借家人賠償責任保険とは?補償範囲や火災保険との違いを解説!

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自分が住んでいる賃貸の部屋が思わぬ不注意で火事を起こしてしまった場合、法律上では損害賠償を負わなくてはなりません。通常は賃貸を契約と同時に火災保険もセットで加入していますが、今回は賃貸専用の「借家人賠償責任保険」について紹介します。特徴も含めて解説します。

内容をまとめると

  • 借家人賠償責任保険とは、賃貸物件に損害を与えた場合の賠償責任を補償する保険
  • 借家人賠償責任保険の補償内容は、火災や破裂による損害
  • 借家人賠償責任保険は火災保険の特約として付帯されることが多い
  • 借家人賠償責任保険と火災保険の違いは補償の対象
  • 法人保険や事業のリスク対策に関する相談は「マネーキャリア」がおすすめ
監修者
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。 以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP (注)保険の補償内容に関する記載以外の部分について監修を行っています。

借家人賠償責任保険とは?:入居中の万が一に備える保険


賃貸物件に居住している、あるいは事業者でテナントを借りている人は多いと思います。


賃貸物件を契約するときは、不動産業者が仲介し契約内容について詳しく説明してくれ、火災保険も同時に契約する場合も少なくありません。


しかし、賃貸契約書や火災保険の説明は専門用語が多く、なかなか理解できないのが現状だと思います。


契約条項には入居者の責任の範囲が明記されていますが、その理解していないと思わぬ請求をされてしまいます。


そのような、入居中の万が一に備える保険として借家人賠償責任保険があります。


ここでは賃貸物件に入居する際の借家人賠償責任保険について

  • 借家人賠償責任保険の補償内容
  • 借家人賠償責任保険の必要性
  • 借家人賠償責任保険で補償されない内容の確認

を中心に解説します。


この記事を読んでいただければ、安心して賃貸物件に入居でき快適な生活が送れます。


また、テナントに入居中の事業者の方は、万が一の時の備えができるので仕事に集中できるかと思います。是非最後までご覧ください。


既に借家人賠償責任保険に加入している事業者の方は、この機会に保険の見直しをしておくことをおすすめします。保険の見直しについては「マネーキャリア」がおすすめです。


マネーキャリア」とは、法人保険や事業のリスク対策に詳しい専門家に相談できるサービスです。相談は何度でも無料なのでぜひご利用ください。

借家人賠償責任保険の補償内容を詳しく解説!

借家人賠償責任保険は、借主が入居中に過失(不注意)で室内などを破損してしまったようなときに、修理代などを物所有者に支払う保険です。


加入を必須としている賃貸契約も多くあります。


実は身近な保険なのですが、知らず知らずに契約している場合が少なくありません。


以下で、補償内容について解説します。

借家人賠償責任保険は賃貸住宅には必須の火災保険の特約

冒頭で借家人賠償責任保険を知らず知らず契約している場合が少なくないと説明しましたが、それは 借家人賠償責任保険という商品がなく、火災保険の特約として付加されているためです。


