公務員の年金の金額はいくら?平均や優遇制度、会社員との比較など仕組みを解説

公務員の年金の金額はいくらなのかをメインに、共済年金や厚生年金の一本化などの仕組みの解説、厚生年金の平均年金額のシミュレーション、旧共済年金の受給額などを解説します。会社員との年金額や、どちらが多いかなど優遇度合いの比較もしつつ解説するのでぜひ最後までご覧ください。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

公務員の年金額は優遇されている?受給額と保険料、公務員の年金制度の仕組み

この記事をご覧のあなたは、公務員の年金制度について疑問を持っておられるかもしれません。


どのような仕事に就いているかにも関わらず、多くの方が国民年金や厚生年金といった公的な年金制度に加入しています。


しかし、今までは会社員として働いている人と「公務員」として公職に就いている人の間で、受け取れる年金に差があったことに、少なからず不満を持っている方がおられるのも確かです。


そこで今回は、公務員の年金制度について、

  • 職業間の差別をなくした公務員年金制度の「一本化」とは?
  • 公務員は厚生年金でどれくらいの金額が受給できる?
  • 公務員を退職した後も豊かな生活を送る方法とは?
以上の点を取り上げます。

この記事をご覧いただければ、公務員として働くことによって、が年金制度においてどのようなメリットを享受できるかを理解できるでしょう。

ぜひ最後までご覧ください。

公務員の年金制度は2015年に共済年金が厚生年金に一本化

今回のお話は、そもそも「どのように公務員の年金が優遇されていたか」という皆さんの疑問を解消するところから始まります。


実は平成27年9月までは、年金制度は以下の3つに分かれていました。

  1. 国民年金
  2. 厚生年金
  3. 共済年金
このうち、公務員だけが加入できたのが「共済年金」です。

しかし、平成27年10月から「共済年金」は廃止され、公務員であっても民間の会社員と同様に「厚生年金」に加入することになりました。(参考:地方公務員共済組合連合会

簡単に言えば、以前は「公務員として働いている人の方が多く年金を受け取れる状態」であったのですが、なぜこの制度がなくなったのでしょうか。


共済年金と厚生年金の一本化の目的と金額への影響

公務員の「共済年金」という仕組みが廃止された理由はどのようなものでしょうか。


それは、

  1. 年金制度をより公平な仕組みとするため
  2. 今後多様な働き方がもっと増えていくため
  3. 国民の年金制度への信頼感・安心感を高めるため
こういった理由が挙げられます。


これにより、「公務員だけが多く年金をもらえている」と言われるような状況がなくなり、働いている人すべてが公平に公的な年金制度を活用できるようになりました。


職種に関わらず働いているすべての人が一律に「厚生年金」に加入することとなり、支払う保険料の額、また受け取れる年金額において職業間の差別がなくなったのです。


このため、従来は共済年金の加入者であった方が逆に不公平感を覚え、そもそも「共済年金として支払った分はどうなるんだ」となるのも当然です。


では、その問題はどのように対処されるのでしょうか。

職域加算は廃止されるも年金払い退職給付がある

平成27年9月まで公務員として働いていた方は、当然ながら共済年金に加入し、共済年金の保険を支払ってきました。


ですから、それまでに支払った保険料分はあくまで「共済年金」に相応する年金として受け取らなければいけません。


そこで、平成27年9月までに「職域加算」として加算されていた分を、「経過的職域加算

」として退職手当にプラスされることとなりました。


これで、従来の共済年金加入者も今まで支払ってきた保険料に関して損をすることはありません。

厚生年金の保険料と受給額の平均的な金額とシミュレーション

皆さんはすでに自分が将来どのような年金を受け取ることができるかを理解しておられることでしょう。


しかし、実際にどのくらいの金額を受け取れるのかまでは把握していない、という方もおられるのではないでしょうか。


「計算するのは面倒だし、仕事も変わるかもしれないし…」と躊躇しておられる方は、自分の受け取れる年金額、またはそのために支払う保険料を簡単に把握する方法について、これから紹介致します。


ぜひ参考にしてみてください。

厚生年金の保険料の金額はいくら?

まずは、厚生年金の保険料です。


共済年金が厚生年金に統一されたことにより、誰もが同じ料率で厚生年金の保険料を支払うこととなりました。


厚生年金における給与に対する料率は18.3%で固定となっており、そのうち半分の9.15%分が自己負担額となります。


給与明細をすぐに見られる方は、ぜひ今ご自分の給与明細を確認して、1カ月あたりの「厚生年金」として差し引かれている分の金額を見てみましょう。


それが、あなたが毎月支払っている厚生年金保険料の金額です。


その金額は月ごとの給与で毎回計算されているわけではなく、4月から6月の平均金額を用いる「標準報酬月額」を用いて計算されています。

厚生年金の受給額の金額早見表でもらえる年金額をシミュレーション

誰もがもっとも気になるのは、「実際に厚生年金で老後にいくら受け取れるのか」という点ではないでしょうか。


厚生年金で将来的に受け取れる年金の金額は、シミュレーション表をご覧いただけると、すぐに分かります。


厚生年金の受給金額は、納める保険料の多さと加入期間の長さに比例しています。


20歳から加入している方は最長で40年間保険料を納めることとなりますが、年金の仕組みにより、「後納」という形で納めていない分の保険料を後から納めることも可能です。

