出産一時金の差額はいつ振り込まれるのか?差額請求方法も紹介

出産一時金に差額が発生した場合、返金をしてもらうために差額請求をしたら、いつ振り込まれるのでしょうか?銀行にはいつ振り込まれるかやいくら返金してもらえるのかについて解説します。また、出産一時金の差額申請書の申請方法や期限についても詳しくご紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

出産一時金の差額はいつ振り込まれるのか?


子どもが生まれたときに支給される出産一時金が、一体いつ振り込まれるのか気になりますよね。子ども1人につき最大42万円ですので、正しく申請ができているのか不安になる人もいるのではないでしょうか。


出産一時金の直接支払制度を利用し、差額が出た場合は差額申請をすればお金が戻ってきますが、申請後いつ振り込まれるのか知っていますか。


今回は、出産一時金の差額について、

  • 出産育児一時金とは?
  • 差額の返金分がいつ振り込まれるか
  • 差額請求期限と申請方法
  • 申請に必要な送付書類
  • 出産一時金がいくら返金されるかは出産にかかった費用による
  • 参考:出産一時金の差額返金以外でも得する方法
以上のことを解説します。

出産一時金は、健康保険の対象外である出産費用を補助してくれる制度です。

この記事を読めば、出産一時金の差額がいつ振り込まれるのかがわかり、妊娠中の不安を1つ解消できるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。

出産育児一時金とは?受給できる対象者の条件を紹介

出産育児一時金は、出産したときに申請することで、1児につき最大42万円が支給される制度です。多胎児の場合は、子どもの人数に応じて支給されます。


支給条件は、

  • 妊娠4ヶ月以上(妊娠12週・85日以上)での出産
となり、早産・流産・死産・人工妊娠中絶も支給対象となります。(参考・全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」より)

出産費用は保険対象外のため、かかる費用はとても高額です。

事前にまとまったお金を用意するのが大変だという人は、直接支払制度を利用すれば経済的負担を軽減できます。

直接支払制度は特別な申請をする必要はなく、出産する病院を決めたときに行う入院手続きの際に、病院側から直接支払制度の合意書をもらいます。

直接支払制度を利用するための合意書にサインをすれば、その後の具体的な手続きは病院側が行いますので安心してください。

差額の返金分がいつ振り込まれるかの平均は2か月前後

出産育児一時金がいつ振り込まれるか、入金や振込の時期は一般的に1~2ヶ月程度だと言われています。


もし差額が発生した場合、そのままにしていると返金されることはありません。必ず差額請求の申請が必要となりますので、忘れずに手続きをしましょう。


また、内払金支払依頼書を提出すれば差額を早く返金してもらうことができます。これは、病院に出産一時金が振り込まれる前に請求する手続きです。


出産にはたくさんのお金が掛かり、母親はその間働くことができません。差額がいつ振り込まれるのかを理解して、ある程度お金に余裕をもてるようにしておいたほうが良いでしょう。

出産育児一時金の差額はいくら振り込まれるのか

出産育児一時金は、

  • 国民健康保険の被保険者
  • 私立学校教職員共済
  • 協会けんぽの健康保険
  • 健康保険組合
これらの被保険者扶養家族が、赤ちゃんを出産したときに支払われる一時金です。

出産育児一時金の支給額は最大42万円であり、出産をしたときに掛かった病院の費用(出産費用)がこの金額を下回ったときに差額が発生します。

ただし、差額は請求しなければ振り込まれることはありません。出産後はバタバタすることが予想できますが、必ず明細を確認して差額が発生した場合は差額請求の手続きをしましょう。

出産一時金の差額申請書の差額請求期限と申請方法

出産一時金は差額が出た場合、差額請求をしなければ振り込まれることはありません。


ここでは、

  • 出産一時金の差額請求期限について
  • 「直接支払制度」を利用した場合
  • 「受取代理制度」を利用した場合
  • 「産後申請方式」を利用した場合
以上の申請方法などについて解説します。

