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猫の口蓋裂についてご存知ですか?遺伝や後天性の病気や事故が原因で、口蓋が裂ける症状が出る病気です。先天性の場合はミルクが鼻から出てくることもあります。治療としては口蓋を整復する手術を行います。この記事では猫の口蓋裂について、原因や症状、治療法を解説します。

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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猫の口蓋裂とは?ペット保険は適用されるのか

自分の家へ子猫がやってきて、家族の一員になり、猫に癒やされる時間は何物にも変えられませんね。出来れば病気にならずに元気でいて欲しいものです。


ところで、猫にはさまざまな病気がありますが、猫の「口蓋裂(こうがいれつ)」という病気はご存じでしょうか?


子猫がミルクを飲もうとするとミルクが上手く飲めずに鼻から出て来てしまう場合などに疑われる病気です。何だか上手くミルクが飲めてないな。などと感じた場合は、口蓋裂かもしれません。心配ですよね。


そこで、今回「MOFFME」では次の事をお伝えします。

  • 猫の口蓋裂とはどんな病気?
  • 猫の口蓋裂の原因や症状
  • 猫の口蓋裂の治療方法や治療費、予防方法
  • 口蓋裂にかかりやすい猫の種類やや年齢は?
  • 猫の口蓋裂にペット保険は効くの?

最後までお読みいただければ、猫の口蓋裂という病気についてよく分かり、対処方法も理解出来ます。ぜひ最後までご覧ください。


またMOFFMEでは、ペット保険のランキングについても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

猫の口蓋裂(三口)とは?原因や症状を詳しく解説!

自分の家へやって来た可愛い子猫。愛らしくて癒やされますよね。


しかし、ミルクをあげると、どうも上手く飲めずに鼻からミルクが出て来てしまう。

こんな症状があったら、心配ですよね。


周りの人の話を聞くと、どうやら「口蓋裂」という病気らしい。

猫の口蓋裂って、一体どんな病気なのでしょうか?


そこで、次からは、下記の事を詳しくお伝えします。

  • 猫の口蓋裂ってどんな病気?遺伝なの?
  • 猫の口蓋裂になる原因は?先天性と後天性についての説明
  • 猫の口蓋裂の症状について

そもそも猫の口蓋裂とは?遺伝する確率はどれくらいなのか

猫の口蓋裂とはそもそもどんな病気なのでしょうか?


口蓋裂とは、文字通り、口の蓋が裂けている病気の事です。「三口」とも呼ばれています。「口蓋」という名前の壁が、口の中の空間と鼻の間にあるのですが、この壁に亀裂や穴が開いてしまって繋がってしまう状態の事です。


そうなると、猫はミルクを飲んだり食事をする事が普通に出来なくなってしまうのです。


野良猫の赤ちゃんが口蓋裂に罹っていると、母親のオッパイを上手く飲む事が出来ず、誰も助けてくれる人がいませんので、死んでしまう事が多いのです。


猫の口蓋裂は先天性の原因のひとつである遺伝によるものもありますが、遺伝の確率は、両親が病気の遺伝子を持っているか持っていないかで大きく変わりますので、それについては後述します。


ペットショップで猫を購入される方が多いと思いますが、ペットショップでは獣医師が確認してしてから販売していますのでほとんどない疾患です。

猫の口蓋裂の原因は?先天性と後天性の原因がある!

