【獣医師監修】犬の子宮蓄膿症はどんな病気?症状や原因、治療費・治療法なども紹介のサムネイル画像

犬の子宮蓄膿症をご存知ですか?痛みや出血を伴い、陰部から膿が出たり、最悪死亡してしまう厄介な病気です。検査等による早期発見・治療が不可欠な病気であるとともに、ペット保険への加入は欠かせません。今回はそんな犬の子宮蓄膿症について症状や原因、治療法を解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の子宮蓄膿症とは?

犬の子宮蓄膿症という病気を聞いたことはあるでしょうか?


このページでは犬の子宮蓄膿症がどのような病気で、どのような症状を示すのか、また治療法はどのようなものがあるのか、原因は何かなど詳しく解説していきたいと思います。


子宮蓄膿症は「避妊手術をしていない」雌の犬だとかかってしまう可能性のある病気です。


今回「MOFFME」では、以下のような内容についてお話します。

  • 子宮蓄膿症ってどんな病気?どういう症状がでるの?
  • 子宮蓄膿症の原因は?
  • 子宮蓄膿症の検査方法や治療法は?
  • 子宮蓄膿症にかかりやすい犬種っているの?
  • ペット保険にはいっていたら補償してもらえるの?
この記事を最後まで読んでいただくと、いざという時のための参考になると思いますので、ぜひご覧ください。

またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

子宮の中に膿がたまる病気


犬の子宮蓄膿症とは名前の通り子宮の内部が溜まる病気です。


この病気は重症になると死んでしまうこともある怖い病気ではありますが、早期に発見して治療することで完治させることができる病気です。


ただし、早期の発見が難しいことがあります。


それでは、子宮に膿が溜まることででてくる様々な症状をみていきましょう。

痛みや出血、膿が出る?子宮蓄膿症の症状

子宮蓄膿症の症状は、主なものとして

  • 陰部より出血したり膿が出る(膿がでないこともあるが、膿が出ない方が病気が重いことが多い)
  • 元気がなくなる
  • をよく飲み、おしっこの量が多い
  • 子宮が破れて膿が腹腔内に出ると痛みを伴う腹膜炎をおこす。
  • 腹膜炎になると短時間で死亡してしまう可能性がある。
  • お腹がでてみえる(膿がたまっているから)
  • 陰部を気にしたりよくなめる
  • 嘔吐
などです。

初期の段階では無症状の場合が多いです。

また症状があまりでていなくても重度の場合もあるので注意が必要となります。

放置しておくと敗血症となり死亡する可能性があるので、上記のような症状がみられた場合は、すぐにかかりつけの動物病院で受診してください。

犬の子宮蓄膿症の原因

犬の子宮蓄膿症の原因について説明します。


原因には犬の発情周期が大きく関わってくるので、まず始めに犬の発情周期について説明していきます。


犬の発情周期

  • 発情前期・・発情ホルモンが増えていき発情出血のみられる時期。雄犬を許容せず交尾はしない時期。外陰部が充血してくる。2週間くらい続く。
  • 発情期・・雄犬を許容し交尾をする時期。平均で10日間くらい続く。妊娠できる時期。
  • 発情休止期・・発情期の後の約2ヶ月間。妊娠しなくても乳房から乳汁がでることもある。黄体ホルモンの分泌量が増え、ホルモンによる影響の大きい時期。子宮蓄膿症にかかりやすい時期。
  • 無発情期・・約4~8ヶ月間くらい続く。ホルモンの影響を受けない時期。

通常、避妊手術をしておらず妊娠していない犬はこの発情周期を年に約2回繰り返しています。


発情休止期はプロジェステロンという黄体ホルモンの分泌量が増加します。


この黄体ホルモンは妊娠をするのにとても大事なホルモンなのですが、免疫力を低下させてしまいます。


妊娠していない犬でも発情休止期である発情後二ヶ月間は、この黄体ホルモンが増加するので、この時期の犬の子宮は細菌に感染しやすい状態にあり、この時期に子宮蓄膿症は引き起こされることが多いのです。

原因となる細菌はブドウ球菌や大腸菌、サルモネラが多く、特に一番多いのは大腸菌です。


肛門周囲の毛を短くカットしておくことで発情後に外陰部から膿が出ているかなどの状態が観察しやすくなり、病気の早期発見にもつながることもありますので、愛犬の状態には特に注意して観察しましょう。

子宮蓄膿症の治療法・検査方法

子宮蓄膿症の検査方法と治療方法についてみていきましょう。


子宮蓄膿症の検査方法

  • 超音波検査(子宮内に膿が溜まっていることがわかる)
  • 血球検査(細菌に感染すると増加する白血球が増加しているか調べる)
  • レントゲン検査(子宮内部の膿の溜まっている状態を確認する)
  • 血液検査(体の中の電解質のバランスが崩れていないか調べる)

子宮蓄膿症の治療方法

  • 外科手術・・子宮と卵巣を除去する手術。子宮蓄膿症には一番最適な治療法。子宮を除去しているので再発することはない。
  • 注射+点滴・・子宮頸管(子宮の入り口)を開き膿をだすホルモン剤の注射をして、点滴を行うが、再発する可能性があるので注意が必要。上の外科手術には麻酔が必要となるため、心臓が悪かったり高齢で麻酔に耐えられなかったりして手術できない場合行われることがある。毎回発情後の約2ヶ月間は子宮蓄膿症の症状がでていないかを注意して観察する必要がある。