出産一時金は、いつ振り込まれるのか解らなくて不安だという人も多いのではないでしょうか。

何かあったときに慌てないためにも、出産一時金のそれぞれの制度を利用したときの正しい申請方法を理解しておきましょう。

出産間近になると、赤ちゃんを迎える準備などでバタバタする人が多いため、今のうちに知識を身につけることは重要です。

出産一時金の差額請求期限は出産日の翌日から2年以内

出産一時金で差額が出た場合、差額請求をすることでお金が振り込まれます。


しかし、いつでも良いわけではなく、出産日の翌日から2年以内と期限が決まっています。1日でも手続きが遅れるとお金が受け取れなくなりますので気を付けてください。


差額請求には、下記の書類が必要になります。

  • 出産費用の領収・明細書のコピー
  • (直接支払制度)代理契約に関する文書のコピー
  • 被保険者死亡の場合は、(除籍)戸籍謄本又は戸籍抄本
(参考・全国健康保険協会HPより)

申請書と一緒に上記の添付書類が必要になるため、忘れずに準備しておきましょう。次の見出し以降で詳しく解説しますが、どの制度を利用したかによって添付する書類も変わってきます。

差額が出ることがわかれば、2年と待たずにすぐに申請したほうが忘れずに済むでしょう。

出産一時金で「直接支払制度」を利用した場合の申請方法

直接支払制度は、出産を予定している医療機関で同意書にサインをすれば面倒な手続きをしなくても良いため、被保険者の負担も少ない申請方法です。


申請方法は、

  • 医療機関で「直接支払制度の合意書」をもらう
  • 必要事項を記入する
  • 窓口に提出する
退院時に、差額が出た場合はその金額を病院に支払えば良いだけですので、出産費用を全額あらかじめ用意しなくても問題ありません。

大きい病院であれば、ほとんどの場合直接支払制度が利用できますが、一部の助産院などでは利用できないこともあるようです。必ず、事前に確認しておきましょう。

出産一時金で「受取代理制度」を利用した場合の申請方法

受取代理制度は、被保険者ではなく医療機関が代理で出産一時金を受け取る制度です。直接支払制度とは違い、事前に被保険者が申請手続きをしなくてはいけません。


申請方法は、

  • 受取代理用の「出産育児一時金支給申請書」を用意する(健康保険組合などから)
  • 必要事項を記入する(医療機関の記入欄もあるので気を付ける)
  • 申請書を提出する
出産は直前になって転院することも十分考えられるため、出産予定日2ヶ月以内にならないと申請はできません。

また、提出期限も役所や健康保険組合によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。

出産一時金で「産後申請方式」を利用した場合の申請方法

産後申請方式は、一度ご自身で出産費用をすべて支払い、退院後に42万円の出産一時金を申請します。


申請方法は、

  • 出産育児一時金支給申請書」を用意する(健康保険組合などから)
  • 必要事項を記入する(医療機関の記入欄もあるので気を付ける)
  • 添付書類など必要であれば用意する
  • 申請書を提出する
海外で出産した場合でも申請可能ですが、その場合は内容確認に時間がかかることが多いようです。

出産一時金は申請後早くて数週間、遅ければ2ヶ月程度かかることも予想されます。

あとで42万円支給されるとしても、最初にまとまったお金を用意しなくてはいけませんので、無理のない範囲で利用してください。

申請に必要な送付書類とは

出産一時金を申請するには、ただ申請書を送れば良いものではなく必要書類も準備しなくてはいけないことがあります。


ここでは、

  • 健康保険組合
  • 国民健康保険
2つについて、必要書類に違いがあるのかを解説します。

出産一時金は利用する制度によって必要書類も異なりますので、間違えないようにすることが大切です。

健康保険組合の場合

健康保険組合の出産一時金の申請は、大きくわけて国内・海外でわかれますが、海外のほうが必要書類が多くなります。


国内の場合、

  • 医師・助産師か市区町村の証明
  • 医療機関の明細書・領収書のコピー
証明がない場合は、母子健康手帳や住民票、戸籍謄本などが必要です。また、明細書には直接支払制度を利用していないことが書かれていないといけません。

