるの?



一般的に、誘発分娩では医療保険の対象となりませんので、費用はすべて自己負担となります。

気になる誘発分娩へかかる費用ですが、誘発分娩と一言でいっても、処置の方法は様々です。ですので、かかる費用も一概には言えませんが、数万円~20万円まで自然分娩の費用に加算されることが多いです。


誘発分娩のために膣を柔らかくする注射や陣痛誘発剤、バルーンなどフルコースで処置した場合には、20万円近くかかる可能性があります。


最終的に医師が疾病と判断して治療行為を行えば、誘発分娩でも医療保険での給付対象となりますので、遠慮せずに保険会社に聞いてみましょう。

①公的医療保険の場合:誘発分娩に健康保険は適用されない

基本的に出産は病気といえません。また誘発分娩も自然分娩の範囲内とされていますので、誘発分娩に健康保険は原則として適用されません。

あくまで妊娠出産は自然なこととして、病気の処置ではないという前提から健康保険は使用できず、自費治療扱いとなります。


ただし、医療措置として誘発分娩が行われた場合は健康保険でも保障される場合があります。例えば以下のような事例です。

②民間の医療保険の場合:誘発分娩が異常分娩扱いなら保険適用される

誘発分娩は基本的に正常分娩へ分類されるので医療保険は適用外です。しかし、『異常分娩』の場合には公的保険と同様に保険適用されます。


自然分娩の流れだったところ、医学的判断から医師による手術が入った、という場合には異常分娩と判断され、医療保険の給付金請求対象となるのです。


代表的な異常分娩とは帝王切開がありますが、人によっては誘発分娩も異常分娩の一種と考えられることがあり、その場合は医療保険の請求ができます。


異常分娩の給付例については「医療保険の給付対象になる異常分娩ってなに?具体的に説明します。」の記事を参考にしてください。


一般的な定義では、医師が疾病と認めて診療を行った場合に異常分娩とする、となっています。そのため、このままでは母体も子供も危ないと医者が判断し、処置した場合は異常分娩と判断されるのです。

民間の医療保険に加入しているなら保険金の請求をまずしてみる!

誘発分娩だったから異常分娩ではない、と自分で判断することで損をしてしまう可能性があります。自分の気付かないうちに医療行為になっているということも十分に考えられます。そのため、まずは加入している保険会社に問い合わせするか、申請してみましょう。


特に、女性特有疾病のサポートがついた保険商品の場合であれば、給付金が上乗せされることもあります。


保険金の請求をするだけなら特にお金はかかりません!申請に診断書が必要な場合でも、保険が下りなければ診断書の費用は返金されます。

誘発分娩は計画分娩になる事がある


出産の予定日超過となっても陣痛が始まらない場合、医師の決定で誘発分娩を行います。

誘発分娩が行われる理由として、出産の予定日超過のため母体の胎盤機能が落ちてきたり、胎児が成長し過ぎたりすると、母子が危険になると判断されるからです。


その場合は母体の状況を確認しながら入院日を決め、予め出産する日を決める計画分娩に移行します。そして、体調をみながら医師の指導で誘発分娩を行うのです。

計画分娩の注意点

誘発分娩を行うことになった場合、出産を計画的にする計画分娩となりますが、その際には注意点があります。


誘発分娩で陣痛促進剤を投与したときに、陣痛だけがどんどん強く起こる過剰陣痛など、わずかではありますが母体へのリスクもあるのです。


ですから、誘発分娩を行う際にはその流れやリスクをしっかりと理解して、わずかな母体の状態の変化にも気をつけなければいけません。


また、あまり知られていませんが、実は出産する時間帯や曜日によって、出産費用がさらに加算されてしまいます。


休日や年末年始、また早朝や深夜に出産・出産後の処理が行われた場合には、それぞれ病院が定めた割増料金も加算されますので、計画分娩の際には注意しておきましょう。


高額医療の出産費についてはこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。

出産・妊娠にそなえるためにおすすめの医療保険を紹介!


出産・妊娠の際、異常分娩というまさかの事態に備えるため、次のような医療保険を検討しましょう。

医療保険内容
A医療保険異常分娩で入院した場合、入院給付金が同額上乗せ
B医療保険短期の入院でもしっかり入院保障を受け取れる
C医療保険後から女性に厚い医療保障を追加することができる


おすすめ医療保険Aの例:入院給付金の充実


異常分娩となれば、数日程度の入院だけで退院できないかもしれません。10日以上の入院を視野へ入れることになるでしょう。そんな場合を考えて、入院給付金が手厚く受け取れる医療保険へ加入しておきましょう。


異常分娩である場合、「女性入院給付金」が通常の入院給付金の同額分上乗せされる商品もあります。例えば、通常の入院給付金日額10,000円なら、更にもう10,000円が上乗せされるわけです。


おすすめ医療保険Bの例:短期入院でも手厚い保障


異常分娩とはいえ、医師の処置や母体の回復が早い場合、意外にも短期間で退院できるケースはあります。それは喜ぶべきものなのですが、その分、受け取る給付金がわずかとなる場合もあります。


医療保険の中には、入院日数に関わらずまとまった一時金が受け取れる商品もあります。


おすすめ医療保険Cの例:女性に手厚い医療保障を追加


ご自分が医療保険に入った当初は、女性の疾病に関してピンと来なかったものの、後から深刻な症状となり得ることに気付いて、女性疾病保障を厚くした人がいるはずです。


この場合、いったん解約するのではなく、そのまま女性疾病保障を追加できる商品もあります。

医療保険の適用範囲は保険会社によって異なるので確認を!