手術後の注意点

手術後の注意点についてです。


手術後は元気や食欲がなくなることが多いですが徐々に回復していきます。


手術部位から出血したり手術の傷口をなめたがることが多いのでエリザベスカラーをつけるなどして注意してください。


手術した部分をなめると、そこからまた感染したり、傷の治りが悪くなったり、傷口がひらくこともあるので気を付けてください。


また手術後はホルモンバランスがくずれるので、脂肪が付きやすくなり太りやすくなってしまいます。


そのため低カロリーのエサに替えたり、同じドッグフードを与えるのであれば与える量を減らしたりとカロリーの摂取量や運動量に注意していただく必要があります。


なかなか元気や食欲が回復しない、出血が少なくならないなどの気になる症状があった場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。


手術が成功した場合でも感染した細菌の種類によっては、細菌が血栓を作ることで血管に詰まったり(血管内凝固症候群:DIC)、細菌がだす毒素で血圧が下がりショック症状となり死亡してしまうこともあります。

子宮蓄膿症の予防方法

妊娠させる予定がない犬であれば、早目に避妊手術を受けさせることが予防となります


犬の避妊手術は、子宮や卵巣を取り妊娠をさせなくする手術です。


避妊手術を早めに受けることで、子宮蓄膿症だけでなく犬の乳腺腫瘍になるリスクも下げることができます。


1歳未満での避妊手術は乳腺腫瘍になるリスクを大幅に低下させることができるので、子犬から飼われる場合は将来大きくなった時、子犬を産ませるかどうか、避妊手術を受けさせるのかどうかを早目に話し合っておくことが病気の予防にとても大切です。

子宮蓄膿症になりやすい犬種・年齢は?


では、子宮蓄膿症になりやすい犬種や年齢はあるのでしょうか?

次に子宮蓄膿症にかかりやすい犬種や年齢についてみていきたいと思います。

子宮蓄膿症になりやすい犬種

幸いなことに、子宮蓄膿症になりやすい犬種はありません。


しかし裏を返せば、子宮蓄膿症は全ての犬種でかかってしまう可能性があります。


避妊手術を受けていない犬で、妊娠出産をしていない犬もしくは何年もの間出産をしていない犬では年齢を重ねるごとに子宮蓄膿症にかかるリスクは増加してしまいます。

子宮蓄膿症になりやすい年齢

避妊手術をしていない犬では若い犬でも子宮蓄膿症になってしまうこともありますが、一般的には5歳以上の犬でかかりやすくなります。

4歳以上では15%の犬がかかり、9歳以上では発症率がさらに高くなるというデータもあります。

子宮蓄膿症は高齢になるにつれて発症率の高い病気となってきます。

子宮蓄膿症の治療費はどのくらい?ペット保険で補償される?


ここまでは犬の子宮蓄膿症の症状や治療法などについてみてきましたが、治療費はどのくらいかかるのでしょうか?


またペット保険に加入している場合、補償が受けれるのかどうかみていきましょう。

子宮蓄膿症の治療費用の例

治療費は動物病院ごとに異なるため、治療費用の一例です。


犬種年齢治療費合計(円)
ミニチュアダックスフンド8歳117,000
チワワ
8歳250,000


外科手術をして子宮のみを取り出す場合や、子宮が破裂していて腹膜炎になっている場合など重症度によって手術料は異なってきます。


外科手術を行うと入院日数が数日となることが多く犬種によっても異なりますが、入院は一日当たり3,000円~30,000円くらいかかることが多いです。


子宮蓄膿症の治療費としては入院日数や手術の内容などにもよりますがだいたい10万円~30万円くらいかかります。

ほとんどのペット保険で補償される

犬の子宮蓄膿症はほとんどのペット保険で補償の対象になっています。

加入されているペット保険の種類にもよりますが、5割や9割といった補償額を受けられることもあります。


予防目的の手術はペット保険の対象とはなりません。


そのため避妊手術は犬の子宮蓄膿症の予防となるのですが、残念ながら保険の対象にはなりません。


ペット保険は毎月高いお金がかかると加入を迷っておられる方は、補償内容を検討してはどうでしょうか?


補償内容は手術のみや、通院+手術など選べ、補償の割合も様々です。


内容により毎月の掛け金も変わってきます。


万が一のために、ご自分に合った補償内容でペット保険を選ばれることをお勧めします。

まとめ:犬の子宮蓄膿症について

今回は犬の子宮蓄膿症について説明してきました。


今回のまとめとして、

  • 子宮蓄膿症はどんな犬にもおこってしまう可能性のある病気で、放置しておくと死んでしまう可能性のある病気です。
  • 外陰部からの出血や膿がでることがあります、
  • 出産させる可能性がないことが分かっているのであれば、早目に避妊手術を受けることをおすすめします。
  • 子宮蓄膿症にかかると治療費用が高いです。
  • ペット保険の加入で補償が受けられる病気です。

このようなことがわかりました。


いざという時のためにペット保険の加入を考えてみられてはどうでしょうか?


MOFFMEでは、この記事の他にも役に立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。