【獣医師監修】猫の口呼吸は病気やストレスによるもの?詳しい原因と対処法を紹介のサムネイル画像

内容をまとめると

  1. 口呼吸になる原因は①ストレスや病気②暑さ③鼻詰まり
  2. 動き回った後や生理現象(フレーメン反応)で口が半開きになることも
  3. 原因が判明できなかったり、症状が長期的に継続する場合は動物病院に連れて行くことが大切
  4. 猫の医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心

猫は基本的に口呼吸をしません。しかし、病気やストレスなどが原因で口呼吸をすることがあります。ただし子猫に関しては、運動直後などの場合は口呼吸をすることがあるため、心配ありません。この記事では、猫の口呼吸の原因や対処法について詳しく解説します。

記事監修者「千葉 恵」

この記事の監修者千葉 恵
一般社団法人愛玩動物健康管理協会(CAHA)獣医師

2012年に大学を卒業し、小動物臨床獣医師として従事。人と同様に、愛玩動物の高齢化が進んでいるため、治療の他に、体に負担が少ない治療も取り入れていくために日々励む。現在、獣医師として活躍しながら、東洋医学(主に鍼灸)を学んでいる。多くの犬や猫たちが幸せな時間を過ごせるように努めている。

この記事の目次

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猫が口呼吸をする原因や対処法について解説

猫の呼吸の仕方に注目したことはあるでしょうか。長年飼っている方はご存じかと思いますが、猫は基本的に口で呼吸をすることはありません


自宅の猫に限らず道端で見かける野良猫でも、何かを食べているときでなければ口を開けている姿を見ることは少ないでしょう。


そうはいっても見たことがある方も多いですよね。


そこで今回「MOFFME」では、「猫が口呼吸をするのはどんなときか」について、

  • 猫が鼻で呼吸をする目的
  • 猫が口呼吸をする原因
  • 猫の口呼吸が示す病気
  • 口呼吸に気づいたときの対処法

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、猫の異変にすばやく気づいて、適切な判断ができるようになるかと思います。辛い時間を少しでも短くしてあげるための知識を身につけておきましょう。


また、MOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく紹介しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

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猫の口呼吸は病気やストレスのサイン


モデル:めい

猫は普段、口呼吸をすることがほとんどありません。知らなかった方は試しにネットで猫の画像を検索してみてください。

口を閉じている状態の猫がたくさん表示されるでしょう。

鼻で息をしているときが正常で元気な状態ですので、口呼吸をしていることがあれば病気ストレスのサインとうたがってみてもよいかもしれません。

とくに健康に問題ない場合もありますが、呼吸困難である可能性もあり危険です。

ここでは、猫がどういうときに口呼吸をするのかをご紹介します。知っておくと病気のサインかどうかを見極めるときに役立つでしょう。

猫は基本的に口呼吸をしない生き物

猫が基本的に口呼吸をしないのは息がしにくい、できないなどの理由ではありません。視力がよくないため、嗅覚に頼って生活しているためです。

目が丸くキラキラとしており、夜でも活発に活動し獲物をキャッチしてはいますが、人間の視力と比べると10分の1程度といわれています。

鼻呼吸をする主な目的は、食べ物のにおいを嗅いだり、部屋の中に入ってくる風のにおいを嗅いだり、ほかの動物のにおいを嗅いだりなど、においで情報を確認するためです。

ほかにも、危険な物が存在していないか、自分のテリトリーに知らない動物などが侵入していないかといったことを確認し、危険から身を守るために活かしています。

五感の中では聴覚の重要度が高いですが、嗅覚もなくてはならない感覚なのです。

死ぬ危険性がある病気が原因である場合も

猫が口呼吸をしているときがあっても、とりあえず息ができているのなら大丈夫だろうと思うのはちょっと危険かもしれません。

鼻で呼吸がしづらくなって仕方なく口呼吸でなんとかしている可能性もあるからです。病気やストレスが原因で呼吸が浅くなったり、荒くなったりすることもあります。

例えば、気管支や肺などの呼吸器系の異常心臓や血液の異常などが原因で口呼吸をしている可能性が考えられます。

また、猫は敏感な生き物なのでストレスをたくさん感じていることもあります。ストレスが溜まって息苦しそうにしている可能性も考えましょう。

愛猫に異常を感じた時に適切な治療を施すためにもペット保険への加入が大切です。
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子猫は運動後などに口呼吸することもある

