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犬の甲状腺機能亢進症をご存知ですか?甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうことが原因で、食事量が増える、多飲多尿になる等の症状を引き起こします。治療法としては手術や内服薬の投与等が行われます。この記事では犬の甲状腺機能亢進症について、原因や治療費を解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の甲状腺機能亢進症とは?クッシング症候群とはどう違うのか

この記事をご覧のあなたは、犬の「甲状腺機能亢進症」という病気について調べておられることでしょう。


飼い主はいつも愛犬の様子を見ているので、どのような変化にも気づきやすいと思いますが、どのような病気にも気付ける、と思っておられる方も多いでしょう。


一見すると「元気が有り余っているのかな?」と思えるような症状になりやすいのが「甲状腺機能亢進症」であり、もしそうであればどうやって「病気とそうでない場合」を見分けるの?と思っておられる方も多いでしょう。


そこで今回「MOFFME」では、

  • 犬の甲状腺機能亢進症ってどんな病気?
  • どんな治療法があり、どのくらいの治療費がかかる?
  • 甲状腺機能亢進症になりやすい犬種や性別等の条件はある?
以上の点を取り上げていきます。

この記事をご覧いただければ、犬の性格にかかわらず、「甲状腺機能亢進症」という病気のサインを見抜き、すぐに検査・治療につなげる方法について理解していただけることでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬の甲状腺機能亢進症とは?原因や症状、検査方法を解説!

今回取り上げる「甲状腺機能亢進症」は、実は猫に多く、犬が発症する可能性は低いとされている病気です。


それ故に発症しても見逃されやすく注意が必要です。


では、そもそも「甲状腺機能亢進症」とはどのような病気なのでしょうか。


原因や症状、そして検査方法を次から紹介していきます。

そもそも犬の甲状腺機能亢進症とは?診断方法も解説!

犬よりも猫の発症率が高い「甲状腺機能亢進症」とはどのような病気なのでしょうか。


簡単に言えば、甲状腺から分泌されるホルモンの量が過剰になることで、代謝機能の異常に伴う様々な症状を引き起こす病気です。


甲状腺は気管に張り付いていて、この甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンには新陳代謝を活発化させる働きがます。


そのため過剰に分泌されてしまうと体がいわゆる「過活動」状態になってしまうため、一見するといつもより元気があるように見えてしまいます。


甲状腺機能亢進症かどうかは、基本的に血液検査によって判明し、甲状腺ホルモンの値で判断します。

犬の甲状腺機能亢進症の原因は?甲状腺ホルモンの過剰分泌が原因

甲状腺から分泌されるホルモンは生命維持活動に欠かせないものですが、甲状腺機能亢進症はそのホルモンが過剰分泌されている状態です。


イメージだけであれば「元気が出るホルモンなら多めに分泌されても大丈夫なのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、それだけ体に大きな負担がかかることになりますので、プラスどころかマイナスに働きます。


しかし犬や猫においては、全体で見れば腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分けられますが、甲状腺ホルモンの過剰分泌が発生する原因は一つではなく、その他免疫異常や感染症、食生活や遺伝など様々な要素が原因になり得るとされています。


ただ犬の甲状腺機能亢進症の場合、そのほとんどが甲状腺癌を原因としています。

犬の甲状腺機能亢進症の症状は?食欲旺盛等の症状を解説!

では、犬が甲状腺機能亢進症になるとどのような症状が出るのでしょうか。


主な症状として挙げられるのは、

  • 普段の動き(動作)が不自然に活発化する
  • 食事量が増加しているのに体重は減少する
  • 多尿(トイレの回数が増える)
  • 性格が攻撃的になったり、興奮しやすくなる
  • 瞳孔が開いているように見える(目がギラギラしている)
主にこのような症状です。

ただし、甲状腺癌が進行することで、
  • 動きが鈍くなる
  • 食欲が低下し、ご飯を食べなくなる
こういった過活動の「反動」のような症状が見られるようになり、それはまさにエネルギーを摂取し、消費し続けたことの反動です。

中には、甲状腺の肥大が見られ、それで飼い主が異変に気づく場合もあります。

犬の甲状腺機能亢進症の治療法、治療費、予防法を詳しく紹介!

ここまでは、甲状腺機能亢進症という病気の詳細について紹介してきました。


実際のところ猫の方が発症しやすいため、「犬はリスクが低いのはわかるけれど、それでも万が一自分の愛犬が発症したらどうしよう」と思っておられる方は少なくないでしょう。


では、犬がもし甲状腺機能亢進症になった場合、どのような治療が必要で、どのくらいの治療費がかかるのでしょうか。

犬の甲状腺機能亢進症の手術や薬等の治療法、治療費用を紹介!

