日帰り手術にはどんな病気の種類がある?日帰り手術(外来手術)のメリットも解説

日帰り手術は入院を伴わない比較的簡単な外来手術ですが、ポリープや子宮筋腫など対象となる病気は多くあります。この日帰り手術をするには、適応基準に該当することが必要ですが、費用が安く身体への負担が軽いことがメリットです。今回は日帰り手術の病気の種類を具体例をあげて説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

日帰り手術ができる病気とはどんな種類?日帰り手術のメリットも解説


医療技術や器具の進化により、日帰り手術ができる病気の種類も増えてきました。

入院によって仕事を休むことの影響や、自身の家族への負担も少なくできる日帰り手術はとても魅力的ですよね。

しかし、すべての病気で日帰り手術が受けられるかというとそうではなく、受ける病院、患者の病気の種類、症状により異なります。

また、医療保険では、入院しなくても給付金は支払われるのかも気になりますよね。

そこでこの記事では日帰り手術について
  • 日帰り手術が可能な病気の種類と手術例
  • 日帰り手術を受けることのメリット
  • 医療保険での日帰り手術の扱い
以上のことを中心に解説してきます。

この記事を読んでいただければ、手術が必要になった際に日帰り手術を検討する上で役立つかと思います。

どうぞ最後までご覧下さい。

日帰り手術をするには、適した種類の症例と適応基準に該当することが必要

 主に日帰り手術が可能な疾患として、痔、鼠径(そけい)ヘルニア、胆石症、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)、ポリープなどが知られています。

他にも整形外科では抜釘術やばね指、泌尿器科では前立腺生検や尿管結石、婦人科では子宮内膜ポリープ(一部)や子宮筋腫(一部)など、幅広い分野で日帰り手術が可能になっています。

しかし、患者さんの状態や生活環境によっては、日帰り手術ができないケースもあります

以下で具体的に解説していきます。

日帰り手術が可能な病気の種類と手術例(具体例)

以下は、日帰り手術が行われる代表的な例です。
診療科病名手術例
外科鼠径ヘルニア
痔 
腹腔鏡手術
痔核根治術 
内科胃ポリープ
大腸ポリープ 
ポリペクトミー
EMR(内視鏡的粘膜切除術) 
婦人科子宮内膜ポリープ
子宮筋腫
子宮鏡下手術
内膜掻爬(そうは)術 
泌尿器科尿管結石ESWL(体外衝撃波結石破砕術)
f-TUL (経尿道的結石破砕術)
眼科内反症
糖尿病網膜症
白内障
眼瞼内反症手術
網膜光凝固術
水晶体再建術
眼内レンズ挿入術
耳鼻咽喉科慢性副鼻腔炎
内視鏡的副鼻腔手術
鼻中隔矯正術
循環器科下肢静脈瘤
冠動脈疾患
下肢静脈瘤切除術
経皮的冠動脈形成術
(PTCA)
形成外科脂漏性角化症
皮下腫瘍摘出術
整形外科ばね指
靱帯損傷
半月板損傷
腱鞘切開手術
靭帯断裂形成術
膝半月板切除術
膝関節鏡視下手術
こちらは病気の種類も手術の種類も一例です。
上記以外の病気でも、日帰り手術を行えるケースは多くあります。

内視鏡や腹腔鏡など、医療技術の進歩から傷を最小限に抑えられる術式が増え、日帰り手術が可能なケースが多くなっていると言えるようです。

日帰り手術を行うための適応基準とは

多くの病気で、日帰り手術が実施されています。

ただ、手術に応じて異なりますが、日帰り手術を受けるためは適応基準があります。
  • 日帰り手術が可能な術式であること
  • 患者が理解し、日帰り手術を希望していること
  • 他に重症な病気を持っておらず、術後に合併症が起きるリスクが低いこと
  • 術後自立して生活できる又は最低限の介助で生活できること
  • 通院にかかる時間や交通手段に問題がないこと
  • 通院時付き添える協力者がいること、一人暮らしではないこと
日帰り手術の可否は、術後に急変するリスクが低いことだけでなく、介助や通院時の協力者がいるか、頻繁に通院ができるかなど、その人の生活環境も含めて判断されるケースが多いです。

