【獣医師監修】犬の腎不全はどんな病気?症状・原因、治療費・治療法なども紹介

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犬の腎不全は腎臓が機能しなくなり、食欲不振や嘔吐などの症状が出る病気です。末期だと完治は難しいですが、急性腎不全のステージ初期なら薬や点滴で症状を抑えつつ治療が可能です。今回はそんな犬の腎不全について、症状や原因、治療法、注意すべきフードを解説します。

犬の腎不全とは?


皆さんは腎不全という病気を聞いたことがありますか?腎不全と聞くと、人工透析を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?


犬も腎不全になるのですが、実は腎不全は犬の病死の原因の上位に入っている恐ろしい病気です。


また、腎不全になるとどのような症状が出るのかを知らない方も多いのではないでしょうか。


今回「ほけんROOM」では、

  • 犬の腎不全の症状や原因は何なのか?
  • 腎不全に犬種や年齢は関係あるのか?
  • 犬の腎不全はペット保険に加入すれば補償されるのか?

についてご紹介します。


この記事をお読みいただければ、犬の腎不全の症状や治療法などが詳しくお分かりになるかと思います。ぜひ最後までお読みください。

犬の腎臓が機能しなくなってしまう病気

犬の腎不全というのは、犬の腎臓が機能しなくなってしまう病気です。そもそも腎臓が何をしている臓器なのか、詳しく知らない方もいるかと思います。


腎臓と言われて真っ先に思い浮かぶのが、尿を作っている臓器、ということではないでしょうか?尿を作る以外にもホルモンを作ったビタミンの活性化どもしています。


腎臓は、尿をろ過する器官である多数の「ネフロン」から成り、このネフロンが何らかの原因で機能しなくなると、腎不全となってしまいます。


ネフロンは約80万個もあるので、半分のネフロンが機能しなくなっても、残りの半分で血液(厳密には原尿)のろ過を行うことができます。


そのため、ネフロンの機能が低下していることに気づきにくく、腎不全と分かった時にはすでに症状がだいぶ進行している状態になっていることが多いのが特徴です。

腎臓にはどんな役割があるのか

腎不全を解説する前に、腎臓はどのような働きをする臓器かをもう少し詳しく見てみましょう。


腎臓の働きは多様ですが、主なものを挙げれば

  • 老廃物の排泄
  • ビタミンの活性化
  • 体液の調節
  • 血圧の調整
  • ホルモンをつくる など
です。

腎臓が血液をろ過し老廃物を排出する働きを持つことはよく知られており、この働きが弱くなると老廃物が体中に溜まり、体がむくんだり疲れやすくなったりします。


犬の体は体重の半分以上が水で作られており、水は生命維持に非常に重要な働きをしています。そしてこの体内の水分を一定に保つのも腎臓の働きです。


腎臓の働きを良くするためには血圧が一定に保たれなければなりません。そのため酵素の分泌量を調整して血圧を一定に保つ働きをします。


腎臓はいろいろなホルモンをつくって、赤血球を増やす働きを助けたり、カルシウムを吸収する働きを助けたりもしています。

犬の腎不全の症状


犬の腎不全には急性腎不全慢性腎不全の2種類があります。


急性腎不全は原因となる事故などが起きてから、数時間から数日で腎臓の機能が低下してしまう病気です。


急激に症状が悪化するのが特徴で、急性腎不全の症状としては、

  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 尿量の減少または全くでない

などになります。


急性腎不全は、治療が遅れると命の危険もあるので、このような症状がみられる場合は早急に病院へ行くようにしてください。


一方、慢性腎不全は腎臓の機能が数か月から数年かけて徐々に低下していく病気であり、その症状としては、

  • 多飲多尿
  • 食欲不振
  • 嘔吐・下痢
  • 体重減少
  • 毛づやが悪い

などになります。


このような症状が出始めたときは、すでに腎臓の機能の低下がだいぶ進行してしまっている場合が多くなります。


さらに症状が悪化してしまうと、尿毒症となり、重度の場合は痙攣や震えが起こることもあります。

慢性腎不全のステージ

慢性腎不全はステージ1から4まで分けられています。ステージ1が一番症状が軽い段階ですが、残された腎機能は100%〜33%と幅が広いです。ここではステージ1から4までを詳しくご紹介します。


ステージ1

残された腎機能は100~33%と言われています。3割ほどの腎機能でも犬自体は元気で、臨床症状は特に見られません。


血液検査でも異常が出ないことが多く、ステージ1の時点では見逃されてしまう事も多いようです。


ステージ2

残された腎機能が25%ほどの状態です。ステージ2でも犬自体は元気なことが多く、多飲多尿の症状があるくらいになります。ステージ2では血液検査に以上が見られることもありますが、正常~軽度上昇程度の場合もあります。

ステージ3

残された腎機能が10%を切った状態です。ここまで進行してしまうと犬の方でも自覚症状があるようで、元気がなくなってきたり散歩を嫌がるようになります。また、元気や食欲がなくなる嘔吐体重減少などの症状が出てきます。


