「ドル建て保険は儲かる」は間違い?為替リスクで元本割れの可能性も

高金利な外貨(米ドル、豪ドル)で積立金を運用するドル建て保険。日本円が低金利の今、外貨建て保険を活用した資産運用が人気のようです。しかしドル建て保険のリスク(為替リスク、為替手数料、運用手数料)を理解していますか?メリットだけでなくデメリットも把握しましょう。

ドル建て保険の為替変動リスク、手数料リスクなど危険項目まとめ

マイナス政策金利導入により普通預金の金利が0.001%まで引き下がり、預金の利息よる資産形成は難しくなってきましたよね?


それに伴い、円建ての金融商品、貯蓄性保険の金利にも期待ができず、米ドルや豪ドルなどの外貨建ての保険が気になる方が増えてきているようです。


しかし、ドル建て保険には外貨の運用益を狙える一方で、為替差損や付加保険料(手数料)などのリスクがあることをご存知ですか?


この記事では

  • 為替リスクにより受取り保険金の減額や保険料負担が増加する
  • 為替リスクのわかりやすい具体例や解決策
  • ドル建て保険の為替リスク以外の危険性とは?
の3点をわかりやすく解説します。


外貨建て商品販売に関する苦情が増加、金融庁も商品説明の方法にテコ入れするほど理解が難しいドル建て保険の仕組み。


記事を最後まで読んでいただければ、ドル建て保険の仕組みがすっきり理解できます。


為替リスクとは円貨と外貨の変換レート、為替相場の変動リスクのこと

ドル建て保険は預かった保険料をドルで運用しますので為替リスクを伴います。


為替リスクとは、日本円と外貨の為替レートの変動により受けるリスクのこと。


円をドルに、またドルを円に換金する時、為替レートによって受け取れる金額が変動します。


ドル建て保険は決して元本保証ではなく、円高ドル安・円安ドル高が保険料や保険金に影響を及ぼし、元本割れの可能性があります。

円高時に保険金を日本円に換金すると元本割れするリスクがある

前述したように、ドル建て保険は円建ての保険よりも金利が高く貯蓄性に優れるメリットがあります。


実際には、円建て保険の積立利率は平均0.5%程度ですが、外貨建て保険の積立利率は最低保証でも1.5~3%程度はあります。


同じお金を預けておくなら、金利が良いほうがもちろん増えていきます。


しかし、円高時には保険金が目減りしてしまうという為替リスクがあります。


例えば、1ドル100円の為替相場だったものが1ドル80円になった場合を想像すればわかりやすいですよね。


保険金が1ドル100円で10万ドル(1,000万円)だった場合に、1ドル80円まで円の価値が下落すると10万ドルの保険金では800万しか受取れない計算になります。


このように数10円の相場変動でも、受取り金が数100万単位で含み損を被る可能性があるのです


米ドルや豪ドルで設定されている保険金は、円の価値が下がっている円高時に日本円で受け取ると損をすることを理解しましょう。

保険料の負担が変動するというリスクがある

ドル建て保険は保険料もドルで設定されているので、払い込む保険料にも為替リスクがあります。


保険金を受け取る時とは逆に、円安時には保険料が高くなってしまいます


こちらは、月払い保険料が300ドルの場合で考えてみると、1ドル80円の場合は24,000円で済みますが、1ドル100円の場合は30,000円を支払うことになります。


為替レートによって保険料が変動してしまうので、ドル建て保険には支出プランが立てにくく、また途中で保険料が払えなくなるリスクがあります。

保険料の換金や保険金の換金において為替手数料がかかる

ドル建て保険のリスクの一つとして、為替手数料がかかるということがあげられます。


これは、保険料を払うときや保険金や解約返戻金を受け取けとる際、円→ドル・ドル→円に変換するための両替手数料です。


為替手数料は1ドルに対して1銭、50銭というような設定になっています。


微々たる数字にも思えますが、毎月保険料を払うたび、また何百万という保険金を受け取る際に手数料がかかるということは大きなデメリットと言えます。


この手数料は保険会社によって違うので、手数料の安い保険会社を選ぶこともリスク回避の手段になります。

保険金の受取りをドルか円か選べる保険のほうが為替リスクが低くておすすめ

ドル建て保険は、保険金を受け取る際、ドルか円かを選べる保険会社があります。


円高時には保険金が目減りしてしまうという為替リスクがありますが、保険金を受け取る際にドルか円かを選べるのであれば、保険金をドルで受け取っておいて円安時を待って換金したり、受け取ったドルを海外留学や海外旅行に使うこともできます。