猫は激しく動き回ったあとには口呼吸をすることがあります。成猫ではあまり見られませんが、子猫では珍しいケースではありません。

成猫と違って、自分の体力の限界を知らない子猫は加減をすることなく動き回ってしまうためでしょう。

とくに、多頭飼育の場合、同居猫と楽しくじゃれ合って限界まで動き回ることが多くなるかもしれません。

それに加えて、子猫は心臓や呼吸器の発達が未熟であることが影響しているとも考えられます。短時間でも運動をすると息が上がるようです。

健康に問題がなければしばらくすると鼻で呼吸するようになるでしょう。心配な場合は、こまめにお水を与えたり、ケージに入れたりして少し休ませるような工夫をしてみてください。

猫が口呼吸をする原因

モデル:めい


普段、口呼吸をしないという猫が口呼吸をしていると心配になりますよね。それには以下のようないくつかの原因が考えられます。

  • ストレス
  • 夏の暑さ
  • 鼻づまり
  • 病気

早めに対処するためには原因に気づくことが大事です。


このあとそれぞれの原因について詳しく解説していきます。猫の様子をよく観察して原因を見つけられるようにしましょう。

原因①:ストレス(車に乗せた時など)

急なストレスを感じると猫は口呼吸をすることがあります。猫の感覚は鋭く、狩りをしたり危険から身を守ったりするときに役立てています。

しかしその分、いろいろなことに敏感になりがちです。

例えば、猫を車に乗せてお出かけするときには、予測できない振動や大きなエンジン音、嗅ぎ慣れない芳香剤のにおいなどに敏感になります。

家の中でも、玄関ドアのチャイムや掃除機などの大きな音を嫌がったり、知らない客人や小さな子どもなどに不快感を持ったりします。

また、以前に体験した嫌な記憶を思い出してストレスを感じてしまうこともあります。

思いもよらないことでストレスを感じることがあるので、猫の苦手なこと嫌いなことなどを把握しておくことが大事です。

原因②:夏の暑さ(熱中症)

猫は寒さに弱いですが暑さに強いということはありません。暑いときは陽の当たらない廊下や洗面台の中など、自分で涼しい場所に移動して過ごすといった工夫をしています。

また、体で汗をかけないため、体温調節は肉球で汗をかく、グルーミングをする、毛の薄い耳から熱を放出するなどでおこなっています。

しかし、暑すぎるとそれだけでは体温調節が追いつかず、熱中症になってしまうことがあるので注意が必要です。

それほど暑くない日でも、換気のできていない部屋で長時間お留守番をさせたり、車の中で待たせたりしていると熱中症になる恐れがあります。

原因③:鼻づまり

猫も人間のように鼻をつまらせることがあります。その結果、口で呼吸をするようになります。

それでも鼻で呼吸をしようとして、鼻息が荒くなったり、プシュプシュ・ブーブーと変な音を鳴らしたりすることもあります。

鼻づまりの原因として考えられるのは、
  • 猫風邪
  • 鼻の中にできた腫瘍
  • 鼻に詰まった異物
  • アレルギーによる鼻炎
  • 鼻腔狭窄
です。

鼻腔狭窄は鼻の穴が狭くなった状態です。

先天性の場合が多く、生まれつき鼻の穴の狭いエキゾチックショートヘアやペルシャといった猫種に起きやすいので、そういった猫の飼い主さんはとくに日ごろから注意しておきましょう。

散歩で外を歩かせたり、庭で遊ばせたりしている猫は、鼻に小さな葉やトゲといった異物を詰まらせることに注意しましょう。

原因④:心臓や呼吸器などの病気

しばらく様子を見てもつらそうに口呼吸をしていたら、心臓呼吸器などの病気かもしれません。


例えば、喘息です。気管支に炎症が起こり気道が狭くなることで咳などの症状を引き起こします。原因はたばこの煙ハウスダスト花粉細菌ウイルスなど身近なところにあります(※詳しい原因ははっきりとはわかっていません)。


心臓の病気では、肥大型心筋症が多いです。心臓の筋肉が肥大化し血液が停滞しうまく呼吸ができなくなります。心雑音などの症状がない一見健康な猫の約15%が有していますが無症状のまま生涯を終えることもあります。


ただ、発症すると急速に進行することがあります。重症化すると呼吸困難だけでなく、血栓が詰まった場所に激しい痛みを引き起こし、死に至るケースも少なくありません


生後3ヶ月という子猫が発症しているケースもあるので、高齢の猫だけでなく若い猫でも油断はできません。

参考:猫の熱中症の症状(荒い呼吸・よだれ・嘔吐など)

猫が暑い日に口呼吸をしていると熱中症かもしれないとまず思いますよね。


しかし、上記のような原因があることから、ほかにもいつもと違う様子がないか確認する必要があります。


熱中症の症状はほかにも、

  • 大量のよだれを出している
  • 運動をしたあとでもなく呼吸が荒い
  • 食欲がない
  • 嘔吐する
  • 歩き方がふらふらとしている
  • 口腔内や目が充血している
  • 血便が出ている
  • お腹を下している
  • けいれんしている
  • ぐったりしている

