【獣医師監修】犬の免疫介在性溶血性貧血とは?原因から予防まで解説のサムネイル画像

犬の免疫介在性溶血性貧血をご存知ですか?原因は原発性と二次性の2種類あり、貧血や血尿等の症状がみられます。治療として輸血やステロイド等免疫抑制薬の投与が行われます。この記事では犬の免疫介在性溶血性貧血について、原因から症状、治療法、予防法まで詳しく解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の免疫介在性溶血性貧血は治る?生存率や寿命はどれくらいか

犬を飼っていらっしゃる方にとって、犬は単なるペットではなく家族の一員という方は多いと思います。


そんな家族の一員である犬の健康管理は、飼い主さんにとって大切な問題ですよね。


犬がかかりやすい病気は多くありますが、その中でも免疫介在性溶血性貧血という病気をご存知でしょうか。


聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、この免疫介在性溶血性貧血は、その進行度合いによっては死にいたる可能性もある怖い病気なのです。


そこで、今回「MOFFME」では

  • 犬の免疫介在性溶血性貧血の原因や症状
  • 検査方法
  • 治療方法や費用
  • 予防方法
  • 免疫介在性溶血性貧血にかかりやすい犬種や年齢、性別

について、それぞれ解説していきます。


大切なワンちゃんが免疫介在性溶血性貧血にかかってしまった時のために、また、かかってしまうことのないように、最後までしっかりお読みいただければと思います。


またMOFFMEではペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

犬の免疫介在性溶血性貧血とは?原因や症状、検査方法を解説!

そもそも、犬の免疫介在性溶血性貧血とはどのような病気なのでしょうか。


その名前に貧血とあることから、貧血の一種なのではないかと想像がつきますが、貧血と言っても原因は様々です。


まずは、免疫介在性溶血性貧血がどのような病気なのかを知るために、

  • 原因
  • 症状
  • 検査方法

について、以下で詳しくご説明していきます。


それぞれしっかり確認してみてくださいね。

犬の免疫介在性溶血性貧血とは?血液検査等の検査方法も解説!

犬の免疫介在性溶血性貧血とは、通常、ウイルスや細菌から体を守る免疫機能がなんらかの原因で異常を起こし、自分の赤血球を破壊して貧血を起こしてしまう病気です。


また冒頭でも述べたように、特に急性の場合、症状の進行度によっては死に至る場合も少なくありません。


免疫介在性溶血性貧血を診断するには、血液検査を行い、赤血球の状態を調べます。


具体的には、抗体が赤血球にくっついていないかを調べる「クームス試験」という検査を行ったり、顕微鏡検査で赤血球の詳細の状態を調べたります。


また、その他に

  • X線検査
  • 超音波検査
  • 尿検査

なども行い、全身状態を検査することが必要となるようです。

犬の免疫介在性溶血性貧血の原因は?原発性と二次性の2種類ある

免疫介在性溶血性貧血の原因としては、自然発生的に発症する原発性と、感染や他の疾患をきっかけとする二次性の2種類があると言われています。


原発性の免疫介在性溶血性貧血は、自身の赤血球を攻撃する抗体が体内で作られてしまうことが原因となっています。


一方、二次性とは続発性とも言われ、例えば、感染症や腫瘍、蛇などに噛まれる、タマネギ中毒など、何かの疾患をきっかけに赤血球を攻撃する抗体が作られることが原因となっています。


犬の免疫介在性溶血性貧血の場合、その原因は、原発性であることが多いといわれています。

犬の免疫介在性溶血性貧血の症状は?貧血等の症状を解説!

次に免疫介在性溶血性貧血の症状について見ていきましょう。


一般的に貧血で現れる以下のような症状が見られます。

  • 食欲がない
  • あまり動きたがらない
  • 疲れやすく、息切れなどをしやすい
  • 歯茎や舌などの粘膜が白っぽい

人間の貧血の場合と同じような症状ですね。


また、

  • 赤血球の色素が尿に溶けて、血色素尿という赤い尿が出る
  • 白目や皮膚が黄色っぽい

などの症状も現れます。


さらに、合併症を発症した場合、血栓が作られて他の臓器に影響を及ぼしたりなど、非常に危険な状態に陥ることもあります。

犬の免疫介在性溶血性貧血の治療法や治療費用、予防法を紹介!

犬の免疫介在性溶血性貧血の原因や症状などをお伝えしてきましたが、場合によっては非常に危険な状態になってしまうこともある病気だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。


そんな重病の免疫介在性溶血性貧血にワンちゃんがかかってしまった場合、どのような治療方法があるのか、非常に気になりますよね。


以下で、

  • 治療法とその費用
  • 予防方法

について解説していきます。


今まで以上に大切な内容ですので、しっかり確認してくださいね。

犬の免疫介在性溶血性貧血の輸血等の治療法、治療費を紹介!