なお付き添い人や一人暮らしの点については、手術内容によって異なります。

目などの手術の場合、タクシーでの帰宅が可能であれば、付き添いのない一人暮らしでも可能としている病院もあります。

日帰り手術(外来手術)をするメリットとは

さて、ここまで日帰り手術が受けられる人や病気の種類について説明してきました。

では日帰り手術はほかの入院を必要とする手術と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは日帰り手術のメリットについて
  • 日常生活を崩さなくても良い
  • 費用が安く済む
  • 身体への負担が少ない
という点に着目して詳しく確認していきましょう。

日常生活の延長線上で手術ができる

宿泊を伴う入院となった場合、日常生活が変わることへの不安や準備の大変さがあります。

例えば、仕事をしている場合、引き継ぎ作業が必要になったり、休むことが困難な状況もあるでしょう。

学生であれば、入院期間に授業を受けられない心配もあります。

主婦の方は子供の預け先の確保や家事の段取り、親の介護で簡単に家を空けられない人もいますね。

その点日帰り手術であれば、長期間生活がストップする心配がなく、入院に必要な物を揃える必要もありません。

また付き添いの人の宿泊や洗濯もないので家族の負担も少なく済みます。

入院するのときのような事前準備の煩わしさが無いので、日帰り手術は日常生活の延長として考えることができますね。

入院の煩わしさも無く、費用が安く済む

入院するには準備が必要です。上記で説明したような仕事や家事の引き継ぎだけでなく、自身が入院中に使用するパジャマや日用品の準備もあるでしょう。

手術というだけでも不安なのに、入院準備をしなければならない、という精神的負担もあると辛いですよね。しかし日帰り手術にはそれらの必要がありません。

また医療費も2~5割安くなります。なぜなら医療費の多くは入院費が大部分を占めているからです。

日帰り手術はほとんどの場合は健康保険も適応され、高額療養費制度の適応も可能です。


手術・治療による身体への負担が少ない

手術例の項目でご説明したように、日帰り手術は内視鏡や超音波を使った身体への負担が少ない手術方法をとります。

最先端の技術や最新設備など高度な医療をつかうことになり、身体への負担は最小限に抑えることができますので、術後の復帰が早く見込めるのです。

術後は翌日からシャワー、翌々日から入浴ができることも多いです。

日帰り手術の手順

ここまで日帰り手術のメリットについて説明してきました。では実際に日帰り手術を受ける際、どのような手順になるのでしょうか。

病気の種類や手術の種類、受診する病院によっても異なりますが、大体以下のような流れになります。
  • 〈外来受診〉
問合せ
  受診したい病院へ問合せをします。
外来受診
  問診、診察、術前検査などを行います。
  検査結果が当日に出なければ、ここから下は再外来で行われます。
医師・看護師からの説明
  検査結果や診察結果を元に治療方針を説明されます。
  手術当日の流れ、当日までの過ごし方や書類についても説明を受けます。
  麻酔科医との面談がある病院もあります。

  • 〈手術前日〉
手術の種類にもよりますが、食事や水分、喫煙に制限がある場合があります。

  • 〈手術当日〉
持ち物
  保険証、同意書、お薬手帳、スリッパやタオルなどが必要になる場合が多いです。
身支度
  ネイルや化粧、ピアスなどのアクセサリーは外しておくよう指導されることもあります。
来院
着替えなどの術前準備
  手術着に着替え、検査やチェックをします。血圧や体温測定を受けます。
麻酔・手術

  • 〈手術後〉
安静・待機
  病室で休養をとります。体温・血圧を測りながら経過を見ます。
  状態が安定して、気分が悪くなければ水分摂取、歩行、食事の許可が出ます。
  検査があったり軽食が出たりする場合もあります。
その後の指導
  執刀医から手術の結果について説明があります。
  また看護師から帰宅後の過ごし方や薬の服用方法について説明があります。
退院
  会計を済まし退院となります。
  指導された退院後の注意点を守り、しばらく激しい運動は避けるようにしましょう。
  退院後は経過の確認のために数日後に再診察を受けたり、電話で状態の確認を受けたりします。

このような流れになっています。

病院や患者ごとに異なりますので、不安なことがある場合は医師とよく話し合って、手術前にできる限り解消しましょう。

日帰り手術をする際の注意点

日帰り手術をする際の注意点を押さえておきましょう。


術前に食事や飲酒、禁煙などの制限を受けている場合は、指示通りに過ごし、手術に備えましょう。


手術前の検査により異常な結果が出た場合は、手術を見合わせる場合があります。


また、基本的に入院手術と日帰り手術、どちらも術後の痛みや合併症リスクは同じです。


そのため、すぐに帰宅できるからといって当日から同じ日常生活を送るのではなく、数日間は静養し、術後のケアとして余裕のある生活を心がける必要があります。


病気の種類・手術内容によっては、食事、飲酒、入浴、運動、仕事など禁止・制限されることがあり、守れないと回復に時間がかかったり、万一の場合命に関わるリスクもあります。


