医療保険はやめたほうがいい?必要な人と不要な人を解説

医療保険は必ずしも入らなくてはならないというものでもなく、中には思い切ってやめたという人もいます。これは備えがしっかりあることや、そもそも若いので保険に加入する必要が無いという人、備えたい家族がいなくなったなどの理由から、医療保険をやめたという人もいます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

医療保険をやめて後悔する前にしっかり検討することが大切


近年民間の医療保険が本当に必要かどうか議論されてるのをよく耳にします。「保険は人生で2番目に大きい買い物」という言葉があるように、保険料が占める家計負担は決して小さなものではありません。


そんな状況で、医療保険は不要だからやめてもいいなんて言葉を耳にしたら、心が動いてしまいますよね。不要な保険はやめてしまっていいというのは大前提です。


でも本当にやめていい保険なのかって、判断するのは難しいと思いませんか。


この記事では、

  • みんなが保険をやめた理由
  • 保険をやめたいと思ったときに知っておきたいこと
をお話しして、保険による家計負担を少しでも減らすヒントにしていきたいと思います。

最後まで記事を読むことで、本当に保険をやめて大丈夫なのかしっかり考えていきましょう。

みんなが医療保険をやめた5つの理由



医療保険をやめた理由でよく聞くことが以下のことです。

  • 十分な貯蓄や備えがあるから医療保険をやめた
  • そもそも若い人が入る必要はないから、医療保険をやめた
  • 養う家族がいなくなったから、医療保険をやめた
  • 高額療養費制度を知って医療保険をやめた
  • 傷病手当金があると知って医療保険をやめた
保険に入る人、保険をやめるひとそれぞれに個別の背景があり、一概には言えないことがわかります。

まずはこれらの保険をやめた理由を詳しくみていきましょう。

やめた理由①貯金やいざという時の備えがしっかりあるから

まず、代表的な理由としては、他にしっかり備えがある、貯金があるなどの理由から思い切って辞めたというものですね。


これは自分がしばらく働かなくても大丈夫なくらいの貯金がある、病院代などを自己負担しても十分やっていけるだけの備えがあるということがポイントです。もし将来的に何かあっても、自分の貯金や医療保険以外の保険だけで十分賄えると判断した場合、今まで払ってきた保険料が無駄になると分かっていてもやめてしまうことはあり得るわけです。


とはいえ、一般的にいくらあればやめていいと決められるものではありません。例えば小さな子供がいれば学費としての備えが必要ですし、ひとそれぞれ違うものです。

やめた理由②そもそも若い人が入る必要はないから

自分はまだ若く、病気になる可能性が非常に低いから」やたというパターンです。若い世代には医療保険は必要ないという考え方が最近増えています。


 そもそも若い人は病気になりづらい傾向がありますよね。実際平成29年患者調査の概要によると20代の入院者数は70代と比較して8%となっています。そういったデータからも、若いうちは大きな病気をすることがないから医療保険は必要ないという意見は納得できます。

やめた理由③養うべき家族がいなくなったから

そして養うべき家族がいなくなったからやめたという人もいます。医療保険の重要性としては、養うべき家族いるかいないかということも大事なポイントになります。


医療保険については、あなたが入院した時に経済的に困る家族のために備えるという側面もあります。 まだ独り立ちしていない子供、収入を得ていない配偶者、介護される親などがあなたの収入に依存している場合、収入がなくなると困りますよね。


ただ、そういった家族が他界したり、成長して独立した場合は医療保険に加入しなくてはならないという状態も解消され、医療保険をやめる人も出てきます。

この養うべき家族がいなくなったときもまた、保険をやめたという人が出てくるタイミングです。医療保険と家族はかなり深い関係があるのです。

やめた理由④高額療養費制度を知ったから

高額療養費制度とは、治療費や薬代がひと月で上限額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度です。年齢や収入によりますが、上限額はおおむね10万円以下となります。


例えば、年収400万円の50歳の方がひと月に100万円の治療や投薬を受けた場合でも、自己負担は10分の1以下の87,430円となります。


もし保険加入前に「手術をしたら数十万円の自己負担があるから保険に入らないといけない!」と思っていたとしたら、高額療養費制度のことを知ることはやめるきっかけになるかもしれません。

