学資保険に加入する時に知っていなければならない特約の保障内容

学資保険に加入する時に、判断に迫られる特約は数々あります。教育資金として貯蓄する学資保険に特約の加入は必要なのか、悩むケースは少なくありません。知っておかないと損をする場合もあります。ここでは学資保険に加入する際の特約内容について、考えてみたいと思います。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

学資保険の特約を解説

子どもの教育資金として、将来を見据えて貯蓄したいと考えた時に、検討の一つとなるのが学資保険です。



学資保険は、教育資金として積み立てていく主契約と、各特約で構成されています。特約を付加するかは、契約者が決めることができますが、特約内容を把握した上で学資保険を『貯蓄』とするのか、『保障』とするのかを決める必要があります。

学資保険の特約は主に5つある

一口に言っても、様々な内容があります。

主に、契約者を対象として、死亡時や所定の高度障害となった場合に保障される特約と、被保険者である子どもを対象として、入院や手術、死亡時や高度障害になった時に保障される特約があります。

さらに分類していくと、5種類の特約に分かれていきます。

貯蓄となる主契約以外にも、本当に特約が必要になるのかを見極める為にも、加入前にそれぞれの特約について確認しておくべきと言えます。

払込免除特約

名前の通り、払い込みが免除となる特約です。

契約者が、死亡したり所定の高度障害となってしまった場合、加入する学資保険に対する保険料の支払いが免除になります。なお、お祝い金や満期保険金は契約内容通りに保険会社から受け取ることができます。

この特約は、学資保険に付加されている場合がほとんどです。しかし、保険会社によっては特約を外すことができる学資保険もあります。外すことにより、保険料が下がった分、支払った金額に対する返戻率が上がります。ただし、学資保険にとって、この特約は大きなメリットにもなりますので、特約を外すケースは少ないでしょう。

また、学資保険は一家の主な収入を稼いでいる父親が、契約者になるのが一般的です。しかし、共働きの場合は、年齢が若い方が保険料は安くなりますし、男性より女性の方が保険料が安くなりますので、この特約の性質を理解した上で、契約者を誰にするのか検討してみてはいかがでしょうか。



育英年金特約

契約者が、死亡したり所定の高度障害となってしまった場合、一定期間内は育英年金という給付金を毎年受け取ることができる特約です。

この特約は、自動的に付加されている商品と、付加するかしないかを選べる商品があり選択の結果、付加した場合には、もちろん保険料が上がります。さらに、この特約は掛け捨てになるので、特約に関する保険料は、満期保険金と一緒に返ってくることはありません。ということは、返戻率が下がってしまいます。

親に何かあった場合の保険であれば、生命保険の死亡保障と何ら変わりはありません。学資保険を検討する際に、生命保険を確認して死亡保障が少ないようであれば、特約を付加することも検討してはどうでしょうか。

しかし、育英年金を視野に入れて検討する際に、忘れてはならないことがあります。

通常、育英年金の受け取りは子どもとなっていることが多くあります。教育資金に充てる為なので、当たり前と言えば当たり前なのですが、受け取った際に税金がかかると言うデメリットがあるのです。

祝い金や満期保険金の受け取りにかかる相続税については、基礎控除がありますので、よほどの金額でない限り問題はありません。

問題となるのは、養育年金で支払われる保険金です。これは所得税の対象となります。単に税金を払えば良いというわけではありません。

子どもに所得が生じるのです。簡単に言えば、収入があるわけです。

もし年間38万円を超えた場合には、子どもが所得税や住民税を収めなければならないのです。それだけではありません、更に深刻な問題となるのが、『税金を払うことで、収入がある』とみなされてしまい、残った親の扶養親族から外れてしまします。

『養育年金の収入があるから大丈夫』といった考えをしてしまいがちですが、扶養親族から外れると、児童手当や医療手当てなどの行政制度を受けることができなくなる恐れがあります。これは、年数が長ければ長い程、相応のリスクが発生します。

こうしたリスクを踏まえ、育英年金額を少額にするか、受取人を配偶者にするなど、問題回避をしておいた方が良いでしょう。

または、育英年金に頼らず契約者の生命保険の見直しなどで、死亡保障を備える方法もあります。特約を付加しなければ、保険料の返戻率も上がるので、その分を個別の死亡保障に充てるといった考えです。

