【獣医師監修】犬の泌尿器疾患とは?泌尿器の病気の原因、治療を解説のサムネイル画像

犬の泌尿器疾患についてご存知ですか?膀胱炎や膀胱腫瘍、尿石症といった泌尿器に起こる病気のことで、多くの場合おしっこが出ない、血尿、頻尿等の症状が出ます。抗生物質等で治療されます。この記事では犬の泌尿器疾患について病気の種類や原因、症状、予防について解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の泌尿器疾患とは?種類とその原因、治療法等を解説!

大事な愛犬が病気になってしまうと悲しいですよね。辛い思いをしないためにも病気に関する知識を持つことが大切です。病気の種類や原因・治療法を詳しく知っておけば、予防や早期発見につなげることができますよ。


今回「MOFFME」では多くの病気の中から泌尿器疾患について

  • 泌尿器とはどのような器官なのか
  • 犬の泌尿器疾患の種類や原因・症状・治療について
  • 泌尿器疾患にかかりやすい犬種・性別・年齢
  • 予防のためにするべきこと
  • 万が一の時にペット保険が役立つ

以上の点について解説します。


この記事を読んでいただければ犬の泌尿器疾患について詳しく知ることができます。愛犬の健康を守るためにぜひ最後までご覧ください。

犬の泌尿器疾患とは?泌尿器や病気の種類について解説!

犬の泌尿器疾患にはどういった病気があるのでしょうか?犬を飼い始めたばかりの人でもわかるように泌尿器疾患について基本的なことから確認していきますね


そこでここではまず

  • 泌尿器はどのような器官なのか
  • 犬の泌尿器疾患にはどのような種類があるのか

についてわかりやすく解説します。


大事な愛犬が体調を崩した時に飼い主としてしっかりと対応できるように事前に詳しく知っておきましょう。

そもそも泌尿器とは?どんな器官なのか

そもそも泌尿器とはどのような器官なのでしょうか?聞いたことはあるかもしれませんが、詳しく知っている人はあまり多くないかもしれませんね。そこでここでは泌尿器について解説します。


泌尿器とは尿を作り出して、排出する器官のことです。具体的な器官としては次のようなものがあります。

  • 腎臓:尿を作り出す
  • 尿管:尿を運ぶ
  • 膀胱:尿を貯める
  • 尿道:尿を排出する

人間にとっても犬にとっても欠かせない器官ですね。


最近では動物病院でも泌尿器を専門に診察してくれるところも出てきました。


専門的な治療を望む場合は泌尿器科がある動物病院を受診することも検討しましょう。

犬の泌尿器疾患の種類は?どんな病気があるのか

犬の泌尿器疾患にはさまざまな種類があります。主なものを紹介します。


尿石症

泌尿器に結石ができてしまう病気です。できた器官により「膀胱結石」「尿道結石」などと呼ばれます。再発しやすい病気なので根気よく治療に当たりましょう。尿の通り道をふさいでしまう「尿路閉塞」になってしまうと外科手術などの緊急措置が必要になります。


細菌感染症

細菌が泌尿器に入り込み炎症を起こす病気です。日ごろから尿の状態や回数などをしっかりと観察しましょう。炎症を起こした部位により次のように呼ばれます。

  • 腎盂腎炎
  • 膀胱炎
  • 尿道炎


その他

上記の他にもいくつかの泌尿器疾患があります。

  • 膀胱・尿道腫瘍:泌尿器に腫瘍ができる
  • 腎臓病(慢性腎臓病):腎臓が正しく機能しなくなる

犬の泌尿器疾患を種類ごとに詳しく解説!

