【獣医師監修】犬にレモンをあげても大丈夫?正しい与え方や注意事項についてのサムネイル画像

皆さんは犬もレモンを食べられることをご存知ですか?犬にとっても重要な栄養素であるビタミンCを摂るのにレモンはとても有用です。犬にレモンを与えるとき皆さんはどんな工夫をしているのでしょうか。そこで今回は犬にレモンを与えるときの注意点や正しい与え方をご紹介します。

記事監修者「星野 崇希」

この記事の監修者星野 崇希
一般社団法人愛玩動物健康管理協会 - CAHA

レモン自体、犬に問題はないものの、刺激が強いため与える際は少量ずつにしましょう。

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犬がレモンを食べても大丈夫?


記事モデル:むぎ(@mugi2017.1.30)

(※記事モデルのわんちゃんはレモンを食べているわけではございません)


ビタミンCを多く含む果物の代表として、よく名前が挙げられるレモン

アロマやフレグランス、紅茶のお供や料理中など多くの場面で活躍してくれます。

美容や健康に効果があるだけでなく、すっきりする匂いと酸味も魅力的ですよね。


そんなレモンですが、犬が食べているイメージはあまり無いのではないでしょうか。

「うちの子に与えても大丈夫?」と一度ぐらい疑問を持たれた飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。


今回の記事では、

  • 犬がレモンを食べても大丈夫なのか
  • 犬にレモンは必要なのか
  • レモンを与える際の注意点と食べさせ方
以上について説明していきたいと思います。


この記事を読めばわんちゃんへの正しいレモンの与え方を理解し、愛犬との食事がもっと楽しめるでしょう。ぜひ最後まで確認してみてくださいね。

犬はレモンを食べても基本的に中毒などにはならないので大丈夫


レモンには、犬が食べても中毒やアレルギーを引き起こすような有害な成分は入っていません。なので、基本的には犬が食べても大丈夫です。果肉や果汁を誤って食べてしまったとしても、特別問題はありません。


ただ、人間と同じように犬も酸味を感じます。それゆえにレモンの強烈な酸っぱさを苦手に感じるわんちゃんも多いのです。特に犬は嗅覚が鋭いので、人以上に好みが分かれる食品です。


犬の反応が面白いからと無理やりに与えてしまうと、人から食べ物を貰うこと自体がトラウマになったりストレスを感じてしまう原因となってしまいます。


レモンを与えても嫌がる素振りを見せていたり、見向きをしないわんちゃんには無理に食べさせないようにしましょう。与える際も酸味を抑えて食べやすいように加工してあげれば抵抗がなくなる犬が多いので、一度試してみるのも良いでしょう。


また、有害な物質が入っていないとはいえ犬にも個体差がありますので、身体に合わないことももちろんあります。初めて与える際は、わんちゃんの様子を注意して観察してあげてください。

本来犬は肝臓でビタミンCを作るためレモンを食べる必要はない

レモンに含まれるビタミンCは、直接身体の組織を作ったりエネルギーになったりはしませんが、皮膚の健康を維持するコラーゲンを合成するのに重要な栄養素です。その他にも、骨や軟骨の健康をサポートする役割も担っています。

ビタミンCには抗酸化作用もあり、わんちゃんの免疫力を向上させるのにも役立ちます。


ビタミンCがわんちゃんの身体に必要な栄養素であることは確かです。


しかし、健康な犬には身体の中でビタミンCを生成する機能がもともと備わっているので、わざわざレモンを食べさせる必要はないのです。

自力でビタミンCを生成することが出来ない人間や猿のように、あえてビタミンCを含む食物を積極的に摂取しなくても身体の不調を引き起こすことはほとんどありません。


ですが、体内で生成出来るといっても一日で生成できる量はおよそ60㎎ほど。

犬の身体に必要な一日のビタミンC量は、

  • 小型犬で約500㎎
  • 中型犬で約2000㎎
  • 大型犬で約3000㎎
ほどが必要といわれています。


つまり、いくら体内で生成しているからといっても必要量の観点からみると大幅に不足しているのです。また、ビタミンCは水溶性なので体内に蓄積しにくいという特性もあります。


この事から適度にビタミンCを与えることは、わんちゃんの身体をより健康に保つためにも良いことであると言えますね。

老犬や病気の犬にはビタミンCなど栄養が豊富なレモンは丁度良い

犬も人間と同様、歳をとったり病気にかかると免疫力が低下します。それと同時に、ビタミンCを生成する肝機能も衰えてきます。


そこでレモンによるビタミンCの補給はとても有効的です。


レモンに含まれるビタミンC量は1000㎎中100㎎ととても多く、果実の中ではトップ10に入ります。

参照:文部科学省「食品成分データベース」


一般にビタミンCが不足すると

  • 毛並みが悪くなる
  • 骨や軟骨が弱くなる
  • アレルギーやアトピーなどの皮膚トラブルの誘発
上記のような不調が見られます。


肝機能が低下し、ビタミンCを生成する力が弱くなっているシニアのわんちゃんには特におすすめです。病気・病後で体調の悪いわんちゃんの補助食としても使えますが、病気の種類によっては過度のビタミンの摂り過ぎも良くないので、心配な場合は一度獣医師と相談してみましょう。