このように、日帰り手術は、きちんと術前・術後に自己管理をする必要があります。

日帰り手術と保険について

ほとんどの方が加入している健康保険や国民健康保険等の公的保険は、病気・怪我の手術の場合、入院の有無に関わらず原則適用です。


また病院でも公的保険の適用範囲かどうかは説明を受けることができるでしょう。

(それが勤務中の事故などによる場合は労災保険となります)


しかし3割負担の健康保険であっても手術となると自己負担は大きいです。


そこで民間の医療保険が使えるか考えますが、日帰り手術の場合はどうでしょう。


手術はしたけど入院はしていない、その日に帰宅したから保険は適応外だろう。

対象の医療がよくわからず、結局申請しなかった。

医療保険をもらうと高額療養費がもらえなくなるのでは?


などと曖昧にならないように、日帰り手術をした場合の保険について確認しておきましょう。

日帰り手術は保険適用される?

民間の医療保険に加入している場合、入院給付金と、手術給付金が支払われる仕組みとなっており、日帰りでも手術をした場合は、手術給付金受け取れます。


また診療報酬点数で、入院料に点数が記載してある場合は、入院費用がかかっているため、日帰り入院となり入院給付金の請求も可能となります。  


対象の手術かどうかですが、近年多い医療保険は、公的保険が対象としている手術をほぼすべて適用としています。


また以前主流であった保険会社が定めた88・89種類の手術を対象とした医療保険も、約600以上の幅広い術式をカバーしています。


いずれに加入している場合でも病気・怪我の手術に関しては、入院の有無を問わず、原則適用ですが、処置を主とする以下のような治療、公的保険の対象でも民間の医療保険は対象外とすることが多なっています。

  • 切り傷などの縫合
  • 皮膚を切開し膿などを除去
  • 壊死した部分や傷口の異物の除去
  • 関節などを接ぎ木で固定したり、外れた関節を元に戻した
  • 鼻や耳の異物の除去
  • レーザーによる鼻粘膜、下甲介粘膜焼灼術
  • 虫歯や親知らずの抜歯 

また美容整形、インプラント、レーシックなどの病気ではない自由診療もほぼ対象外です。

対象外は保険商品により差があるため、確認することをおすすめします。


なお、民間の医療保険と公的医療保険は同時に受けられますので、手術給付金を受けたとしても、高額療養費は申請できます


そして受け取った手術給付金を差し引く必要もありません。

日帰り手術は医療保険がおりる?

「日帰り手術では、医療保険に入っていても給付金はおりないのではないか」と考える人は多いと思いますが、本当はどうなのでしょうか。

基本的に、保険会社が対象とした種類の手術を受けた場合、それが日帰り手術であっても給付金はもらえます。

医療保険は所定88種類の手術と健康保険を基準とした所定手術定めていることがほとんどです。これは入院をすることが条件となっているものはほとんどありません

給付金がもらえる手術の種類は約款を見ただけでは素人ではわかりにくいので、保険会社に問い合わせるようにしましょう。

しかし、一泊以上の入院がなければ保障の対象としていない保険や、入院をした時に比べると給付金を低く設定している保険もあります。

医療保険を選ぶ際にはこういったことも確認するといいでしょう。

まとめ:日帰り手術の病気の種類と日帰り入院のメリット

日帰り手術のメリットや手術の流れについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回この記事のポイントは
  • 日帰り手術をおこなえる病気の種類や手術の種類は、医療の進歩により多岐にわたっている
  • 入院の準備をする必要がないので、それによる手間や精神的負担、医療費が大幅に減る
  • 医療保険は日帰りでももらえることが多いので、一度加入している保険会社に問い合わせをする
ということです。

年々医療は進歩してきており、それに伴い日帰り手術を受ける人は増えてきています。
日常生活から切り離されることもない日帰り手術はメリットも多いので、病気になった際は日帰り手術が受けられる種類の病気かどうかということも考えて病院を選ぶのもいいですね。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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