ドル建て終身保険、加入したはいいけど、解約時期はいつがいいの?

ドル建て終身保険は、高い予定利率のため販売を伸ばしています。ただ、解約時期を誤れば元本を割れる恐れも孕んでいます。そこで、今回の記事では、ドル建て終身保険の解約時期をいつ行えば、元本を割れることを避けることができるかという点について考えていきます。

ドル建て終身保険の解約時期についての知識を解説

ドル建て終身保険で貯蓄をしている方は、「いつ解約して現金化するのがいいのか」という点がとても気になるのではないでしょうか?

ドル建て終身保険は、高い予定利率のため、円建ての保険料よりも負担を抑えることができ、かつ、円建ての保険よりも貯蓄率が高い点を売りにして、販売を伸ばしています。


しかし、これらのメリットは全て「為替レートが一定である」という条件で成り立つもので、実際問題としては「為替レートは変動」します。 


つまり、為替レート次第では、メリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまうのです。


今回は、メリットを最大限享受し、デメリットをできるだけ受けないようにするため、為替レートを考慮しながら、その解約時期を考えてみたいと思います。


ドル建て終身保険の解約時期にお悩みの方、ぜひ最後までご覧ください!



ドル建て終身保険の満期前の解約を考えている場合は注意しよう

まず保険は、そもそも「解約前提」で加入するものではありません。


保険を解約すると、解約返戻金が貯まるタイプの保険であれば、それまでに貯まっているお金が戻ってきます。


ただし、解約返戻金は、毎年一定額が貯まるのではなく、中には保険料払込期間後に大きく増えるタイプのものなどもあり、しっかりと加入時に内容を確認し、解約時にもその部分を確認したうえで解約時期を決定することが大切です。


解約返戻金は通常、死亡保険金を下回ります。


証券に記載された死亡保険金額と比較すると、加入後間もなく解約する場合等は、解約返戻金が死亡保険金を大きく下回るので、解約時期には特に注意する必要があります。


また、ドル建て終身保険に加入しており、そこに医療保険などの特約が付加されている場合には、解約とともに特約が消滅するのも解約時期とあわせて十分考慮しなければなりません。


ドル建て終身保険は満期後に解約をしないと損をすることが多い

ドル建て終身保険は、解約時期を間違えると払込保険料を大きく下回ることが多いです。


例えば、メットライフやジブラルタなどの外資系生保の多くが販売するドルて建終身保険(低解約返戻金型)の場合、保険料払込期間中の解約返戻金を低く抑え、保険料を安くしています。


これらの商品については、保険料払込期間中に解約した場合には、解約返戻金は払った保険料を下回るケースが多いです。


一般に、保険料を支払う期間は現役世代で、ライフスタイルの変化等で資金繰りが読みにくい側面があります。


だからこそ、ドル建て終身保険を貯金の一部として活用するかは慎重に考える必要があります。


ドル建て終身保険は、あくまで一定の死亡保険の準備にほかならず、生命保険として必要な保障を提供するには決して十分ではないことが一般的です。


ドル建て終身保険を貯金の一部と割り切って、外貨運用として考えるなら良いですが、保障と貯金を二重取りしようとするのは得策とは言えないので、留意する必要があります。


満期前の解約をするより、払い済みや契約者貸付などで対策を

上記で述べた通り、ドル建て終身保険の場合、解約時期が保険料払込期間中の場合、解約返戻金が低い場合もあります。

そこで、保険料の支払い継続が困難になった場合には、保険の払い済み(これまで支払った保険料に基づく解約返還金をベースに、保険料の払込を止めて、一定の保障を確保する)や契約者貸付を行うことで保険料の払込期間を終えることが有効となってきます。


ただし、契約者貸付の場合、貸付利率は円建ての保険と異なり高いので、注意しなければなりません。


円高か円安か、解約返戻金のドルから円への換金時期も重要

ドル建て終身保険の場合、純粋に死亡保障として加入している場合を除けば、通常は「銀行においておくよりは…」という理由で、積立目的で加入しているケースが多いです。


つまり、自分で使うために加入しており、いずれ解約することが前提です。


ただ、ドル建て終身保険の場合、ドルで生命保険会社も運用しているため高い利回りがある分、解約時期の為替によって解約返戻金の受取額も変わってくるので、解約時期は非常に重要です。

解約返戻金をドル・円選べる場合は解約時の為替レートは心配なし

上記で述べた通り、ドル建て終身保険の解約時期は非常に大切です。
しかし、解約返戻金をドルでも円でも受け取れるドル建て終身保険の場合は、解約時期の為替レートの影響は受けにくくなります。

