医療保険の加入前に健康診断は不要⁉再検査・経過観察の場合の対処法も

医療保険に加入する際、健康診断は必ずしも必要ではないことをご存知でしたか?健康診断書を提出することで審査が通りやすくなりますが、原則提出は不要です。ここでは医療保険加入前の健康診断について、また、健康診断で再検査・経過観察となった場合の対処法も解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

医療保険の加入前に健康診断を受ける必要はある?


今この記事をご覧のあなたは、医療保険の加入前に健康診断を受ける必要があるのかどうかについて調べておられるかもしれません。

医療保険に加入する際、商品によっては、告知書と一緒に健康診断書を提出すれば料金が割引されるといったことを聞かれたことがあるでしょう。

では、もしも健康診断で要再検査・要経過観察となった場合は、医療保険に加入することはできないのかと考えてしまいます。

そこで今回は、
  • 医療保険加入前の健康診断を原則として不要
  • 医療保険に加入する前に健康診断を受けなければならない場合はあるか?
  • 健康状態の審査基準となる『告知書』について
  • 医療保険加入前の健康診断で「要検査」「経過観察」の指摘があった場合は?
  • 医療保険加入前に健康診断は受けた方がいい?
これらの点を主に取り上げていきます。

ぜひ最後までご覧ください。

医療保険加入前の健康診断を原則として不要

健康診断結果票の提出も原則として不要です。

まず結論としては、医療保険に加入する前の健康診断は原則として不要です。


高額な生命保険などに加入する場合は医師の診断が必要なこともありますが、健康診断も健康診断結果票の提出も原則として不要です。


過去2年の間に健康診断を受けていなければ、医療保険に加入するからと言ってわざわざ健康診断を受けていなくてもかまわないのです。


例えば「健康診断で異常を指摘されたか」と告知書に記載されていても、健康診断を受けていないと回答すれば特に問題はありません。


ただし、健康診断書を提出すれば審査が通りやすくなったり、料金が割引されたりする場合もあります。

健康診断書を提出することで医療保険の審査が通りやすくなる場合もある

医療保険に加入する際には告知書を記入しなければなりませんが、先ほど述べたように、その際に告知書と共に健康診断書を提出することで、審査が通りやすくなる場合もあります。


健康診断では異常を見つけてもらうようなものですから、告知書より詳しい情報が書かれているため、告知書だけでは審査の基準を満たしていない場合などに、健康診断書を提出することで加入することができたりもします。


当然健康診断書を提出したからといって、全ての保険会社で審査が通るわけではありませんので注意しましょう。

医療保険に加入する前に健康診断を受けなければならない場合はあるか?


