医療保険は何歳まで必要?何歳まで入れる?年齢制限についても解説

医療保険は何歳まで必要か、何歳まで入れるのか、気になりますよね。高齢者にとっての医療保険の必要性や、メリット、高齢者向けの医療公的制度について、知らずに後悔するのは避けたいところです。この記事では高齢者の医療保険の加入年齢制限や必要性などについて解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

医療保険は何歳まで必要・何歳まで入れるのか



近い将来高齢になると、今まで加入を継続していた医療保険が満期になり、保障がなくなるのではないか?不安に感じられる方もいらっしゃると思います。


当然、医療保険は何歳までであっても新しく加入できると言うわけではありません。


終身型医療保険であるなら、一度契約すると解約したり加入者が亡くなったりしなければ、ずっと保障は継続しますが、定期型医療保険の場合そうはいきません。


そこで今回は、

  • 医療保険は何歳まで加入できるのか
  • 高齢者に医療保険は必要なのか
  • 高齢者向けの公的医療制度について
  • 加入することによるメリット・デメリットは何か?
についてを中心に詳しく解説していきます。


老後の医療費について不安を持っている方や、自分の親の医療保険について心配な方は参考になると思いますので是非最後までご覧ください。


医療保険に何歳まで入れるのか・加入の年齢制限とは

医療保険は何歳でも医療保険に加入できるわけではありません。この理由は、お分かりだと思いますが高齢になるほど病気のリスクが高まるからです。

民間の医療保険の年齢制限の上限を比べてみると保険会社や保険商品のコースによっても異なりますが70~80歳までという加入の年齢制限がある場合がほとんどで、何かしら持病をもっている場合も多く病気のリスクも高いため保険料は高く設定されています。

また高齢でも加入可能ないわゆるシニア向けの医療保険の場合、年齢制限内であれば契約は出来ますが、実際の年齢と保険の契約のための年齢の数え方は微妙に違いがあるので注意しましょう。

保険を契約する場合の年齢には
  • 満年齢を契約年齢とする場合
  • 誕生月の前後6ヶ月を契約年齢とする場合
の2パターンがあります。

後者のパターンは少なくなりつつありますが、80歳であっても誕生月から半年経過している場合には81歳とカウントされます。年齢の上限は80歳だった場合には新規契約は出来ませんので上限年齢ギリギリの人は注意が必要です。

医療保険は何歳まで必要なのか?終身型に切り替える必要はある?

高齢であっても、医療費負担への不安から保険へ加入した方がよいのか迷うっている方も多いと思います。結論から言うと、ある程度貯蓄のある人の場合は医療保険は必要ないと言えます。


その理由としては

  • 支払う保険料に対して受け取る保険金は元がとれない場合が多い
  • 後期高齢者(75歳以上)は医療費負担が1割(収入によっては3割)
ということが挙げられます。


まず、保険料が割高であるという点についてですが、最初に説明済みの通り高齢者は病気のリスクが高いことから高齢で医療保険に新規加入する場合はもちろん更新型の保険の場合にも保険料が高くなります。


例えば、アフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」は、終身タイプの医療保険ですが85歳まで加入することが出来ます。


補償条件は以下の通りです。

  • 入院給付日額10,000円(60日型)
  • 通院給付日額10,000円


この補償内容で以下の年齢で保険料を比較してみると

  • 30歳男性…3,750円
  • 70歳男性…17,210円
と、かなり大きな差があります。


70歳男性が月々17,210円を80歳までの間10年間支払い続けた場合の総支払保険料は17,210円×12ヶ月×10年間=2,065,200円となります。


もしこの男性が、60日間入院したとして(その他オプション等考慮しない場合)受け取ることの出来る保険金は、単純に計算すると60万円となります。この10年間の間に、4回以上入院すれば元がとれる計算ですが、それより少ない場合には、支払った保険料の方が明らかに多くなります。


さらに高齢者は75歳以上になると「後期高齢者医療制度」という公的な医療保険へ加入することになります。


この制度では、窓口で支払う医療費の負担が収入制限はありますが基本的にかかった金額の1割になります。また、高額医療費制度では、月に一定額を超えた分の医療費が返ってきます。