犬の場合は甲状腺癌が原因であることが多いため、外科手術や放射線療法、抗がん剤の投与などを行うことが多いです。ただ同時に内科的治療も行われ、ここでは内科的治療について解説します。


ホルモンの過剰分泌を抑える薬(抗甲状腺薬)を投与し続けることで、ホルモンの分泌量を低下させ、症状を緩和させます。


また甲状腺機能亢進症では投薬治療に加えて食事療法も有効であり、甲状腺ホルモンの原料となる「ヨウ素」の摂取量を抑えた食生活を送るようにすることでも、ホルモンの過剰分泌を抑えることができます。


1回あたりの治療費は病院によって異なりますが、大抵は1万円以下と、比較的安価です。


ただし、投薬や食事療法による治療は一時的ではなく、一生涯行っていく必要があるため、飼い主にとっても忍耐力が必要となりますし、発生し続ける治療費のことも考えなければなりません。


ちなみにこれら2つの治療方法で治療できない場合や、あまり高齢ではなく体力に余裕がある場合等は、外科的治療(手術)によって甲状腺や副甲状腺を切除する場合があります。


外科的治療が必要な場合は、治療費が数万円程度と高額になる場合もあります。

犬の甲状腺機能亢進症の予防法は?早期発見・早期治療が大切!

犬の甲状腺機能亢進症は予防することが可能なのでしょうか。


すでに取り上げたように、甲状腺機能亢進症は何か特定のことをすれば確実に防げる、という病気ではないのが難しいところです。


どちらにしてもこの病気においては、発症の初期段階で飼い主が症状に気付いてあげることで、病気があまり進行していないうちに治療を始めることができます。


結局のところ他の病気と同じく、早期発見・早期治療がとても重要な病気なのです。

甲状腺機能亢進症になりやすい犬種や年齢、性別はある?

甲状腺機能亢進症の治療については、今取り上げた通り長期的な視点で見なければなりません。


さらにこの病気を難しくしている点としては、予防が難しいことの他に、高齢であればあるほどリスクは高くなる、という点が挙げられます。


犬は症例自体が少ないためデータにかけますが、猫であれば主に7~8歳以降、いわゆる中高齢に当たる年齢からは発症しやすい、とされています。また犬の甲状腺癌は9~11歳くらいで発症することが多いといわれています。


性別による発症のしやすさも判明しているわけではないため、ある程度の年齢以降の犬には等しくリスクがある、と言えます。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!


ここまで甲状腺機能亢進症について取り上げてきて、皆さんは治療方法以外のところで不安を感じられた方も多いでしょう。


それが、いわゆる「治療費」の問題であり、人間のように健康保険が適用できるわけではない犬の場合は、治療内容によっては治療費が高額になることが珍しくありません。


特に甲状腺を切除する等の外科的治療が必要になる場合、内科的治療を1回行うよりも治療費は跳ね上がります。


そこで治療費に不安を持っている方におすすめできるのが、各保険会社が提供している「ペット保険」への加入です。


ペット保険に加入すれば、加入プランによって治療費のうち、

  • 入院費
  • 通院費
  • 手術費

主にこれらの治療費に関して決まった割合が保険金で補償されるので、自己負担額を大幅に抑えることができます。


MOFFMEでは、この「ペット保険」専門の記事も掲載されていますので、治療費に関する不安をお持ちの方は、ぜひそちらの記事もご覧ください。

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まとめ:犬の甲状腺機能亢進症はどんな病気?

今回は犬の「甲状腺機能亢進症」について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 甲状腺機能亢進症とは、甲状腺からホルモン物質が過剰分泌される病気である
  • 発症すると過活動状態になり、多色や多尿、攻撃的になる等の症状が見られる
  • 甲状腺機能亢進症は内科的治療で症状を抑えられるが、投薬は一生涯必要になる
  • 外科的治療が可能な場合もあり、その場合は治療費が高額になりやすい
  • ペット保険に加入すれば、治療費のうち決まった割合が補償される

以上の点です。


犬や猫は言葉で自分の症状を訴えることができないので、病気をいち早く察知するためには飼い主の注意力が非常に重要ですが、甲状腺機能亢進症のように、予防すること自体が難しい病気は少なくありません。


愛犬は「病気にはならない」と考えるのではなく、治療費の準備も含めて「病気になったときの準備」をしておくことで、いつでも必要な検査と治療を受けさせてあげられるようにしましょう。


MOFFMEではこの記事以外にも多数掲載していますので、ぜひご覧ください。