では、医療保険に加入する前に健康診断を受けなければならない場合はあるのでしょうか。


告知書のみの提出で医療保険を申込んだ場合、告知書の内容次第では、後日健康診断書を添付して送って下さいと言われることがあります。


この場合にもしも健康診断の結果が良好であれば、たとえ告知書だけではわからないと判断された場合でも、健康診断書を提出すれば、加入できる可能性が高くなります。


ところが、もしも健康診断の結果が良好でなく、体に異常があるとなれば、審査に通らないといった可能性もあるでしょう。

健康状態の審査基準となる『告知書』について

高額な死亡保障の場合には、医師による診査または健康診断書の提出が必要となります。

医療保険の場合、基本的には告知書に自ら健康状態を記入して、それをもとに保険会社が審査を行います。

健康状態の告知を行う際は、血圧の薬や目薬など、病院で処方された薬はどんなものでも告知しなければなりません。

また、保険会社によっては歯の治療についても告知を必要としているところもあります。

医療保険に加入しようとする時には、自己判断で告知する項目を制限せず、必ず保険会社に確認するようにしましょう。

告知書の主な質問事項

では、告知書にはどのような質問事項があるのでしょうか。

保険会社によって内容が異なるものもありますが、主な質問事項を下記にまとめています。
  1. 最近3カ月以内に診察、検査、投薬を受けたか?
    3か月以内に医者に通った場合には、その旨を告知しなければなりません。保険会社によっては風邪、花粉症などは告知不要としているところもあります。
  2. 過去5年以内に入院、手術を受けたことがあるか?
    5年以内に入院、手術の経験がある場合には、そのことについて詳しく告知しなければなりません。5年以内なので、5年を経過している場合には告知義務はありません。
  3. 過去5年以内に7日以上にわたる医師の診察、検査、投薬を受けたか?
    7日間以上という質問なので初診日から完治まで7日以上かかった場合は告知が必要となります。例えば、7日分の薬を処方された場合には、7日以上にわたる投薬に当てはまりますので、告知が必要となります。
  4. 過去2年以内の健康診断や人間ドックにて指摘を受けたか?
    健康診断や人間ドックを2年以内に受けて、指摘を受けた場合は告知しなければなりません。基本は『要治療・要精密検査・要再検査・要経過観察』の4つ事項になります。保険会社によっては要経過観察は告知義務がない所もありますので、加入の際にはきちんと確認してください。
  5. 身体障害の有無について
    視力、聴力、言語、そしゃく機能に障害があるか。手、足、指について欠損や機能障害があるか。背骨に変形や障害はあるかといった身体障害の有無も告知義務があります。

以上が告知しなければならない主な5つの事項です。


該当するものがある場合は、きちんと詳細とともに告知する義務があります。

告知義務違反に注意

医療保険に加入後、加入者に告知義務違反があることが判明した場合には、保険会社は契約の解除をすることが出来ます。

【『告知義務違反』に当たる一例】
  • 過去の病気や怪我を故意に申告していない
  • 治療歴を申告していない
  • そもそも不正に保険金を搾取するための契約だった

このような事由で契約が解除されてしまうと、それ以前に入院やけが、または死亡しても保険金や給付金を受け取ることは出来ません。

ただし、この告知義務違反の内容と死亡した理由がまったく因果関係のない時には給付金が支払われます。

そして、この告知義務違反について、保険会社は、契約日から2年が経過していた場合には契約を解除することが出来ません。

しかし、2年を経過していても、事由の3番目に当たるような場合には、解除されることもあります。

告知義務違反の内容によっては、重大と判断された場合には、2年という期日に関係なく、『詐欺による契約の取り消し』とされ、それまでに払い込んだ保険料も返金されることはありません。

契約する段階で、2年の時効があるとたかをくくり、健康診断の内容や告知すべき内容を偽って保険に加入したとしても、当然ながら保険を解除されたり保険金がもらえなかったりするのです。

この告知義務違反は、法律的には詐欺と同じことなのです。

このような詐欺行為をしてまで医療保険に加入しても、本当に困ったときに保険金や給付金を受け取ることが出来ず、また悪質な場合は訴訟、さらに逮捕となる事例もあります。

そして次に新しい保険会社で契約しようとしても、告知義務違反の内容を調べられ、保険加入を断られることにもなります。

安易に虚偽の申請はせず、きちんと告知するようにしてください。

審査結果が悪くても、特定部位不担保の下、加入できる場合もある

医療保険に加入しようと申し込みをした後、『特定部位不担保』という条件を付けられることがあります。

この特定部位不担保とは、特定の部位に関する補償はしないという意味です。

医療保険は病気やけがに備えて健康な人が加入するというものですので、病気治療中の方や過去に病気により入院や手術をした経験があると、保険に加入出来ないことがあります。

ただし、現在や過去に病気治療をしていても、その部位を保証の対象から外すことによって保険に加入出来ることがあります。

これが『特定部位不担保』です。

例としては、
  • 帝王切開をした事がある女性には今後の帝王切開手術に対して保障されない
  • 乳腺のう胞が見られる女性に対し、2年間は乳房に関する病気を保障されない

このような例があります。

保険会社によって基準が異なるので、不安に思う場合は契約前に問い合わせてみましょう。

ほけんROOMには、告知内容や持病持ちの方でも加入できる保険について詳しい専門家がいますので、審査について詳しく知りたいという方は是非下のボタンから相談予約してみてはいかがでしょうか。

医療保険加入前の健康診断で「再検査」「経過観察」の指摘があった場合は?