まず、借家人賠償責任保険の説明の前に、この保険と関係の深い原状回復についてて少し説明します


原状回復とは、ほとんどの賃貸契約書に明記されている条項で、賃貸物件を返すときは入居するときの状態に戻してくださいということです。


例えば、「乙(借主)は○○を除いて原状回復しなければならない」のように記載されています。


もし、入居中に

  • ものを移動中にドアにぶつけ、穴を開けてしまった
  • タバコを落として床に焦げを作ってしまった
  • 備え付けの○○を壊してしまった

などがあった場合は、修理して建物所有者に返す必要があります。


少額の修理であれば自己負担しても良いでしょうが、高額になると支払うことが難しい場合も出てきます。


そのようなときに、借家人賠償責任保険があると修理代(損害賠償金)を補償してくれますので、借主の負担が減ります。


入居する際に預金などがなく、万が一の事故の時に修理代(損害賠償金)を自己負担できない方は、借家人賠償保険は必須な保険と言えます。

借家人賠償責任保険の補償範囲について紹介

先ず、補償範囲を紹介します。


借家人賠償責任保険の対象は基本的には契約の居室や店舗等になります。


借家人賠償責任保険の補償範囲は

  • 火災
  • 破裂・爆発
  • 水ぬれ
  • その他の不測かつ突発的な事故

です。


上記によって、契約の居室や店舗等が破損し損害賠償責任を負った場合に損害賠償金等を補償してくれます。


ただし、商品によっては上記全部が補償範囲ではなく、特約等で範囲を広げなければいけないケースもあるので注意が必要です。


話は少し脱線しますが、補償の範囲に含まれている火災については、失火法という法律がありますので、故意の放火や重過失がある場合を除いて本来賠償義務が発生しません。


しかし、賃貸契約書における原状回復義務に対する損害賠償請求が発生するため補償範囲に含まれています。

借家人賠償責任保険からおりる補償額

次に補償額について紹介します。


借家人賠償責任保険は、前述したように民法上の損害賠償金を補償する保険です。


損害賠償とは債務不履行によるものと不法行為によるものがありますが、借家人賠償責任保険は債務不履行による損害賠償金を補償します。


賃貸契約では原状回復を履行できないケースが債務不履行に当たります。


また、損害賠償金の他に
 

  • 損害防止費用 
  • 権利保全行使費用
  • 示談交渉費用 
  • 訴訟費用 

などの費用も補償の範囲に含まれます。  


借家人賠償責任保険は建物所有者からの損害賠償請求を補償するもので、他の入居者からの損害賠償請求は補償されません。


例えば、2階に住んでいて、洗濯機の水をあふれさせて階下の入居者の家財などを破損させた場合は借家人賠償責任保険では補償してくれません。


この場合は、個人賠償責任保険を付保することで補償されます。


店舗等であれば施設賠償責任保険があれば補償されます。


賃貸物件入居向けの商品であれば、個人賠償責任保険や施設賠償責任保険がセットされた商品が多いです。


参考として、木造アパート2LDKの1室の価格は、地域や使用する材料などによって一概に言えませんが800万円~1,000万円程度が目安です。


原状回復は、新築の状態に戻すという考え方ではなく、経年劣化等も考慮されますので、借家人賠償責任保険の保険金額としては万が一を想定して1,500万円くらいあれば安心です。


ただし、1室焼失することは確率的に少ないです。


保険金請求が多い事故は以下の

  • フローリング修理、張り替え 2万円~6万円/畳
  • 壁穴修理          1万円~6万円
  • 洗面台ボウル修理、交換   2万円~5万円
  • 室内、クローゼットドア交換 5万円~10万円

などです。


壁や床であれば損傷の面積など損傷状況で損害金額は大きく変わりますので、あくまで目安としてください。

借家人賠償責任保険の保険料の相場は?

ここまでの説明で借家人賠償保険が必要であることはなんとなく理解できたと思いますが、どれくらいの保険料なのかが気になるところです。


保険会社や商品によって保険料はかなり違い、年間3,000円台の共済商品から、大手損保会社の商品だと2年一括20,000円程度です。


また、賃貸住宅居住者向け保険やテナント保険などの商品を契約するか、火災保険に特約としてセットするかによっても保険料は違ってきます。


基本的に保険料は

  • 契約期間
  • 家財(テナントの場合は什器備品)の保険金額
  • 借家人賠償責任保険の保険金額

によって決まります。


専用商品は保険金額が決められているものが多く、設定の自由度は低いですが、賃貸住宅やテナントのリスクを網羅した商品なので、特約の漏れなどがなくて安心の商品です。


保険料は、居住者向け、テナント向けの商品とも、2年契約で15,000円から20,000円程度が多いようです(2年一括払い)