この点については後程詳しく説明していきます。


このように公的仕組みにおいても高齢者の医療費の負担が大きくならないように配慮されています


そのため、ある程度貯蓄がある人であれば、高い保険料を毎月支払っていかなくても病気のリスクに備えることは出来ると考えられます。逆に、保険料を支払い続ける負担の方が大きくなると考えることが出来ます。


しかし、保険は元がとれるかどうかではなく、万が一の場合に備えるお守り的な存在でもありますよね。


もし、加入するのであれば更新型と終身型どちらがよいのか悩む方もいるかと思いますのでこの次のところで詳しく説明していきます。

医療保険を更新型から終身型に変える必要はあるか

医療保険には、「更新型」と「終身型」があります。


更新型の保険は、加入当初は保険料が安いですが一定期間ごとに更新があり保険料も見直しになっていきます


更新型の場合一般的に、更新ごとに年齢が上がることから保険料が高くなっていきますので何度か更新を繰返している高齢者の方の場合には保険料が割高となる場合がほとんどです。そのため終身型に変えた方がよいのか迷う方もいると思います。


更新型のメリットとしては、貯蓄が少ない若いうちは保険料が安いという点です。デメリットとしては、更新の都度保険料が上がっていくということです。


また、医療は日々進化し医療保険もそれに合わせて補償内容が変化していきます。例えば、現在は通院治療がメインになりつつあるため通院補償が手厚くなっていたり、日帰り入院に対する補償もあります。


それに対して昔の保険では、入院に対する保障がメインで入院は一定の日にち以上しないと保険金が受け取れないというものも多いです。


必ずしも最新の保険がよいとは限りませんが最新の補償内容にするためには終身型に切替するのがおすすめです。


ただし保険料の支払いはずっと続くことになりますので、年金生活でも無理なく支払うことの出来るものを選ぶことが大切です。

医療保険の代わりになり得る高齢者向けの公的医療制度

先ほども少しだけふれまし触れましたが、高齢者には医療的な負担が大きくなりすぎないように公的医療制度があります。


高齢者のための公的医療制度には

  • 後期高齢者医療制度
  • 高額療養制度
の2つがあります。


この制度で重要になってくるのは

  • 年齢(75歳未満か以上か)
  • 所得
です。


まず、年齢ですが高齢者の中でも75歳以上を後期高齢者と呼び、それ以前は前期高齢者と呼びます。


後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者の医療費負担を減らすための制度で、75歳の誕生日を境にそれまで加入していた国民健康保険または健康保険制度から外れて後期高齢者医療制度へ加入します。


この制度では、医療機関での窓口での支払いの際の自己負担が原則1割となります。ただし、所得による制限があります。


また、高額療養制度では、月の医療費が一定額以上となる場合にはその分還元されます。この療養制度は69歳以下と70歳以上で変わります。


<後期高齢者の医療費負担>

窓口負担自己負担限度額(70歳以上)
一般1割外来/月18,000円(年144,000円)
入院・外来/月57,600円
現役並み所得者3割外来/月57,600円
入院・外来/…※参考


現役並み所得者は、次の3段階に分けられます。

  1. 年収約1,160万円以上
  2. 年収約770万円以上~約1,160万円
  3. 年収約370万円~約770万円


そして限度額もこの年収の段階で違います。

  1. 252,600円+(医療費-842,000)×1%
  2. 167,400円+(医療費-558,000)×1%
  3. 80,100円+(医療費-267,000)×1%
年収370万円以下が一般の扱いとなりますが年収156万円以下の住民税非課税世帯では更に限度額が低く設定されています。


このように、自分で医療保険へ加入しなくても医療費の負担が大きくならないような制度が準備されています。


高齢者の公的医療制度についてもっと詳しく知りたい方は以下のサイトも参考にしてみて下さい。


参考:高齢者医療制度について 厚生労働省

高齢者が医療保険に加入する際のメリット・デメリット

民間の医療保険へ何歳まで加入できるかは、各保険によって違いはありますが、どの保険に加入するにしてもメリットやデメリットは存在します。

医療保険選びの際は、何歳まで加入できるかを各保険商品の資料等を比較しながら検討するべきですが、まずは加入する際に医療保険に共通するメリット・デメリットを確認しておきましょう。