猫の口蓋裂の原因は大きく分けると先天性後天性の2つがあります。

原因内容
先天性生まれる前の、母猫の栄養障害
母猫の体内にいるうちに飲んだ
有害な薬物の影響
ウィルス感染
遺伝によるもの
後天性交通事故
高い場所からの落下事故
感電などの事故

このうち、遺伝によるものを詳しく説明しましょう。

原因が先天性の場合、遺伝子の異常により起こるのですが、両親が異常を持っている場合に、子どもに影響が出る事が多いのです。


遺伝子の検査の結果には、「クリア」「キャリア」「アフェクテッド」の3種類があります。

種類両親の状態
クリア両親とも異常の遺伝子を持っていない場合
キャリアどちらか一方の親が異常の遺伝子を持っている場合
アフェクテッド両親とも異常の遺伝子を持っている場合

3つのケースで実際に比較してみましょう。


クリアから生まれた子猫には、遺伝子の異常が見られる事はありません。


キャリアから生まれた子猫には、片方の親からの異常な遺伝子は受け継いではいますが、発症のリスクはさほどありません。

しかし、優性遺伝となった場合は、発症リスクがあります。

その後の繁殖で、発症リスクが高まるので注意が必要です。


アフェクテッドの場合は、発症リスクがかなりの確率で高くなります。このような先天性の異常によって生まれてくる確率は、口蓋裂に限った訳ではないですが、全体で1~2%と言われています。

猫の口蓋裂の症状は?口蓋が裂ける症状が出る!

では、猫の口蓋裂の症状とは、どのような症状でしょうか?


まず、口蓋が裂けてしまっているため、猫の口の中と鼻の穴がひとつに繋がっている状態になっています。


ですから、赤ちゃん猫の場合は、ミルクを上げてもダダ漏れ状態になり、ミルクを飲み込む事ができません。


そして、ミルクが正常な状態で食道から胃に流れ込むのではなくて、肺に誤って流れ込み、誤嚥性肺炎をおこしたり、咳込んで呼吸困難に陥る事もあります。


また、自宅マンションの5階の窓からの落下事故などの場合は、外傷性ショックが大きく、上顎の骨折なども併発したりします。意識障害や呼吸困難を引き起こし、非常に危険な状態になります。


症状が重篤になると死んでしまう場合もありますので、注意しなければなりません。

猫の口蓋裂の治療法や治療費、予防方法を解説!

ミルクを飲み込めないなど、食べる、飲む事が出来ないのは猫にとって、とても辛い事ですよね。


そのまま放置しておくと、最悪の場合、命の危険にさらされてしまう猫の口蓋裂。可愛い家族の愛猫がそんな事になってしまったら、飼い主としては大変心配ですね。


そこで、口蓋裂の治療法や予防法は、どのようなものなのか、以下の2つの事について詳しくお伝えしていきます。

  • 猫の口蓋裂の治療法と治療費について
  • 猫の口蓋裂の予防法について

猫の口蓋裂の治療法や手術費用等の治療費を解説!

ではまず、猫の口蓋裂の治療法と治療費について解説していきます。


猫の口蓋裂を根本的に治療するには「外科手術」しかありません。


口蓋裂の範囲が狭く、栄養分や水分がしっかりと摂れている状態の場合は、すぐに手術は行わずに経過観察をするケースもあります。


しかし、口蓋裂が例え範囲が小さかったとしても、例えば鼻炎の症状が治らず、鼻水が出たり目が涙目になったりと、猫にとっての辛い症状は治まらないです。


ですから、症状を治すためには手術をする方法が一番です。


手術の方法は、裂けた部分の左右から口蓋にある粘膜をはがして寄せて、縫い合わせていきます。


裂けた部分がしっかりとふさがるまでは、経胃カテーテルを使って栄養分や水分を補給します。そうする事で誤嚥性肺炎を防ぐ事が出来ます。


治療費についてですが、猫の状態や治療方法や病院によって金額が違いますので、一概にいくらとは言えません。


しかし、外科手術には10万円以上掛かるケースが多いです。その他にも、入院費、検査費なども掛かり、全額自己負担になりますので、飼い主の経済的な負担はかなり大きくなります。

猫の口蓋裂の予防法は?飼育環境を整えることが大切!

次に、猫が口蓋裂にならないようにするための予防法はどのような事があるでしょうか?