犬は言葉が話せません。体調を崩しても症状を説明できないので飼い主が病気のサインを見逃さないことが大切です。


そこで、ここでは主な犬の泌尿器疾患の原因・症状・治療について詳しく解説します

  • 尿石症
  • 膀胱炎
  • 膀胱・尿道腫瘍(癌)
  • 膀胱結石
  • 腎臓病(慢性腎臓病)

以上の病気はどの犬でもかかる可能性があります。しっかりと対応できるよう参考にしてくださいね。

①:尿石症・尿路結石の原因、症状、治療について

腎臓・尿管・膀胱・尿道といった器官に結石ができてしまう尿路結石について紹介します。


原因

尿の中のリンやシュウ酸などのミネラル成分が結晶化して石になってしまうことが原因です。遺伝的な要素食事細菌感染などにより引き起こされると言われています。


症状

結石が小さい場合は無症状のこともあります。主な症状としては血尿頻尿排尿困難などです。尿路閉塞を起こしてしまうとおしっこが出なくなり命にもかかわるのですぐに病院に連れて行きましょう。


治療

主な治療法は次の通りです。

治療法内奥
外科的治療緊急性があ、結石が大きい、薬で溶けない種類の結石である場合は手術を行います。
内科的治療結石の成長を止め、溶かす薬を与えて治療します。細菌感染を起こしている場合は抗生剤、血尿の場合は止血剤も投与します。
食事療法結石ができにくい食事を与えます。結石を溶かす目的です。

②:膀胱炎の原因、症状、治療について

膀胱炎とは膀胱の粘膜が炎症を起こしてしまう病気です。


原因

細菌感染膀胱結石膀胱腫瘍が原因だと言われています。特にメスは尿道が短いので細菌が膀胱に入りやすく膀胱炎になりやすいです。正確な原因は不明ですが、ストレスが関係して特発性膀胱炎になることもあります。


症状

  • 頻尿
  • 排尿困難
  • 血尿
  • 排尿痛
  • 尿の濁り

上記のような症状があります。細菌が腎臓に入ってしまうと腎盂腎炎を引き起こすこともありますので症状に気付いたらすぐに病院で相談しましょう。


治療

炎症を抑える薬や抗生物質・鎮痛剤を投薬します。手術や化学療法を行うこともあります。特発性膀胱炎の場合は必要に応じて飼育環境を見直してストレスを軽減させることも行います。再発することも多い病気なので定期的に病院で検査を受けることも大切です。

③:膀胱・尿道腫瘍(癌)の原因、症状、治療について

膀胱移行上皮癌など、膀胱や尿道にできる腫瘍について紹介します。


原因

原因は今のところ正確には分かっていません。ただし、次のようなことが腫瘍の発生に関係あると言われています。

  • 遺伝
  • ホルモン
  • 環境
  • ワクチン
  • 殺虫剤や除草剤などの暴露

膀胱・尿道腫瘍は悪性のものが多く予防も難しいので初期の症状を見逃さず治療につなげることが大切です。


症状

初期の症状は次のようなものです。

  • 血尿
  • 頻尿
  • 排尿痛
  • 排尿困難

膀胱炎の症状と似ていますが、進行すると命にかかわるので膀胱炎が長引いた時には腫瘍の可能性も考えられます。


治療

主な治療法としては次のようなものがあります。

  • 化学療法:抗がん剤の投与
  • 外科療法:手術

それぞれにメリット・デメリットがあるので、発生部位悪性度転移の有無などを総合して治療方針を決めます。

④:膀胱結石の原因、症状、治療について

結石が膀胱にできてしまう病気で、結石症の中で一番多く起こると言われています。


原因

結石にはいくつか種類があり原因もさまざまです。主に尿路感染遺伝・カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの取りすぎが原因だと言われています。


症状

膀胱に結石ができると膀胱を傷つけてしまったり出口を詰まらせてしまったりします。そのため血尿尿が出にくいなどの症状が出ます。症状が進むと膀胱が破裂してしまうこともあるので注意が必要です。


治療

結石には薬で溶ける種類と溶けない種類があります。溶ける種類の場合は食事療法を使って結石を小さくします。食事や薬で改善しない場合は手術をすることもあります。尿道から膀胱鏡(胃カメラの膀胱バージョン)を入れ、鉗子で摘出したり吸い出したりします。体が小さかったり結石が大きかったりするケースでは開腹手術も行われます。

⑤:慢性腎臓病(慢性腎臓病)の原因、症状、治療について

腎臓の機能が落ちた状態が続くのが慢性腎臓病です。老廃物がうまく排泄できなくなることでさまざまな症状を引き起こし、高齢の犬に多く発生します。


原因

原因としては次のようなものがあります。

  • 加齢
  • 遺伝
  • 食事
  • 腎疾患(糸球体腎炎、腎盂腎炎など)