円高時と円安時で、どれほど為替差損・為替差益が生まれるか計算してみよう

では円高時と円安時ではどのくらいの為替差益・為替損益が生まれるのか見てみましょう。


1ドル80円時と1ドル120円時で比較してみます。


払い込む保険料が100ドルの場合(1ドル100円との損益)

為替レート保険料(円)損益
1ドル80円8,000円▲2,000円

1ドル120円

12,000円2,000円

同じ保険料でも円に換金すると、円高時の1ドル80円の時は8,000円なのに対し、円安時の1ドル120円では12,000円になってしまいます。


払い込む保険料のその差は4,000円にもなります。


毎月払い込むプランの場合は、為替レートによって毎月保険料が変動してしまうので支出プランが立てにくくなります。


保険金50,000ドルを受け取る場合(1ドル100円との損益)

為替レート保険金(円)損益
1ドル80円4,000,000円▲1,000,000
1ドル120円6,000,000円1,000,000

保険料を円に換金すると、円高時の1ドル80円の時は4,000,000円なのに対し、円安時の1ドル120円では6,000,000円になります。 


円高時と円安時では2,000,000円もの差がでてしまいます。


保険金を円で受け取る時の為替レートは非常に重要になってきます。


このように、ドル建て保険は為替レートが良くも悪くも大きな影響を及ぼします。

ドルで据え置きできる保険であれば、円安時期を選べるため為替リスクが低い

保険料の払い込みが終わった後もドルのまま据え置きできるドル建て保険であれば、円安時を待って好きなタイミングで解約できるので、為替リスクの回避になります。


また、ドル建て終身保険は、解約をしない限り一生涯保証が続きます。


払い込みが終わっても解約するまで補償はありますし、据え置いている期間も金利は付きます。


慌てて解約せずに為替レートを見ながら解約のタイミングを待つことができます。

ドル建て保険において、為替リスク以外に考えられるリスク

ドル建て終身保険には、手数料や為替リスクなど以外にもいろいろなリスクがあります。


ではどんなリスクがあるのか解説していきたいと思います。

途中解約して元本割れするリスク

前にも挙げたように、為替レートによって払い込む保険料が変動するということから、円安が続けば途中で払えなくなり解約することにもなりかねません。


払い込んでいる途中での解約は元本割れするリスクを伴い、そこに為替リスクが重なれば、解約返戻金はさらに目減りしてしまうことも。


保険料が支払えなくなった場合の対策としては、「払い済み保険」に変更し保険料の支払いを中断して、その後に円安傾向に傾いたタイミングで解約する方法です。

今までの積立金額相当の保険になり保障機能は低下しますが、その後に解約せずにいれば金利による資産の増加が狙えます。

外国(契約通貨国)のインフレリスク

インフレになり物価が上がると金利も良くなる傾向にあります。


景気の良い話に聞こえますが、インフレになるということはお金の価値が下がるということ。


今は100万で買えるものも、保険金を受け取る時に物価が上がっていれば、100万円では買えなくなります。


現在は満足のいく設定の保険金でも、将来はそれでは足りないわけです。


外貨のインフレは為替相場を円高傾向に傾けますので、保険金、返戻金の受取時に含み損を負う可能性が高くなります。


将来、老後の生活資金が欲しいから、資産形成がしたいから、などと目標を持って保険に加入してもその目標を達成できないことになってしまいます。

保険会社の破綻リスク

保険会社が破綻すると、生命保険契約者保護機構が保護をしてくれるシステムになっています。


救済措置はあるとは言え、今まで加入していた条件と同じ補償をしてくれるわけではありません。


1本の保険に多額の保険料を預けて大きな保険金をかけていた場合、万が一破綻などという事態になる大きな損害になってしまうことになります。


このリスクは、外資系の保険会社だけではなく国内の保険会社にもあるリスクです。

ドル建て保険のリスクまとめ

この記事のポイントは

  • 為替リスクにより受取り保険金の減額や保険料負担が増加する
  • 為替リスクについて円高、円安の具体例
  • ドル建て保険の手数料やインフレ、途中解約の危険性

の3点でした。


ドル建て保険は、預貯金が他にありそれ以外のお金を投資してみたい人や、経済動向や外貨に詳しい人、為替レートをチェックすることが好きな人には向いているかも知れません。


また、円建ての保険とドル建て保険の二本立てで加入することもリスク分散になるでしょう。


「為替レートによっては増える」「金利が良い」というメリットもあるドル建て保険ですが、「為替レートによっては減ってしまう」「為替手数料がかかる」という大きなリスクもあることを覚えておいてください。


ドル建て保険を検討しているのなら、円高時や円安時には保険料や保険金がどう変動するのか、手数料がどのようにかかるのかをきちんとシミュレーションしてみることをお勧めします。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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