医療保険特約

払込免除特約や育英年金特約とは異なり、子どもの医療費をカバーする特約です。大人が加入する一般的な医療保険と同様、入院給付金や手術給付金があります。

学資保険には、もともと医療保険特約は付加されていませんので、この特約は任意で加入するものとなります。

もちろん、医療保険特約に関する保険料は掛け捨てになりますので、育英年金と同様に、特約を付加すれば保険料の返戻率が下がります。

子どもの医療費においては、各地方自治体で『乳幼児医療費助成制度』が設けられています。所定の年齢までは、医療保険の全額または一部を自治体が負担してくれる制度となりますので、必ずしも学資保険に医療特約が必要とは限りません。乳児医療の期間が終わった段階で医療保険に加入する方法もあります。入院給付金や手術給付金を、補填と考えるか、保障と考えるかにより検討をしてみてはいかがでしょうか。

傷害特約

医療保険特約と同様、災害特約と似た特約ですが、災害特約より保障の範囲が広く、不慮の事故だけでなく伝染病など所定の病気による死亡や、障害となった場合、障害の程度に応じて保険金が支払われます。

災害特約では高度障害や死亡時に保険金が支払われるといった重度のケースよりも、災害特約より軽度なケースでも保険金が支払われることが特徴となります。

障害の重さにより保険金額は相違しますが、入院や手術、生活面を保険金によりサポートしてくれる特約です。保険会社は、同等の内容の保険も販売していますが、別で加入するよりも特約を付加した方が比較的割安で加入できるので、経済的に余裕がない場合や、ある程度の保障を用意しておきたい場合は、この特約を活用したいところです。

この特約も、掛け捨てとなりますので、医療特約と同様、『乳幼児医療費助成制度』など自治体の制度を確認し、子どもにどれだけ保障が必要なのかを今一度考え、無駄な保険料を払うことにならないようにしましょう。

災害特約

万が一、子どもが不慮の事故により身体に障害を受けた場合に支払われる特約です。障害の重さにより金額は相違します。事故と因果関係がない障害には支払われませんので、障害特約と間違わないようにしておきましょう。

注意!特約を付けると元本割れする可能性がある

特約に対する保険料は、全て掛け捨てと言っても過言ではありません。学資保険は教育資金として将来に渡って積み立てることを主としており、特約には貯蓄機能はありません。

よく、『学資保険は結局元本割れする』と耳にします。学資保険に特約を付加したことにより、掛け捨てとなる保険料が多くなり、その結果、受け取った金額より支払った保険料の方が多かったので元本割れしてしまったのです。

学資保険は貯蓄として考え、元本割れしないように、特約も本当に必要な分だけ付加するといった考えを持っておくことも必要です。


学資保険に特約をつけるべきなのか

万が一の時を考えた場合、備えあれば憂いなしで、できるなら全ての特約に加入しておいた方が良いと思ってしまうのは、皆さん同様の意見だと思います。しかし、学資保険に特約を付加することにより、元本割れの可能性が高くなります。

元本割れのデメリットを考えても、安心という面では特約を付加し、保障を持っておくという考えもあります。

逆に、学資保険は完全な貯蓄と考え、それとは別にもう一つ保障がしっかりしている生命保険や医療保険に加入しておくといった考えもあります。

各家庭によって経済状況も違いますので、一概に学資保険の特約は不利とは言えませんが、可能であれば学資保険以外でしっかりした保険に加入しておくプランも検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

学資保険には様々な特約があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。必ず、特約の内容を確認し、本当に必要なのかどうかを見極めた上で、特約を付加するか検討するようにしましょう。

教育資金となる学資保険の主契約となる貯蓄部分が主契約となり、その他の特約についての保険料は、掛け捨てとなります。

一見メリットがあるような特約に見えても、実際に受け取るまでに支払った保険料と、満期までに受け取るお祝い金や満期保険金の総額が、どれくらい違うのかを計算してみた上で検討してみてください。

学資保険の特約は、基本的に被保険者である子どもが対象です。乳児医療などで賄える医療費助成も多く存在します。

また、育英年金特約は税金がかかるケースも忘れてはいけません。

しかしながら、契約者に万一のことがあった場合には、保険料の支払いが免除されるというメリットがある払込免除特約も存在します。

このようなことから、無駄な保険料を払わなくてすむように、家計にあった学資保険に加入することを検討しては、いかがでしょうか。

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