ボーナスは何ヶ月分が支給される?ボーナスの仕組みと支給額を解説!

社会人はボーナス(賞与)何ヶ月分貰えるの?民間や公務員などのボーナスが何ヵ月分出るか知りたい方はたくさんいると思います。今回は、そういった疑問に答えるためにボーナス(賞与)が平均何ヶ月分貰えるのかについて、またボーナスの基本的な仕組みについても説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

ボーナス(賞与)はいくらくらい貰えるの?

社会人になるにあたって気になることの一つが「ボーナス(賞与)」ですよね。


毎月の給与とは別にもらえるものだとは知っていても、それがいくらなのか、月給の何ヶ月分にあたるのかはよくわからないですよね。


そこで本記事では、


  • ボーナスは平均して月給何ヶ月分をもえらえるか
  • ボーナスの意味や基本的な仕組み
  • 業界別のボーナス事情

について詳しく見ていきたいと思います。


給与やボーナスが気になる就活生はもちろん、自分のボーナスが月給の何ヶ月分になるのか、平均と比べて多いのか少ないのかが気になる新社会人の方も、ぜひ最後までご覧ください!



民間企業のボーナス支給額

まずは、国税庁の「民間給与実態統計調査」を参考に、民間企業の平均年間賞与額を見てみましょう。


平成29年度の平均賞与額は68万円になっています。この額は、昨年度より3万5千円アップしています。


また、男性と女性では賞与額が大きく異なります。昨年度の男性の平均賞与額は87.3万円でしたが、女性では39.7万円でした。


ボーナスの額に男女差があるのは、昇進の有無が関わっているようです。女性はライフイベントなどから昇進しにくく、その分賞与額も少なくなっています。


次に、同じく「民間給与実際統計調査」を参考に、業種別の平均賞与額について見ていきます。業種によっても平均賞与額が大きく異なります。

男性女性
金融業・保険業185.2万円85.0万円
電気・ガス・熱供給・水道業145.7万円104.7万円
情報通信業126.3万円69.8万円
学術研究・技術サービス業
教育・学習支援業
122.4万円
71.9万円
製造業118.9万円49.2万円
複合サービス事業102.8万円55.6万円
卸売・小売業
79.0万円
24.6万円
建設業
75.7万円
38.3万円
医療・福祉
64.9万円
52.5万円
不動産業・物品賃貸業
63.0万円
25.6万円
運輸業・郵便業
58.1万円
37.9万円
サービス業53.1万円21.9万円
農林水産・鉱業48.3万円32.3万円
宿泊業・飲食サービス業27.6万円7.9万円


男性で最も平均ボーナスが多いのは金融業・保険業、女性では電気・ガス・熱供給・水道業になります。


また、最も賞与額が低いのは、男女共通して宿泊業・飲食サービス業になります。


このように、業種は平均の賞与額に大きく影響することがわかります。それでは、企業規模ではどうでしょうか。

大手企業は平均何ヶ月分のボーナス?

大企業の定義はさまざまですが、ここでは人数による企業規模で比較していきます。


国税庁の「民間給与実態統計調査」では、事業所規模ごとの平均賞与額がわかります。


100人以上の従業員を抱える企業では、平均賞与額が全体の平均額よりも高くなっています


事業所規模男性女性
100人以上90.0万円48.4万円
500人以上113.4万円52.3万円
1,000人以上137.7万円51.9万円
5,000人以上156.2万円44.0万円


東洋経済ONLINEによると、2017年度で最もボーナスが多かったのは、五大総合商社の一つである住友商事の468.8万円でした。


そのほかの有名企業では、日本の情報・通信を支えるソフトバンクで259.0万円、大手化学メーカーの花王で246.1万円と、やはり大手有名企業ではボーナス額も高い傾向があります。


このように、平均賞与額よりも大幅にボーナス額が高い大手企業ですが、月給になおすと何ヶ月分になるのでしょうか。


大手企業では平均月給も高いため、平均賞与額は月給の2ヶ月分~2.5ヶ月分の計算であることが多いようです。

中小企業は平均何ヶ月分のボーナス?

