【獣医師監修】猫のクッシング症候群とは?原因や症状、治療法を解説

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猫のクッシング症候群についてご存知ですか?副腎質機能亢進症ともいい、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることが原因で発症し、糖尿病を併発することが多いです。この記事では猫のクッシング症候群について、原因や症状、治療法、予防法について詳しく解説します。

猫のクッシング症候群は治る?余命や診断方法も解説!

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される副腎皮質機能亢進症は、クッシング症候群と呼ばれる内分泌疾患で、猫にはとても珍しく血液検査だけでは診断の難しい病気です。


それ自体は命にかかわる病気ではありませんが、脱毛や皮膚疾患を起こしたり、糖尿病などを併発したりすることが多く、合併症によって余命を縮めてしまうおそれがあります。


今回「ほけんROOM」では、猫のクッシング症候群について

  • クッシング症候群とは?治る病気?
  • クッシング症候群の原因、検査方法
  • どんな症状がある?
  • 治療法は薬or手術?治療費はどのくらいかかる?
  • 予防法はあるの?
  • クッシング症候群にかかりやすい猫とは
  • ペット保険の重要性について

以上のことを解説していきます。


この記事を読んでいただければ、愛猫がクッシング症候群になっても初期に気付いて対処できる知識が身に付きますので、ぜひ最後までご覧ください。

猫のクッシング症候群とは?原因や症状を解説!

クッシング症候群は、人を含むすべての動物の中で犬に最も多く見られる病気であり、猫が発症するのは非常にまれです。


また、ホルモンの病気というのは、一つのホルモンの異常が他のホルモンに影響してさまざまな症状を引き起こし、その症状の出方にも個体差があるため、診断の難しい病気です。


ただの不定愁訴ととらえがちな症状が重要な情報になることもあるので、少しでもおかしなところは獣医師に伝えられるよう、日ごろから愛猫の様子を観察しておきましょう。


この項目では、以下のことについて説明していきます。

  • 猫のクッシング症候群とはどんな病気?
  • 原因と検査の方法について
  • 初期症状は?どんな症状がある?

そもそも猫のクッシング症候群(副腎質機能亢進症)とは?

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎皮質ホルモンが必要以上に分泌されてしまい、体の機能に異常が出る病気です。


腎臓の上側に副腎という器官があり、その副腎の表面に副腎皮質があります。


副腎皮質は、脳の下にある脳下垂体という器官から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に刺激され、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌します。


コルチゾールは代謝の促進をするとても重要なホルモンであり、免疫抑制作用などもあるため、分泌量が多すぎると筋力や免疫力の低下を引き起こしてしまいます。


また、コルチゾールはインスリンの作用を弱めてしまい、結果的に血糖値が上昇することになるので、クッシング症候群で糖尿病を併発している猫は非常に多いです。

猫のクッシング症候群の原因は?血液検査等の検査法も紹介!

クッシング症候群の原因は主に3つあるとされています。

  1. 脳下垂体の腫瘍などによるもの
  2. 副腎の腫瘍によるもの
  3. ステロイド剤を多量または長期にわたって使用したことによるもの

クッシング症候群の原因はほとんどが脳下垂体の腫瘍で、副腎の腫瘍によるものは全症例の10~15%程度と言われています。


ステロイド剤が原因となるのは、ステロイド剤が副腎皮質ホルモンと同じ働きをするからなのですが、猫の場合ではステロイド剤が原因となることはほとんどないと言って良いでしょう。


クッシング症候群が疑われるときの検査は、血液検査尿検査ホルモン検査エコー検査があり、これらを総合的に評価して診断していきます。


副腎に異常がある場合は腹部超音波検査で発見できる可能性があります。

猫のクッシング症候群の症状は?脱毛等の症状、初期症状を紹介!

クッシング症候群の主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 水をたくさん飲む・おしっこが増える
  • 餌をたくさん食べる
  • おなかが膨らんだようになる
  • 筋肉が萎縮する
  • お腹や耳の先の脱毛(左右対称であることが多い)
  • 皮膚が薄くなり、裂けやすくなる
  • 毛艶が悪くなる
  • 皮膚の色素沈着

初期の症状で多いものとして、多飲多尿があげられます。


さらに、お腹がビール腹のように丸くなったり四肢の筋力が低下したりという症状がありますが、ただの肥満や年齢のためと見落とされがちです。


糖尿病と同じような症状が多く、また実際に糖尿病を併発していることが多いため、最初からクッシング症候群と診断するのは困難です。


筋力の低下や皮膚がもろくなってしまう症状はコルチゾールが過剰に分泌されることで起こる典型的なものなので、体の状態を日ごろからよく見ておくことが重要です。

猫のクッシング症候群の治療法や治療費、予防法を解説!

内分泌疾患は根治が難しいことも多く、クッシング症候群も一度かかると長く付き合うことになる病気です。


愛猫がクッシング症候群と診断されたら、どんな治療をおこない、治療費はいくらくらいかかるのでしょう?


また、クッシング症候群にならないために気を付けられることはあるのでしょうか?


この項目では、以下のことを説明していきます。

  • 腫瘍が原因の場合の治療方法
  • ステロイド剤が原因の場合の治療方法
  • 治療費はどのくらいかかる?
  • クッシング症候群の予防法はない。では何に気を付ければいい?

