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猫の乳腺腫瘍をご存知ですか?良性と悪性があり、正確な原因は不明です。乳腺にしこりがある、痛み等の症状が出ます。治療は基本的に手術が行われ、抗がん剤等の薬が投与されることもあります。この記事では猫の乳腺腫瘍について、原因から症状、治療法、予防法まで解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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猫の乳腺腫瘍は完治する?再発や転移はせず、予後が良好なのか

猫の乳腺腫瘍は悪性であることが多いのをご存知でしょうか。猫を飼っている方にとっては注意が必要な病気のひとつでもあります。


「皮膚病だと思って動物病院で検査したら乳腺の悪性腫瘍だった」ということもしばしば見受けられるのです。悪性と良性のどちらにしても切除が望ましいとされます。


手術費用はもちろんのこと悪性の場合、手術後の治療や転移による再発、予後など飼い主さんにとっては心配なことが山積しています。


今回「MOFFME」では猫の乳腺腫瘍について

  • 原因と症状・検査方法乳腺腫瘍の見分け方
  • 治療法、手術費用やその後の治療費用と予防法
  • 乳腺腫瘍になりやすい猫種や年齢・性別
  • 万が一に備えるペット保険がおすすめ
  • まとめと寛解して完治の可能性と余命

の項目に分け順を追って詳しく解説していきます。

猫の乳腺腫瘍とは?原因や症状、見分け方を詳しく解説!

猫の病気で多い乳腺腫瘍を見分けるのは難しいのですが、お腹を撫でることで飼い主さんがしこりに気づくことは可能です。


猫の乳腺腫瘍は悪性であることが多く、進行してしこりが大きくなり、皮膚が破けて出血するまで気づかないというケースも少なくありません。早期発見し治療することが延命に繋がります


ここでは猫の乳腺腫瘍について

  • 疑いのある場合の検査方法
  • 乳腺腫瘍の原因となりうる要因
  • 乳腺腫瘍の症状・腫瘍の大きさや転移について
3つの項目で解説していきます。

猫の乳腺腫瘍とは?レントゲン等の検査方法も解説!

乳腺腫瘍は悪性と良性があり、どちらも胸から下腹部にかけてある乳腺にしこりができる状態のことをいいます。猫の場合、悪性の確率が高く早期発見、早期摘出が望ましい病気です。


しこりを見つけたらすぐに動物病院で診てもらうことをおすすめします。


乳腺腫瘍が疑われた際は、以下のような検査を行います。

  1. リンパ節の触診
  2. 腫瘍の細胞診
  3. リンパ節の超音波検査
  4. 遠隔転移しやすい肺のレントゲン検査
  5. 手術で切除した腫瘍の病理検査
しこりの一部を針で吸引し、採れた細胞を顕微鏡で観察する細胞診という検査を行います。また、乳腺癌はリンパ節に転移しやすいため、リンパ節の触診や超音波検査などを行い、転移がないかどうかを診ていきます。

さらに肺には遠隔転移する可能性が高いため、レントゲン検査で肺への転移の有無を確認します。最終的には手術で切除した腫瘍を病理検査することで、確定診断となります。

乳腺腫瘍の原因は?高齢や避妊手術をしていない等の原因を解説

猫が乳腺腫瘍になる原因は、人と同じく性ホルモンが深く関係しています。そのためまれにオスで見られることもありますが、猫でもほとんどがメスに発生します。


したがって

  • 避妊手術をしていない
  • 10〜12歳の中高齢
  • メスである
の3つの条件の猫に多く発生します。

成猫になる前の生後6ヶ月〜1歳までに避妊手術を行えばホルモンの分泌が抑えられ、乳腺腫瘍になるリスクはかなり軽減できるといわれています。

しかしホルモンの分泌が始まってから年齢を重ね、2歳頃に避妊手術をしてもほとんどリスク軽減にはならないので、繁殖を考えていない場合は早期に避妊手術することが望ましいでしょう。

猫の乳腺腫瘍の症状は?腫瘍の大きさやリンパ節への転移も解説!

猫の乳腺腫瘍は、悪性でも初期段階ではしこり以外に特徴的な症状はありません。乳腺腫瘍が進行してくると次のような症状が現れてきます。

  • 食欲がない
  • 体重減少が顕著
  • 元気がない
  • しこりの表面が自壊する
自壊すると細菌感染を起こして臭いがするようになります。また表面が潰瘍化すると痛みのために猫が潰瘍部分を舐めることもあります。


乳腺腫瘍は

  • 腫瘍の大きさ
  • リンパ節への転移
  • 他臓器への転移

この3つの進行状況により乳腺腫瘍のステージが分かれます。

乳腺腫瘍進行状況腫瘍の大きさ転移の有無
ステージ12cm未満転移なし
ステージ22〜3cm転移なし
ステージ3転移はないが3cm以上大きさが3cm未満かつ遠隔転移がなくてもリンパ節
転移がある
ステージ4大小関わらず全て他臓器転移あり


予後の経過は

  • 腫瘍の大きさ
  • リンパ節への転移
  • 腫瘍組織の悪性度
やこの3つだけではなく、手術の方法やステージによっても変わってきます。ステージについても進行していればいるほど予後不良となります。

猫の乳腺腫瘍の治療法、治療費用、予防法を詳しく紹介!