民間の医療保険のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット1:けが、病気のときに給付金が受け取れる

高齢者になれば、若い頃よりも免疫力の低下で病気をしたり、運動機能の低下でちょっとした段差につまずいてケガをしたりすることもあるでしょう。

その際に入院すれば「入院給付金」が、手術の場合には「手術給付金」が、民間の医療保険に加入していれば受け取ることが期待できます。


メリット2:差額ベッド代が保障される

差額ベッド代とは、正確には特別療養環境室料と呼ばれ、患者が良質な医療を受けるために、公的医療保険の範囲外の病室を利用した場合に請求される費用です。 

完全個室と言うわけではなく、1人~4人程度の部屋に入院した時に差額ベッド代がかかります。


気になる費用ですが、1日につき数十円~数万円以上になる場合もあり、かなり差があります。


差額ベッド代は平均すると1日につき6,000円程度と言われています。


入院の際に大部屋に入ることができるならば、公的医療保険が適用されます。しかし、いざ治療のために入院の必要がある場合、大部屋が空いていないことが多く、医療機関側から差額ベッド室へ誘導されることがあります。


差額ベッド代は全額自己負担であるため、30日間入院する場合、1日につき6,000円のかかるとすると費用は以下のようになります。


6,000円(1日分)×30日間=18万円


仮に病気やケガの治療費に公的医療保険が適用されても、予想外の出費になる場合があります。


民間の医療保険に加入しておけば、公的医療保険が適用されないサービスも保障されます。

メリット3:精神的な安心感を得られる

公的医療保険であれば、「高齢受給者制度」の対象となる70歳から74歳までの方が、原則として2割自己負担になります。

一方、75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」の対象となり原則として1割自己負担となります。


これだけでも、高齢者に手厚い保障と言えますが、公的医療保険の適用外のサービスは残念ながら全額自己負担になります。


そのため、公的医療保険適用外のサービスを補完する目的で、民間の医療保険に加入していれば、何歳まででも安心して質の高い医療サービスを受けることができます。

デメリット1:高齢者医療制度があるので必要ない

高齢者医療(療養費)制度とは、治療の状況により、1ヶ月間に支払う費用が患者の自己負担限度額を超えた場合に、その患者の所得区分に応じお金が戻る制度です。

何歳まで利用できる、というような年齢制限は無く、公的医療保険に加入している方なら誰でも利用できます。

70歳以上になると、医療機関窓口での支払額が負担の上限額までに自動的に抑えられます。


69歳までなら、ごく一部の健康保険組合を除き、自己負担限度額を超えた分のお金を戻してもらうために、保険者に申請する必要がありましたが、70歳以上になると面倒な手続きを行う手間が省けます。


一見すれば、民間の医療保険に入る必要は無いように思われますが、やはりこの制度も公的医療保険の適用外のサービスには利用できません。

デメリット2:若いときに加入するよりも保険料が高い

重大な病気にかかりにくい20代・30代の若い時期に加入する時よりも、70代・80代で加入する場合の方が支払う保険料はかなり高額になります。

およそ、20代・30代の若い方よりも2~3倍は高い保険料を支払うケースが多いです。

デメリット3:保障を受けられないリスク

医療保険に加入する場合は、保険会社と保険契約を締結しなければなりません。
当然、何歳まで加入が可能かは、保険会社の所定の条件に明記されています。

加入を希望する際は、個人情報を記載した書類を保険会社に提出する必要があります。


この書類の中でとりわけ重要なのが「告知書」です。

この書類の告知項目に回答した内容によっては契約を拒否される場合もあります。


しかし、ご自分が健康体で、持病もなく過去に重大な傷病歴も無いならば、問題なく加入できます。


ただし、高齢により既に病気になっている可能性が高いと判断されて、保険会社から健康診断を要求される場合があります。

切り捨てたほうがいい医療保険はどんな保険?