家主の火災保険があっても借家人賠償責任保険の必要性は高い


さて、これまでの説明をしても「賃貸物件では家主が火災保険にはいっているので、借主が借家人賠償保険に加入する必要は無いのでは」と思う方が少なからずいると思います。


そのような場合でも、加入するメリットがあることを以下で説明します。

借家人賠償と火災保険の違いについて

最初に火災保険と借家人賠償責任保険の違いを確認します。


火災保険は

  • 火災
  • 破裂・爆発
  • 水ぬれ
  • 盗難
  • 水災
  • 破損汚損

などが原因で、自分の財物が損壊した場合の損害を補償してくれる保険です。


一方、借家人賠償責任保険は家主からの損害賠償請求金を補償してくれる保険です。


借主の不注意で借用中の居室等に損害を与えた場合は借主が弁償する必要があります。


その状況でも、賃貸物件所有者の火災保険を使うことは可能です。


請求があれば、賃貸物件所有者が契約している保険会社は責任のある借主に変わって賃貸物件所有者に損害金を支払います。


ですが、本来は払う必要がない保険金を支払うことになりますので、保険会社は賠償責任のある借主に支払った分を請求することができます。


そのことを求償権と言います。


賃貸物件所有者の火災保険に求償権放棄条項があれば求償されることはありませんが、もし求償権放棄条項がなければ求償される可能性があります。


そのようなことがわかると、賃貸物件所有者が火災保険に加入していたとしても借家人賠償保険に加入する必要性が理解できると思います。

修理費用補償との違いについて

次に、借家人賠償責任保険と混同しやすい修理費用補償特約についても解説します。


借家人賠償責任保険は、借主に過失(不注意)があり借用中の室内や家主の財物に損害を与えた場合に補償されるのに対して、修理費用特約は借主に責任がないが、借用中の室内など(貸し主の財物)に修理や応急処置が必要で、借主が自費で建て替えてた場合などに補償されます。


例えば、

  • 飛び石で窓ガラスが割れた
  • 泥棒が入り鍵やドアが壊された

などです。


借家人賠償責任保険との違いが非常に分かりにくい特約なので自動セットされていることが多いです。


もし、事故が起こり「こんなのは保険請求できないだろう」と思っても、先ずはダメ元で加入手続きした保険代理店や管理会社に問い合わせてみてください。


保険請求できるケースが多いです。


損しないための必要な行動ですから覚えておきましょう。

借家人賠償責任保険では補償されない内容も確認しよう

最後に、借家人賠償保険で補償されない内容を確認しておきましょう。


借家人賠償保険は、借主の責任で借用中の室内に損害を与えた場合に支払われることはすでに説明しましたが、以下のものは補償対象外になります。

  1. 故意に室内を損傷させた
  2. 劣化、性質による変色、カビ、腐敗など
  3. 擦り傷、かき傷、塗料のハガレなど機能の喪失、低下を含まないもの
  4. 使用により不可避的に生じる汚損、かき傷、擦り傷など
  5. 竜巻や台風、地震や噴火、津波による損害

上記以外でも補償対象外のものがありますので、パンフレットや重要事項説明書で「お支払いしない場合」を確認にしておくことが重要になります。


文章だけだとイメージしにくいので、上記を補足すると、4は「タバコによる壁紙の変色」「家財を移動するときに壁紙をはがしてしまった」などです。


5の自然災害のうち、竜巻、台風は主契約の火災保険(家財)では補償対象になっています。


また、主契約の火災保険でも

  • 地震
  • 津波
  • 噴火

は補償対象外ですが、地震保険に加入することで補償されます。

借家人賠償責任保険についてのまとめ


借家人賠償責任保険について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 賃貸物件に入居する際には必須の保険である
  • 補償範囲は各社違う
  • 補償されない内容を確認しておく必要がある

です。


賃貸住宅に入居するときは、借家人賠償責任保険を契約するだけでなく、その内容も確認しておかないと思わぬ支出が発生してしまいます。


今回の記事を参考に補償内容の質問などができると安心です。


是非活用ください。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。


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