公務員は出産手当金もらえない?公務員の産休中の手当てについて説明!

公務員は産休中も給与の支払いがあるため、ほとんどの場合出産手当金をもらうことは出来ない。この記事では、公務員が出産手当金をもらえる場合の条件や申請方法、また産休中は扶養に入ることが出来るのかなど公務員の産休中の手当について徹底解説しています。

公務員は出産手当金をもらえるのか

内容をまとめると

・公務員は基本的に出産手当をもらえない

・しかし、公務員は産休中も給料の支給がある 

・また、産休中はボーナスも支給される 

・少しでも節約したい人は節税をしつつ貯蓄を作ることができる積立投資がおすすめ

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妊娠、出産はたいへんおめでたく喜ばしいことですが、公務員として勤務していると健康保険から支給される出産手当金が、会社員の方と同様にもらえるのか気になりますよね。


体調が変化する中、産休や育休など休業中のことを考えると、どうしてもお金の心配がでてくるかと思います。


そこでこの記事では

  • 公務員の産休中の給与と出産手当金について
  • 公務員でも出産手当金をもらえる場合は?
  • 退職して出産した場合、出産手当金はどうなるのか?
  • 産休、育休中は扶養に入ることができるのか?
についてご紹介します。

この記事を読んでいただければ、公務員の方の産休中の出産手当金の扱いや、扶養手当、配偶者控除など、妊娠出産で不安になるお金のことについて理解を深めることができます。

ぜひ最後までお読みください。

公務員は基本的に出産手当金はもらえない

労働基準法では出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前から出産後8週間まで休業できる権利(いわゆる産前産後休暇)が明記されておりますが、
その間の給与については何も決まりはなく、各事業所の定めるところによります。

基本的に労働はしていませんので、労働の対価である給与は支給しない事業所が多いのです。

「出産手当金」とはその無給期間、加入する事業所の健康保険組合から支給される手当金で、産前産後休暇(産休)中の女性の生活を支えるために支給されます。

支給期間は、出産日より前の42日間(6週間)と出産後56日間(多胎妊娠の場合は98日間)が対象で、産休のそれとほぼ重なっています。

金額は手当金の計算式に当てはめて決まりますが、ざっと標準報酬日額の2/3×日数分となります。

では公務員の場合はどのようになっているのでしょうか。

実は公務員はこの出産手当金は基本的にもらえません。

公務員は健康保険組合ではなく共済組合に加入していますが、その共済組合にも出産手当金の制度は存在しています。

それなのにもらえないとはどういうことなのでしょうか。

公務員は産休中も給料の支給がある

出産手当金は上で述べたように出産のため事業所を休業し、給料がもらえない間の手当金です。(ここでの出産は妊娠4か月(85日)以上の出産のこと。早産、死産、流産、人口中絶含みます。)


実は公務員の場合は産休中であっても基本的に給料は満額受け取れます。


そのため給与支給がないことが条件のこの手当金はもらえないのです。


手当金は標準報酬日額の2/3×日数分ですので、たいていの場合、給料満額のほうが金額が大きくなります。


満額支給といっても通勤手当や残業手当のように実際に勤務がなければ発生しない手当等は対象外です。


さらに産休中は地方公務員等共済組合法第百十四条の規定により共済組合の掛金は免除されるため、給料はもらえるけれどもが共済掛金は免除されるということで大変有難い制度になっています。(免除には申請が必要です)

産休中はボーナスも支給される

公務員の産休中の給与は基本的に満額支給されることはご理解いただけたかと思います。

それではボーナスの支給はどうなっているのでしょうか。

実は基本的にボーナスの支給についても満額支給になります。

公務員のボーナス支給は6月と12月で、それぞれ支給日以前の半年間に勤務実態があれば支給されます。

これはボーナスが支給日以前の半年間の勤務を査定し支給されるものだからです。

ボーナス査定の半年間の勤務日数が少なければその分減額されますが、通算30日以内の欠勤であれば査定には影響はありません。

ただし1年以上休職している場合は支給されません。

公務員の場合では産休は勤務日扱いとなるため、たとえ査定期間に産休があったとしても影響はありません。

給与が減額された場合は差額分を出産手当金としてもらえる

基本的に出産手当金の支給がない公務員ですが、出産のため休業し給与が減額されたり、支給されなくなったりしたときは出産手当金をもらうことができます。


対象期間は出産前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産後56日までで、出産のため勤務することができなかった期間支給されます。


