学資保険の被保険者は誰?契約者や受取人は、誰でもなれるものなのか?

学資保険は教育資金を積立することから被保険者は子どもになります。契約者や被保険者になるには年齢制限もあります。また満期保険金を受け取ることになりますので、学資保険の場合は契約者と受取人が相違すると思わぬ課税が発生することになりますので、注意しましょう。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険の契約に必要な人物

生命保険に加入するためには、契約者、被保険者、受取人がそれぞれ必要となります。もちろん貯蓄商品である学資保険も同様です。

学資保険では、保険料を支払う契約者、保険の対象なる被保険者、お祝い金や満期保険金を受け取る受取人の三者で構成されています。


契約者とは

学資保険の契約に関する権利を有する人のことを、契約者と言います。権利を持つと同時に、保険料の支払い義務が発生します。しかし、保険料を支払うことにより、年末調整や確定申告により生命保険料控除を受けるメリットがあります。

学資保険の場合、契約者は自身の健康状態に対して、保険会社に告知を行う必要があります。告知書と言って、過去5年以内に病歴がないか等の確認となります。

もしこの告知の際に、不利になるからと言って虚偽の告知をした場合、虚偽が判明した段階で保険会社は告知義務違反として契約を解除することができますので、必ず真実を告知する必要があります。

被保険者とは

保険の対象となるのが被保険者です。学資保険の場合は、もちろんお子様が被保険者となります。

一般の生命保険や医療保険と違い、貯蓄型の保険ですので満期が伴います。一般的には、満期になる年齢は決まっているので、お子様が小さいうちに加入していれば、保険料の支払い機関が長いため、毎月の保険料は安くなります。

仮に、お子様の加入時の年齢が0歳で、18歳の時に満期を迎えるとします。保険料は単純に18年間支払うことになりますが、保険料の総額を18年間で割るので、1ヶ月あたりの保険料は安くなります。

しかし、お子様が3歳で加入した場合は、同じ18歳満期にすると15年間で保険料を支払わなければなりません。同じ保険料総額であれば、18年間で割るのと15年間で割るのとでは、前者の方が1ヶ月あたりの保険料が安くなるということになります。

また、保険会社によって違いはありますが、被保険者となるお子様の

年齢制限が設けられています。0から7歳が一般的な加入可能の年齢となっていますが、中には10歳までや15歳まで加入が可能となっている場合もあります。

しかし、学資保険は早めに加入するに越したことはありません。

被保険者となる子どもは、いつ体調が崩れるかわかりません。契約者の告知より、被保険者であるお子様の告知の方が、細かく設定されています。

告知の面から見ても、学資保険を検討するならば、早めの方が得策となります。


受取人とは

学資保険には、お祝い金や満期保険金があり、その保険金を受け取る人を受取人と言います。

一般的には、契約者と同じ人が受取人となります。

これには理由があり、契約者と受取人が別人の場合は贈与税の対象となってしまします。確定申告における贈与税の控除額は110万円と上限が決まっており、税制面で不利となります。

契約者と受取人が同一である場合には、一時所得に当てはまりますので、税制面における計算では、受け取った保険料から支払った保険料を差し引き、さらに50万円の控除額を差し引いた額の半分が課税対象となります。したがって、お祝い金や満期保険金を受け取っても、課税対象となることが少なく、税制面でお得になるというわけです。


学資保険のそれぞれの契約者に必要な条件

学資保険に加入するにあたり、誰でも契約者になれるわけではありません。お子様の教育資金を準備する手段として加入するわけですから、全くの他人が契約者になることはできません。主に、お子様の父母が契約者となります。

もちろん、契約者には保険料の支払い義務が生じる為、保険会社としても無職など保険料の支払いが困難と予測される人を契約者として認めることはありません。どのような職業で、どれくらいの年収になっているのかを確認した上で、加入引き受けの可否を決めています。

このようなことから、一家の大黒柱である人が契約者となることが一般的です。

また、契約者になるにあたり、健康上の告知書の提出もありますので、支払い能力があると共に、比較的健康であることが必要となります。

契約者は父母である必要はない

学資保険においては、必ずしも契約者が父母である必要はありません。祖父母や三等身内の親族であれば、契約者として認められます。

ただし、契約者を父母以外とした場合、気をつけておかなければならないのが、受取人の設定です。

よく見受けられる例として、祖母が孫の教育資金の為に学資保険の加入を考えた場合です。確かに、可愛い孫の将来を案じ、少しでも何かをしてあげたいと思う人は少なくありません。