ステージ4

残された腎機能が5%を切った状態です。腎機能が低下して尿毒症になるとアンモニア臭のする口臭や嘔吐、下痢などの症状が出てきて、重度の場合は痙攣や震えが起こったり、昏睡状態になったりすることもあります。


人のように人工透析を頻繁に行うことができないため、かなり危険な状態です。


腎臓病について日本小動物血液透析協会のサイトで詳しく解説されているので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

おやつも関係する?犬の腎不全の原因

腎不全の原因はとしては

  • 脱水や心臓病が原因で腎臓の血液量が低下してしまう
  • 毒物や細菌による中毒や細菌感染などで腎臓にダメージがあった
  • 尿路結石や腫瘍が原因で、排尿できなくなってしまった

などがあります。


特に注意したいのが毒物を食べてしまう事により起こる腎不全です。


犬が腎不全になってしまう可能性がある食べ物として

  • ブドウやレーズン
  • ユリ
  • 人用の風邪薬
  • ネギ類やチョコレート

などが挙げられます。これらのものを飼い犬の近くに置いておくのは避けるようにしましょう。


また、人の食べ物や犬のおやつなど、塩分が高いものは腎臓に負担をかけ、腎不全になりやすくなってしまう可能性もあります。


できるだけ総合栄養食やバランスの良い食事などを与えるようにし、おやつなどはなるべく与えないようにするのが理想になります。

点滴や薬を使う?犬の腎不全の治療法を紹介

犬が腎不全になってしまったときの治療法としては

  • 皮下点滴
  • 静脈点滴(急性腎不全の場合は特に)
  • 制吐剤や制酸剤などの薬物投与
  • 食事療法
  • 人工透析

などになります。


急性腎不全と慢性腎不全で治療の方法が多少変わるようです。急性腎不全の場合、スピード勝負になるようで、入院して治療を行うことになります。


皮下点滴によって体の水分量を維持する輸液療法が主な治療になります。この治療を行いながら、嘔吐がひどい場合は制吐剤を与えたり、点滴をしてもおしっこが出ず、体の水分が多くなってしまったら利尿剤などを与えたりします。


また尿毒症等にかかった場合は人工透析を行うこともあります。


慢性腎不全の治療は急性腎不全と違い、食事療法がメインになります。腎臓の機能は一度悪くなってしまうと元に戻らないため、これ以上腎臓に負担をかけないためにも食事療法を行います。


腎不全の場合、たんぱく質リンナトリウムを制限する必要があります。普通のフードではこれらの栄養素が取り過ぎになってしまうので、腎不全専用の療法食を与えるようになります。


また、腎不全の犬に与えない方が良い食べ物として、

  • ソーセージ
  • ささみ
  • チーズ
  • サツマイモ
  • バナナ

などがあります。


ソーセージは塩分が高いため腎臓に負担をかけてしまいます。ささみやチーズはリンが多く含まれているので避けて下さい。


特にささみは低脂肪なため、おやつやトッピングで使用していた方も多いかもしれません。ささみではなく、鶏むね肉などを与えるようにして下さい。


サツマイモやバナナには前述したカリウムが多く含まれているため、与えるのは避けた方がいいようです。


腎不全では水分を多く摂取することが必要になります。食事療法ではスープ等で水分を多く摂取することが求められます。


食事療法以外にも、高血圧や蛋白尿を改善させる薬を処方されたり、急性腎不全と同じように、皮下点滴で水分バランスを整えたりすることもあるようです。

人工透析とは?どのような効果があるのか

腎臓の働きを期待できなくなってしまった重症の腎不全の場合は、生命維持のためには人工透析を行う必要があります。


人工透析とは、血管を分岐させて血液をいったん体外にとりだし、腎臓の働きを代替する機器であるダイアライザーに通し血液をきれいにして、体内に戻す治療をいいます。


人工透析を行うことで血液中の老廃物が取り除かれるほか、血液の成分調整も行われるために、腎不全によるいろいろな症状を改善することになります。


この人工透析は1回に約3時間を要し、週に数回もしくは状態によっては毎日行う必要があり、その手間も費用も大変なものがあります。


合わせて、人工透析の実施は、低血圧や腹膜炎などの合併症をまねく可能性もありますので注意が必要です。

犬の腎不全の予防方法

腎不全を予防するためには、塩分をなるべく取らないように、バランスの良い食事を与えるようにしましょう。


人の食べ物を欲しがる犬も多いかもしれませんが、人の食べ物には塩分が多く含まれていることもあり、犬の腎臓に負担をかけてしまいます。


また、飲み水もこまめに取り換えるようにし、新鮮な水をいつでも飲めるようにしてあげるのも、予防につながります。


腎不全は症状が出た時点で、かなり進行している病気です。少しでも早く気づいてあげられるように、愛犬の様子を毎日チェックするようにしてください。


また、毒物の摂取で腎不全になるのを防ぐためにも、毒物を犬の届く範囲に置かないように十分気をつけましょう。

腎不全にかかりやすい犬種や年齢は?