では、中小企業ではどうでしょうか。こちらも国税庁の「民間給与実態統計調査」を参考に見ていきます。


事業所規模男性女性
10人以上51.0万円28.9万円
30人以上67.4万円40.3万円


中小企業の賞与額が月給の何ヶ月分にあたるかで計算すると、約1か月分程度になります。


企業規模が100人以上の企業では男性のボーナスの平均額が90万円、月給の2~2.5ヶ月分だったことを考えると、大手企業と中小企業ではボーナスに大きな違いがあると言えます。


さらに、厚生労働省の「平成29年年末賞与の支給状況」によると、企業規模が100人以上の94.9%の企業がボーナスを支給しているのに対して、30人未満の企業は67.5%の企業しかボーナスを支給していないことがわかります。


つまり、中小企業では平均1ヶ月分のボーナスが支給されている一方で、ボーナスが支給されない可能性もあるようです。

新卒はボーナスが貰えない?

ボーナスは一般的に、夏と冬の年2回支給されます。新社会人の人やこれから働く就活生の人は、早ければ夏にボーナスをもらえる可能性があるということになります。


しかし、働き始めたばかりでは「ボーナスが何ヶ月分もらえるのか」というのは聞きにくいものです。


そこで、社会人1年目の場合のボーナスについて紹介していきます。


まず、ボーナスの支給には査定期間という条件があります。上半期と下半期の査定期間内の評価によってボーナス支給額が決まります


一般的に、夏の賞与が6月、冬の賞与が12月に支給され、それぞれ査定期間は4月~9月、10月~3月となっています。


社会人1年目の夏のボーナス


結論から言うと、社会人1年目の夏の賞与はもらえないことが多いです。なぜなら、上半期の査定期間が足りていないからです。


運よく支給されたとしても、寸志程度であることが多いので、社会人1年目のボーナスはあまり期待しない方がよいでしょう。


産労総合研究所の「2018年度決定初任給調査」によると、全国の東証1部・2部上場企業の85%が「なんらかの夏季賞与を支給する」としています。


夏季賞与の支給について最も多いのは「一定額(寸志など)」となっており、平均支給額は大卒で8.8万円、高卒で6.9万円となっています。


社会人1年目の冬のボーナス


一方、冬のボーナスに関しては満額支給されるようになります。


企業規模や業績にもよりますが、平均的な冬の賞与額は月収の約2ヶ月分だと言われているので、40万円前後が平均額となります。

参考:決算賞与について

なかには、「賞与を年2回支給し、決算状況に応じて決算賞与を年1回支給する」、と定めている企業もあります。では、決算賞与とは何を意味するのでしょうか。


決算賞与とは、企業の業績に応じて支払われる賞与のことです。


企業は黒字になると一定額を法人税という税金として国に納めなければなりません。


この時、課税対象となる黒字から「賞与」という形で社員に還元することで、企業側としても節税対策を行っています。


会社としては節税効果があり、社員としては自分たちの頑張りが目に見える報酬で返ってくるので双方にメリットがあると言えます。


しかし、一部の中小企業では「決算賞与」という名目で年1回のボーナス支給を行っている場合もあります。


このような賞与に関する情報は求人票に記載されているので、よく確認するようにしましょう。



公務員のボーナス支給額

次に、公務員のボーナス(賞与)について説明していきます。


公務員といえば「安定している」というイメージがありますよね。それでは、ボーナスに関しては、どうでしょうか。


公務員には国家公務員と地方公務員がいます。それぞれのボーナスがどのように決まるのか、また、月給の何ヶ月分にあたるのかを見ていきましょう。

国家公務員は平均何ヶ月分のボーナス?

まず、国家公務員も地方公務員もボーナスの支給時期が決まっており、夏の賞与が6月30日、冬の賞与が12月10日になっています。


国家公務員のボーナス支給日とその計算方法は、法律により決められています。


公務員のボーナスの計算式は、

給与+地域手当+扶養手当)×支給月数

となっています。


国家公務員の給与やボーナスの支給額は、企業規模が50人以上の民間事業所の平均値を参考に算出されているので、実際に月給何ヶ月分の賞与支給になるのかは、毎年8月の「人事院勧告」によって決定されます。


なお、過去20年間の国家公務員のボーナス支給月数の平均は年間で4.35ヶ月分となっています。

地方公務員は平均何ヶ月分のボーナス?