出産予定日以後に出産したときは、出産予定日以前42日から出産の日後56日までの期間となります。


そのため予定日より遅く生まれた方が支給期間が長いことになります。ただし土曜、日曜日は支給されません。


支給金額は出産手当金の支給開始日の月とその直近の継続した全12か月の月々の標準報酬平均額の1/22を日額とし、その2/3の額が支給されます。

公務員が退職した場合の出産手当金

公務員を退職した場合、給料やこの出産手当金はどうなるのでしょうか。


当然ではありますが退職すると給料をもらうことはできません。


また退職と同時に加入していた共済組合からも抜けることになります。


そのため原則的に出産手当金の受給はできなくなりますが、条件を満たせば受給することができます。


ここでは受給するための要件とその申請方法について紹介します。

退職後に出産手当金を受給するための要件

公務員を退職後に出産手当金を受給するためにはどのような条件があるのでしょうか。

基本的な受給要件を見ていきましょう。
  • 1年以上共済の組合員であったこと。
  • 退職日が出産手当金の受給期間内であること。
  • 退職日は産休中などで労働をしていないこと。 
上記を満たす場合は退職後も引き続き残りの支給期間について出産手当金が支給されます。

つまり退職日に出産手当金を受給しているか、受給できる状態であることが必須になります。

 特に出産を機に退職を考えている場合は退職日については要注意です。

有給休暇も消化する場合は退職日が出産予定日以前42日となるように、職場と退職日の相談が必要になります。

また退職して任意継続組合員の資格を取得した後に、新たに発生する出産手当金は支給の対象外になってしまうことも覚えておきましょう。

出産手当金の申請方法

出産手当金は自動的にもらえるものではなく、申請しなければ受け取ることはできません。


出産手当金を受給するために、退職時はどのようなことをしておけばいいのでしょうか。


具体的に申請方法を見ていきましょう。(実際の申請については各共済組合への問い合わせが必要です。)


出産手当金の受給資格

共済組合の加入期間や、出産予定日、産休に入る時期などを確認し、手当金の受給資格があるかどうかを確認します。


請求用紙を入手

産休取得前に所属する共済組合から請求書を入手し、所属先に必要事項を記入してもらいます。


医療機関に提出

出産する医療機関に必要事項を記入してもらい、出産についての医師または助産師の証明書を添付して、共済組合に提出します。


提出先の住所や問い合わせの連絡先などもきちんと確認しておきましょう。

出産手当金はいつもらえるのか

出産手当金は産前分と産後分を別々で請求するか、もしくは、産前産後手当分を一度に請求するかどちらかを選んで請求を行います。


別々で請求した場合はそれぞれ書類が必要になりますが、産前分を先に請求できるため、もらえるのが早まります。


受給に必要な申請書類を提出してから約1~2か月後くらいに指定した口座に振り込みされます。


手続きの具体的な日にちについては各共済組合へ問い合わせしてみましょう。


また産前産後分を一括で請求した場合は手続きが一度に済み、一度にもらえる金額が大きくなりますが、時期が遅くなります。


基本的に出産手当金の申請期限は産休開始の翌日から2年以内になりますので、期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。