といったことがあります。


年々、平均気温が上昇していることもあって、熱中症で動物病院を訪れるケースも多いようです。


猫の平熱は38℃台が平均です。暑い日は様子がおかしくなる前に40℃以上熱がないか測ってみるとよいでしょう。


離れたところからでも測定できる非接触タイプの体温計なら猫も嫌がらないですよ。 

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猫が口呼吸をしている場合の対処法

モデル:めい


猫が口呼吸しているのにはいろいろな原因が潜んでいました。


中には死に至るような重い病気の可能性もあります。


また、すばやく改善するためにはそれぞれの原因に適した対処法を選ぶことが大切です。しかし、そんな状態が頻繁に起こることはなく、いざというときに焦る方も多いでしょう。


ここでは、猫が口呼吸をしている場合の対処法を解説していきます。

すぐ動物病院で診てもらうのが基本

口呼吸をしている原因をいろいろと解説してきましたが、様子を見てもよくわからなかったり、「たぶんこれが原因かな」と思うことがあったりすることもあるでしょう。


原因によっては様子を見ているだけでは、状態がよくなることはありません。また、原因に合っていない対処をするとつらい時間を無駄に過ごさせることになることもあります。


猫のつらい状態が悪化する前に、口呼吸していることに気がついたらすぐ動物病院で診てもらうようにしましょう。


ただ、普段あまり乗らない車に乗せた、動物病院へ連れて行った、雷や花火に驚いていたなどの場合はストレスの可能性が高いですよね。


そのように明らかな原因がある場合は、落ち着くまで様子を見てください。


また、ペット保険に加入しておくと動物病院での治療費を補償してくれるため安心です。


手術等で高額な治療費を請求された場合に備えるためにも、猫のペット保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

原因ごとに対処法は異なる

原因がわかった場合はすぐに適切な対処をおこないましょう。対処法は以下を参考にしてみてください。

  • ストレス

思い当たることを改善していきましょう。引っ越しや新しい家族が増えたことで環境が変わったとしたら、猫の落ち着ける場所を確保するなど、気持ちを落ち着かせる工夫をするとよいかもしれません。

  • 熱中症

濡れたタオルで体を包んだり、保冷剤で冷やしたりなどの応急処置をおこない、動物病院に連れて行きましょう。

  • 鼻づまり

鼻にに詰まるくらいの異物であれば、無理に取ろうとすれば鼻の粘膜を傷つけてしまう恐れがあるため、動物病院を受診した方がよいでしょう。


また、鼻水についても詰まるくらいの粘度や量であれば病的なものなので、やはり動物病院への受診が必要です。鼻水の検査をする可能性もあるので、動物病院へ行くときは鼻水をそのままにしておく方がよいです。


今回ご紹介した病気のほかにも、甲状腺の病気が影響している可能性があるので口呼吸がなかなかおさまらない場合は、動物病院で診てもらうようにしましょう。

参考:口を開けているだけなら問題があるとは限らない

猫が口を開けていると、とにかくどこか体調がよくなかったり異変があったりするのかもと心配になりますが、問題があるとは限りません。


よくあるのは「フレーメン反応」といわれる生理現象です。猫は嗅覚が優れているのですが、よりにおいをしっかりと嗅いで分析をしています。


例えば、

  • ほかの動物のにおいを判別している
  • 知らない人間のにおいを確認している
  • 安全かどうか慎重になっている

などのときに口を半開きにしていることがあります。


ほかにも、怒って相手を威嚇するときやあくびをするときにも口を大きく開きますし、舌を出す癖のある猫もいます。


ただし、歯周病など口の中の病気が原因の場合もあるため、

  • 長い時間開けている
  • 寝ているときも開けている
  • よだれを垂らしている
  • 口臭がキツい

という場合は口腔内に問題があるかもしれないので動物病院で診てもらいましょう。

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猫が口呼吸をする原因や対処法についてのまとめ

猫が口呼吸をする原因について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 猫は基本的に口呼吸をしない
  • 口呼吸をするのは病気やストレスが関係していることもある
  • 口呼吸をしていても一時的で健康に問題がないこともある
  • 理由が分からないときは動物病院で診てもらうと安心できる
  • 目的を持って口を開けることもある

でした。


猫が口呼吸をしないのは正常です。だからこそしているときは、何か問題が起こっている可能性が高いといえます。


飼い主さんが対処できることもありますが、動物病院で診てもらったほうが、確実な原因に気づくこともあります。


また、ストレスや環境の変化などが原因なら、日ごろから負担をかけないように工夫しておきたいですね。どう対処するのが一番なのかを見極められるようになりましょう。


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