しかし、このような場合、お祝い金や満期保険金は孫の親に受け取ってもらい、孫の教育資金に充てて欲しいと考えてしまいがちです。

先ほどもご紹介したように、このような例ですと、祖母が契約者となり、受取人を父母のどちらかにした場合、贈与税とみなされてしまいます。せっかく祖母が貯蓄してくれた教育資金に税金がかかって、受取額が少なくなってしまっては、本末転倒です。

契約者は、父母でなくてはならないことはありませんが、受取人との関係を理解した上で、学資保険の検討をして欲しいと思います。

なお、学資保険の場合は、契約者の年齢制限が設けられていることが多いですので、祖父母の方で検討される場合には、保険会社に確認した上でご検討ください。

学資保険の被保険者は必ずお子様

被保険者とは、保険の対象となる人ですので、学資保険では必ずお子様が被保険者となります。一口にお子様と言っても成人したお子様ではなく、あくまで養育段階であるお子様のことを指します。

また、学資保険には、生命保険や医療保険とは異なり、教育資金を準備するための保険商品となります。成人した方が加入する貯蓄タイプの保険とは違いますので、覚えておきたいところとなります。

受取人は契約者と異なる場合も可能

加入時において、契約者と受取人を別の人にすることは可能です。

税制面において不利にはなりますが、契約者と受取人が同一でなくても、保険会社は赤の他人などでなければ加入を認めてくれます。


  • 祖父母が契約者で、母が受取人
  • 父が契約者で、子が受取人
このような設定であっても、学資保険の加入は可能です。

しかし、税率の高い贈与税の対象となってしまうので、受取人は契約者と同一であることが好ましいと言えます。

離婚などをした際の対応

子どもが生まれ幸せな家庭で、離婚を考えることは少ないかもしれませんが、今の時代3組に1組が離婚をしていると言われています。

あまり考えたくないかもしれませんが、学資保険に加入した後、離婚となってしまうケースも少なくありません。

では、離婚した場合、学資保険は継続できなくなるのでしょうか。

結論から言うと、学資保険はお子様を被保険者として、そのまま継続が可能です。しかし、継続していくにあたり、いくつかの注意点が存在します。万が一、離婚の話になってしまった場合には、被保険者となっているお子様の親権者によって手続きが必要になりますので、注意しておくことがあります。

契約者を変更する

契約者が親権者となる場合は、学資保険を継続していく必要はありませんが、子どもの親権者が契約者と異なる場合には、契約者の名義を変更する必要があります。

例えば、夫が契約者であり受取人の学資保険に加入しており、妻が子どもの親権者となった場合です。

こういったケースでは、契約者を妻に変更しておく必要があります。なぜなら、学資保険は子どもの為の教育資金です。解約をするならば話は別ですが、継続していくならば親権者を契約者としておかなえれば、知らぬうちに解約されていた等、予期せぬことに繋がる恐れも考えられます。離婚前に良く話し合い、契約者の変更とともに、受取人の変更をしておく必要があります。

契約者が亡くなった場合

学資保険には、保険料払込免除特約が付加されています。これは、契約者が亡くなってしまったり高度障害になってしまった場合、以後の払い込みは免除となり満期時には、予定通り満期保険金を受け取ることができます。この特約は、取り外すことができる保険会社もありますが、預貯金と違い、万が一親が亡くなってしまった場合でも、教育資金が準備できる特約となりますので、学資保険には付加しておいた方が良い特約と言えます。

被保険者が受取人になる

被保険者である子どもが、受取人になることも可能です。

契約者が親で、被保険者、受取人ともに子どもとなるケースです。しかし、これまでにもご紹介した通り贈与税の対象になりますので、あまりお勧めはできません。教育資金は子どもに受け取ってもらおうとして受取人にしてしまうと、子どもが贈与税を払わなくてはなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。一般の生命保険同様、学資保険には契約者、被保険者、受取人の3者で成り立っていますが、相違する点は子どもが被保険者になること、また教育資金として積み立てて行くことができることになります。

もちろん学資保険には、被保険者となる子どもを対象に医療特約を付加することも可能です。

また、被保険者からみて第三親等までの近しい近親者であれば、契約することは可能です。しかし、受取人を誰にするかによって、税制面が関わってきますのでご注意ください。


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