為替レートは、円にするときが問題であり、円で受け取ることが必須でない場合は、ドルで据え置くことができるので、為替リスクを軽減することができるのです。


ただし、解約時にドルで受け取る場合に外貨口座が必要な場合は、外貨口座の開設は無料でも、外貨から円に変換する場合に手数料を銀行に支払うので、そこも考慮する必要があります。

解約時期が円高なら、ドルで受け取り円安まで換金しないのがお得

解約時期に円高の場合、円で受け取ると想定した金額を受け取ることができないケースがあります。

その際に、円高が一生継続しないと考え、待つことができる場合にはドルで受け取り、円への交換を待つことができます。


また、ドルを再度、一時払いのドル建て終身保険に加入することで、資産をさらに増やすことも効果的です。

【参考】各保険会社のドル建て終身保険について解説

ドル建て終身保険を取り扱う保険会社は多数あります。

多数の保険会社を取り扱う保険ショップなどに行くと、いろいろなドル建て終身保険のパンフレットが置いてあります。

今回はその中でもメジャーな
  • メットライフ生命
  • ジブラルタ生命
の2社のドル建て終身保険の特徴を説明したいと思います。

「預かった保険料をドルで運用する」という同じドル建て終身保険でも、保険会社によっていろいろな特徴があります。

各社の特徴を知って、ドル建て終身保険を上手に貯蓄に活用してください。

メットライフ生命のドル建て終身保険について

メットライフ生命のドル建て終身保険「USドル建終身保険ドルスマート」の大きな特徴は、最低利率3%が保障され、運用によってはさらに高い利率になることもある、というところ。

市場動向に連動して利率が変動するということはインフレリスクにも対応できますので、大きなメリットと言えるでしょう。

「3大疾病払込免除特約」というオプションを付けることで、がん・心疾患・脳血管疾患になり保険会社の指定する事由に該当した場合、それ以降の保険料の払い込みは不要になります。

また、メットライフ生命のドル建て終身保険は、払込の通貨・受取の通貨とも、円・ドルを選ぶことができます。

先述したように、解約返戻金の通貨を選べるということは、為替リスクからの回避にもなります。

為替手数料についてですが、メットライフ生命は保険料を円で入金する場合、1ドル0.5円という為替手数料がかかってきます。

この為替手数料はソニー生命の為替手数料などと比較すると高めで、デメリットと言えます。 

ジブラルタ生命のドル建て生命保険について

ジブラルタ生命のドル建て終身保険「米国ドル建終身保険」は、予定利率3.2%(2018年4月現在)固定となります。

現在の銀行に置いておくよりは断然良い利率となりますが、メットライフ生命とは違い変動することはありません。

ジブラルタ生命にも「疾病障害による保険料払込免除特約」というオプションがあります。

保険会社所定の状態になるとそれ以降の保険料の支払いが免除になるものですが、メットライフ生命の「3大疾病払込免除特約」と比較すると、身体が重篤な状態にならないと適用となりません。

ジブラルタ生命のドル建て終身保険の特徴の一つは、「保険料の中途前納ができる」ということ。

例えば、保険料を円で払い込んでいる途中で円高になった場合、保険料が安くなっているうちにまとめて支払うことが可能になります。

これは為替リスクの回避という意味では、大きなメリットとなります。

なお、メットライフ生命の場合は保険料を全額前もって支払う全期前納は可能ですが中途前納はできません。

ジブラルタ生命のドル建て終身保険は、保険料の払込は円のみ、受取は円・ドルを選択することができます。

為替手数料ですが、ジブラルタ生命は円で支払う場合1ドル0.5円となっています。

メットライフ生命と比べると、為替手数料は安くなります。

まとめ:ドル建て終身保険の解約時期について

ドル建て終身保険の解約時期について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


今回の記事のポイントをまとめてみましょう。


  • 為替レートにより解約返戻金は大きく変動する
  • 保険料の払込が終わる前での解約は元本割れする可能性がある
  • 解約返戻金をドルで受け取り円安を待つ方法もある


死亡保険に入る目的は、主に「葬式代金」「家族の生活費」「子供の学費・結婚費用」「住宅資金」など様々です。


それに対して、ドル建て終身保険は、これらの目的にはそぐわないと言われています。 


それは、為替レートによる解約時期で、受け取る金額が変動してしまうからです。


ドル建て終身保険に入る前に、自分の目的に本当にドル建て終身保険が適しているのかを再確認する必要があります。


親身になってくれるコンサルタントやFPに相談してみると良いかもしれません。


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