もし記載が無ければ、直接支払制度を利用していないことを証明する書類を送付します。

海外の場合、
  • 医師・助産師か市区町村の証明(赤ちゃんが日本国内に住んでいる場合)
  • 日本か現地で、出生の事実が証明できる書類(戸籍謄本など)(赤ちゃんが海外に住んでいる、もしくは死産の場合)
  • 現地の公的機関が発行する住民票などの書類
書類が用意できない場合、協会けんぽが海外の医療機関に対して出生の事実を照会するための同意書などが必要となるケースもあります。

また、死産での請求は戸籍謄本が必要となり、すべてに本人確認書類が必要となります。1つでも書類が足りないと不備になりますので気を付けましょう。

どちらも書類不備があると、手続きがそれだけ遅れるためお金がいつ振り込まれるのか解らなくなる可能性があります。

手続き後は、必ずいつ振り込まれるのかを確認し、できる限り不備のないようにすることが大切です。

国民健康保険の場合

国民健康保険の出産一時金の申請は、

  • 保険証(出産した人の国民健康保険証)
  • 世帯主の印鑑
  • 世帯主の口座番号がわかる書類
  • 母子健康手帳など出産が証明できるもの
  • 出産費用がわかる明細・領収書
  • 直接支払制度に関する合意書
申請に必要な書類が健康保険組合より多いことがわかります。また、海外で出産した場合はパスポートが必要になることもあるようです。

自治体で手続きをする場合、曜日によっては混雑することもあるため時間に余裕をもっていくことをおすすめします。

また、手続き後にいつ振り込まれるのか教えてもらえなかった場合は、こちらから確認しておくと安心でしょう。

出産一時金がいくら返金されるかは出産にかかった費用による


出産一時金がいつ振り込まれるのか、いくら返金されるのかというのはとても気になるポイントだと思います。


ここでは、出産一時金の返金について、

  • 差額返金があるのは出産にかかった費用が42万円以下の時である
  • 多胎児の場合は胎児数分の支給金額で計算する
  • 流産死産でも妊娠12週(85日)以上であれば差額返金がある
以上のことを解説します。

出産一時金の差額は誰でも発生するわけではありません。特に現在妊娠中だという人は、差額返金についてきちんと理解しておきましょう。

出産にかかった費用が42万円以下の場合に差額返金あり

出産一時金は42万円支給となるため、直接支払制度を利用したときに出産でかかった費用が42万円以下だった場合のみ差額返金があります。


大学病院など、高度な設備が整っている病院で出産した場合は42万円を超える可能性があります。


42万円以上であれば、退院時の精算で逆に差額を支払わなくてはいけませんので、当然ですが差額返金は無いのです。


人によっては、出産一時金は出産にかかった費用全額支給されると勘違いしている人もいると聞きます。


出産や育児費用を全額戻ってくる計算でしていると、何十万円も差が出ることになりますので、正しい知識を身につけましょう。

双子など多胎児の場合は胎児数分の支給金額で計算する

出産一時金は子ども1人につき42万円と決まっています。


1回の妊娠ではなく子どもの人数で計算されますので、双子を妊娠した場合は、

  • 双子(2人)×42万円=84万円
この金額が受け取れます。(三つ子の場合は3人で計算となります。)

ただし、申請する際には双子を妊娠・出産したことを証明しなくてはいけません。

書き漏れがあることは稀だとは思いますが、担当医師の証明欄に「多胎児」であることが書かれているか必ず見るようにしましょう。

また、場合によっては、子ども1人につき1枚の申請用紙が必要となることもあるようです。

申請する自治体や保険組合によっては、一般的な申請方法と異なる可能性も十分に考えられます。間違いを防ぐためにも、申請前には一度必ず確認するようにしてください。

流産や死産でも妊娠12週(85日)以上であれば差額返金あり

出産一時金は、妊娠12週以上で85日経過していれば支給されます。


そのため、

  • 流産
  • 死産
  • 妊娠85日以後の出産(早産
  • 人工妊娠中絶
これらの場合も対象となります。

もし、早産の原因が通勤災害や業務上の影響によるものだとしても、出産一時金は支給されます。(労災保険の補償を受けた場合でも)