保険加入する際、過去2年以内に健康診断を受けていた場合はその内容を告知しなければなりませんが、特に異常がなければそのまま告知すれば大丈夫です。

『再検査』や『経過観察』の指摘があった場合、指摘内容や検査結果数値などを記入しなければなりません。

この数値によっては加入出来ないこともありますが、保険会社によって告知範囲や内容が異なるので一概に加入出来ないということはありません。

健康診断で経過観察の指摘があった場合の対処法

健康診断を受診した結果、医療機関は下記のような6段階で健康の度合いを判定しています。

  1. 異常なし
  2. 日常生活に支障なし
  3. 要経過観察
  4. 要受診
  5. 要精密検査
  6. 治療中
もしも要経過観察の結果が出たとしても、それだけで保険に加入できないということは、まずないと思われますが、心配な方は次のような対処法を試してはいかがでしょうか。


事前審査を依頼


保険の加入を検討されている保険商品がある場合に、すぐに申込をしてしまうのではなく、事前に保険会社の審査を受けてみましょう。


複数の保険会社に申し込んでみる


保険会社によって引き受ける基準が違いますので、もしも告知書に同じ内容を記載したとしても、会社によって引受けられるケースや、条件付きで引受けるケースとさまざまですから、試してみるのも良いかもしれません。

健康診断の再検査を受けていないと医療保険に加入できない?

健康診断を受けていて、異常の指摘を受け『再検査』や『精密検査』の指示があったのにも関わらず再検査を受けていない場合には、保険会社は危険リスクの判断が出来ず、契約を断られることがあります。

加入時に自分の身体に不調を感じないからと言って、再検査を受けずにいても保険に入ることが出来なければ意味がありません。

指摘があった場合には、速やかに再検査を受け、その後医療保険への加入手続きをすることをおすすめします

また、再検査の指示が出ていたのに検査を受けず、告知の際に「指摘なし」として提出した場合には告知義務違反となり、契約が解除されたり、支払った保険料の返金や給付金を受け取れないなどということが起きてしまいます。

告知後に健康診断の結果が出た場合、『追加告知』を行う

医療保険の加入では、最新の健康診断の結果が反映されます。

そのため、加入手続きの直前に受けた健康診断の結果が、告知後に出た場合には必要に応じて保険会社へ追加告知を行わなければなりません

この最新の診断結果で再検査などの指摘があった場合には、速やかに再検査を受け、その結果を保険会社へ追加告知します。


保険会社はこの追加告知の内容を元に、再度審査を行い、承諾かどうかを判定します。

また、この診断で異常の指摘がなければ追加告知の必要はありません。


そのまま契約を継続することが出来ます。

『引受緩和基準保険』なら加入が可能?

一般の医療保険への加入が断られたり、条件が厳しかった場合には、最近テレビなどでもよく見かける『引受緩和基準保険』というものを検討するのも一つの手です。


これは、健康状態に関してのみ条件が緩和されており、既病歴のある方でも選択肢のある保険です。


緩和される条件は保険会社によってさまざまなので、複数の保険を比較することが大切です。

しかし、保険料が一般的な医療保険より高額であったり、保障内容が限られていたりしますので、加入しようとする場合には保険内容をよく確認することをおすすめします。


持病持ちの方でも加入できる保険について、もっと詳しく知りたいという方は一度専門家に相談することをおすすめします。

まとめ|医療保険に加入する際の健康診断について

今回は、医療保険に加入する際の健康診断について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。

健康診断は現在の自分の体の健康状態を知るためにも35歳以上になれば、少なくとも年に1度は受診するのが理想的です。

けれども、自分の体に異常が見つかってしまっては、今後保険に入りたくても入れない可能性もあるかもしれません。

今回の記事のポイントは、
  • 医療保険加入前の健康診断を原則として不要である
  • 医療保険に加入する前に健康診断を受けなければならない場合もある
  • 健康状態の審査基準となる『告知書』については正直に告知すること
  • 医療保険加入前の健康診断で「要検査」「経過観察」の指摘があった場合でも対処法はある
  • 医療保険加入前より加入後に健康診断は受けた方がいい
これらの点です。

保険に加入を検討中の方や健康診断や人間ドッグの受診を検討中の方は、少しでも早めに保険に加入し、加入前には告知内容に関して確認を怠らないように、更には余計なトラブルを引き起こさないように、細心の注意を払い正直に告知しましょう。


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