免疫介在性溶血性貧血は免疫機能の異常によって、赤血球が破壊されることですので、その治療としてはステロイドで免疫の過剰な働きを抑えて、赤血球の破壊を止めていきます


症状の程度によっては、ステロイド以外の長期間使える免疫抑制剤を併用することもあるようです。


もし、このような内科的治療で効果が見られない場合、赤血球を破壊する臓器の1つである脾臓を摘出する手術を行う場合もあります。


また、免疫介在性溶血性貧血の原因が二次性による場合、元の疾患の治療も平行して行います


きっかけとなる元の疾患が治ることで、免疫抑制剤などを使わなくても、免疫介在性溶血性貧血の症状が改善されることもあるからです。


貧血の症状が非常に重い場合は、輸血などの対応を行います。


治療費用に関しては、症状や病院によっても異なりますが、2週間程度の入院と治療の場合、14万円~20万円弱、1ヶ月程度の入院の場合、30万円弱が目安のようです。


入院治療だと1日で1万円かかるということを目安にしてください。

犬の免疫介在性溶血性貧血の予防法は?

残念ながら、犬の免疫介在性溶血性貧血にはこれといった予防方法はありません


日ごろから、飼い主さんが犬の健康状態を注意して観察していくしかないようです。


ちょっとした体調の変化を見逃さないようにする為、定期的に検診を受け赤血球の数値やその他の検査項目の数値を確認しておくことが大切になります。


犬の免疫介在性溶血性貧血は、治療が長期に渡り、完治することが難しい病気です。


また、発症すると1年後の生存率が約50%とも言われています。


ワンちゃんに免疫介在性溶血性貧血が疑われる症状がみられたら、早めに病院に連れていくようにしましょう。

免疫介在性溶血性貧血になりやすい犬種や年齢、性別はある?

上で述べたように、完治しにくく死亡率も決して低くない免疫介在性溶血性貧血ですが、かかりやすい犬種などはあるのでしょうか。


一般的には、

などに多いといわれています。


また、雄犬よりも雌犬の発症率が3倍~4倍も高く、特に中年齢の雌犬に多いといわれています。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!

犬の免疫介在性溶血性貧血について色々な角度から解説してきましたが、最も気になるのは、治療に関することではないでしょうか。


特に、治療費用に関しては、上でご紹介したように、入院治療の場合は2週間で14万円~20万円弱、1ヶ月で30万円弱もかかるようです。


犬や猫などペットの場合、保険がききませんので全額自己負担になってしまいます。


もし、まだペット保険などに加入していらっしゃらないのであれば、この機会にペット保険への加入を検討されてみてはいかがでしょうか。


免疫介在性溶血性貧血の他にも犬がかかりやすい病気は多くありますし、また、病気だけでなくケガなども心配です。


「MOFFME」ではペット保険に関する記事を数多く、ご紹介しています。


大切なペットのためになる情報もたくさんありますので、是非、確認していただければと思います。

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まとめ:犬の免疫介在性溶血性貧血は完治する?再発するのか

犬の免疫介在性溶血性貧血について、ご理解いただけたでしょうか。


最後に大切なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。

  • 犬の免疫介在性溶血性貧血とは、免疫機能がなんらかの原因で異常を起こし、自分の赤血球を破壊して貧血を起こしてしまう病気
  • 自然発生的に発症する特発性と、他の疾患がきっかけとなる二次性の2種類がある
  • 症状は、食欲がない、動きたがらない、疲れやすい、赤血球の色素が尿に出て赤い尿が出る、皮膚や白目が黄色っぽい、歯茎や舌が白っぽい
  • 治療は、ステロイドなどで免疫の過剰な働きを抑える、他の疾患がある場合は平行して治療する、貧血がひどい場合は輸血を行う
  • 予防法は特になく、検診で赤血球などの数値を確認する
  • 発症しやすい犬種は、マルチーズ、プードル、シーズー、コッカースパニエル、アイリッシュセッターなどで、雌犬に多い

いかがでしょうか。


免疫介在性溶血性貧血の治療は長期に渡り、完治することがむずかしいようです。


また、発症して1年後の生存率も約50%と言われ、非常に怖い病気です。


残念ながら特別な予防方法はないようですが、もしかかってしまった場合には、しっかり治療ができるよう、ペット保険に入っておくことをおすすめします。


大切なワンちゃんの健康を、日ごろからしっかり管理してあげてくださいね。


MOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので、ぜひご覧ください。