やめた理由⑤傷病手当金があるのを知ったから

傷病手当金とは、病気や怪我のために働くことができず会社を休んだ日が連続して3日間あった場合、4日目以降休んだ日に対して支給されるものです。


1日あたりの傷病手当金の支給金額は支給開始日の開始以前の12ヶ月間の標準報酬月額を平均したものの3分の2を30等分(ひと月を30日と計算)したものです。もらっていた給料の3分の2と考えて差し支えないでしょう。支給期間は最長1年6ヶ月です。


仕事を休んでしまったら収入がいきなりストップしてしまう、と思って医療保険に加入していて、この傷病手当金のことを知ったとしたら保険をやめるきっかけになるかもしれません。

保険をやめる前に知っておくべき4つのポイント(注意点)

ここまでで医療保険をやめた人たちの理由を述べきました。確かにどれも納得いくものであったと思います。ただし、生活環境は人それぞれ違います。保険をやめた人に上記のような理由を力説されたとしても、それがあなたに当てはまるものとは限りません


保険は一度やめると復活させることができないため、やめる際は慎重になる必要があります。

そのためには、

  • 公的保険制度の落とし穴とは
  • 先進医療特約も同時解約となる
  • 年を取ってから保険に入ることの難しさとデメリットは
  • 70歳以降の医療費はいくら?
といった観点で解説していきたいと思います。

適切な家計運営のために不要な保険をやめることは大切です。しかし、やめたことを後で後悔することのないように、しっかり知っておきましょう。

注意点①公的保険制度の落とし穴

高額療養費制度や傷病手当金は病気になった時の大きな助けになることは前述した通りです。それがあるから安心、保険はやめたとなってしまうと危険な場合があります。


いざ入院した場合、差額ベッド代やシーツ代、食事代など高額療養費制度の対象とならない出費が意外と大きかったりします。高額療養費制度の限度額に加え、これらの出費があることを理解することが大切です。


また傷病手当金の計算において賞与が反映されません。業種によっては全体の収入に対する賞与の割合が大きい方もいるかと思います。日々の生活を賞与が入る前提で生活していた場合、傷病手当金だけでは生活を支えられない可能性があります。また、自営業者やフリーランスには傷病手当金が支給されませんので注意が必要です。


そして、公的保険制度改悪可能性も考慮しておく必要があります。直近2022年でも一部高齢者の自己負担割合が1割から2割に引き上げられました。高額療養費制度の自己負担額も増える余地があります。


少し余裕を持って試算し、保険をやめるのはそれでも大丈夫と思った時でも遅くないのです。

注意点②先進医療特約などの特約だけ残すことはできない

医療保険は複数の主契約と特約の組合せで成り立っていますが、医療保険をやめるということはこの全てを一緒にやめることになります。なくなると困る特約の一つとして先進医療特約があります。


先進医療とは公的医療保険の対象にはなっていないけれども、厚生労働省が定める高度の医療技術を用いた治療のことを言います。医療保険のほとんどはこの費用に対する特約をつけています。


先進医療は公的医療保険を適用できず、全額自己負担となる上に治療費が数百万円と高額になるケースがあります。先進医療を受ければ助かるかもしれないけれど、お金がなくて受けることができないとなってしまうと、後悔してもしきれないでしょう。


医療保険を解約するということは、入院だけではなく先進医療に対する保障など特約部分も全てなくなってしまう、そのことをしっかり理解することが大切と言えるのです。

注意点③高齢になる程保険加入は難しくなる

若いから医療保険をやめてもいいと考える前に知っておいていただきたいのは、高齢になって保険に入ることの難しさとデメリットです。


40歳を超えると、高血圧・糖尿病といった生活習慣病を指摘される頻度が急上昇します。そういった持病を抱えた場合、医療保険に入る難易度が急上昇します。入れても持病に関連する病気は保障の対象外という条件がつくか、保険料が割高な引受条件緩和型保険などの加入となってしまいます。保険は持病がない若いうちに入る必要があるのです。