腎不全にかかるのに、犬種や年齢は関係があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか?


飼っている犬種が腎不全になりやすいことを知っていれば、飲み水の量が増えた時点で腎不全を疑うことができるかもしれません。


ここでは腎不全になりやすい犬種や年齢をご紹介します。

腎不全になりやすい犬種

今のところ、腎不全と犬種はあまり関係が無いと言われているようです。しかし、イングリッシュ・コッカー・スパニエルは慢性腎不全になりやすいとも言われているようです。


イングリッシュ・コッカー・スパニエルを飼っている方は、フードやおやつの塩分に気をつけるようにして下さい。


腎不全になりやすい犬種がないからといって安心はできず、逆に言えばすべての犬種で腎不全になる可能性があることになります。


日ごろの愛犬への観察や正しい食事管理はどんな病気にも有効な対策になります。

慢性腎不全になりやすい年齢

慢性腎不全になりやすい年齢としては、高齢の犬が多いようです。


ただ、高齢の犬がよくなる、という訳ではないようで、中齢の犬が慢性腎不全になっても、発見されるのが高齢になってから、というケースも多く含まれるようです。


高齢の犬を飼っている方は、毎日のチェックを行い、異常がないかを確認するようにしてあげてください。

犬の腎不全の治療費は高額?ペット保険で補償される?

腎不全の原因や症状、治療法をご紹介しましたが、治療費が気になる方も多いのではないでしょうか?


腎不全の治療は入院や点滴などが必要になりますが、症状が軽く、入院の必要が無い場合、1回の通院で13,000円程で済むこともあるようです。


内訳としては、診察1,000円、尿検査1,500~2,000円、内服薬の処方に関する費用3,000円、血液検査5,000円、皮下点滴2,000円の計13,000円、くらいになるようです。


血液検査だけでも意外と高い治療費で驚く方もいるのではないでしょうか?


しかし、通院が必要になることが多いので、1度の支払いが少なくても、治療費の総額は高額になってしまう事もあります。


では、症状が重い場合はどれくらいなのでしょうか?


また、ペット保険で補償されるのかも解説していきます。

犬の腎不全の高額な治療費の例

腎不全の症状が重く、入院が必要な場合、5万円から10万円ほどかかると言われています。


入院の際の治療費として、

  • 入院費(7日)・・・38,500円
  • 入院中の薬代・・・14,000円
  • 静脈留置・・・3,500円
  • 点滴(静脈・皮下)・・・2,000円
  • 血液検査・・・12,000円
  • 処方食・・・3,000円
  • 尿検査・・・14,000円

がかかったケースもあるようです。


治療費や入院費は病院によって差がありますが、かなり高額な治療費がかかると思っておいた方がよいでしょう。


また、入院の場合、その後通院となるケースもあり、入院の治療費が10万円、20回通院して治療費が8万円というかなり高額になるケースもあるということを心に留めておきましょう。


また、人工透析などを行う場合、1度の透析治療で数万円ほどかかると言われており、それを週2回行うことを考えると、かなり高額な治療費がかかることが想像できます。

ほとんどのペット保険で補償されるが注意点もある

高額な治療費のかかる腎不全ですが、ペット保険に加入していれば、ほとんどのペット保険で補償されます


ペット保険の種類にもよりますが、飼い主さんが3割負担の保険に入っていた場合、10万円の治療費が3万円で済む、ということになります。


あまり費用のことを気にせず、治療を受けさせてあげられるのは、飼い主さんにとっても嬉しいことなのではないでしょうか?


ただし、すでに慢性腎不全になってしまっている愛犬を、ペット保険に加入させようとすると、条件付き加入になってしまうことがあります。


一般的には現在治療中の病気や怪我があっても、「特定傷病除外特」というものを付ければ、治療中のものに保険は払われませんが、保険に加入することはできます。


しかし、慢性腎不全の場合、特約を付けても加入できない保険会社もあるようなので、注意が必要です。

まとめ:犬の腎不全について

犬の腎不全とはどんな病気かについて解説しましたが、いかがでしたか。


この記事のポイントは

  • 腎不全とは腎臓が機能しなくなってしまう病気
  • 腎不全の症状は、食欲不振、嘔吐などがみられる
  • 急性腎不全は初期であれば点滴や薬による治療、重症になれば人工透析になる
  • 慢性腎不全の場合は食事療法がメイン
  • 腎不全の治療は高額になるが、多くはペット保険の対象となる

でした。


腎臓はいったんその機能が低下すると、回復が難しいために、何といっても早期に発見して、早期に治療を始めることが大切です。


可愛いワンちゃんが不治のしかも重い病気にならないように、この記事を参考に毎日のワンちゃんを観察をしながら、楽しい生活を送って下さい。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
森下 浩志
2018年に早稲田大学基幹理工学部に入学。保険×テックの領域で保険業界をイノベーションをしていく姿勢に共感し、「ほけんROOM」の運営に参画。2019年にファイナンシャルプランナー、損害保険募集人資格を取得。

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