それでは、地方公務員ではどうでしょうか。


地方公務員の場合は条例によってボーナス支給日とその計算方法が決められていますが、多くの自治体で、国家公務員に準じた日付・数値となっています。


そのため、実際に月給何ヶ月分の賞与支給になるかは、国家公務員のボーナス支給月数によって変わることが多いようです。


ただし、東京都や特別区については、人事院勧告よりも支給月数が0.1ヶ月分多くなることが多く、財政が厳しい自治体では人事院勧告よりも低くなる場合があるなど、自治体によって多少の違いあるようです。


公務員の月給やボーナスは高いイメージがありますが、これは企業規模が50人以上の企業の平均値を参考にしているからです。


日本の70%以上は中小企業に勤めており、そのうち90%は10人以下の企業規模の会社になるので、必然的に「公務員の給与やボーナスが高い」というイメージが生まれるようです。


公務員のボーナスについてより詳しくまとめた記事が別にあるので是非参考までにご覧ください



ボーナス(賞与)の仕組み

ここからは、ボーナス(賞与)の仕組みとその意味について解説していきます。


そもそもボーナス(賞与)とは、毎月の給与とは別で支給される手当のことを意味します。


ボーナスの査定には、査定期間内の従業員の勤務態度や仕事での成績が評価されます。これには勤続年数も加味されるため、新入社員や中途入社社員の最初のボーナスは「全員一定額」ということもあるようです。


それ以外の社員では、

月給×何ヶ月分

という形で計算されることが多くなります。

ボーナスは基本給(月給)×何ヶ月分かで決まる

入社から2回目以降のボーナスでは、基本的に満額支給となります。


一般的なボーナス支給額の計算は

月給×支給対象の月数

によって決まります。


「何ヶ月分」になるのかは企業の業績によって決まるため、毎月の月給によってボーナスの支給額に差が生まれています。


なかには、ボーナスに個人の仕事での成績を加味する企業もあります。これは、査定期間内の業績が評価対象となるため、ボーナスを上げたい場合は、この査定期間が非常に重要になります。

全体の平均は月給1.26ヶ月分

それでは、平均的なボーナス支給額は月給の何ヶ月分になるのでしょうか。厚生労働省の毎月勤労統計調査を参考に見ていきます。


平成29年11月分から平成30年1月分までに支給された賞与の平均支給月数は、平成29年で1.26か月分となっています。


支給された労働者の割合は91.6%となっているので、10%程度の従業員が支給されていないことになります。


しかし、この調査の対象となっていない企業もあるため、先ほども見たように実際のボーナス支給率はより低い数値になっていると予想されます。


一方で、今回の調査で「未支給」となっている企業を除外して考えれば、支給された平均支給月数はより高くなると考えられます。



業界別のボーナス事情

基本的に給料の何ヶ月分かを受け取れるボーナスですが、先ほどもご紹介したように、ボーナスの相場は業界によって大きな違いがあります


ご紹介した平均賞与額の多い上位5位までをもう一度ご紹介すると以下のようになっています。

業種男性女性
金融・保険業185.2万円85.0万円
電気・ガス・熱供給・145.7万円104.7万円
情報通信業126.3万円69.8万円
学術研究等122.4万円71.9万円
製造業118.9万円49.2万円

以上の5種が平均賞与額の多い業界となります。


ボーナスが多い業界への就職を考える方もいるかもしれません。この中の

  • 製造業
  • 金融業
  • 電気・ガス業
  • 情報通信業

についてそれぞれ詳しくご紹介していきます。

製造業

製造業は様々なものを製造する業界になります。区分としてはかなり広く、水産・食品、医薬品、電気機器、自動車、造船まで全て製造業と呼ばれます。


製造業自体ボーナスが多い傾向にありますが、区分ごとに細かく見ていくと、どの製造業がより多いのかも分かります。


製造業の2019年冬のボーナス平均額をいくつかご紹介すると以下のようになります。

区分平均ボーナス支給額
自動車941,071円
造船733,380円
電気機器784,946円
医薬品837,788円
水産・食品766,987円
紙・パルプ622,122円
このように、何を製造しているのかによってもボーナスの相場に違いが出てきます。