遺伝に関しては、シーズー・キャバリア・ホワイトテリアなど特定の犬種に多いことも知られています。


症状

初期は無症状のことが多いですが、症状が進むと次のような症状が出てきます。

  • 多飲多尿
  • 貧血
  • 毛並みが悪い
  • 痩せる
  • 嘔吐


治療

初期は食事療法を中心とした治療が行われます。症状が重くなると透析腎移植をすることもできますが、できる施設は限られます。腎臓に一度ダメージを受けると、腎臓の細胞は回復することがありません。早期に発見して病気の進行を遅らせることが大切です。

犬の泌尿器疾患にかかりやすい犬種や予防、ペット保険を解説!

犬もさまざまな泌尿器疾患にかかることを紹介してきました。


実は泌尿器の病気にかかりやすい犬種や年齢・性別があるのを知っていましたか?事前に知識があれば予防や早期発見にも役立ちます。そこでここでは

  • 泌尿器疾患にかかりやすい犬種や年齢・性別
  • 犬の泌尿器疾患の予防法
  • もしもの時に役立つペット保険

について詳しく紹介します。病気にならないように気を付けることはもちろんですが、万が一のための備えも必要ですのでぜひ参考にしてくださいね。

泌尿器疾患にかかりやすい犬種や年齢、性別はある?

人間にも年齢や性別によりかかりやすさが違う病気があります。例えば痛風に罹患するのは98%以上が男性ですし、更年期障害になるのは50歳代の女性が多いと言われています。


犬も同じように泌尿器疾患にかかりやすい犬種・年齢・性別がありますのでそれぞれ紹介します。(参考:家庭どうぶつ白書2018


犬種

泌尿器疾患にかかりやすい犬種上位5種は次の通りです。

  • パグ
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ビジョン・フリーゼ
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

年齢

年齢が上がるとかかりやすくなります。特に腎不全は10歳を超えるとかかる割合が急激に増えるので気を付けましょう。


性別

メスの方がかかりやすい傾向にあります。

犬の泌尿器疾患の予防は?早期発見・早期治療、食事が大切!

犬の泌尿器疾患の予防法を紹介します。日頃から気を付けていれば決して難しいことではないのでしっかりと確認しておきましょう。

  • 充分な水分補給
  • 適度な運動
  • 食事内容に気を付ける
  • 定期的に健康診断を受ける
  • 日頃から愛犬の体調を観察する

泌尿器は水分を十分とることで、少量であれば細菌などを尿と一緒に排出することができます。水飲み場を複数個所設置するなど、いつでも水を飲めるようにしておきましょう。


泌尿器疾患にかかわらず早期に発見することが早期治療につながり悪化せずに済むこともあります。異変があればすぐに獣医師に診せることも大切です。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!

どんなに予防に努めても大事な愛犬が病気になってしまうこともあります。そのような時は早めに動物病院にかかりましょう。


ペットには人と同じような公の保険制度がないので、会計の際の支払いは100%飼い主の自己負担となります。犬の泌尿器疾患では通院だけでも年間数万円、尿石症の手術をすると10万円以上かかることもあります。


愛犬が病気になった時に金銭的な負担を減らして治療に専念できるようにペット保険に入ることも検討しましょう


MOFFMEにはペット保険に関する記事が多くあります。ペットを飼っている人必見の記事ばかりなのでぜひ参考にしてみて下さいね。

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まとめ:犬の泌尿器疾患とは?

ここまで犬の泌尿器疾患について解説してきましたがいかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 泌尿器とは尿を作り排出する器官
  • 犬の泌尿器疾患には尿石症・細菌感染症・腎臓病などがある
  • メス・特定の犬種・高年齢だとかかりやすい
  • 早期発見・早期治療が大切
  • もしもの時に備えてペット保険に加入するのがおすすめ

でした。


適度な運動をさせ食事に気を付けることが病気の予防にもつながります。異常を早く見つけることも大切ですので毎日スキンシップを取りながら愛犬の様子をしっかり観察しましょう。


MOFFMEでは他にもペットや保険・お金に関する記事を多数掲載していますのでぜひご覧ください。