猫のクッシング症候群のステロイド等薬や治療法、治療費を紹介!

腫瘍が原因の場合

脳下垂体腫瘍なら脳下垂体の腫瘍切除、副腎腫瘍なら副腎摘出が効果的ですが、体に大きな負担がかかることや、腫瘍のサイズ、場所によっては難しいこともあります。


手術が望ましくない場合は、放射線治療やホルモンをコントロールする薬の内服などが選択されます。


どの治療法を選んでも、経過観察は生涯にわたって必要です。

ステロイド剤が原因の場合

ステロイド剤を減らしていくための処置をおこないます。


ステロイド剤を使用している疾患の治療のため、薬の細かい調整が必要です。

治療費

猫の一般的な診療料金を表にしてみました。

多い料金帯中央値
初診料500~2,000円1,386円
再診料500~1,000円726円
血液検査(生化学検査)3,000~7,500円4,625円
尿検査(検査料)500~2,000円1,432円
内分泌検査(コルチゾール)3,000~7,500円4,649円
ACTH刺激試験5,000~12,500円8,846円
超音波検査(腹部エコー)2,000~5,000円3,204円
CT検査(造影あり)30,000円~55,000円
MRI検査50,000円~50,000円以上
入院(一泊)2,000~5,000円2,619円
全身麻酔5,000~12,500円10,020円
手術(例:腎臓摘出)30,000~75,000円49,150円
放射線治療30,000~40,000円33,333円

参考:日本獣医師会『家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)』


検査だけでも数万円、手術になると10万円以上の出費になり、その後の通院も生涯にわたって続きます。

猫のクッシング症候群の予防法は?

残念なことに、クッシング症候群に確立された予防法はありません


予防法がないということは、初期に発見して治療を始めることが重要です。


そのためには、水を飲む量や餌を欲しがる量、体に脱毛箇所や皮膚の薄くなっているところがないか、日ごろから猫の様子を注意深く観察しておきましょう。


クッシング症候群は糖尿病を併発していることがほとんどで、糖尿病に隠れてクッシング症候群の発見が遅れるケースもあります。


まずは糖尿病や他の慢性的な疾患にならないよう、肥満や運動不足に気を付けるのも意味のあることですね。

クッシング症候群にかかりやすい猫種や年齢はある?

人や犬の場合は女性(メス)が多く発症する病気とされていますが、猫の場合はかかりやすい猫種や性別に差があるとの報告はありません。


かかりやすい年齢については、10歳前後以降の中高齢の猫で発症率が高くなっています


猫のクッシング症候群はとても珍しい病気ですが、ホルモンにかかわる病気にはこんなものもあるということを知識として持っておくと、不調に気付いてあげられるキッカケになるかもしれませんね。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!

日本獣医師会の『家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査』(平成27年度)によると、飼い主が猫を動物病院に連れていく頻度は1年間で平均6.9回


治療費は1カ月に平均6,991円かかっていて、一つの病気にかかったときの治療費の最大額は平均54,197円だそうです。


また、これまで一度も病気にかかったことがないと答えた人は18.2%で、80%以上が何らかの病気で動物病院を利用していることがわかります。


動物病院でかかる治療費は全額が自己負担になるため高額で、手術が必要な病気にかかったり通院が続いたりすると、家計への負担も大きくなってしまいますよね。


そんなもしものとき、高額な医療費のために治療の選択肢を狭めることがないよう、ペット保険に入っておくのがおすすめです。


犬も猫も、高齢になるにつれて動物病院にかかる頻度・治療費ともに上がります。


また、クッシング症候群のように完治が難しい病気は、一度かかってしまうと新たに保険に加入することができなくなってしまいます。


大切な愛猫が若くて健康なうちに、必要な補償を備えたペット保険に加入しましょう。


ほけんROOMには、ペット保険について書かれた記事がたくさんあるので、ぜひお読みいただき参考にしてみてください。

まとめ:猫のクッシング症候群とは?

ここまで、猫のクッシング症候群は治るのかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される内分泌疾患で、完治は難しい
  • 原因はほとんどが脳下垂体腫瘍か副腎腫瘍。ステロイド剤の長期または大量使用で起こる場合もある
  • 症状は多飲多尿、腹部膨満、筋肉の萎縮、腹部や耳の先の脱毛、皮膚が薄くなるなど
  • 糖尿病を併発することが多い
  • 診断には血液検査、尿検査、ホルモン測定をおこない、超音波検査やCTなどが必要になる場合もある
  • 治療法は薬物療法、腫瘍の摘出手術、放射線治療など
  • 予防法はない
  • 中高齢の猫がかかりやすい
  • 生涯通院が必要になることも多く、治療費が高額になる
  • もしものときに備えて、ペット保険に加入しよう

でした。


猫のクッシング症候群は非常に珍しく、特定が難しい病気で治療も長期にわたります。


初期に発見して治療を始めることが大切になってきますので、ちょっとした不調にも気付いてあげられるよう、毎日の愛猫の様子をよく観察しておきましょう。


ほけんROOMには、この記事のほかにも猫の病気やペット保険に関する記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
森下 浩志
2018年に早稲田大学基幹理工学部に入学。保険×テックの領域で保険業界をイノベーションをしていく姿勢に共感し、「ほけんROOM」の運営に参画。2019年にファイナンシャルプランナー、損害保険募集人資格を取得。

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