しかし、一日の必要量が足りないからと決して与え過ぎないように注意しましょう。

あくまで健康をサポートする補助的なポジションだということを忘れないでください。

犬にレモンを与える際の注意点とは



こちらではレモンは皮のまま与えて良いのか、果肉と果汁は与えても良いのかについて解説していきます。


犬が食べても大丈夫な部分は果肉と果汁に限ります。


レモンの皮については、皮に含まれる成分をよく理解したうえで少量であれば問題ありませんがおすすめはしません。成分については以下で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。


果肉部に含まれる種子は犬の器官に詰まると危険なので、食べさせないように気を付けましょう。


果肉・果汁に関してもそのまま与えるとわんちゃんには酸味が強すぎるので、それぞれ適切な与え方を知っておきましょう。


また、人間用の食品や飲料には「レモン」と名の付く加工品は多く市販されていますが、基本的にこれらは犬に与えないように注意してください。


例えばレモンティーですが「ティータイムを愛犬と楽しみたい!」と思われる飼い主さんもいらっしゃるかと思います。


しかしこのレモンティーを犬に与えると、紅茶に含まれるカフェインによってカフェイン中毒を引き起こす恐れがあります。


コーヒーに比べカフェインの含有量が少ないといわれている紅茶ですが、犬によってカフェインへの耐性度が違いますので絶対に与えないようにしましょう。

レモンを与える際の注意点①:犬にはレモンの皮を与えないように

一般に販売されているレモンは輸入されているものも多く、その一部には防カビ剤が使われているものもあります。たとえ国内産であったとしても、防カビ剤の代わりに農薬が使われていることがあるので注意が必要です。


犬だけでなく人が食べる際にも、皮をしっかりと水で洗浄することが大事ですね。

無農薬のレモンも販売されていますので、どうしても薬剤が気になる方はそちらを推奨します。


その他にも、レモンの皮には「ソラレン」という成分が含まれており、これを大量に摂取すると中毒症状を引き起こすことがあります。

少量であれば大丈夫といわれていますが、犬がどれぐらいの量を摂ると危険なのかが明確に分かっていないため、皮は剥いてから与えるのが安全でしょう。


「薄皮ぐらいなら大丈夫かな」と思われるかもしれませんが、こちらもあまり多くの量を与えることはおすすめしません。


レモンの皮は薄皮も含め、そのほとんどが食物繊維でできています。お腹の弱いわんちゃんだと、レモンの酸味の刺激も相まって下痢や消化不良を引き起こす可能性があります。


なるべく与える際は、皮や種をしっかり取り除いてから与えるように心掛けましょう。

もし、皮をまるごとそのまま食べてしまった場合は、食後の体調を注意して見てあげてください。


少しでも異変があったり不安であれば、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

レモンを与える際の注意点②:糖分過多にならないように

レモンの果肉や果汁をそのまま与えてしまうと、その強い酸味から摂取することを受け付けないわんちゃんも多いです。


なので、他の食品で酸味を抑えてあげると良いでしょう。


その一つとして、砂糖やはちみつで甘味を加える方法があります。犬はいろんな味の中でも、特に甘味を強く感じる生き物なので少量のはちみつでも美味しく食べることができます。


しかし砂糖とはちみつには糖が多く含まれており、肥満の原因となりますので与える場合はほんの少量に留めるように気を付けましょう。市販されている人間用のはちみつレモン漬けなども、犬にとっては糖分過多なので与えないでください。


それ以外にも、不必要に糖の甘味を覚えさせると普段のドッグフードを食べなくなったり、はちみつに含まれるボツリヌス菌で命を落とす危険性もあります。

ですので、果汁を水やヨーグルトで薄めてから与える方法が安全でおすすめできます。


特に水で薄める方法は酸味が弱まるだけでなく、水分補給にも役立ちますので熱中症対策にもなります。

レモンスプレーは犬のしつけに有効って本当?

犬の吠え癖や噛み癖対策などで「レモンスプレー」というものがしつけで使われることがありますが、このスプレーは本当にしつけに有効的なのでしょうか。


上でも説明しましたが、犬も人間と同じように酸味を感じることが出来ます。

なので、レモンスプレーに含まれるレモン果汁の匂いや刺激にびっくりして、吠えるのをやめるわんちゃんもいるでしょう。

「スプレーをふき掛けられる」という行為自体に驚くわんちゃんもいます。


しかしこれらは一時的なもので、長期的に使用すればするほど刺激に慣れてくる犬が多いのであまりしつけ効果は望めないようです。


また、レモンの入手しやすさから自家製のレモンスプレーを自作される方も時々見られますが、上記でも紹介した皮に含まれる「ソラレン」という成分は紫外線に当たると有毒な物質を発生させます


わんちゃんの鼻先などに掛かってしまうと大変危険なので、自作および自作したものを使用することはあまりおすすめできません。

犬に対するレモンの与え方のまとめ

ここまで犬がレモンを食べることについての危険性・必要性について説明してきましたが、いかかでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 犬がレモンを食べても大丈夫
  • 積極的にレモンを与える必要はない
  • シニア犬や体調が悪い犬へのビタミン補給にはちょうど良い
  • 与える際は少量に留める
  • しつけで使うことはあまり推奨しない
以上の点です。


レモンは不足しているビタミンCを補給するのにとても有用な食品ですが、その酸味の強さから苦手なわんちゃんも多いです。


最近では市販のドッグフードにもビタミンC成分が添加されていたり、手軽にビタミンCを摂取することができるサプリメントも多く販売されています。

興味のある方は、一度そちらもチェックしてみてください。


わんちゃんの性格や体調に合わせて、安全で快適なヘルシーライフを送りましょう。


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