旧共済年金の受給額

共済年金はなくなりましたが、その当時に保険料を支払っていた方にとってはまだ有効です。


共済年金は厚生年金と同様の計算式ですが、そのまま表が流用できないのは、それに「職域加算」がプラスされることとなるからです。


平成15年3月31日まで支払っていた方の「職域加算」分の計算式は、

  • 平均給料月額 × 1.425/ 1,000 × 組合員期間の月数 = 職域加算

そして、平生15年4月1日から平成27年9月30日まで支払っていた方の計算式は

  • 平均給料月額 × 1.096/ 1,000 × 組合員期間の月数 = 職域加算

このようになります。


では参考までに、平成27年9月まで施行されていた共済年金を支払っていた方が、どのくらいの年金を受け取れるのかを見てみましょう。


従来の共済年金の方が「職域加算」がある分、受給額が多いことがわかります。

退職後も豊かな生活を送るための貯蓄方法を紹介

「人生80年」と言われるよりも長生きする方が増えてきた現代において、多くの方がどうすればより良い老後を過ごせるかを考えています。


確かに公的な年金制度は老後の生活を支える仕組みですが、「2000万円が必要」ともいわれている老後を年金だけでカバーすることは難しいかもしれません。


では、どうすれば退職後の老後と呼ばれる年齢を迎えてからでも、金銭的に充実した生活を送ることができるでしょうか。


それには、いくつかの方法があります。

老後に必要な生活費を把握しよう

生活するのにどのくらいお金が必要なのかを理解していなければ、見通しを立てることはできません。


それは老後でも同じことで、まずはどれくらいの生活費が必要なのかを計算する必要があります。


最近よく聞くようになった「2000万円」という数字は、

項目金額
食費64,444
住居費13,656
水道・光熱費19,267
家具・家事用具9,405
被服費6,497
保険・医療費15,512
交通・通信費27,576
教養・娯楽費15
教育費25,077
その他54,028
非消費支出28,240
合計263,718

この1カ月あたりの概算支出額の内訳をもとに算出されています。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190412/02.pdf    


よく「高く見積もられている」とも言われるこの金額ですが、実際に総務省が行った調査では、老後の年金生活を送っている人も含めた無職世帯の家計調査で、平均で28万円ほど支出があることも分かっています。


老後には病気や怪我など、イレギュラーに発生する出費のリスクも高くなることを考えれば、決して「老後資金2000万円」は「高すぎる理想」とは言えないでしょう。


逆に言えばこれだけの生活費を賄えるだけの資産があれば、ある程度老後は豊かに過ごすことができる、とも言えます。


では、それだけの資産をどのようにして確保することができるのでしょうか。

iDeCoや個人年金保険などの私的年金を活用

老後資産を増やすために行える、効果的な方法が2つあります。 


それが、 

  • iDeCo(個人型確定拠出年金) 
  • 個人年金保険 

ですが、どのような特徴があるのでしょうか。 


 iDeCo(個人型確定拠出年金) 

「iDeCo(個人型確定拠出年金)」とは、国民年金加入者であれば誰もが加入することのできる年金制度です。 


年金の他に、様々な国内外の金融商品を売買し、iDeCo専用口座で管理することによって、より効率的に資産を増やすことができます。 


さらにiDeCo利用者は、金融商品の取引で得た運用益が非課税になるというメリットもあります。 


ただし金融商品の特性上、投資リスクがあるという点には注意が必要です。 


個人年金保険

個人年金保険
「個人年金保険」は、iDeCoよりも公的な年金制度に近い仕組みであり、民間の金融機関や保険会社が提供する年金サービスです。
 


個人年金保険には、「定額」タイプと「変額」タイプがあり、

  • 定額タイプ:老後に受け取る年金額が定額であり、公的年金と最も似た仕組み
  • 変額タイプ:iDeCoのように、投資信託によって資産運用を行う
このような違いがあります。

安定を求める方には定額タイプがおすすめですが、ある程度の投資リスクを理解しながらも効率的に年金を増やしたい方は変額タイプの個人年金保険を選ぶこともできます。

NISA・つみたてNISAを活用して老後のための貯蓄を

さらに、年金を増やすために活用できる方法があります。それが、

  • NISA(少額投資非課税制度)
  • つみたてNISA
という方法です。

こちらも様々な金融商品を運用しますが、
  • 株式や投資信託など幅広い商品を選択できる
  • 運用途中の引き出しが可能
といった、iDeCoにはないメリットがあります。

さらに、つみたてNISAは選べる商品が通常NISAよりも制限されていますが、最長で20年間、上限で800万円もの積立を行うことができる、という点はつみたてNISA特有のメリットです。

まとめ:公務員の年金の金額と制度について

今回は公務員の年金制度や実際の年金額等について様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 公務員の年金制度の「一本化」とは、共済年金が厚生年金に統一されたこと
  • 厚生年金は、最高で273万円程度の受給が可能
  • 老後のために厚生年金に加えて、iDeCoや個人年金保険、NISAやつみたてNISAを活用できる
以上の点です。

今の時代、老後に豊かな生活を送るためには、単に「給料が良い職業」に就くことだけでなく、老後に向けて公的年金以外にも準備をしておくことが重要になります。

公務員として働いておられる方も、ぜひ厚生年金だけでなくiDeCoや個人年金保険などの仕組みを活用できるかどうか考えてみましょう。

ほけんROOMではこの記事以外にも役に立つ記事を多数掲載していますので、ぜひご覧ください。

老後の生活費についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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