しかし、非製造業の平均が651,305円となっているため、製造業は全体的にボーナスが多いと言えます。

金融業

平均賞与額が一番多い結果となっていたのが金融業です。しかし、製造業と同じように、職種や業種によっては大きな差があることも多くなります。


特に銀行系では年功序列の制度が根強く残っていると言われ、20代や新卒などではあまりボーナスは期待できないようですが、年齢や役職が上がるほどにボーナスの金額も上がっていくと言われています。


さらに、地方銀行と都市銀行では、都市銀行の方がボーナスが高く、一般職よりも総合職の方がボーナスが高いなど、同じ銀行系でも違いがあります。


また、外資系証券会社では個人の成績が良ければボーナスも高くなる傾向にあり、若くても実力がある場合は外資系の方がボーナスを多く貰えることになります。どのくらい貰えるかは個人の実力次第ということですね。

電気・ガス業

電気・ガス業も平均ボーナスの高い業界となります。


電気・ガス業と言われても、あまりに身近にありすぎてどのような業界なのかいまいち分からないかたも多いと思います。


電気業は火力発電や水力発電など、発電することで電力を得、それを各家庭や会社に供給する事業です。ほとんどの方がお世話になている業種ですね。


ガス業は電気業と同じように、ガスを各家庭や会社に供給する事業です。発電するための火力発電にはガスが使用されているため、電気業・ガス業は共にボーナスも高くなる傾向にあるようです。


現在では1、2を争う勢いでボーナスの高い電気・ガス業ですが、この業界は国の政策に影響を受けることが多いと言われているため、ボーナス目的で就職を考えている場合は国の政策にも目を向けておくようにしましょう。

情報通信業

ケータイ電話やインターネットなど、お世話になっている方も多いのではないでしょうか。情報通信業もボーナスの多い業界の一つとなっています。


情報通信業と言うと、ケータイやインターネットが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。それ以外にも、テレビやラジオ、映画やテレビ番組の制作会社、新聞社、ソフトウェア開発会社なども含まれます。


ボーナスの多い業界となりますが、他の民間企業と同様、新卒や20代ではそこまでボーナスが多いという訳ではなく、年齢が上がるとボーナスも増えてくる傾向が強い業界となります。

参考①:手取りはボーナスの約8割

給料の何ヶ月分かを受け取れるボーナスですが、ボーナスは額面通り全額受け取れるわけではありません。そこから所得税などが引かれることになるためです。


ボーナスから引かれるものは、

  • 所得税
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料

などになっています。


住民税は引かれません。


では、いくらくらいを受け取ることができるのでしょうか?所得税などが引かれた後の手取りは約8割と考えておきましょう。


扶養家族の人数や、地域によっても多少違いはありますが、およそ8割となります。


また、ボーナスが100万円を超える場合など、所得税が増える場合もあり、このような場合はボーナスの約7割が手取りとなります。

参考:就職先をボーナスで選ぶのはやめておこう

このように、企業規模や業種によってボーナス(賞与)の支給額は大きく異なりますが、ボーナスだけで一概に就職先を選ぶことはできません。


中小企業ではボーナスが支給されていないことも多いですが、その分月給や昇給率が高いこともあります。


ボーナスが何ヶ月分支給されるのかは、その時の景気状況や会社の業績によるところも大きいため、毎月の給与や昇進・昇給のしやすさを加味した上で、就職先を選ぶようにしましょう。

まとめ:ボーナスの支給額について

ボーナス(賞与)の意味や仕組みについて、また様々な角度から平均何ヶ月分支給されるのかについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは


  • ボーナスは「月給×何ヶ月分」で決まる
  • 大企業では2~2.5か月分、中小企業では1ヶ月分が平均支給額
  • 民間企業は月給の高が賞与額に影響する
  • 公務員が「何ヶ月分」になるかは民間の平均値による
  • ボーナスの高さだけでなく月給や昇給率も加味して就職先を決める

でした。


ボーナスが何ヶ月分の支給になるかは、景気や会社の業績が大きくかかわってくるため、ボーナスをあげたいと思ったら、月給を上げたり、自分の業務成績を上げたりする必要があります。


仕事に頑張って取り組むことで、昇給や昇進も見込めるので日々頑張っていきたいですね。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいマネーライフに関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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