さきほど高齢者が医療保険に加入するメリットとデメリットを説明しました。


それを踏まえたうえで、医療保険へ加入し続ける、あるいは新規加入する場合に切り捨てた方がいい医療保険とはどのような保険なのでしょうか。


それは「現在の医療にそぐわない保険」です。


度々説明にも出てくるように、最近の医療では入院は短期間で通院治療はメインになりつつあります。そのため、入院保障に重点を置くより通院治療に対する保障が手厚い保険の方が有効です。


そのため、通院に対する補償がなかったり、給付条件が厳しい保険はいざ使いたいときに結局補償があまり受けられず保険料の払い損となることもありますので切捨てた方がよいでしょう。


しかし、高齢の場合には入院が長引く場合もあります。そのような場合にも備えたいという人は保険料は増えてしまいますが一時金等の特約を付加しておくと安心です。


また、先進医療等は健康保険の対象外です。自己負担となれば高額となりますので、検討したうえで特約等でつけておくのもよいでしょう。


補足:医療保険の保険料は何歳まで払う?終身保険の場合は要確認

加入者が保険料を支払う期間を、払込期間と言います。
終身型医療保険では、何歳まで保険料を支払うかを加入する際に決めます。


何歳まで払込期間とするかについて、例えば払込期間を60歳までにすると、この年齢に達した後は保険料を支払わずに、保障が一生涯続くことになります。


65歳以上の医療保険についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

医療保険の保険料は定年までに払い終わるのが良い

何歳まで払込期間とするかは、加入者各自の経済状況等を考慮して最終的に判断するべきですが、概ねご自分が定年までに払い終わることが理想的と言えます。

なぜなら、老後のために潤沢な資金の準備をしている方は終身払いであっても問題ありませんが、潤沢な貯蓄があるわけではない方が年金生活者になり、保険料を払い続ける必要がある場合はリスクが伴います。


年金頼みという非常に限られた収入の中で、支払保険料を払い続けることは、その他に毎月かかってしまう生活費等にも、少なからず影響がでてくる場合があります。特に単身者は生活費等の支出について注意する必要があります。

最も損をするのは医療保険の保険料を何歳まで払う場合か

何歳までに払い終えるかを考える場合、一見、払込期間が10年間というような短期払いがお得のように感じられます。


確かに、保険料払込総額で考えれば短期払いのほうが割引になり、支払額も少なくなる可能性があります。


また、短期払いで保険料の支払を終了するなら、老後に年金収入のみとなった場合に保険料を支払わなくて済むので非常に楽です。


しかし、短期払いにした分、支払う保険料はそれだけ大きくなります。

現在の負担が大きくなって家計を圧迫してしまうと、中途解約を余儀なくされ、結局損をしてしまうことも想定されます。


そのため、現在のご自分の経済状態を十分に把握し、現状で無理なく支払うことのできる保険料と払込期間を設定するべきです。

まとめ:医療保険は何歳まで必要か・何歳まで入れるか

以上のように医療保険は何歳まで加入できるのかについて詳しく説明してきましたがいかがだったでしょうか。

この記事のポイントをまとめると
  • 高齢でも医療保険への加入は可能だが上限は70歳から80歳となっている場合が多い
  • 高齢で新規加入する場合には、病気へのリスクが高いことから保険料は割高
  • 高齢者には公的医療制度もあるので、ある程度貯金がある人であれば医療保険へ加入しなくても大丈夫
  • もし、加入するのであれば更新タイプより終身タイプがおすすめ
  • 高齢者が医療保険へ加入するメリットは、何かあれば補償を受けることができるという安心感や差額ベット代、先進医療に対する補償が受けられること
  • 現在の医療事情にそぐわない補償内容の保険は切り捨てる
  • 保険料は、出来れば定年までに支払い済みにするか、年金生活でも無理なく支払うことの出来る保険料で契約する

各保険会社によって何歳まで加入が可能かは異なります。ただし、日本人の長寿化による加入希望者の高齢化を、ある程度は保険会社も考慮に入れています。

また、民間の医療保険については、「自分は何歳までに加入する。」と決めることは誤りではありませんが、健康であってもいつ何時、不運なケガを負ってしまうかはわかりません。


健康に気をつけていてもアクシデントは突然襲ってくるものですので、万が一のために早いうちから、民間の医療保険へ加入することを検討しましょう。


加入する場合には、補償内容が現在の医療事情に合っているものを選択してくださいね。


保険ROOMでは、この他にも税金にまつわる記事を多数掲載していますので是非ご覧ください。

医療保険の必要性が知りたい方はこちらの記事もご覧ください

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