自然分娩であっても吸引をしたから医療保険の給付金が出た、誘発分娩をして会陰切開をしたけれど手術とは認められずに医療保険の対象とはならなかった、など、保険給付に関し、適用範囲に疑問を持たれる方も多いかと思います。

しかし、最終的に出産時に医療行為が入ったかどうかは、医者によっても判断が異なります。また、保険給付の適用範囲に関しても、保険会社によって異なります。


妊娠・出産時の費用を保障してくれる心強い保険会社として、『コープ共済』や『O生命(詳しくはお問い合わせください。)』などがあります。※


コープ共済では保険適用となる女性特定病気入院の中に、妊娠時の高血圧症や分娩時の合併症のほかに、吸引分娩も含まれています。


またO生命では、帝王切開などの異常分娩における手術に対する保障のほか、つわりでの入院も保険給付対象となります。


このように、各保険会社によって妊娠・出産時に適用される保障内容は異なります。自分が契約している医療保険ではどのような場合に保険適用されるのか、一度担当者に聞いて確かめておくと安心できますね。


※2017年現在の情報なので、詳しくは重要事項説明書を確認してください。

妊娠したら異常分娩の場合でも保障される保険へ見直そう

帝王切開など異常分娩のリスクは年々増加しています。

厚生労働省の「我が国の保健統計」によれば、1980年半ばには10%以下だった異常分娩が、現在では25%近くになっていて、約4人に1人が帝王切開で生まれていると報告されています。


このことから、「妊娠したら医療保険を見直そう」とよく言われるようになりました。妊娠が発覚したら、ぜひ今加入している医療保険の見直しを行ってみてください。ただし、妊娠28週目以降は加入することができなくなります。

参考:出産をしたら確認したい公的制度や助成金

異常分娩で無い場合は公的医療保険も、基本的に民間の医療保険も保障対象外です。とはいえ、正常分娩でも出産費用はそれなりにかかってしまいます。ご夫婦にとっては頭の痛い金銭的負担感かもしれません。


しかし、全くの自費で出産費用を工面しなければいけないわけではありません。


こちらでは

  • 出産育児一時金
  • 出産手当金
  • 医療費控除
  • 高額療養費制度
について解説します。

①出産育児一時金

出産一時金は、子1人につき42万円が支給され、多胎児(双子以上)なら「子の数×42万円」を受け取ることができます。


健康保険や国民健康保険等に加入し、かつ妊娠4ヶ月(85日)以上で出産すれば一時金が受け取れます。当然、正常分娩の場合も支給対象です。


申請方法はほとんどの場合、医療機関で手続きを行います。医師や窓口等で申請したい旨を伝えておきましょう。

②出産手当金

出産手当金とは、国民健康保険および家族の扶養に入っている方々を除いて、健康保険組合に加入している人が受け取れる手当金です。


出産日予定日の42日前(多胎妊娠:出産日以前の98日)~出産の翌日以後56日の範囲内で事業所を休んだ健康保険加入者に支給されます。


一律〇万円と決められているわけでは無く、次のような計算で金額が決められます。

{支給開始日(一番最初に支給が開始された日)以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額}÷30×2/3

申請方法はご自分の勤務先の総務課等で確認してみましょう。

③医療費控除

医療費控除とは、1年間にかかった医療費を、ご自分の住民票のある地域を管轄する税務署へ申告すれば、所得税が軽減される仕組みです。ただし、年末調整では申告できず確定申告または還付申告で手続きを行います。


出産にかかった検査・治療費のみならず、家族の医療費も合算して申告可能です。控除の際は、かかった医療費から支給された出産一時金が差し引かれて計算されることになります。

④高額療養費制度

公的保険加入者は、所得に応じ自己負担限度額が決まっています。1ヶ月分の限度額を超えた場合、その超えた分のお金の戻る制度があります。


それが「高額療養費制度」です。高額療養費制度は健康保険・国民健康保険を問わず、公的な健康保険の加入者なら誰でも利用できます。


ただし、公的医療保険の対象となる医療行為に限定され、出産に関しては異常分娩の場合しか適用されません。

まとめ:誘発分娩も異常分娩なら保険適用される!

誘発分娩の方法と、誘発分娩は医療保険適用となるかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


今回のこの記事のポイントは、

  • 誘発分娩となった場合、自然分娩費に数万円~20万円ほど加算される。
  • 誘発分娩は基本的に医療保険の適用とはならない。
  • 医師の判断により異常分娩となった場合、誘発分娩でも医療保険適用となる。
  • 計画分娩では、母体の状態の変化への注意が必要であることと、出産時間帯や出産する曜日によっては割増料金がかかることを注意しておく。
  • 保険会社によって保険適用範囲は異なるので、現在加入している保険内容を確認し必要であれば見直しする。
  • 出産に関するいろいろな助成制度を確認しておく。
でした。

妊娠・出産とは女性の身体にとって負担がかかるものですし、また思わぬトラブルが発生する可能性もあります。そんな時しっかりと保障が受けられる医療保険に加入していることで、安心して出産に臨めます。

出産前には一度ご加入中の医療保険の見直しをすることをおすすめします。

ほけんROOMでは、ほかにも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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