猫が口蓋裂になる原因は先天性のものと後天性のものがあります。


このうち、先天性のものについては、防ぎ様がないものが殆どですが、母猫のお腹の中に赤ちゃんがいる時にしっかりと栄養を摂る事有害な薬を飲ませないように注意をする事が必要です。


また、早期に発見する事で、誤嚥性肺炎などの予防に努める事も大切ですね。

赤ちゃんの時から、異常がないかなど、検診を受けさせるようにしましょう。


後天性の原因のものについては、落下事故や交通事故など、事故によるものになりますから、事故がおきないような環境作りをする事が大事です。


例えば、交通事故に遭わないように、家の中だけで飼うようにする。マンションの8階から落ちた猫もいますから、猫が出て行かないようにするなど、環境整備もしっかりしましょう。

口蓋裂にかかりやすい猫種や年齢はある?

さて、ここで疑問が一つ出てきました。

「口蓋裂という病気にかかりやすい猫の年齢や種類があるのか?という事です。


結論から申し上げますと、かかりやすい猫の種類は特定出来ません。

と言いますのは、口蓋裂という病気は、先天性と後天性のものがあり、原因は猫の種類とは特に関係性はないからです。


先天性が原因の場合は、「生まれつき」という事ですから、子猫のうちから猫の状態を良く観察する事、そして定期的な検診を動物病院で受ける事が大切になります。


ですから、掛かりやすい年齢があるか?という事については、0歳の幼少期という事が出来ます。


また、後天性が原因の場合は、事故(ケガ)によって、口唇裂が起きる訳ですから、活発に動き回る成猫になる前~3歳くらいまでは特に気をつけた方が良いでしょう。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!


猫の口蓋裂という病気は、先天性のものと後天性のものがある事が分かりました。


先天性の病気の場合は、防ぐのがかなり難しいので、生まれてからの猫の様子で気づく事がほとんどです。そう考えると、難しい病気ですよね。


猫が口蓋裂と分かった場合、根本的に治すには、外科手術しか方法がありません。入院をして外科手術をして、経胃カテーテルで栄養分や水分補給をするなど、大掛かりな治療が必要になります。


ペットの場合は、人間のように健康保険がありませんから、全額自己負担になります。

口蓋裂のように手術が必要になった場合は飼い主の費用負担が大きくなり、大変ですよね。


ですから、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくことをおすすめします。もちろん、口蓋裂の手術もペット保険の適用になります。なお、「MOFFME」では、ペット保険に関する記事を多く掲載していますので、是非、参考にしてみてくださいね!

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まとめ:猫の口蓋裂(三口)とは?

ここまで、猫の口蓋裂(三口)についてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?


今回の記事では、次の事をお伝えしました。

  • 猫の口蓋裂とは、三口とも呼ばれ、口の中の空間と鼻の間にある口蓋壁に穴が開いて繋がった状態の事を言う。
  • 猫の口蓋裂の原因は、先天性のものと後天性のものがある。
  • 猫の口蓋裂の症状は、飲み物や食べ物がうまく飲み込めない、誤嚥性肺炎を起こしたり、呼吸困難を起こし、最悪には死に至ることもあるので、注意が必要。
  • 猫の口蓋裂の根本的な治療法は、「外科手術」のみ。
  • 猫の口蓋裂の先天性が原因の予防法は、母猫に十分栄養を摂らせる事、有害な薬を飲ませないようにする事。
  • 猫の口蓋裂の後天的な原因の予防法は、猫の飼育環境を整え、危険な目にさらさない事が大事。
  • 口蓋裂にかかりやすい年齢は、幼少期や、活発に動き回る3歳くらいまでの年齢時に特に注意。
  • 猫の口蓋裂の治療には高額な費用がかかるので、ペット保険に加入しておくのがおすすめ。

猫の口蓋裂という病気を正しく知り、アナタの猫の様子を良く観察して、疑いがあったら早期に動物病院へ行って診てもらいましょう。


MOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する役立つ記事を公開しておりますのでぜひご覧ください。