前項目でご紹介したように、猫の乳腺腫瘍は進行するとリンパ節に転移する確率が高いため治療は手術で腫瘍を切除する方法が一般的です。


手術となると3~5日程度の入院が必要となります。また手術後に抗がん剤での化学療法を施すこともあり、治療にかかる費用はかなりの高額となることが予想されます。


ここでは猫の乳腺腫瘍の

  • 手術費用や治療費
  • 猫の乳腺腫瘍の予防方法

をご紹介していきます。

乳腺腫瘍の腫瘍切除等の治療費、手術費用を紹介!

猫の乳腺腫瘍の治療費には手術費用だけでなく、全身麻酔にかかる費用や検査費用、入院費用などもあります。猫の乳腺腫瘍で行なう治療とその金額の目安は以下の通りです。

診療項目金額
診察1〜1.5千円
入院(1日)2〜3千円
検査1.5〜2万円
手術2〜4万円
全身麻酔5千〜1.3万円
病理検査5千〜1.5万円

このほか、点滴なども加わり乳腺腫瘍の状態によりまちまちですが、入院が3~5日程度だとすると、治療費に10万円程度は必要になります。


また手術後も抗がん剤などの治療が必要な場合はさらに治療費がかかります。

猫の乳腺腫瘍の予防法は?動物病院を受診して早期発見しよう

猫の乳腺腫瘍の予防法としてベストな方法は、

  • 初回発情前に避妊手術を施す

この1点でしょう。


避妊手術は乳腺腫瘍発病リスク軽減のほか、子宮や卵巣の病気も防ぐことに繋がります。できれば猫を飼い始めたらかかりつけの動物病院を見つけて相談しておきましょう。


お腹を撫でるセルフチェックのやり方は次の通りです。

  • 機嫌のいい時に行なう
  • お腹側全体を撫でられる体勢にする
  • 脇の下から足の付け根まで撫で、優しくつまんでマッサージ
もしも、しこりを発見したら、すぐにかかりつけ医に診てもらいましょう。

乳腺腫瘍になりやすい猫種や年齢、性別はある?

猫の乳腺腫瘍は、だいたい10〜12歳の避妊手術を受けていないメス猫が圧倒的に罹患率が高くなっています。


全猫種が乳腺腫瘍になるリスクはありますが、特に注意したい猫種がいくつかあります。

  • シャム
  • 日本猫
シャムではさらに若齢で発症することが多いので注意が必要です。

上記の猫種を飼っている人はオスメスどちらでも月に1回の定期的なセルフチェックを欠かさずに行うことをおすすめします。

また上記の猫種を飼う際は、繁殖を望まないのであればかかりつけ医と相談してできるだけ早期に避妊手術を施すことが、乳腺腫瘍を予防する最良の方法でしょう。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!


乳腺腫瘍でなくても何かと飼っている猫の健康の不安がある時にかかりつけの動物病院があると安心です。しかし最大のネックとなるのが、診療費の高さではないでしょうか。


診療費を気にしてなかなか病院へ足を運べない、といったことが病気の発見を遅らせる一因でもあります。そんな方におすすめなのがペット保険です。


MOFFMEには厳選したペット保険からあなたの猫に最適な保険を見つけることが可能な「ペット保険の一括比較」ができるのです。


またMOFFMEでは、ペット保険に関する記事も多く取り揃えているので、参考にしてみてください。

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まとめ:猫の乳腺腫瘍は治る?寛解して余命も伸ばせるのか

猫の乳腺腫瘍について解説してきましたがいかがだったでしょうか。


この記事で解説した猫の乳腺腫瘍について要約すると

  • 猫の乳腺腫瘍は悪性であることがほとんど
  • 10〜12歳避妊手術を受けていない中高齢のメス猫の罹患率が高い
  • 猫の乳腺腫瘍は外科的治療が基本
  • 乳腺腫瘍の検査は細胞診→腫瘍切除による病理検査で確定診断
  • 再発を抑えるため手術後、化学療法を施すことも
  • 腫瘍の大きさ、リンパ節への転移の有無が余命に影響
  • 乳腺腫瘍を予防するには避妊手術が重要
といった内容になります。

乳腺腫瘍の治療には高額な費用がかかります。ペット保険に加入しておくことで治療費の心配が軽減できるでしょう。

MOFFMEでは猫がかかる他の病気についても多くの記事がありますので、ご覧になってみてください。