また高齢で保険に加入した場合、保険料が割高となります。終身型医療保険(加入時から一生保険料が変わらない保険)では30歳と45歳で比較すると、月額保険料が2.4倍も違います。


若いうちは保険はやめて年齢が上がってから保険に入ろうという考えは、じつはリスクということを知っておく必要があります。

注意点④70歳以降の高齢者の医療費は高額

厚生労働省保健局年齢階級別1人あたり医療費(平成30年)よると、70歳以降の年間の医療費は下記のとおりとなっています。

  • 70〜74歳で62.3万円(自己負担2割で12.46万円)
  • 75〜79歳で77.9万円(自己負担1割で7.79万円)
  • 80〜84歳で92.5万円(自己負担1割で9.25万円)
  • 85〜89歳で104.7万円 (自己負担1割で10.47万円)
現在70歳から75歳未満は原則自己負担が2割、75歳以上は自己負担が1割となっています。それでも医療費の負担は決して安くないこと、また自己負担割合は年々上がってきており、今の現役世代がこの年になるときは何割負担することになるか見通しが立ちません。

このように、保険をやめるかどうかの判断をする前に老後の医療費負担に耐えれるのかをしっかり考えることは大切でしょう。

参考:医療保険をやめた人でも他の保険には加入している?

今回は医療保険をやめるかどうかについて説明してきましたが、医療保険をやめた人は他の保険も一緒にやめてしまったのでしょうか。


人によって異なりますが、医療保険はやめても生命保険は継続しているという人は多いでしょう。家族の大黒柱が死亡したり、高度障害となってしまった場合は病気になってしまった以上に、お金が必要となることが多いためですね。また、生命保険に医療系の特約がついていて、それで十分と判断してそれが医療保険の代用になると考える人もいます。


また、生命保険の中でも解約返戻金があり貯蓄性の高いものの場合は、医療保険をやめても続けていることは多いでしょう。契約してしばらくは、解約返戻金が払込んだ保険料を大きく下回るケースが多いからです。


複数の医療保険に入っていた人で一部の医療保険をやめたという方もいるでしょう。家計改善が目的だったり、家族の状況の変化が理由だったりするでしょうが、医療保険を全てやめるのではなく、必要に応じて間引くということも大切ということです。


このように医療保険をやめようと思ったとき、それだけではなく加入している他の保険のこともしっかり考えている人が多いということです。


生命保険だけでなく、がん保険や介護保険など年代や性別、独身・既婚によって人ぞれぞれ必要な商品は異なります。例えば、30〜40代女性でしたら、乳がんや子宮頸がんの罹患率が急激に高くなるので、女性疾病の保障を優先的に手厚くした女性保険などといった選択肢があります。


より詳しく自分に必要な保険がどれなのかを知りたい方は以下の記事を参考にいただければと思います。

まとめ:医療保険をやめるか迷ったらマネーキャリアで今すぐ無料相談

今回は保険をやめるをテーマに

  • みんなが保険をやめた理由
  • 保険をやめる前にしっかり自身や社会全体のことを知るべき
  • 保険をやめたいと思ったらプロに相談するのがおすすめ
ということを書いてきました。

保険をやめるにしても自身や社会全体の現在・将来の状況をしっかり考慮して、後悔のないようにやめる必要があること理解していただけたのではないでしょうか。
もちろんここまで考えて、それでも無駄な保険を解約して家計を楽にすることは非常に大切なことです。

ただ、本当にやめていいのか判断をする自信がなくなってきた、という方もいるのではないでしょうか。 

 そんなときは保険のプロに相談しましょう。
保険のプロへ相談すると、本当に保険をやめても大丈夫か、しっかりとしたシミュレーションをした上で、最適なアドバイスをしてもらえます。 やめるという選択肢にならなくても、無駄な保障を減らして、家計負担を減らすという選択も取れるかもしれません。 

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日々変化する自身や社会の状況に応じて、保険も柔軟に変えていきましょう!

医療保険の必要性が知りたい方はこちらの記事もご覧ください

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