また、人工妊娠中絶をした場合も妊娠12週以上であれば出産一時金の対象になります。ただし、診察や手術にかかる費用は保険対象外です。

妊娠は必ずしも誰もが確実・安全に出産できるものではありません。

流産や死産はとても言葉では言い表せないほどの悲しい出来事であり、出産一時金を請求する余裕なんてないかもしれません。

ですが、頭の片隅でも構いませんので、妊娠12週以上が経過していれば出産一時金が支給されることを知っておきましょう。

差額申請したあとは、お金がいつ振り込まれるのかについても確認しておくと良いでしょう。

参考:出産一時金の差額返金以外でも得する方法

妊娠・出産はとてもお金が掛かります。出産一時金の差額返金はあくまでも42万円以下だった場合に限りますので、それ以外のお得な方法を知っておきましょう。


ここでは、

  • 医療費控除の確定申告
  • 健康保険組合の出産一時金に上乗せできる付加金について
以上のことを解説します。

もちろんここで紹介した方法以外にも、出産費用を節約する方法は色々とあると思います。知っていて損はない情報ですので、ぜひチェックしておいてくださいね。

医療費控除の確定申告をして返金してもらう

1月1日から12月31日までの1年間で、かかった医療費が一定額を超えていた場合、確定申告をすればお金が戻ってきます。


妊娠・出産のために通院した費用も医療費控除の対象となり、

  • 通院・入退院のために掛かった交通費(タクシー代など)
  • 産後1ヶ月健診
  • 妊婦定期健診
  • 出産費用
  • 赤ちゃんの入院費用
  • ママの入院費用
これらが対象となります。

年末調整では申請できませんので、別途で確定申告をしなくてはいけません。医療費控除は、入院のときにプラスで費用がかかる個室を予約したり(差額ベッド)、車のガソリン代などは対象外となります。

そして、さかのぼって5年までなら申請可能です。もし、妊娠・出産で医療費が沢山掛かったにもかかわらず、何もしていないという人はチェックしてみてください。

確定申告は提出した後に、通知でお金がいつ振り込まれるかがわかります。ハガキできますので、必ず確認しましょう。

健康保険組合の出産一時金に上乗せできる付加金を確認する

健康保険組合の中には、出産一時金の42万円にプラスして付加給付を設けているところもあります。


金額はそれぞれに異なり、3~10万円前後のところが多いようです。


また、付加金は出産一時金とは別に申請が必要になるケースがほとんどです。直接支払制度を利用しても付加金は含まれないため、

  • 42万円以内であれば、差額と付加金申請が必要となる
  • 42万円以上であれば医療機関で差額を支払い、後日に付加金申請をする
このような手続き方法となります。

出産一時金が10万円も違うのはとても大きなことです。付加金は別で申請が必要なため、お金がいつ振り込まれるのかは申請時に確認したほうが良いでしょう。

出産一時金の差額はいつ振り込まれるのかのまとめ

出産一時金の差額はいつ振り込まれるのか、出産一時金の申請方法などを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 出産一時金の差額は申請しないと振り込まれない
  • 差額の返金分がいつ振り込まれるかの平均は約2ヶ月程度
  • 差額請求の期限は出産日の翌日から2年以内
  • 申請に必要な送付書類は、健康保険組合と国民健康保険で異なる
  • 出産一時金の差額は42万円以内でないと振り込まれない
以上となります。

出産一時金の差額は、出産費用が42万円以内だったときに申請できます。それ以上に出産費用がかかれば差額がないため申請できません。

妊娠・出産はお金が掛かりますので、出産一時金の差額以外にも、確定申告や付加金などを活用して上手にお金のやりくりをしましょう。

また、あらかじめ差額がいつ振り込まれるのかを確認しておけば、予定も立てやすくなります。

出産後は慣れない育児でバタバタするため、とても差額申請をする余裕なんてないかもしれません。

ですが、2年以内ならという気持ちでいると、あっという間に期限が過ぎる恐れがあるため気を付けてくださいね。

保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

出産費用の平均についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

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