公務員は産休中に扶養手当はもらえるのか

夫婦二人で仕事をしていると、それぞれに税金や健康保険料、年金などを支払いしているため、扶養というものがどのようなものかよくわからないかもしれません。


扶養と一口に言っても、「所得税の扶養」、「健康保険の扶養」「配偶者扶養手当」とあり、それぞれが別の制度のもとに運営されています。


しかしながらほとんどの場合混ぜこぜになって認識されてしまっています。


ここでは産休中、育休中の場合において、それぞれ制度ごとに扶養に入ることができるのかを確認してきます。

産休中は扶養には入れない

扶養に入るためにはどの制度であっても年収の制限があります。


公務員は産休中も給与が満額支給されるため、どの制度の扶養にも入ることはできません。


また「健康保険の扶養」は、配偶者の健康保険組合に扶養家族として入ることができる制度ですが、そもそも年収の制限以前に、産休中でも公務員の身分に変更はなく、共済組合の組合員を脱退することはできません。


そのため配偶者側の健康保険組合に加入することはできないのです。


産休中、育休中ともに「健康保険の扶養」は対象外と覚えておきましょう。


そもそも産休、育休中は共済組合の掛金は免除となっていますので、配偶者の組合に入る必要もありません。

育休2年目以降は扶養手当、配偶者控除が受けられる

それでは育休中はどうでしょうか。


ここでは育休中の「所得税の扶養」「配偶者扶養手当」について解説します。


育休は「地方公務員の育児休業等に関する法律」に定められており、期間は「当該子が三歳に達する日」まで「育児休業をすることができる」とあります。


つまり産後から3歳までの最大3年間取得できます。


しかし産休期間は満額支給の給与でも、育休期間は無給となり、共済組合からの育休手当をもらうことになります。 


 また育休手当は「子が1歳に達する日」までの期間の支給となります。


育休2年目以降はそのような手当もなくなるため、配偶者の扶養に入ることができるようになります。


所得税の扶養 

税法上は自身の所得税については年収103万円以上で所得税が発生し、年収201万円以上で配偶者の所得税の配偶者控除がなくなります。 


年収201万円以内の場合、配偶者の年末調整などで配偶者控除の申請を行うことになります。


 配偶者扶養手当 

配偶者扶養手当とは扶養家族のある職員に支給される手当のことで、妻が扶養家族であれば夫の給与に支給されるものになります。 

その支給額や扶養の認定については夫の所属する事業所の給与規定によります。

 配偶者が同じ公務員であった場合、妻の収入が年収130万円以内であれば、扶養手当が支給されます。

参考:公務員の育休手当はいくら貰えるのか

育休の手当金の金額ついてご紹介します。


育休は「組合員が育児休業を取得して勤務を休むときに、その子が1歳に達する日までの期間について育児休業手当金が支給」とありますので、産休中の給与と育休手当で少なくとも1歳になるまではなんらかの収入があります。


金額は育児休業を開始して180日に達するまでの間は、1日につき標準報酬の日額(標準報酬月額の1/22の額)の67%の額、残りの期間は1日につき標準報酬の日額の50%の額になります。(土日の支給はありません)


【支給額の例】

(標準報酬月額が30万円の場合の日額)

育児休業開始から180日間、1日につき

(30万円×1/22)×0.67=13,640×0.67=9,138円 

残りの期間1日につき

(30万円×1/22)×0.5=13,640×0.5=6,820円


公務員の出産手当金まとめ

公務員の産休やそれに伴う手当についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。


地方公務員の制度は地方公務員法で「条例に定める」となっており、各地方自治体ごとに定められているのですが、自治体では国家公務員の一般職の職員の法律がもととなって制定しているので、結果的に国家公務員と同様のものとなっています。


公務員は法律でとても手厚く保護されているのです。


まとめると

  • 公務員の産休中は出産手当金はないが給与満額とボーナスも支給される。
  • 退職した場合は出産手当金の請求が可能。共済組合へ問い合わせしよう。
  • 産休中は扶養には入れないが、育休中は配偶者の扶養に入ることができる。
  • 扶養に入れば配偶者扶養手当、所得税の配偶者控除を受けることができる。
となります。

妊娠すると職場での手続きをしながら、生まれてくる赤ちゃんの出産や掛かるお金のこと、配偶者との家庭の役割などさまざまなことを考えなければならないですよね。

この記事を読んでいただいて、できるだけ段取りよく必要な書類や手続きを行い、不安をなくしていただければと思います。

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